報告書作成の際に使用するレート(換算レート)の説明
―基準外国為替相場、裁定外国為替相場、報告省令レート等ご利用の方へ―
2023年6月1日
日本銀行国際局
換算の方法
外為法に係る通貨の換算方法は、外為令第21条※に定められており、財務省令又は経済産業省令で別途定められる場合を除き、「基準外国為替相場・裁定外国為替相場」を用いることとなっています。別途定められている相場のうち、報告書の提出に係る相場としては、報告省令第35条及び第36条において、「実勢外国為替相場」、「財務大臣が定めるところに従い、日本銀行において公示する相場」(いわゆる報告省令レート)、及び「特別国際金融取引勘定において取引又は行為を経理する場合に使用する相場」が定められています。
- 外為令第21条:外為法(第1章、第3章、第4章及び第6章の2(第55条の5及び第55条の6を除く。)に限る。次条において同じ。)及びこの政令並びにこれらに基づく命令の規定を適用する場合における本邦通貨と外国通貨との間又は異種の外国通貨相互間の換算は、財務省令又は経済産業省令で定める区分に応じ財務省令又は経済産業省令で定める方法による場合を除き、当該規定においてその額について当該換算をすべき取引、行為又は支払等が行われる日における外為法第7条第1項に規定する基準外国為替相場又は裁定外国為替相場を用いて行うものとする。
また、外為取引等の報告に係る電子決済手段等※の換算方法は、報告省令第36条の2に定められています。
- 電子決済手段等とは、ステーブルコイン、ビットコイン、イーサリアムなど、外為法第6条第1項第9号に規定する電子決済手段および暗号資産をいいます。
以下、各レートについて簡単にご説明します。
基準外国為替相場・裁定外国為替相場
基準外国為替相場は、本邦通貨と外国通貨(米ドル)の換算レートにつき、当該月の前々月中における実勢相場の平均値として、財務大臣が日本銀行本店において公示する相場です。
裁定外国為替相場は、本邦通貨と米ドル以外の外国通貨との換算レートで、財務大臣が日本銀行本店において公示する相場です。
当該レートは、「実勢外国為替相場」、「報告省令レート」及び「特別国際金融取引勘定において取引又は行為を経理する場合に使用する相場」により換算する場合を除き、ご利用頂きます。
実勢外国為替相場
当該レートの説明については別添(1)および(4)をご参照ください。
報告省令第35条第1号に規定される報告書(別添(1)参照)を作成する際、または、同省令第36条第1、2、4号に規定される報告書(別添(4)参照)の提出の要否を判断する際にご利用頂きます。
報告省令レート
当該レートは、財務大臣が定めるところに従い日本銀行において公示する相場です。
報告省令第35条第2号に規定される報告書(別添(2)参照)を作成する際、また、同省令第36条第3号に規定される報告書(別添(5)参照)の提出の要否を判断する際にご利用頂きます。
特別国際金融取引勘定において取引又は行為を経理する場合に使用する相場
当該レートは、特別国際金融取引勘定承認金融機関が当該勘定において取引又は行為を経理する場合に使用する相場です。
報告省令第35条第3号に規定される報告書(別添(3)参照)を作成する際にご利用頂きます。
電子決済手段等の換算の方法
当該レートの説明については別添(6)をご参照ください。
各レートの利用に係る根拠条文
報告書作成上の換算 | 報告書提出の要否 | |
---|---|---|
基準外国為替相場 裁定外国為替相場 |
外為令第21条 (具体的には以下の(1)、(2)、(3)以外) |
外為令第21条 (具体的には以下の(4)、(5)以外) |
実勢外国為替相場 | (1)報告省令第35条第1号 | (4)報告省令第36条第1、2、2の2、4号 |
報告省令レート | (2)報告省令第35条第2号 | (5)報告省令第36条第3号 |
特別国際金融取引勘定において取引又は行為を経理する場合に使用する相場 | (3)報告省令第35条第3号 | ――――――― |
電子決済手段等の換算の方法 | (6)報告省令第36条の2 | (6)報告省令第36条の2 |
なお、ご参考まで(1)から(6)に規定されている報告書式の一覧をご利用の方は別添をご参照ください。
別添
(1)報告書作成の際に実勢外国為替相場※を用いるもの
- 報告に係る取引、行為若しくは支払等が行われた日又はその日の属する月の末日における実勢外国為替相場。
別紙様式 | 報告書名 | 報告省令 |
---|---|---|
第2 | 支払又は支払の受領に関する報告書 (銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領<取りまとめ分>) |
第2条第2項 |
