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【講演】量的・質的金融緩和と金融システム -活力ある金融システムの実現に向けて-

日本金融学会2013年度春季大会における特別講演

日本銀行総裁 黒田 東彦
2013年5月26日

目次

1.はじめに

日本銀行の黒田です。日本金融学会という栄えある場でお話しする機会を賜り、誠に光栄に存じます。

日本銀行は、「物価の安定」と「金融システムの安定」を使命としています。

「物価の安定」に関しては、去る4月3日、4日の政策委員会・金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」を導入しました。15年に及ぶデフレからの脱却を何としても実現するという強い決意に基づくものです。

「金融システムの安定」に関しては、現状、わが国の金融システムにおいて、安定性の面で大きな問題が生じているとはみていません。しかしながら、金融機関は、主力の貸出業務において、収益性が低下を続けるという課題に直面しています。こうした下で、貸出による金融仲介活動のバロメーターである金融機関の信用リスク量が減少し、債券投資に伴う金利リスク量が積み上がるという構図が、何年にもわたって続いています。

「量的・質的金融緩和」は、金融システムのこうした現状に大きな変化をもたらしていくと考えられます。この政策が重要な波及経路として想定している、イールドカーブやリスク・プレミアムへの働きかけ、ポートフォリオ・リバランスは、金融システムを通じて実現されていくものです。また、この政策の効果が浸透し、前向きの経済活動が広がってくれば、より活発な金融仲介活動が必要とされるようになるでしょう。デフレからの脱却過程は、金融システムが活力を取り戻していく過程でもあると考えています。

本日は、こうした点を念頭に置きながら、「量的・質的金融緩和」と金融システムとの関わり合いや、日本銀行のプルーデンス政策の考え方について、お話ししたいと思います。

2.「量的・質的金融緩和」と経済・物価の見通し

「量的・質的金融緩和」のポイント

まず、「量的・質的金融緩和」の内容を簡単に振り返っておきたいと思います。この政策は以下のような点を特徴としています(図表1、2)。

第一は、強く、明確なコミットメントです。

日本銀行は、「消費者物価の前年比上昇率2%を物価安定の目標として、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と明確に表明しました。

第二に、このコミットメントを明確に裏打ちする手段として、量・質ともに次元の違う金融緩和を行うことです。

まず、金融市場調節の目標を、これまでの無担保コールレート・オーバーナイト物という「金利」から、マネタリーベースという「量」に変更して、これを年間約60〜70兆円のペースで増加させていくこととしました。これを実現するため、長期国債の保有残高が年間約50兆円のペースで増加するよう買い入れていきます。「質」の面では、長期国債の買入れ対象を超長期の40年債にまで拡大し、買入れの平均残存期間を、それまでの3年弱から7年程度に延長しました。加えて、ETFとJ-REITについても、その保有残高がそれぞれ年間約1兆円、同約300億円のペースで増加するよう買い入れていくこととしました。

第三は、金融政策のわかりやすさを高めたことです。

例えば、長期国債の買入れに関しては、2010年10月に導入された「資産買入等の基金による買入れ」と、それ以前からあった「金融調節上の必要から行う国債買入れ」(いわゆる輪番オペ)という二つの異なる方法で行われていましたが、それらを一本化しました。そして、先行きの買入れ目標も、これまでの「買入れ額」ではなく、「国債保有残高の増加分」で示すこととしました。こうした工夫によって、金融緩和の意図がよりストレートに市場に伝わるようになったと思います。量的な緩和の指標として「マネタリーベース」を選択したのも、日本銀行の積極的な金融緩和姿勢を対外的にわかりやすく伝えるうえで最も適切と判断したことによるものです。

第四は、金融緩和の継続期間についての考え方を明確に示したことです。

「量的・質的金融緩和」は「2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」継続します。もちろん、今後の経済や物価には上下双方向の様々なリスクが生じ得ますが、それをよく点検し、必要な場合には躊躇なく調整を行っていきます。

「量的・質的金融緩和」の波及経路

次に、「量的・質的金融緩和」が、どのようなメカニズムによって2%の物価安定目標を達成するのかをお話しします(図表3)。想定している波及経路は、主に三つあります。

一つ目は、長期国債やETF、J-REITの買入れによって、「イールドカーブ全体の金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果」です。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。

二つ目は、日本銀行が長期国債を大量に買い入れる結果として、これまで長期国債の運用を行っていた投資家や金融機関が、株式や外債等のリスク資産へ運用をシフトさせたり、貸出を増やしていく、「ポートフォリオ・リバランス効果」です。長期国債買入れの平均残存期間を思い切って延長したのは、この効果を意識したものです。

三つ目は、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産買入れを継続することで「市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果」です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響するだけでなく、実質金利の低下を通じて民間需要を刺激することも期待できます。

