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総裁記者会見要旨 2020年6月16日(火)
午後3時半から約80分

2020年6月17日
日本銀行

(問)本日の決定会合について、総裁よりご説明をお願いします。併せて現下の経済情勢についてのご説明もお願いします。

(答)本日の決定会合では、長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールのもとでの金融市場調節方針について、現状維持とすることを賛成多数で決定しました。すなわち、短期金利について、日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用するとともに、長期金利については、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行います。また、長期国債以外の資産の買入れ方針に関しても、現状維持とすることを全員一致で決定しました。ETFおよびJ-REITは、当面、年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する保有残高の増加ペースを上限に、積極的な買入れを行います。CP等、社債等については、2021年3月末までの間、合わせて約20兆円の残高を上限として、買入れを行います。

次に、経済・物価動向について説明します。わが国の景気の現状については、内外における新型コロナウイルス感染症の影響により、きわめて厳しい状態にあると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は、感染症の世界的な大流行の影響により、大きく落ち込んだ状態にあります。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は大幅に減少しています。企業収益や業況感は悪化しており、設備投資は増勢の鈍化が明確になっています。感染症の影響が続く中で、雇用・所得環境には弱めの動きがみられており、個人消費は飲食・宿泊等のサービスを中心に大幅に減少しています。住宅投資は緩やかに減少しています。この間、公共投資は緩やかに増加しています。金融環境については、全体として緩和した状態にありますが、企業の資金繰りが悪化するなど企業金融面で緩和度合いが低下しています。先行きのわが国経済は、経済活動が徐々に再開していくとみられますが、当面、内外における感染症の影響から、厳しい状態が続くと考えられます。その後、感染症の影響が収束していけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、わが国経済は改善していくものとみられます。物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、原油価格の下落の影響などにより、0%程度となっています。予想物価上昇率は、弱めの指標がみられています。先行きについては、消費者物価の前年比は、当面、感染症や原油価格下落などの影響を受けてマイナスで推移するとみられます。その後は、景気が改善していくもとで、プラスに転じた後、徐々に上昇率を高めていくと考えられます。

リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きいと考えています。さらに、感染症の影響が収束するまで、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要です。

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。また、引き続き、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」や、国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、ETFおよびJ-REITの積極的な買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていきます。そのうえで、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定しています。

(問)今回、日銀が行っている企業の資金繰りを支援する「特別プログラム」の総枠が75兆円から110兆円に拡大されましたが、日銀のコロナ対策としてはこれで取りあえずは十分なのかどうか、総裁のご評価あるいは更なる改善点について、お考えをお聞かせください。

(答)今回、第2次補正予算で拡充された民間金融機関を通じた無利子・無担保融資は、5月22日に決定した「新たな資金供給手段」における適格融資の要件を満たしており、資金供給の対象となります。第2次補正予算による民間金融機関の無利子・無担保融資が28兆円ほど拡充されるほか、特別オペのオペ先が従来に比べて倍増したことなどもあって、「特別プログラム」の総枠は現時点で、従来の75兆円から110兆円まで拡大されています。

企業の資金繰りには依然として強いストレスがかかっていますが、政府による様々な措置や日本銀行の「特別プログラム」、更には民間金融機関の取組みによって銀行借入やCP・社債発行といった外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されていると理解しています。日本銀行としては、今後とも企業等の資金繰りを支援していくために、現在の「特別プログラム」をしっかり実施していくことが大切だと考えていますが、新型コロナウイルス感染症の影響がどのように続くのかにもよりますので、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講ずる用意があります。「特別プログラム」についても、必要に応じて拡充・拡大を検討していくことになると思います。

(問)今ほどの質問にも関わるかもしれませんが、景気がきわめて厳しいという表現をされているのですが、一方で政策は現状維持という形になったかと思います。この意味について、3月から色々と政策を打ってきたので、これでいったん尽くすべき手は尽くしたというか、打つべき手は打ったということなのか、あるいは先々のリスクを見据えて今回手をいったん温存したのか、今回の現状維持の意味合いについて詳しく教えてください。

また、景気の先行きの見通しですが、景気が年後半に持ち直すか否かとか、持ち直すペースがV字型かL字型かなど、色々と議論が活発かと思いますが、内外経済の先行きのパスについて、どのようにみていらっしゃるかも教えてください。

