【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策沖縄県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2025年10月16日
1.はじめに
日本銀行の田村でございます。本日は、沖縄県の行政および金融・経済界を代表する皆様との懇談の機会を賜り、誠にありがとうございます。また、日頃より、日本銀行那覇支店の業務運営にご協力頂いておりますことに、厚く御礼を申し上げます。
本日は、まず私から、わが国の経済・物価情勢や日本銀行の金融政策運営などについて説明させて頂き、その後、皆様から沖縄県の実情に即したお話や日本銀行に対するご意見などを承りたく存じます。
2.経済・物価情勢
(1)わが国経済の現状と見通し
はじめに、わが国の経済情勢についてお話します。わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、総じてみれば、緩やかに成長していると判断しています。
そのような中で、米国の関税政策とそれがわが国経済に及ぼす影響に大きな不確実性があり、図表1に示した通り、4月、7月時点で日本銀行の経済見通しも修正を余儀なくされてきました。実質GDP成長率の見通しを政策委員の中央値で申し上げれば、1月時点では2025年度1.1%、2026年度1.0%と比較的しっかりとした成長を見込んでいましたが、4月に米国の関税政策が発表されたことを受けて、4月見通しでは2025年度0.5%、2026年度0.7%へと大きく引き下げました。もっとも、この時点では、米国の関税政策等がどうなっていくのか、それに対して企業がどのように対応するのか、二重の意味で流動的であり、今後の推移次第で、上方向・下方向両面で、大きな修正があり得るものでした。
その後、6月調査の短観やその他のヒアリングデータから判断すれば、私にとっては驚くほど、企業の前向きな姿勢が維持されていたところ、更に日米の関税交渉が、特に自動車関税について、穏当な内容で合意に至りました。これにより、米国の関税政策に関する不確実性がはっきりと低下し、日本企業が動きやすくなったことは、間違いないと考えていましたが、今月発表された9月調査の短観の業況判断DIは、図表2に示した通り、企業の前向きな姿勢が引き続き維持されていることを裏付けるものでした。
もちろん、業種によって影響の大小がある上、日本全体として見ても、米国の関税政策を受けた海外経済の減速等の影響から無傷ではいられないと思いますが、海外経済が緩やかな成長に戻っていくのに伴い、わが国経済も成長率を高めていくと考えています。また、今後出てくるデータや情報を注意深く見ていく必要はありますが、私としては、海外経済の減速も当初考えていたほどではない可能性が十分にあると考えています。
(2)わが国物価の現状と見通し
次に、わが国の物価については、図表3の通り、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2%台後半となっています。
そのような中で、物価見通しについても、米国の関税政策のもたらす不確実性を背景に、修正を余儀なくされました。図表4に示した通り、消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、1月時点では2025年度2.4%、2026年度2.0%と、2%の『物価安定の目標』以上の上昇率が続くとみていましたが、4月には2026年度の見通しを1.7%に引き下げました。これは、米国の関税政策による企業収益の伸び悩みから、2026年度の賃上げが一定程度下押しされるリスク等を見込んだものでした。なお、7月に2025年度見通しを2.7%と大きく引き上げたのは、食料品価格を中心に足もとまでの実績が大きく上振れたことに対応したものです。
今後の消費者物価の基調的な上昇率は、「成長ペース鈍化などの影響を受けて、当面、伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、2027年度までの展望レポートの見通し期間後半には『物価安定の目標』と概ね整合的な水準で推移する」というのが日本銀行としてのベースシナリオです。一方で、私としては、「物価安定の目標」の実現時期が前倒しとなる可能性も十分にあると考えています。物価がベースシナリオから上振れる可能性もあると考える理由は、以下の通りです。
