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【挨拶】全国信用金庫大会における挨拶

日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年6月20日

目次

はじめに

本日は、全国信用金庫大会にお招き頂き、誠にありがとうございます。信用金庫業界の皆様方には、日頃より、日本銀行の政策や業務運営に多大なご協力を頂いています。日本銀行を代表してお礼の言葉を申し上げます。また、信用金庫業界が、中小企業や地域経済の活性化に貢献されていることに対して、改めて敬意を表したいと思います。

本日は、はじめに最近の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営についてお話しし、次に金融システム面の課題について申し上げたいと思います。

最近の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営

わが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられていますが、基調的には緩やかな回復を続けています。輸出は、わが国経済との結び付きが深いASEAN諸国などで弱めの動きが続いていることなどから、このところ横ばい圏内の動きとなっています。設備投資は、企業収益が改善するなかで、業種や規模の裾野を拡げつつ、伸びを高めています。個人消費や住宅投資といった家計支出は、このところ駆け込み需要の反動がみられていますが、概ね想定の範囲内の動きとなっており、基調的には、雇用・所得環境が改善するもとで底堅く推移しています。先行きについては、駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、生産・所得・支出の好循環が働き続けるもとで、基調的には緩やかな回復を続けていくとみています。

物価面をみると、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで、4月は+1.5%となりました。3月は+1.3%でしたので、これまでのところ消費税率の引き上げの前後で、1%台前半の上昇という消費者物価の基調的な動きには変化はみられていません。先行きについては、消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみています。その後は、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、日本銀行が見通しを出している2014年度から2016年度までの期間の中盤頃に、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています。

日本銀行は、昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和」を着実に進めています。今申し上げたとおり、わが国経済は緩やかな回復を続けており、物価情勢も大きく改善するなど、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しています。日本銀行としては、今後とも、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続していきます。そのうえで、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、2%の「物価安定の目標」を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行う方針です。

金融システム面の課題

次に、金融システム面の課題について、お話しします。

ただ今申し上げたような、経済・物価の動向と並んで、金融面においても、前向きな動きが広がっています。「量的・質的金融緩和」の導入以降、金融仲介活動は活発化しており、資本市場での株式売買やエクイティ・ファイナンスなどに加え、昨年後半からは、金融機関の中小企業向け貸出も、伸びを高めています。こうしたもとで、金融機関の昨年度決算は、株式関係損益の改善や、信用コストの減少などから、増益となっています。

もっとも、貸出利ざやの縮小にはなお歯止めがかかっておらず、安定した収益基盤の確保という面では、課題が残されています。こうした課題への対応は、もとより容易ではありませんが、金融機関においては、やはり、各地域の経済やそこで活動する企業の活力を高めていくことが重要であると考えています。

こうした中、信用金庫業界では、「課題解決型金融」の実践として、中小企業の経営者の視点に立ち、事業承継や経営改善、事業再生に取り組むことを最優先の課題とされています。また、昨年夏には、「2025年信用金庫ビジョン:未来への挑戦」を取りまとめ、中小企業の起業・創業や海外進出をサポートする「中小企業支援センター」の設立に向けた検討などにも、着手されています。信用金庫が、地域の実情を熟知しているという強みを活かしつつ、企業や家計の活力を高めていけば、地域経済、ひいてはわが国全体の成長力強化に繋がっていくと考えています。そして、このことが、信用金庫の収益力の向上や、経営基盤の強化にも通じていくものと期待しています。

日本銀行も、日々のモニタリングや考査、あるいは金融高度化セミナーにおいて、リスク管理はもとより、企業の活力向上支援や中小企業の事業承継、海外進出支援といったテーマについても、金融機関の方々との意見交換や助言を行っています。今後も、皆様方との様々な接点を通じ、金融仲介力の向上に貢献していきたいと考えています。

おわりに

最後に、今後、信用金庫業界が、ますます発展していかれることを祈念いたしまして、私からのご挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。