(答)両者は関係していると思います。4月の展望レポートでは、やや長い目でみた経済の見通しについて、新型コロナウイルス感染症の経済への影響が、世界的にみて本年後半にかけて和らいでいくことを前提としたうえで、内外で感染症の影響が和らいでいけば、わが国経済も改善していくとの見通しを述べました。今回の会合でも、引き続き、やや長い目でみて感染症の影響が収束していけば、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、わが国経済は改善していくとの認識で委員の意見は一致しました。このように、先行きの基本的な見方については、4月時点から大きく変わっていません。ただ、こうした経済の見通しは、感染症の帰趨、あるいはそれが内外経済に与える影響の大きさによって変わり得るため、不透明感が強いこともあります。いずれにしても、経済の先行きの見通しについては、展望レポートを公表する次回7月の会合で、その時点までの様々な情報をしっかりと点検したうえで、先行きの経済・物価の見通しを計数でお示ししたいと思っています。

現在行っている3つの柱のうち、企業等の資金繰り支援の総枠は、政府の第2次補正予算を受けて、75兆円から110兆円というかなり巨大なものになります。また、国債買入れやドルオペについては、上限を設けることなく潤沢に流動性を供給することにしていますし、ETF等の買入れも、年間約12兆円と積極的に買い入れることにしています。先ほど申し上げた経済の先行きの見通し等も踏まえ、こうしたことを引き続き実施していくことで合意しました。ただ、不透明感が強いということはありますので、今後とも状況に応じて必要があれば、躊躇なく追加的な緩和措置を講ずることでも委員の意見が一致しました。

(問)日銀は3月の新型コロナウイルス感染拡大以降、次々と手を打ってきたわけですが、改めて、どのような日銀の対策が効果を上げてきたと考えていらっしゃいますか。

また、総裁は、先ほど必要があれば躊躇なく必要な緩和措置を講じるとおっしゃいましたが、今後何か必要な措置を講じるときは、今行っている「特別プログラム」、国債買入れ、ドルオペ供給、ETF買入れ、これらを拡大していくというイメージなのでしょうか。

(答)3月、4月、5月と、企業等の資金繰りの支援を拡充・拡大してきました。現状、企業等の資金繰りは、新型コロナウイルス感染症の影響による売り上げの減少等を背景に悪化しており、依然として強いストレスがかかっていると認識しています。もっとも、日本銀行や政府が、企業等の資金調達の円滑確保のために講じている様々な措置や、そうしたもとでの民間金融機関による取組みもあり、銀行借入やCP・社債発行といった外部資金の調達環境は、緩和的な状態が維持されています。金融機関の貸出態度は緩和的ですし、CPや社債の発行環境も、一時的に拡大していた発行スプレッドが足許にかけて縮小するなど、良好な状況です。こうしたもとで、銀行貸出残高は前年比で+5%程度と30年ぶりくらいの高い伸びになっていますし、CP・社債残高も前年比+10%を超える高い伸びとなっています。従って、日本銀行としては、引き続き、3月以降導入し拡充してきた「特別プログラム」を、しっかりと実施していくことが必要であり、企業の資金繰り支援に努めていく考えです。

また、今後、必要に応じて躊躇なく追加的な緩和措置を講じる考えです。「特別プログラム」、国債買入れあるいはドルオペ等による円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、ETFおよびJ-REITの積極的な買入れ、この3つの柱からなっているわけですが、こうした点について、必要があれば躊躇なく追加的な緩和措置を講じることになると思います。その際、具体的な手段としては、「特別プログラム」の拡充、イールドカーブ・コントロールの枠組みにおける長短金利の更なる引き下げ、ETF等の買入れの増額等も考えられると思います。加えて、新型コロナウイルス感染症の経済・金融面への影響には大きな不確実性があることも考えますと、新しい方策が必要となる可能性もあり、そのときの状況に応じて柔軟に考えていく方針です。

(問)海外の中銀に目を向けますと、ECBが今月資産買入れ枠を拡大して、期間を2021年6月まで延長することを決めました。また、FRBも2022年末まで事実上のゼロ金利政策の維持が妥当であるという判断を示しました。両者ともコロナ対応に長期戦で臨む考えを示したと言えると思います。現在の日銀の異例の危機対応が、長期化する可能性がどの程度あるのか、この辺りを教えてください。

(答)新型コロナウイルス感染症の影響が、世界的にみて、本年後半にかけて和らいでいくというメインシナリオを踏まえると、わが国経済でも、感染症の影響が収束していく中で、緩和的な金融環境あるいは政府の経済対策に支えられて経済が改善していく、ということで認識は一致しています。一方で、感染症の帰趨とそれが内外経済に与える影響の大きさも非常に不透明です。例えば、治療薬やワクチンの開発・普及がいつ頃どのようになるのかも、まだはっきりしていません。そういうことを踏まえると、不透明感が強いというのは事実です。感染症の影響が長引くとか、一部の国で懸念されているような第2波の可能性も、ゼロとはいえません。先ほど申し上げたメインシナリオに沿って対策を講じていくことになると思いますが、依然として様々な不透明感があって、感染症の影響が長引く惧れもありますので、その際には、当然のことながら対応策を長く続ける必要があるでしょうし、更に対策を拡充する必要も出てくるかもしれません。