第一に、企業の前向きな経営姿勢が維持されていることです。私は、米国の関税政策等のあおりを受けて、企業の経営姿勢が、デフレ期のような、賃金・物価が上がりにくい状態に戻ってしまわないかという点を心配していましたが、まず、価格設定行動については、従来よりも積極化した姿が維持されています。短観で「販売価格は上昇する」と回答した企業の割合を、「仕入価格は上昇する」と回答した企業の割合で割った値――価格引上げに関する企業の積極性を示す大まかな指標――を図表5に示していますが、この指標は、2022年以降、企業にデフレマインドが浸透していく前の1990年代初頭の水準にまで戻り、足もとでも高めの水準が維持されています。また、図表6に企業の1年後の物価全般の見通しと自社製品の販売価格の見通しの推移を示していますが、共に、2%を超える高い水準が続いています。私が注目しているのは、2022年までは、物価全般の上昇ほどには自社製品を値上げしないというスタンスだったものが、2022年以降は、物価全般以上に自社製品を値上げするというスタンスに変わっており、これは企業の価格設定行動の積極化を示すものと捉えています。企業の設備投資については、4月の米国の関税政策発表直後は企業の様子見姿勢も一部見られましたが、図表7の通り、9月調査の短観では、前年度に引き続き高い水準の増加が計画されており、多くの企業が、人手不足対応やデジタル関連の投資、GX(グリーン・トランスフォーメーション)関連の投資などを継続するなど、前向きな設備投資スタンスを維持しているものとみられます。更に、賃金設定行動についても同様に、積極姿勢が維持されていると判断されます。先日開催された支店長会議で聞かれた各地域の報告や、日本銀行の本支店が行った企業ヒアリングの内容をみても、図表8に示されるように企業の人手不足感が強い下で、継続的に賃上げを行っていくとの声が多数聞かれています。
第二に、図表9に示した通り、食料品の価格上昇が2022年以降、持続的に続いていることです。生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇が続き、それが食料加工品や外食の価格上昇に繋がっています。生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇自体は供給要因として一時的なものかもしれませんが、(1)肥料や光熱費、運送費などの各種コストの上昇、(2)生産から流通の各段階の人件費上昇、(3)人手不足等による供給力の低下、(4)気候変動に伴う天候不順などが影響していることを考えると、値上がり品目が交替しつつも、全体として高めの価格上昇が続く可能性があります。また、生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇が一時的であったとしても、食料加工品や外食の価格への波及は一度に起こるわけではなく、段階的に行われることから、一定の持続性を持つことが多いと考えられます。更に、図表10に示した通り、主要食品メーカーによる食料品値上げ理由の推移をみると、人件費を値上げ理由として挙げる割合が高まり、構造的な物価押し上げ要因となってきていることを示しています。このように考えると、食料品価格は今後も持続的に上昇する可能性が十分にあります。食料品の価格上昇は家計の予想インフレ率に大きな影響を与え、更なる物価押し上げ要因となり得ます。したがって、単なる一時的要因と捉えるべきではなく、十分に目配りしていく必要があると考えています。
第三に、サービス価格のうち、人件費の影響が及びやすい品目をみると、2%を上回る高い伸びを続けていることです。図表11に示した通り、サービス全体の表面的な価格動向は、前年比で2%をやや下回る推移となっていますが、これは、構造的に一般物価の動きから大幅なラグを有するとみられる家賃1、2や公共サービス3が含まれるためです。これらを除いたサービス価格、私はこれを「市場ベースのサービス価格」と呼んでいますが、その動向をみると、2%を超える伸びを続けており、賃金と物価が相互に参照しながら上昇していくメカニズムが働いていることを示すものと捉えることができます。更に、最近では、家賃や公共サービスも、徐々にその伸び率を高めてきており、特に公共サービスについては、政府が、本年6月に、医療・介護・障害福祉等の公定価格の引き上げ方針を掲げるなど、今後、その伸び率を一段と高めていく可能性があります。
