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中央銀行の責務と気候変動に関するコミュニケーション:大規模中銀スピーチデータから得られた証左

English

2023年9月29日
デービッド・M・アルセノー*1
長田充弘*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿では、(1)Word scoring methodを用いた教師ありアルゴリズムを含むいくつかのテキスト分析手法を比較しながら、気候変動に関する中央銀行スピーチを包括的に収集したうえで、(2)中央銀行の気候変動に関する情報発信が、中央銀行の責務(マンデート)によってどのように形作られるかを、実証的に分析した。

各中央銀行は、その法的な責務が「経済の持続可能性(サステナビリティ)」とどの程度関係あるか――明示的な責務としているか、広範な政府の施策を支える責務に適うという意味で間接的な責務となっているか、それとも、責務とは全く関係ないか――という点で大きく異なっている。実証結果によると、こうした中央銀行の責務に関する違いは、気候変動に関する情報発信の頻度や、気候変動問題をどういう文脈で議論するかについての、重要な決定要因となっている。これらの結果は、中央銀行が気候変動に関するコミュニケーションを形成する際に、自らの責務を考慮することが重要な役割を持っていることを示すものである。

JEL 分類番号
E58、E61、Q54
キーワード
中央銀行スピーチ、中央銀行責務、気候変動、自然言語処理
  1. *1連邦準備制度理事会金融安定局 E-mail : david.m.arseneau@frb.gov
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : mitsuhiro.osada@boj.or.jp

日本銀行から

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