(問)物価についてですが、総裁は4月の会見で、物価のモメンタムがいったん損なわれた状態にあるとおっしゃいました。4月の会合の「主な意見」でも、デフレを避けるために現行政策の有効性の評価を踏まえた検討を行っていくべきである、という声があったと思います。現状、危機対応を優先している局面だと思いますが、2%の「物価安定の目標」に向けて、金融政策のレビュー等、政策枠組みの点検を行っていく考えがあるかについて教えてください。

(答)当面、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムが失われた状況にあることは事実です。そういったもとで、新型コロナウイルス感染症対応で全力を挙げているわけですが、世界的にみて、感染症の経済への影響が本年後半にかけて和らいでいくという見通しに立ちますと、わが国経済も、感染症の影響が収束していけば、緩和的な金融環境あるいは政府の経済対策にも支えられて改善していく、ということだと思います。当面、物価上昇率はマイナスになるとみていますが、経済の改善とともにプラスに転じ、その後徐々に上昇率を高めていくと考えています。2%の「物価安定の目標」を堅持し、感染症の拡大の影響を克服して、経済を持続的な成長経路に戻し、そうしたもとで物価上昇率が次第に高まっていくことを実現して、2%の「物価安定の目標」を追求していくことになると思います。

(問)金融市場の評価についてお伺いします。今日も東京株式市場、日経平均株価が1,051円高と、ここのところ実体経済はきわめて厳しい状況が続いている一方で、金融市場とりわけ株式市場では緩やかながらも上昇基調が続いています。実体経済を必ずしも反映していないのではないかといった指摘もありますし、政策期待によって上がっているという見方であるとか、緩和的な環境が金融市場の今の状態をもたらしているといった指摘もあります。中には、ちょっと株式市場が過熱気味ではないかといった見方もあるのですが、総裁は金融市場の評価を今のところどのようになさっていますでしょうか。

(答)株式市場を含めた金融市場全体ですが、2月の下旬以降、新型コロナウイルス感染症の影響から、投資家のリスクセンチメントが悪化し、株価等も大幅に下落しました。ただ、その後、各国の政府や中央銀行が迅速かつ積極的な対応を取ったことなどによって市場の緊張が緩和する中で、足許にかけて、多くの国で株価は値を戻しています。株価は、基本的には将来の経済および企業収益の見通しを反映するものです。最近の株価の動きも、足許の企業収益は悪化していますが、市場参加者の多くが、先行き経済活動が再開され企業収益が改善していくと予想していることを反映しているのではないかと思います。もちろん、引き続き内外経済の不透明感は強く、特に株式市場では依然としてボラティリティが高めの水準で推移するなど、神経質な状況が続いています。従って、今後とも内外金融市場の動向を注視していきたいと考えています。

(問)今後、政策を必要に応じて拡充・拡大していくという話に関連して、総裁はこの会見でもそうですし、先日の国会でも必要であれば新しい方策も必要になるというような可能性を示唆しています。今現在行われているのは、国債を上限なく購入して潤沢に資金供給するとか、企業の資金繰りを支援するといったようなこと、リスク・プレミアムに働きかけるといった、3つの柱があるかと思いますが、新しい方策はこの3つの柱のどれかに属するものなのか、それとも全く新しい4つめの柱といいますか、新しい観点での政策なのか、その辺りの見通しはいかがでしょうか。

(答)新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば中央銀行としてあらゆる手段を躊躇なく講じていく所存であり、そうした際の具体的な手段としては、今行われているような「特別プログラム」の拡充もあるでしょうし、イールドカーブ・コントロールの枠組みにおける長短金利の更なる引き下げ等、様々なものがあり得ると思います。不確実性が大きいことを踏まえると、新たな方策が必要になる可能性もあるということで、柔軟に考えていきたいと思います。

(問)声明文でも触れられていますが、金融機関の決算が出揃う中で、金融システムの現状の認識をお伺いします。

また、関連してですが、「特別プログラム」のオペの対象先も足許かなり増えていますが、新型コロナ対応で、役割が高まっている民間金融機関の活動ですとか取組みについて、中央銀行の総裁としてどのようにみられているか教えてください。

