外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ(2010年4月中 取引高調査)について:日本分集計結果
2010年9月1日
日本銀行金融市場局
- 本調査のデータを含む全文 (ZIP)90KB
1.本調査の概要
各国中央銀行等では、国際決済銀行(BIS)の取りまとめの下で、3年毎に自国・地域の外国為替(外為)市場および店頭(OTC)デリバティブ市場の取引高等について同時に調査を実施している1。今回の調査結果は2010年4月中の取引高に関するものである2。
このうち、日本分集計結果は、本邦銀行等20行庫、外資系銀行17行、本邦証券会社3社、外資系証券会社5社の計45先を調査対象としている。また、本調査では、外為取引を3種類、デリバティブ取引を5種類に分類し3、それぞれについて、通貨別、取引相手先別、国内外別に集計している。
なお、BISでは、参加各国・地域の調査結果を集計したグローバル・ベースでの外為・デリバティブ取引高統計4を公表している(BISのホームページ<http://www.bis.org/statistics/index.htm(外部サイトへのリンク)>より入手可能)。
- BIS取りまとめによるグローバル・ベースでの調査は、外為取引高については89年から、デリバティブ取引高については95年から開始されている。
- 今回の調査では、日本銀行を含む53か国・地域の中央銀行等により、約1,300の金融機関等を対象に実施された。参加国・地域については別添2を参照
- 本稿における外為取引およびデリバティブ取引の範囲は以下のとおり。
(1)外為取引……スポット、フォワード、為替スワップ
(2)デリバティブ取引
- 金利関連取引……FRA(金利先渡し取引)、金利スワップ、金利オプション
- 外為関連取引……通貨スワップ、通貨オプション
- BIS公表資料においては、2010年調査分より、通貨スワップ、通貨オプションは外為取引として集計されている。
2.BISサーベイ調査結果(別添1)の主な特徴点5
I.外為取引(スポット、フォワード、為替スワップ合計ベース)
- わが国外為市場の1営業日平均総取引高6は、3,013億米ドルと前回調査比+26.4%増加した(図表1)。
- 相手先別では(図表1)、対顧客等取引が大幅に増加した(前回調査比+86.8%)。また、取引形態別では(図表2)、インターバンク取引、対顧客等取引ともに、為替スワップ取引が増加(前回調査比+50.4%)。
- 金融機関別では(図表3)、外資系金融機関の取引増加が本邦金融機関を上回り、外資系金融機関の取引高シェアが上昇(前回調査67.1%→今回調査69.8%)。
- 通貨別取引高では(図表4)、ドル/円、ユーロ/円取引の割合が上昇(それぞれ前回差+4.0%p、同+2.7%p)した一方、ユーロ/ドル取引、その他の取引の割合が低下(それぞれ同-1.3%p、-5.4%p)。
- 取引高上位10先および同上位20先の取引全体に占めるシェアは(図表5)ともに引続き上昇。
II.デリバティブ取引(FRA、金利スワップ、金利オプション、通貨スワップ、通貨オプション合計ベース)
- わが国デリバティブ市場の1営業日平均総取引高7は、1,009億米ドル(前回調査比+14.5%、図表6)と、金利関連取引を中心に増加。
- 取引種類別に見ると(図表6)、FRAや金利オプション取引が減少したものの(それぞれ前回調査比-42.7%、同-76.3%)、金利スワップ取引が引続き大きく増加(同+67.7%)。また、通貨スワップが大幅に増加(前回調査比+115.7%)。
- 通貨別の取引動向では、金利関連取引については(図表7)、円金利取引のシェアが上昇(前回差+6.5%p)。また、外為関連取引についても(図表8)、円を対価とする取引のシェアが上昇(同+7.5%p)。
- 金融機関別では(図表9)、本邦金融機関においては金利関連取引の増加にともない、取引高が著増(前回調査比+125.7%)。他方、外資系金融機関の取引高は減少(同-36.6%)。
- 取引相手先別では(図表10)、インターバンク取引が増加(前回調査比+42.4%)した一方、対顧客取引は減少(同-37.8%)。
- デリバティブ市場全体における取引の集中度についてみると(図表11)、上位10先および同上位20先の取引全体に占めるシェアは引続き上昇。
- 5過去の調査結果との比較については、集計対象先のカバレッジ、項目の定義の違い、為替相場の変動等からある程度の幅をもってみる必要がある。
- 6グローバル・ベースの取引高(ここでは通貨スワップ、通貨オプションを含む)に占めるシェアは6.2%となった(別添3)。
- 7グローバル・ベースの取引高(ここでは通貨スワップ、通貨オプションを除く)に占めるシェアは3.3%(別添3)。
本件に関する照会先
金融市場局 為替課
(03-3277-1349、03-3277-2560
以上
(別添1)
I.外国為替取引高計表(スポット、フォワード、為替スワップ合計ベース)
II.デリバティブ取引高計表(FRA、金利スワップ、金利オプション、通貨スワップ、通貨オプション合計ベース)
(別添2)
(別添3)