「デジタルマネー提供者における情報の取扱いとその規範を巡る法律問題研究会」報告書 ―集積情報の利用と法的課題―
2024年12月13日
デジタルマネー提供者における情報の取扱いとその規範を巡る法律問題研究会
- 「デジタルマネー提供者における情報の取扱いとその規範を巡る法律問題研究会」報告書(金融研究所ホームページにリンク)
要旨
本稿は、日本銀行金融研究所が設置した「デジタルマネー提供者における情報の取扱いとその規範を巡る法律問題研究会」(メンバー〈50音順、敬称略〉:井上聡、加毛明、神作裕之、神田秀樹〈座長〉、宍戸常寿、森亮二、事務局:日本銀行金融研究所)の報告書である。
デジタルマネーの利用が進むなか、デジタルマネー提供者が保有する決済情報に対する注目が高まっている。デジタルマネーの決済情報はグループで運営されるビジネスにおいて集積する情報の重要な構成要素として、さまざまな用途で利用が見込まれる。利用者や加盟店の権利利益を保護しつつ、デジタルマネー提供者にとって法的不確実性がない形での情報利用のあり方を検討する意義は大きい。
本報告書では、決済情報の性質や契約・法令といった情報利用に関する法的枠組みを整理したうえで、デジタルマネー提供者と利用者との関係、デジタルマネー提供者と加盟店との関係、グループによる情報共有の3つの場面において、集積情報の利用に伴う法的課題を検討している。
利用者との関係では、プロファイリングを取り上げて、対象者のプライバシーとの関係で問題になりにくい類型を探る必要があることを指摘するとともに、その目線を提示している。また、プロファイリングを利用した取引(ターゲティング広告、パーソナライズドプライシング)について、取引法上考慮が必要と思われる点を指摘している。
加盟店との関係では、デジタルマネー提供者と加盟店間の関係を規律する法的な枠組みを踏まえ、私法と競争法の課題について整理している。
集積情報を利用する前提となるグループによる情報共有については、個人情報保護法の共同利用を積極的に位置づけていく観点から検討を行っている。
日本銀行から
本報告書の内容や意見は、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。
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