経済・物価の現状と見通し

次に、4月26日の「展望レポート」では、2013年度から2015年度までの3年間の経済・物価見通しを公表しました。日本銀行が、この政策の下で経済・物価の先行きをどのように想定しているかについて、お話しします(図表4)。

わが国の景気は、持ち直しつつあります。先行きも、金融緩和や各種経済対策の効果から国内需要が底堅く推移し、また、海外経済の成長率が次第に高まっていくことから、本年半ば頃には、緩やかな回復経路に復していくと考えています。

その後は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、生産・所得・支出の好循環が維持されるもとで、基調的には、潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています。具体的な数値で申し上げれば、2013年度の成長率は3%程度、2014および15年度は1%台半ばとみています。これらは「ゼロ%台半ば」とみられる潜在成長率を上回るものです。

消費者物価の前年比は、ここ数か月は、0%ないし小幅のマイナスで推移していますが、先行きは、マクロ的な需給バランスの改善や、期待の転換による中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇し、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています。

3.金融システムの安定性

それでは、次に、こうした「量的・質的金融緩和」と金融システムの関わりについてみていきたいと思います。この政策の効果が本格的に金融・経済に浸透してくれば、企業や家計の前向きな資金需要が高まっていくと考えられます。その意味で、金融システムがこうした先行きの変化を受け止めて、しっかり資金需要に応えていくだけの安定性、基礎体力を備えているかどうかがまず重要です。

日本銀行は、金融システムの状況を継続的に点検していますが、わが国の金融システムは、今後の経済成長を支えていくうえで、金融仲介機能を適切に発揮していけるものと判断しています。理由は、大きく分けて二つあります。

金融機関の健全性:リスク量と自己資本の関係

第一の理由は、金融機関は、全体としてみれば、負っているリスクに対して十分な自己資本を備えているということです(図表5)。

金融機関は、近年、資本の外部調達や内部留保の蓄積を進めてきたことから、自己資本は着実に増加してきています。リスク量の方は、信用リスクと株式リスクを中心に、緩やかに減少しています。このうち、信用リスクの減少は、長引くデフレと経済の停滞を背景に貸出が伸び悩んできたことや、企業倒産が落ち着いた動きを示してきたことが影響しています。また、株式リスクの減少は、銀行部門が政策保有株式の削減を着実に進めてきたことが影響しています。大手行の株式保有は、2000年頃の自己資本(Tier I)の1.5倍から、最近では概ね自己資本の4割程度と、大幅に減少しています。このことは、自己資本の充実と相まって、今後の資金需要の高まりに応じていく余力を高める要因となっています。

金融システムのリスク耐性:マクロ・ストレス・テスト

第二の理由は、金融システムが、全体として、金利の上昇や大幅な経済の悪化といったショックに対する耐性を十分備えているとみられることです。実体経済と金融システムは相互に影響し合っていますので、例えば90年代後半にみられた与信姿勢の慎重化→景気悪化→不良債権増加→与信姿勢の更なる慎重化の悪循環のように、大きな負のショックが一次的な影響を超えて増幅されることがあり得ます。日本銀行は、こうしたメカニズムを取り入れたマクロ経済モデルを使って、様々なストレスを想定してリスク耐性を点検しています。とくに、「量的・質的金融緩和」の下、デフレから脱却し、物価安定の目標を達成していく過程においては、金利上昇に対する耐性を点検することが一つの重要な課題であると考えられます。

4月に公表した「金融システムレポート」では、金利が1〜3%ポイント程度上昇した場合について、金融システムへの影響を試算しています(図表6)。もちろん、こうした定量分析には多くの留保条件や限界があり、幅をもってみなければなりませんが、仮に金利がこれくらい上昇したとしても、経済・物価情勢の改善を伴うものであれば、貸出の増加や利鞘の改善、株価の上昇などにより金融機関の収益にプラスの影響が及ぶため、金融システムが不安定化する懸念は大きくないと考えています。

一方、経済状況が改善しない中で財政懸念が強まることを背景に金利が上昇する場合は、貸出の増加や利鞘の改善といったプラスの効果が見込めないことから、金融機関には債券評価損という負の影響が強く出ることとなります。金融機関は、こうした場合でも負の影響を相応に吸収していく体力を備えてはいますが、金利上昇の程度や速さ次第という面はやはり残ります。財政の持続性に対する懸念を生じさせないためにも、政府における財政構造改革に向けた取り組みを着実に進展させていくことが重要です。

4.貸出の低収益性と金融仲介機能面の課題

以上みてきたように、金融システムは、安定性、基礎体力の面では、大きな問題はないと考えられます。しかし、現状における金融機関の金融仲介活動は、活力やダイナミズムあふれる姿とは言いにくいように思います。その重要な要因の一つは、貸出の低収益性の問題だと思います。