(答)現在の金融機関の状況について、2019年度決算をみると、国内預貸利益が引き続き減少したほか、投信販売の不振などから非資金利益も前年を下回るなど、いわゆるコア業務純益が減益となっています。また、株式関係損益の悪化や引当の積み増しで信用コストが増加したこともあって、当期純利益ベースでは、大手行、地域金融機関ともに減益となっています。その後も、新型コロナウイルス感染症の拡大が内外経済に大きな影響を及ぼしているので注意が必要ですが、現状、金融機関は、資本・流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えており、金融システム全体として問題が生じていることはないとみています。ただ、特に感染症拡大の影響が想定以上に長引いた場合には、金融機関経営にどのような影響が出るか、よく注視していかなければならないと思っています。

それから、現状、金融機関には、企業だけでなく家計も含めて様々な資金繰りの面で、非常に積極的に貸出を増やして頂いています。もちろん、政府の様々な資金繰り支援措置や、日本銀行が行っている企業等の資金繰り支援、──これも様々な形で、しかも大きく拡充してきているわけですが──こういったものがバックアップしていることは事実ですが、やはりその中でも、地域金融機関も含めて、企業の資金繰り支援を非常に積極的に行って頂いていることは、高く評価していいのではないかと思います。

(問)感染再拡大についてお伺いします。今、アメリカや中国などを中心に、世界的に感染再拡大の懸念が高まってきて、株式相場もその影響を受けて不安定になっています。この感染再拡大が起こると、経済にどのような影響を与えると考えていらっしゃいますか。

(答)感染の再拡大の懸念、いわゆる第2波については、感染症の専門家も非常に懸念しています。現状をみると、中国の北京で、数十名の新しい感染者が出たということで緊急の対応策などが採られていますが、非常に大きな感染再拡大が起こっているということではないようです。欧州の場合も、特に欧州大陸の国では、一部の地域で若干感染が増えた場所もあったようですが、ほぼ収束し、全体としては、いわゆる第2波とか、再拡大ということにはなっていないと思います。それから米国の一部の州でのそういった動きを懸念する人もいます。世界的にみると、今は、ブラジルやインド、インドネシアなどの新興国や、移行国のロシアなどで感染拡大が止まっていないことが、一番大きな問題になっていると思います。もちろん先進国も含めて、再拡大・第2波ということになれば、第1波の時と同じようにロックダウンなどの様々な措置を講じることになると思います。そうなれば、また経済に対する悪影響も出てくると思いますが、今のところはむしろ、一部の途上国・新興国で感染の拡大が止まらないことが一番大きなリスクになっているのではないかと思っています。いずれにせよ、治療薬、ワクチンができることが絶対に必要であり、これが開発されて広く利用可能にならない限り、いつまでも再拡大のリスクが残ってしまうと思います。治療薬やワクチンの開発もそれぞれ進んでいますし、一部の治療薬は認可もされていますが、多くの方々と同様、これが広く利用可能になることが絶対的に必要だと思っています。

(問)先ほど、ペントアップ需要や挽回生産の話を指摘されましたが、観光業とかは元の状態には戻らないのではないか、時間がかかっても元の経済規模には戻らないのではないかという指摘も一部であります。総裁は、その辺りをどのようにみられていますでしょうか。

(答)最近、欧米でも日本でも、様々な携帯端末をフォローすることによって人々の動きがどうなっているかという日次のデータがあります。そういったデータをみると、利用手段としては、日本も含めてどこでも、自家用車が相当戻っており、徒歩も戻っているのですが、公共交通機関はまだ戻っていません。また、移動の目的といいますか移動先をみると、勤務先や小売店舗といったところは戻っているのですが、ご指摘のような観光に関係するのかもしれませんが、ホテル、レストラン、劇場といったところは戻っていません。これが短期的といいますか当面の話なのか、新しい日常というかそういう中で変わってくるのかは、まだ分からないと思います。治療薬やワクチンが開発されて広く利用されるようになってくれば、感染の懸念は相当なくなってきますので、レストラン、ホテル、劇場といったところに、今なかなか人が戻っていないことも解決されるかもしれませんが、その辺りはもう少しみてみないと分からないと思います。ただ、あまり悲観するのもどうかと思います。そういった状況になればなったで、新しい生活様式といいますか、新しい観光やエンターテインメントの様式もあるかもしれません。今のところ完全に戻っていないことは事実ですが、それが永久に戻らないとか、ずっとマイナスのままだと決めつける必要はないと思っています。

(問)イールドカーブについて、4月の会見でもご発言されていますが、いまだにマーケットの中でどういったスタンスなのかという見方があります。7月から政府の2次補正も伴って国債が増額されていきますが、低位に全体的に安定させることと、イールドカーブをできるだけ寝ないようにすることをどのように日銀としては両立させていくお考えでしょうか。