第4 | 支払又は支払の受領に関する報告書 (銀行等又は資金移動業者を経由する支払又は支払の受領<取りまとめ分>) |
第3条第2項 |
第23 | 電子決済手段等の売買又は他の電子決済手段等との交換に係る媒介等に関する報告書(注) | 第13条第5項 |
第24 | 電子決済手段等の売買又は他の電子決済手段等との交換に係る媒介等に関する報告書(一括報告分)(注) | 第13条第6項 |
第27 | デリバティブ取引に関する報告書 | 第14条第1項第3号 第16条第1項、第2項 |
第34 | 国別対外債権残高報告書 | 第14条第5項 第23条の3 |
第52 | 本邦にある会社等の内部留保等に関する報告書 | 第30条 |
第54 | 海外預金の残高に関する報告書 | 第32条第1項 |
- (注)電子決済手段等の売買に係る決済が外国通貨で行われる場合。
(2)報告書作成の際に報告省令レートを用いるもの
別紙様式 | 報告書名 | 報告省令 |
---|---|---|
第14 | 証券売買契約状況等報告書 | 第9条第2項第1号 第13条第2項第1号 第14条第1項第8号 第21条 第22条第1項第1号 第22条第2項第1号 |
第15-1 | 証券の条件付売買状況報告書(現先取引) | 第9条第2項第2号 第13条第2項第2号 第14条第1項第9号 第22条第1項第2号 第22条第2項第2号 |
第15-2 | 証券の貸借担保金の取引状況報告書 | 第14条第1項第10号 第22条第1項第3号 第22条第2項第3号 |
第15-3 | 証券の貸借取引の残高に関する報告書 | 第14条第6項第1号の1 第22条第3項第1号の1 第22条第4項第1号の1 |
第26 | 資産負債状況報告書 | 第14条第1項第2号 第23条 |
第28 | 貸付債権の売買に関する報告書 | 第14条第1項第4号 第17条第1項、第2項 |
第29 | 外国通貨又は旅行小切手の売買に関する報告書 | 第14条第1項第5号 第18条 |
第31 | 貸付けの実行等の状況に関する報告書 | 第14条第1項第7号 第19条第1項第1号 第19条第2項第1号 |
第32 | 対外支払手段等の売買に関する報告書 | 第14条第3項 第15条 |
第33 | 銀行等の非居住者等に対する国別債権債務に関する報告書 | 第14条第4項 第23条の2 |
第40 | 利子、配当金又は手数料等の支払又は支払の受領に関する報告書 | 第14条第7項 第16条第3項 第17条第3項 第19条第3項 第22条第6項 |
第41 | 非居住者に対する貸付け等の実行の状況に関する報告書 | 第19条第1項第2号 第19条第2項第2号 |
第43 | 証券取引に係る預り金等に関する報告書 | 第22条第5項 |
第45 | 国際航空輸送事業収支報告書(本邦航空業者分) | 第26条第1項 |
第46 | 国際航空輸送事業収支報告書(外国航空業者本邦内支店・代理店分) | 第26条第2項 |
第47 | 運航事業収支報告書(本邦運航業者分) | 第27条第1項 |
第48 | 運航事業収支報告書(外国運航業者本邦内支店・代理店分) | 第27条第2項 |
第49 | 貨物の輸出入等に係る保険に関する報告書 | 第28条 |
(3)報告書作成の際に特別国際金融取引勘定において取引又は行為を経理する場合に使用する相場を用いるもの
別紙様式 | 報告書名 | 報告省令 |
---|---|---|
第25 | 特別国際金融取引勘定における資金の運用調達状況報告書 | 第14条第1項第1号 第14条の2第1項第1号 第14条の3第1項第1号 |
(4)報告書提出の要否を判断する際に実勢外国為替相場を用いるもの
<支払又は支払の受領に関する報告書>
- 別紙様式第1 (銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領)
- 別紙様式第2 (銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領<取りまとめ分>)
- 別紙様式第3 (銀行等又は資金移動業者を経由する支払又は支払の受領)
- 別紙様式第4 (銀行等又は資金移動業者を経由する支払又は支払の受領<取りまとめ分>)
別紙様式 | 報告書提出不要金額 | 適用 | 報告省令 |
---|---|---|---|
第1~第4 | 3千万円に相当する額以下の支払等の場合、報告不要。 | 外国通貨による支払等であり、本邦通貨と外国通貨との売買を伴うものについて、当該本邦通貨と外国通貨との売買において適用される実勢外国為替相場を用いて換算。 | 第1条第1項 |
第1、第2 | 海外にある建設プロジェクト用の預金口座を通じた工事費用や代金の受払であって、月中の受払の合計額が1億円に相当する額以下の場合、報告不要。 | 支払等をした日における実勢外国為替相場を用いて換算。 | 第1条第2項第1号ニ かっこ書き |
