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総裁談話・北海道拓殖銀行について

平成 9年11月17日
日本銀行

1.北海道拓殖銀行は、本年9月12日、来年4月に予定していた北海道銀行との合併を延期する旨発表するとともに、併せて、不良債権の処理および資本の増強策並びに経営の効率化策を発表し、これまでその実施に向けて最大限努力してきたところであるが、合併延期発表後、預金の減少に加え、株価が急激に下落する等市場の評価を得られず、さらに、市場性資金の取入れも困難となり、資金繰りが行き詰まるに至った。

2.かかる状況を踏まえ、今般、同行から、以下のような報告を受けた。

  1. (1)今後の自力での業務継続は困難である。
  2. (2)北海道における金融機能を維持していく観点から受皿銀行に業務を引継ぐこととしたいが、ついては、預金保険機構に不良資産の買取り等を要請することとしたい。
  3. (3)このような事態を招いた経営責任を明確にするため、河谷頭取をはじめ取締役全員は辞任する予定である。

3.日本銀行としては、わが国金融システムの安定確保の観点、および同行が北海道において重要な金融機能を果たしている事実に鑑み、これまで同行が果たしてきた金融機能自体は、是非とも維持することが不可欠であると考えている。

4.以上の点を踏まえ、日本銀行としては、現在実施されている大蔵省検査による同行の財務計数を確認の上で、次のような点を基軸とする処理方策を関係者の間で協議しつつ、早急に取りまとめることが必要と判断している。

  1. (1)北海道拓殖銀行の業務を引継ぐ受皿銀行は北洋銀行とし、また、地域経済の安定を図る観点から、他の地元金融機関にも協力を求める。北洋銀行への承継までの間においては、北海道拓殖銀行は通常通りの業務を継続し、預金者や健全な融資先等の取引に支障が生じないよう万全の配慮を払う。
  2. (2)受皿銀行には、北海道拓殖銀行の有する健全な資産・預金等のみが引継がれることとし、預金保険機構が不良資産を買取る等所要の支援を行う。この場合、不良債権から生ずる損失については、まず北海道拓殖銀行の自己資本を充当する。
  3. (3)受皿銀行に引継ぐ北海道拓殖銀行の業務の具体的内容や承継の方法・時期等は、今後関係者と詰めていくこととなるが、受皿銀行の経営の安定性を確保するため、本州内の健全な資産・預金等については、道内分とは切り離し、既存金融機関に営業譲渡する方向で検討する。

5.日本銀行としても、今後早急に処理方策の具体化が図られるよう関係者と協議を行い、その円滑な実施に協力していく所存である。また、日本銀行は、北海道拓殖銀行が受皿銀行に業務を引継ぐまでの間、日本銀行法第25条に基づき業務継続に必要な資金を供給する方針である。

6.預金については、受皿銀行等に引継がれ、全ての預金が保護されることになるので、預金者におかれては心配されることなく、良識ある行動を取られることを強く期待する。

以上