第四に、図表12に示した予想物価上昇率の動きです。私は、先行きの物価動向を考えるうえでは、実際の経済活動の主体である企業や家計の予想物価上昇率を重視すべきだと考えています。短観における企業の物価全般の見通しをみると、引き続き緩やかな上昇を続けており、5年後の予想は2%を超える姿が続いています。また、家計については、日本銀行が実施した「生活意識に関するアンケート調査」の結果を見ると、バイアスがあるため水準自体は割り引いてみる必要があるものの、5年後の予想物価上昇率の中央値および平均値のいずれも、2%を大きく上回る状況が続いています4。予想物価上昇率が2%程度で安定している欧米と異なり、低い水準から上昇してきたわが国において、これが更に上振れしていってしまわないか、注意が必要だと考えていましたが、10月に発表された企業・家計の予想物価上昇率は更に高まっている状況です。
以上のような点から、私としては、先行きの国内の物価情勢について、7月の展望レポートで示した見通しと比べ、上振れて推移するリスクが大きいと予想しています。
- ここでの家賃は、消費者物価指数における民営家賃と持家の帰属家賃をさしています。
- わが国の消費者物価指数の家賃の上昇率が低い背景として、家賃の引上げにかかる制度的なハードルが高いこと、継続家賃を含めた調査であるため居住者入れ替え時に行われた新規家賃の上昇の影響は一部に限られることなどが指摘されています。また、賃貸住宅の経年による品質劣化の調整を行っていないことも下方バイアスを生じさせています。こうした影響は、民営家賃の価格だけでなく、ウエイトの大きい持家の帰属家賃の価格にも反映されることにも留意しておく必要があります。なお、サービス物価に占める民営家賃と持家の帰属家賃のウエイトは36%となっています。
- 消費者物価指数の公共サービスには、国や地方自治体が法律などで価格を規定する法定料金・条例料金の品目に加え、価格改定に国の認可を要する認可料金や価格改定を国に届け出る届出料金の品目も含まれます。わが国の公共料金が上昇しにくい原因の一つとして、公営企業の収益に対する補助金の投入が常態化し、営業費用や設備の減価償却費用が料金に反映されにくいことが指摘されています(2016年7月展望レポートのBOX4)。なお、足もとは、火災・地震保険料や自動車保険料(任意)の価格上昇が公共サービスの価格の上押し要因となっていますが、これらを除くと、上昇率は低い伸びにとどまっています。なお、サービス物価に占める公共サービス(公営家賃、都市再生機構・公社家賃を含む)のウエイトは、25%となっています。
- 家計の予想物価上昇率にかかるバイアスを調整するため、「少し上がる」、「かなり上がる」などの選択肢で先行きの物価感を回答するアンケート(質的質問)で得られた結果から予想物価上昇率を統計的に推計すると、足もとは1%台半ばの水準と、2022年以前の水準からわずかな上昇に留まっています。量的質問の中央値、平均値とも、2022年以前の水準から大幅に切り上がっていることと比べれば、私としては、質的質問から導いた推計値は過小評価されているのではないかと感じています。例えば、過去、「かなり上がる」と回答していたような人々の予想が更に上振れたとしても、同じ選択肢を選ばざるを得ない(「かなり上がる」より上の選択肢がない)、といった制約からくる下方バイアスなどがあると考えられます。
3.金融政策運営
ここからは、日本銀行の金融政策運営についてお話します。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指して、政策運営を行っており、2024年3月の金融政策の枠組みの見直し以降、短期金利の操作を主たる政策手段と位置付ける、普通の金融政策に戻っています。そして、「物価安定の目標」の実現する確度の高まりに合わせて、金融緩和の度合いを調整していく方針にあり、短期政策金利の誘導目標を2024年3月に0から0.1%とした後、2024年7月会合で0.25%程度に、更に2025年1月会合で0.5%程度に引き上げました。