(答)2016年9月の「総括的な検証」で指摘していますが、超長期金利の過度な低下は、保険や年金等の運用利回りを過度に低下させ、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があり、日本銀行として、こうした認識に変わりはありません。他方で、新型コロナウイルス感染症の影響で債券市場の流動性が低下しているもとで、国債増発が見込まれている状況を踏まえると、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定させることが大事な状況でもあります。このため、当面、国債の更なる積極的な買入れを行うことが適当と考えています。その際には、政府がどういう国債をたくさん発行するのかにもよりますが、短中期をたくさん出すという話もありますので、そういった場合には当然、そういった国債の買入れを増やして金利が上がらないようにすることになると思います。「総括的な検証」の認識は変わっていませんが、足許で一番重要なのは、イールドカーブ全体を低位で安定させることだと考えています。

(問)FRBのドットプロットチャートで、2022年くらいまでは金利は上がらないという見通しが示されて、今、下方リスクをみている中で、日銀がその前に利上げができるのかを考えると、ちょっと難しいのではないかという見方がありますが、総裁はどうお考えになりますか。

(答)正直にそうだと思います。ただ、あまり断定的なことは言いたくありませんので補足すると、4月の展望レポートでは消費者物価上昇率について幅をもって政策委員の見通しを出しましたが、2022年度でも0%の半ばから一番上でも1%ですので、2021年度であれ2022年度であれ、なかなか金利を引き上げる状況には遠いような気はします。

(問)先ほど、経済の回復とともに物価も上がっていくというようなお話があったと思いますが、黒田総裁はかねてよりデフレマインドの払拭には時間がかかるとおっしゃってきました。今回のコロナショックで雇用や賃金に不安がある中で、またデフレマインドが強まっていくとは考えられないでしょうか。

また、ポストコロナの時代では新しい生活様式というように言われていると思うのですが、これの物価への影響といいますか、下押し圧力は、特にどのようなところに強く作用するのでしょうか。

(答)デフレリスクについてどう考えるか、あるいはデフレマインドについてどう考えるかですが、わが国の物価は、当面前年比マイナスで推移するとみています。ただ、現時点でも、原油価格の影響を除いてみれば物価は底堅く推移しており、また、企業の価格設定行動が過度に慎重化するといった動きも拡がっていません。従って、先行き、新型コロナウイルス感染症の影響が収束していけば、抑制されていた需要があらわれてくることに加え、各種経済対策の効果にも支えられて、わが国経済は改善していくとみられます。そのもとで、物価もプラスに転じた後、徐々に上昇率を高めていくと考えています。

新しい生活様式のもとで、価格がどのような動きになるかは、日本だけでなく欧米でも色々と議論されています。ただ、一方的にデフレといいますか、物価上昇率が低下するという議論はなく、上がっていくという議論、上がっていかないという議論、両方あるようですので、私自身は、新しい生活様式になったら物価が下がるということでは必ずしもないだろうと思っています。ただ、新しい生活様式自体がまだはっきりしていませんし、どういった形の新しい生活様式になっていくのかもよく見極めつつ、物価動向について注目していく必要があると思っています。

(問)今、コロナによる企業の資金繰り支援と市場の安定化を主眼に政策を運営していると思います。こうした緊急対応的な措置を少しずつ緩めていけるのでは、と考えられるようになるための基準について、今、どのようにみていらっしゃいますか。少し先になるとは思いますが、どういうものが満たされれば、という基準があれば教えてください。

また、今回感染症という世界規模でものすごいショックを景気に与える、中央銀行にとってはかつてないチャレンジの中で政策運営をすることになりましたが、こういうことが起こり、──一過性のショックと捉えられるかどうかにもよりますが──今後の金融政策の波及経路やチャネルおよびツールに対する議論に、どういう影響を及ぼし得るのか、もしご見解がありましたら是非教えてください。

(答)新型コロナウイルス感染症が拡大していく中で、欧米の場合はロックダウン、わが国の場合は、緊急事態宣言のもとで、店舗への休業要請や個人に対する外出抑制、「三つの密」を避けるなどの形で消費行動が抑制されました。企業の売上げが非常に落ち込み、資金繰りが困難になっていったため、資金繰りを支援し、そして、そうした状況を反映して市場が不安定化することに対して、市場の安定を維持するための対策を講じてきました。感染症が収束して経済が正常化し、回復していくことになれば、資金繰り面での困難は減っていくと思います。ただ、感染症が収束したからといって、直ちに消費活動がフルに戻るかといわれると、中国が一番先行していますが、必ずしも100%ではないですし、わが国の状況をみても、観光や外食などのサービス業についてはなかなか戻ってきていないようです。従って、それらについては、資金繰り面での困難が続く可能性もあろうかと思います。また、新しい生活様式という形で需要構造等も変わってくるかもしれず、その経過において、また資金繰り面で困難を抱える先も出てくるかもしれません。当然、必要性が薄れていけば、だんだんと出口ということになると思いますが、私どもとしては、ある程度長期的に、資金繰り支援なり市場の安定化に努めていく必要があるといいますか、そうなっても続けていく覚悟です。