「量的・質的金融緩和」の下で、この問題にどのような影響が及ぶのか、反対に、この問題が緩和効果の浸透の制約とならないか、といった点について考えてみたいと思います。

貸出の低収益性とその背景

かつて不良債権問題に苦しんでいた頃は、金融機関の融資姿勢は、自己資本の制約から抑制的になっていたと考えられます。しかし、現在では、金融機関の自己資本は充実しており、体力面の制約はかかっていませんので、前向きな資金需要に対しては積極的な融資姿勢で臨んでいます。実際、最近では、大企業のM&Aや資源権益の獲得、不動産向けや海外向けなどで、貸出が増加しています。

しかし、そうした分野はまだ限られています。中小企業向けの貸出は引き続き低迷しています。金融機関は、近年、金融円滑化の取り組みを進めてきていますが、貸出資産内容の改善は捗々しく進んでいない状況にあります。限られた前向きの資金需要や優良な借り手に対して多くの貸し手が競合していることから、貸出の収益性、利鞘は、長期にわたる低下傾向から脱していません(図表7)。

こうした問題は、基本的には、長引くデフレと経済の停滞、資金需要の低迷の反映と考えられますので、「量的・質的金融緩和」の効果が浸透し、前向きな経済活動が喚起されてくれば、貸出も増加し、収益性や資産内容の問題も改善方向に向かっていくことが想定されます。しかし、貸出市場における競合の厳しさを踏まえると、利鞘が改善に転じるために、どの程度の需給環境の改善、資金需要の高まりが必要となるかは未知数です。

金融機関の金融仲介力強化に向けて

従って、金融機関には、そうした状況を受け身で待つだけではなく、自らが主体的に企業・家計の前向きな行動を引き出し、金融仲介力を高めていく努力を期待したいと思います。このことは、金融仲介の付加価値を高め、利鞘競争によらない貸出先の確保、収益の改善に繋がります。同時に、マクロ的にみても、金融と経済の好循環がより生まれやすい状況を作っていくと思います。

この点、金融機関は、これまでも金融円滑化や企業再生、事業再生に取り組んできています。また、日本銀行の成長基盤強化支援資金供給も活用しつつ、成長分野での事業展開を図る企業の掘り起こしや育成にも努めています。金融機関のこうした取り組みは、着実に、金融機関の金融仲介力を高めていると思います。

経済の停滞とデフレが続く下では、金融機関の取り組みにもかかわらず、貸出の増加や資産内容の改善といった目に見える形での結果が表れにくかったかも知れません。しかし、こうした金融機関の企業支援の取り組み--経営改善計画の策定・管理、財務相談、業務提携や販路開拓面の事業支援など--は、着実に金融サービスの付加価値を高めている筈です。金融機関には、こうした力にさらに磨きをかけていくことで、潜在的な資金需要を掘り起こし、成長性の高い企業や事業分野を発掘していってもらいたいと思います。

日本銀行は、引き続き、成長基盤強化支援資金供給や貸出増加支援資金供給などを通じて、金融機関の貸出業務を支援していきます。日々のモニタリングや考査では、金融仲介の基礎となる審査・管理能力の強化に加えて、事業評価能力や企業支援体制の充実についても意見交換や助言を行っています。また、動産や売掛債権を担保としたABL(Asset Based Lending)や電子記録債権を活用した新たな金融手法、事業再生などの金融仲介の付加価値を高めていく手法の研究を重ね、セミナー等を通じて金融機関との情報の共有を図っています。

5.「量的・質的金融緩和」とプルーデンス政策

次に、「量的・質的金融緩和」と日本銀行のプルーデンス政策の関係に触れておきたいと思います。

「量的・質的金融緩和」は、金融機関や投資家に対して、リスクテイクを促すとともに、イールドカーブやリスク・プレミアムへの働きかけを通じて、資産価格に影響を及ぼすことを企図しています。一方、プルーデンス政策は、金融機関にリスク管理の強化・充実を促すとともに、資産価格など様々な金融面での不均衡に対して目を光らせることを念頭に置いています。これらの点を捉えて、「『量的・質的金融緩和』とプルーデンス政策は対立するものではないか」あるいは「『量的・質的金融緩和』の下では、プルーデンス政策の考え方も変わってくるのではないか」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、「量的・質的金融緩和」とプルーデンス政策は、対立するものではなく、整合的なものであると考えていますし、日本銀行のプルーデンス政策に関する考え方が変わるということもありません。これらの点に関する私どもの考え方は、次の二点に集約されます。