<電子決済手段等の売買又は他の電子決済手段等との交換に係る媒介等に関する報告書>
別紙様式 | 報告書提出不要金額 | 適用 | 報告省令 |
---|---|---|---|
第23、第24(電子決済手段等の売買の場合) | 売買の対象となった電子決済手段等の対価が3千万円に相当する額以下の場合、報告不要。 | 外国通貨で決済された電子決済手段等の売買の額について、当該売買が行われた日における実勢外国為替相場を用いて換算。 | 第13条第5項、第6項 |
<海外預金の残高に関する報告書>
別紙様式 | 報告書提出不要金額 | 適用 | 報告省令 |
---|---|---|---|
第54 | 非居住者との間の預金契約に基づく債権額の月末現在における残高が1億円に相当する額以下の場合、報告不要。 | 当該債権額の月末における残高の額について、当該報告に係る取引、行為若しくは支払等が行われた日の属する月の末日における実勢外国為替相場を用いて換算。 | 第32条第1項 |
(5)報告書提出の要否を判断する際に報告省令レートを用いるもの
別紙様式 | 報告書名 | 報告省令 |
---|---|---|
第14 | 証券売買契約状況等報告書(注) | 第22条第1項第1号 |
第15-1 | 証券の条件付売買状況報告書(現先取引)(注) | 第22条第1項第2号 |
第15-2 | 証券の貸借担保金の取引状況報告書 | 第22条第1項第3号 |
第27 | デリバティブ取引に関する報告書 | 第16条第1項 |
第28 | 貸付債権の売買に関する報告書 | 第17条第1項 |
第29 | 外国通貨又は旅行小切手の売買に関する報告書 | 第18条第1項 |
第31 | 貸付けの実行等の状況に関する報告書 | 第19条第1項第1号 |
第32 | 対外支払手段等の売買に関する報告書 | 第15条第1項 |
第41 | 非居住者に対する貸付け等の実行の状況に関する報告書 | 第19条第1項第2号 |
- (注)報告省令第22条第1項に基づく提出の場合(外国為替業務の報告)に限り、報告省令レートを用いて換算して頂きます(同省令第9条第2項に基づく提出の場合<資本取引の報告>は、基準外国為替相場又は裁定外国為替相場を用いて頂くことになります)。
(6)報告書作成の際又は報告書提出の要否を判断する際に電子決済手段等の換算の方法を用いるもの
<電子決済手段等によりされる支払等>
- 別紙様式第1 支払又は支払の受領に関する報告書(銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領)
- 別紙様式第2 支払又は支払の受領に関する報告書(銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領<取りまとめ分>)
<電子決済手段等と他の電子決済手段等の交換に係る媒介等>
- 別紙様式第23 電子決済手段等の売買又は他の電子決済手段等との交換に係る媒介等に関する報告書
- 別紙様式第24 電子決済手段等の売買又は他の電子決済手段等との交換に係る媒介等に関する報告書(一括報告分)
電子決済手段等の本邦通貨への換算方法は、報告省令第36条の2に定められています。具体的には、換算をすべき支払等又は資本取引(電子決済手段等の他の電子決済手段等との交換)が行われた日における当該支払等又は資本取引の対象となる電子決済手段等の相場を用いる方法その他の合理的と認められる方法(注)です。
- (注) 「合理的と認められる方法」については、財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について」(昭和55年11月29日蔵国第4672号)第5章雑則 (電子決済手段等によりなされる支払等の換算の方法)55-1、55-3-2をご参照ください。
当該換算方法は、上記の報告書を作成する際にご利用頂きます。また、上記報告書提出の要否判断については、下表をご参照ください。
別紙様式 | 報告書提出不要金額 | 適用 | 報告省令 |
---|---|---|---|
第1、第2 | 3千万円に相当する額以下の支払等の場合、報告不要。 | 電子決済手段等によりされる支払等について、報告省令第36条の2に定める方法を用いて換算。 | 第1条第1項 |
第23、第24(電子決済手段等と他の電子決済手段等との交換の場合) | 電子決済手段等と他の電子決済手段等との交換の額が3千万円に相当する額以下の場合、報告不要。 | 居住者が譲り受ける電子決済手段等の額について、報告省令第36条の2に定める方法を用いて換算。 | 第13条第5項、第6項 |