質問 中央銀行デジタル通貨とは何ですか?
教えて!にちぎん
回答
一般に「中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)」とは、次の3つを満たすものであると言われています。(1)デジタル化されていること、(2)円などの法定通貨建てであること、(3)中央銀行の債務として発行されること。
中央銀行は、誰でも1年365日、1日24時間使える支払決済手段として銀行券を提供していますが、これをデジタル化してはどうかという議論があります。
現金を代替するようなデジタル通貨を中央銀行が発行することについては、具体的な検討を行っている国もありますが、民間銀行の預金や資金仲介への影響など検討すべき点も多いことなどから、多くの主要中央銀行は慎重な姿勢を維持しています。日本銀行も、現時点において、そうしたデジタル通貨を発行する計画はありません。
一方で、中央銀行の当座預金という既にデジタル化されている中央銀行の債務を、新しい情報技術を使ってより便利にできないかという議論もあります。多くの主要中央銀行では、新しい情報技術を深く理解する観点から、調査研究や実証実験などの取り組みを行っています。日本銀行では、欧州中央銀行と共同で分散型台帳技術と呼ばれる新しい情報技術に関する調査(プロジェクト・ステラ)を実施しており、その結果を報告書として公表しています。
関連ページ
中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の公表資料については、中央銀行デジタル通貨のページを、プロジェクト・ステラに関する日本銀行の公表資料については、FinTechセンターのページの「関連公表資料」をご覧ください。
参考
- 雨宮副総裁講演「日本銀行はデジタル通貨を発行すべきか」(2019年7月)
- 雨宮副総裁挨拶「中銀デジタル通貨と決済システムの将来像」(2020年2月)
- 内田理事挨拶「ポストコロナの『お金』の姿」(2020年7月)
- 中央銀行発行デジタル通貨について-海外における議論と実証実験-(小林亜紀子・河田雄次・渡邉明彦・小早川周司、日銀レビュー 2016-J-19、2016年11月)
- 情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨(柳川範之・山岡浩巳、日本銀行ワーキングペーパー 19-J-1、2019年2月)
- 中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題(決済システムレポート別冊、2020年7月)