第一に、今回の政策が、金融機関等に積極的なリスクテイクを期待しているとしても、「リスク量を経営体力との関係において適切に管理することを求めていく」という基本姿勢は不変であるということです。行き過ぎたリスクテイクは、目先問題はなくても、いずれ金融機関経営や金融システムの不安定化につながり、長い目でみて経済の改善に貢献しません。逆に、適切な管理がなされていれば、収益を高めていくためにもリスクテイクの拡大はむしろ望ましいことでもあります。この点、すでにご紹介したように、日本銀行は、考査やモニタリング、セミナーなどを通じて、リスク管理の側面だけでなく、金融仲介や事業再生能力を高めるための意見交換、助言にも力を入れてきています。

第二に、資産価格の過熱やマクロ的な金融面の不均衡についても、基本的な考え方は変わりません。金融面の不均衡は、その事実を認識すること自体に難しさを伴いますが、仮にそれが生じていると判断されるならば、何らかの対応を講じていくことが基本です。一方、資産価格の上昇が、政策効果や先行きの実体経済の改善を反映したものである限りにおいては、資産効果などを通じて実体経済に対してポジティブな影響を及ぼすものです。様々な指標や金融機関行動を見る限り、現時点では、資産市場や金融機関行動において、過度な期待の強気化を示す動きはみられていないと考えています。

経済・物価情勢と金融システムは相互に影響を及ぼしあっています。両者の安定は、両立すべきものであって、相反するものではないことを強調しておきたいと思います。

6.おわりに

本日は、「量的・質的金融緩和」と金融システムの関わり合いをテーマに、お話をして参りました。最後に、本日の射程に入らなかった話題の中から、金融システムの活力や機能度を高めていくために重要と考えられる点を、二つだけ挙げておきたいと思います。

家計の資産選択の多様化

一つ目は、家計における資産選択の多様化の重要性です。「貯蓄から投資へ」という課題が意識されて長い年月が経っていますが、なかなか家計の安全資産選好は変わっていません。こうした下で、低金利下でも、金融機関の預金は増加を続けています。わが国の家計部門の金融資産構成は、諸外国と比べても、安全資産への偏りが大きくなっています。

その結果、金融機関からみると、貸出が停滞している中で運用すべき資金量が増えていく構図となっています。ちなみに、金融機関(銀行および信用金庫)の預金と貸出のギャップは、2000年末の約60兆円から、2012年末の約230兆円にまで拡大しており、その差分が国債を中心とする有価証券運用に充てられてきています。

もちろん、経済全体に占める財政のウエイトが高まり、国債発行残高が増加している下では、金融機関の資産に占める国債の比率が高まることについては自然な面もあります。しかし、金融システム全体としてみれば、家計の資産選択が預金以外の金融資産に多様化していく方が、ポートフォリオ・リバランスの観点からも、望ましいように思います。金融機関経営の観点からも、個人顧客へのリスク資産の販売・管理などを通じて、手数料収入の強化にも繋がっていきます。この点、少額投資非課税制度(ISA)の導入もあって、金融業界において改めて個人顧客への金融商品の販売に力を入れる動きがみられています。

国際的な金融規制強化への対応

二つ目は、国際的な金融規制改革に対して、適切に対応していくことの重要性です。リーマンショックや欧州債務危機などを経て、現在、国際的に幅広い金融規制の見直しが行われています。金融機関に対する自己資本比率規制やレバレッジ比率規制、デリバティブ取引に関する規制、システム上重要な金融機関の破綻処理を可能とする枠組み作り等々、まさに膨大な数のルール作りが進行しています。

これらの規制は、国際的な金融危機の経験を踏まえて検討されているもので、「二度とあのような危機を起こさないよう、安定的な金融システムを構築するのだ」という世界の金融当局の強固な決意を表すものです。

これらは、わが国も含む各国の規制に落とし込まれ、本邦の金融機関にも適用されていきますし、海外で活動する大手の金融機関は、海外諸国の国内法制にも適応していく必要があります。新たな規制を導入することは、短期的にみれば金融機関に対して相応の規制対応コストを求めることになります。しかし、長い目でみれば、金融機関による過度のリスクテイクを抑制し、金融業の収益をより安定させることになるほか、経済全体が持続的に成長する基盤を一段と強固にすることとなり、そのことが金融機関の発展にもプラスになっていくと考えられます。

今後とも、グローバルに新たな金融秩序を生みだしていく過程が続いていくこととなります。わが国の金融機関も、こうした過程に積極的な役割を果たしていくことを期待しています。日本銀行としても、金融安定理事会(FSB)やバーゼル銀行監督委員会の議論に積極的に参画していく方針です。

私からの話は以上です。日本銀行としては、デフレからの早期脱却、そして活力ある金融システムの実現に向けて、全力を挙げていきたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。