また、直近の2025年9月会合では、短期政策金利の誘導目標を、0.5%程度のまま維持することが決定されましたが、私はこれに反対し、0.75%程度への引き上げを提案しました。これは、上下双方向のリスクがある現時点で、政策金利を一気に引き締め領域まで引き上げるべきではないものの、物価の上振れリスクがある中、将来の急激な利上げによるショックを避けるため、中立金利にもう少し近付けておくべきであると考えたからです。
なお、この会合においては、図表13にある通り、日本銀行が保有するETFおよびJ-REITについて、市場に攪乱的な影響を与えることを極力回避する等の基本方針を踏まえ、「金融機関から買入れた株式」の売却と同程度の規模で、市場への売却を行うことを決定しました。市場全体の売買代金に占める売却割合を0.05%程度に抑えるため、全て売却するまで100年以上を要する計算となりますが、市場のリスク・プレミアムに影響を与えるために購入したETF等を、市場に影響を与えないように処分していく以上、処分完了まで長期間かかるのはやむを得ないと考えています。
以下では、政策金利について、私の考えをもう少し詳しく説明します。
図表14は、日本、米国、ユーロ圏の消費者物価上昇率と政策金利の推移ですが、足もと、米国およびユーロ圏では、消費者物価上昇率が概ね2%台で推移する中、政策金利は米国が4%強、ユーロ圏は2%程度となっています。それぞれの地域の経済・物価情勢に応じて水準は区々ですが、いずれも政策金利は中立金利の近傍ないしやや上回る水準にあって、上振れ・下振れ両睨みが必要な不確実性の高い状況に備えています。一方、日本の消費者物価上昇率は概ね3%前後で推移していますが、政策金利は0.5%と、米国・ユーロ圏対比、低い水準に止まっています。
わが国のインフレ実績は2%目標を長期にわたってはっきりと上回っており、更に、私としては、インフレ上振れリスクが膨らんできている状況にあると考えています。もっとも一方で、米国の関税政策によって今後、米国経済が大きく下押しされ、その悪影響がわが国に及ぶリスクがあるのも事実です。このように経済・物価の上振れ・下振れ双方向のリスクがある状況に備えるには、中立的な金融政策スタンスに近づけておくことがリスクマネジメント上、重要だと考えています。
図表15に名目金利から予想物価上昇率を差し引いたわが国の実質金利の推移を示していますが、現在、はっきりとしたマイナスとなっており、自然利子率のいずれの推計値も下回っています。これは、言い換えれば、わが国の短期金利の水準は中立金利を下回り、現在は緩和的な金融環境、すなわち、経済や物価を押し上げる位置にあると言えます。
中立金利は、概念的には、経済・物価に対して中立的な実質金利の水準である自然利子率に、予想物価上昇率を加えたものですが、この中立金利について、私は、最低でも1%程度だろうとみていると従来から申し上げてきました。ただ、自然利子率は直接観察できるものではなく、その推計値は手法によって大きなばらつきがありますので、実際のところ中立金利が1%以上のどの辺りにあるのかは、政策金利を引き上げつつ経済・物価の反応を見て、探っていくしかないと考えています。これまで、0.5%まで政策金利を引き上げてきましたが、その日本経済全体への影響は極めて限定的であると捉えています。中立金利まではまだまだ距離があるということだと受け止めており、実際、図表16の通り、企業からみた金融機関の貸出態度や資金繰りは、全体として緩和的な状況が続いている状況です。
私としては、先ほどの経済・物価情勢を巡る話題で申し上げた通り、関税政策に関する日米交渉合意や企業の前向きな賃金・価格設定行動の維持、物価の上振れリスクを踏まえると、「物価安定の目標」の実現時期が前倒しとなる可能性は高まっていると考えています。政策金利の引き上げが遅れて物価が大きく上振れする、いわゆるビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうと、物価を落ち着かせるために急速な利上げを余儀なくされ、結果的に日本経済に大きなダメージを与えることになってしまいます。