また、中央銀行の役割については、FRBもECBもBOEも、日本銀行とある意味で同じように、企業の資金繰り支援と市場の安定化に注力しています。それぞれの制度的な枠組みの中で形は異なっていても、実際に行っていることや期待する効果は同じようなものだと思います。ただ、このような新型コロナウイルス感染症の拡大により需要も供給も減る中で、企業の資金繰りや市場の安定を保つという趣旨で様々なことを行っていますが、これが常態化すると考える必要もないと思います。過去にも新型インフルエンザ、SARSやMERSなど、様々な感染症がありましたし、今後もあり得ると思います。また、自然災害等もあり得ると思います。しかし、それによってこのような対応が常態化するとか、中央銀行の政策対応やツールが基本的に変化すると考える必要はないのではないか、と思います。

(問)新型コロナ対応の特別オペでは、日銀がゼロ金利で金融機関に供給し、当座預金に付利をするということですが、金融機関にお金を出したその先の効果についてはこれまでどのようなご評価でしょうか。国会でも答えていらっしゃるかと思いますが、どのような効果が実質的にみられているのでしょうか。そして今後、5月に決めた無利子・無担保融資の特別オペのオファーが始まるということですが、実際始まったときにどのような効果があるのかについてお願いします。

(答)私どもの得ている感触からいうと、相当効果があると思います。具体的には、金融機関の貸出が相当増えています。これまで実行してきた特別オペは、政府の無利子・無担保融資に対する新たな支援措置のように中小企業等に特定するものではなく、大企業であれ中小企業であれ家計であれ、そういうところに貸出をした担保を差し入れれば、その額に相応するファイナンスを金利ゼロで行い、かつその額に相当する日本銀行当座預金に+0.1%を付利するというものです。これはかなりメリットがあり、それによって、金融機関の大企業、中小企業、家計等に対する融資もかなり増えていると思います。殆どの金融政策は、中央銀行が行うマーケットのオペレーション等に応じて金融機関の貸出が増えるといったことを期待して行っていますし、実際そういうことが行われた場合には、金融機関の貸出や市場における資金調達が拡大しています。それと同様に今回も、金融機関が大企業であれ中小企業であれ家計であれ、資金繰りの支援をした際に、より有利な形でバックファイナンスを行うということですので、当然効果があると思いますし、実際に金融機関の貸出は大幅に増えています。

(問)財政規律の話ですが、先ほど総裁がおっしゃったように、今の危機対応は相当長期化を覚悟されているということですが、色々な予算を組んで国債も増発されて財政が悪化する懸念があり、先週アメリカの格付け会社が見通しを引き下げたという発表もありました。長期化した場合に財政の信認や通貨の信認が揺らぐといったリスクというのは、総裁からは4月の会見で財政規律については日銀の責任というよりも国会だというお話がありましたが、今のマーケットの金利の状況をみますと、いくら政府が予算を増やして財政が悪化しても長期金利は殆ど動いていません。そういうことでいいますと、日銀もある程度そういったものを促しているといいますか、財政規律を歪めている責任はあるのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

(答)やはり財政政策は政府と国会が決めるわけであり、日本銀行のオペレーションであたかも政府と国会が受動的にマニピュレートされると考えるのは、政策主体に対しても失礼だと思います。財政規律が緩むか緩まないかは、政府や国会に聞いて頂かないといけない話で、中央銀行が規律を強める・弱めるといったことは、私どもも経済学者も考えていないと思います。この議論は、経済政策の主体をどう考えるかということによるので、政策主体が独立して様々なことを考えて決定しておられるものについて、その主体の意図などを客観的に外から分析することと、その主体の責任と権限において行っていることをどう評価するかは別の話です。少なくとも、中央銀行が財政政策の決定に何かエクストラな影響を与えているというのは、私が思うにはそういう主体に対して失礼な話だと思います。ですから、私からそういうことを申し上げるつもりは全くありません。

(問)先日、格付け会社が日本国債の中期見通しを一段階引き下げると発表しています。2次補正で国債が一段と増発されて、財政が悪化することが背景にあるようです。第2波による補償に限らず、景気刺激の意味でも財政が年単位で膨らんだ状態になることが考えられますが、金利上昇圧力が比較的かかる局面はどのくらいの期間に及ぶとご覧になっていますか。また、国債の格下げが金融政策に与える影響や、リスクについてのご認識をお伺いできればと思います。