図表17は家計と企業に「好ましい物価と賃金・収入の状態」を問うたものですが、家計・企業ともに「物価と収入がともに緩やかに上昇する状態」が好ましいという回答が最も多くなっています。長い間、「物価と賃金がともにほとんど変動しない状態」を続けてきたわが国経済が、ようやく「ともに上昇する」状況に変化した現在、「緩やかに」と言える好ましい水準で、それを定着させることが重要です。早すぎる金融引締めによって「ともにほとんど変動しない状態」に戻ってしまうことは避けなければなりません。一方で、「緩やか」とは言えない物価上昇を続けることも避ける必要があります。なお、物価上昇率に比べて金利が低すぎる場合、預金の実質的な目減りが続き、賃金上昇の恩恵を受けないリタイア世帯などにとっては、辛い状況が続いてしまうことも意識しておく必要があるように感じています。
上下双方向にリスクがある現時点で、一気に政策金利を引締め領域まで引き上げてインフレを抑えにかかるべきとは考えていませんが、物価の上振れリスクが膨らむ中、将来の急激な利上げショックを避けるためにも、金融緩和度合いを調整して中立金利にもう少し近付けるべく、利上げを判断するべき局面にきていると考えています。
4.おわりに ―― 沖縄県経済について ――
最後に、沖縄県経済についてお話ししたいと思います。
沖縄県は、広大な海域に、沖縄本島のほか、大小数百の島々が点在する島しょ県です。美しい海や世界自然遺産「やんばる」の森をはじめとする豊かな自然に加えて、琉球舞踊やエイサーといった独自の芸能文化を有しています。また、琉球泡盛は、2024年12月に、わが国の伝統的酒造りとして無形文化遺産に登録されました。こうした地理的・文化的な特性を有する沖縄県では、観光が基幹産業となっています。
足もとの県内景気は、この観光がけん引するかたちで、拡大基調にあるとみています。那覇空港をはじめとする県内の各空港は、日本国内はもとより、アジアの各都市と直接結ばれ、コロナ禍明け以降、国際線の増便・復便が相次いでいます。また、クルーズ船の寄港数の増加とも相まって、2024年度はコロナ禍前のピーク時に並ぶ年間1千万人に近い観光客が沖縄県を訪れました。日本銀行那覇支店が集計している県内の主要ホテル客室稼働率をみますと、コロナ禍直後は1割程度まで低下した時期もありましたが、足もとにかけては7割台まで回復しています。今年の夏には沖縄本島北部に大型テーマパークが開業したほか、来年の秋には首里城正殿の復元が完了する予定です。先行きも、観光需要のさらなる増加が期待され、観光に携わる企業の「稼ぐ力」が高まるもとで、県内景気の拡大基調は続くとみています。
更に、私としては、観光に続くリーディング産業の創出・振興を模索する動きがみられている点についても、高い関心を持っています。その一つが、研究機関や地元企業、金融機関、公的機関が一体となったスタートアップの育成・支援に関する取り組みです。在籍者からノーベル生理学・医学賞の受賞者も輩出している沖縄科学技術大学院大学(通称:OIST)などの大学や研究機関では、沖縄県の恵まれた自然環境も活用し、地元企業とも連携しながらバイオテクノロジーをはじめとする様々な分野での産業化を着実に進めています。また、沖縄県全体としても、2022年12月に、「おきなわスタートアップ・エコシステム・コンソーシアム」が設立され、産学官金によるスタートアップの創出と成長を幅広く支援する枠組みが形成されています。本年5月には、那覇空港の機能強化と基地返還跡地の一体的利用により沖縄県の振興・発展を目指すための成長戦略である「GW2050 PROJECTS」のグランドデザインも公表されました。これらの措置が相まって、沖縄県経済のさらなる飛躍に繋がることを期待しています。
日本銀行那覇支店は、1972年5月15日に沖縄県の本土復帰とともに開設され、2022年に50周年の節目を迎えました。これからも地域の第一線で中央銀行業務を遂行するとともに、関係する皆様との意見交換などを通じて、沖縄県経済の発展に貢献できるよう努めてまいります。
ご清聴ありがとうございました。