(答)国債の格付けは、格付け会社に聞いて頂くと分かると思いますが、デフォルトリスクがどの程度あるかを彼らとして客観的にみて云々ということなのでしょうが、その話と金利の話とはちょっと離れています。もちろん、デフォルトリスクが高まれば金利が上がることもあるのでしょうが、デフォルトリスクが変わらなくても国債発行額が増えると金利が上がる傾向は当然あるわけです。他方で、各国の中央銀行が金融緩和を行うために大量に国債を購入すると、国債金利が上昇しない、あるいは下がることにもなるわけで、それぞれを分けて考えないといけないと思います。私自身は、格付け会社の日本国債に対する格付けが客観的に正しいと全然思っていませんが、それはそれとして、格付けの話とは別に、国債が大量に発行されれば、他の金融政策が変わらなければ、普通は金利が上がっていきます。しかし、金融政策が、現在のように各国とも金利を低位に安定させるということをやっている限り、国債が増えても金利が上がらないことにもなり得るわけです。様々な事情が組み合わさっていますので、格付け会社の格付けについては、私から何か言うのも変なので、財務省に聞いて頂くと良いと思いますが、今の時点では、日本にせよ、米国にせよ、あるいは欧州にせよ、格付け云々で金利が上がっていく状況にはないと思っています。

(問)新たな資金供給プログラムですが、この対象となる融資は、いわゆる制度融資、信用保証のあるものと、その制度融資に準じるプロパー融資の両方があると思います。その準じるというところが、どのくらいであれば準じるのかというところが、少し外部から分かりにくいところがあります。まだ実績がどのくらいあるのか分かりませんが、プロパー融資、金融機関が自らのリスクを取って行う融資の方も、先ほど貸出が非常に伸びているという話がありましたが、結構な伸びが出てきているという感触がおありなのでしょうか。

(答)この新たな資金供給手段、中小企業等に対する資金供給の支援は、基本的には政府による無利子・無担保融資、信用保証協会の保証付きの融資についてバックファイナンスするものですが、ご指摘のように、民間金融機関がそれに準じるような条件で融資をするものについても同様に、有利な条件でバックファイナンスすることにしています。政府の無利子・無担保融資にどのくらいであれば準じるかは、具体的にお示ししていくことになると思いますが、いずれにせよ新しい資金繰り支援の実施はまだこれからです。私どもの得ている感触では、政府の無利子・無担保融資が大半を占めると思っていますが、民間金融機関の自主的なものも、なかなか予測は難しいわけですがかなり出てくるのではないかとみています。実際に行っていくなかで、よくみていきたいと思っています。

(問)3月の会合で、当分の間、原則の2倍のペース、年間12兆円ペースでETFを購入すると決めていらっしゃいます。足許の株高もあり、実際には特に5月以降、購入ペースあるいは一回当たりの購入金額も落ちています。そこだけみると、「当分の間」は終わったのではないかとみえなくもないのですが、既に18年夏に弾力的に上下し得るとおっしゃっている中で、あえて12兆円という上限のめどを示す意味合いはどういうところにあるのでしょうか。

(答)12兆円を上限に積極的に買うと申し上げて、3月の決定会合以降かなり積極的に買い入れてきていますが、実際の買入れ額は、市場の状況、特にリスク・プレミアムの動向に応じて、上下に変動し得ます。株式市場でもひと頃の緊張が緩和し、リスク・プレミアムが縮小しており、ETFの買入額は結果的には少なくなっていますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、引き続き内外経済の不透明性は高いですし、株式市場も依然として神経質な状況にあります。為替や金利と違ってボラティリティ指標なども、かなり高止まりして元に戻っていません。こうしたもとでは、ETF買入れを当面積極的に行う方針を維持することが適当だと思っています。

(問)先ほど総裁のお話で、財政と金融政策は独立した存在で分けて考えるべきだというお話がございました。しかし、両者は今、分けて考えられないほど非常に密接な関係にあります。今、日銀が保有する国債は国債発行残高のほぼ半分に迫っています。更に今年度は90兆円の新規国債を発行するわけですから、更にこれが高まっていくことは必至なわけですけれども、この状態について、総裁は何か懸念をお感じになっていらっしゃらないのでしょうか。

また、かねて総裁は財政ファイナンスではないんだ、これはと。なぜならば、我々は財政ファイナンスと思っていないからだというご説明をされていると思います。では、この日銀の保有する国債がこれから6割、7割と増えていってもそれは同じことが言えるのでしょうか。一体どういう状態になったら財政ファイナンスで、やってはいけないレベルなのか、何かレベル感とかどういう状態になったら財政ファイナンスだという総裁のイメージはどういうものなのでしょうか。

(答)日本銀行も含めて、中央銀行は国債を現時点で大量に買い入れているわけですが、これはあくまでも金融政策のために、つまり金利を低位で安定させるために行っているわけで、財政ファイナンスでないということは各国の中央銀行も述べていますし、私もその通りであると思っています。仮に財政ファイナンスがどのようなものかと問われれば、中央銀行が金融政策の観点から独立の主体として、金融政策のために市場から国債を買い入れるのではなく、政府が国債を発行すると自動的に引き受けなくてはならないとか、財政の事情に合わせて国債の買入れを行うということになれば、財政ファイナンスではないかという議論が出てくると思いますが、あくまでも財政政策は財政政策、金融政策は金融政策としてそれぞれの立場で行っています。しかも、現時点では、政府が新型コロナウイルス感染症対策として様々な措置を講じる中で国債を大量に発行することと、日本銀行が金融の安定化、それから企業等の資金繰りを支援する観点から行っていることとが協調して、あるいは連携して行われていることは事実ですが、それは政府あるいは日本銀行を含めた中央銀行が、それぞれ独立の立場で政策を決め、実行していることと何ら矛盾するものでないと考えています。国債について半分保有しているから云々とか、そういうことは全く懸念をしておりません。

(問)つまり保有比率が6割、7割になっても、結果的にそうなったとしても問題ないということですか。

(答)そうなったとしても財政ファイナンスではないということです。

(問)債券市場についてですが、先ほど総裁はイールドカーブを低位で安定させることが重要であるとのご発言をされたかと思います。4月の会見以降も債券市場では超長期の金利が引き続き上昇しており、先行きの財政悪化懸念ですとか国債の増発を懸念してというところもあるかと思います。中長期の国債に比べて超長期の国債の買入れはこの間増やされていないかと思うのですが、現状の超長期債の金利、例えば30年物国債で0.5%台というような数字は十分低位で安定する水準のうちに入っているとのご認識でしょうか。

また、今後金利上昇圧力が債券市場全体にかかってくるかと思いますが、イールドカーブ・コントロールでは金利はある程度上下に変動し得るとされているかと思います。コロナ対応における長期金利の許容できる上昇幅といいますか、変動幅をどのようにご覧になっているかを教えてください。

(答)日本でも米欧でも金利の動きは様々ですが、米欧の場合は超長期金利はかなり上昇していますが、わが国の場合はそれほど上昇していません。また、10年物国債はゼロ%程度でずっと安定していますし、中短期が少し国際的な動きに引きずられて上昇しましたが、全体としてはイールドカーブの形状は適正な形で維持されていると思います。今後政府がどのような形で国債を発行していくのか、それがイールドカーブにどのような影響を与えるのか、状況をみながら適切な買入れを行い、イールドカーブ全体が低位で安定するようにすることは必要だと思いますし、当然可能であると思っています。

また、長期金利の許容できる変動幅についてですが、いわゆる「総括的な検証」の考え方は維持しており、イールドカーブ全体を低位に安定させることが一番重要だと思いますので、超長期金利についてどこまで上がっていいとか、上がってはいけないというようなものを特定しているわけではありません。全体としてイールドカーブが低位に安定することを狙って「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を運営していくことに尽きると思います。

(問)CPと社債の買入れについてですが、ステートメントの中でも、これに関しては2021年3月末までという方針を今回も前回に引き続き決められているかと思います。先ほど、総裁の発言でも、企業の資金繰り支援というのは比較的長期にわたって行っていく必要があるということがあったかと思いますが、このCP・社債の買入れについては、2021年3月末までで、買入れ枠をそれぞれ7.5兆円増やすという部分については、なくしていくことが可能とご覧になっているということでしょうか。また、実際になくす段階ではかなり大きな額、枠が減ることになると思いますが、段階的に減らすという方向で出口を考えていらっしゃるのか、それとも一気になくしてしまうとお考えなのか、総裁のお考えをお聞かせください。

(答)これは、以前は今年の9月までと言っていたのですが、それを当面、来年の3月までと延ばしたわけです。状況に応じて、来年の3月までというのをまた延ばすこともできますし、あくまでもCP・社債の市場のニーズと、それによっていわゆるプレミアムが大きく上昇したりしないように安定させることに尽きると思います。CP・社債は非常に大幅に増加した後、今もかなり高水準で発行が続いています。その金利が今のような低位で安定していくことは必要だと思いますので、必要があればいくらでも延ばせるし、今後の大企業の資金繰りの状況如何ということになると思います。

以上