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【講演】「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入

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きさらぎ会における講演

日本銀行総裁 黒田 東彦
2016年2月3日

目次

1.はじめに

日本銀行の黒田でございます。本日は、きさらぎ会でお話する機会を頂き、ありがとうございます。日本銀行は、先週1月29日の金融政策決定会合において、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入しました。そこで、本日は、まず、日本銀行の経済・物価情勢に対する認識と先行きの展望についてお話した後、今般の政策決定の考え方をご説明します。

2.わが国経済の動向

はじめに、わが国経済の動向についてお話します。

日本経済は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられますが、堅調な国内民間需要を背景に、緩やかな回復を続けています。まず、企業部門をみると、収益は、実体経済の改善に加え、原油安や為替円安も手伝って明確な改善を続けており、過去最高の水準となっています(図表1)。そのもとで、設備投資は緩やかな増加基調にあります。12月短観の設備投資計画をみると、企業の前向きな投資スタンスが維持されていることが確認できます。次に、家計部門では、労働需給の引き締まりが続いています。有効求人倍率や短観の雇用人員判断DIは1992年前半頃と同程度の水準まで改善しています(図表2)。また、失業率も低下しており、このところ3%台前半と1997年以来18年ぶりの低水準となっています。労働市場は、求人と求職のミスマッチによる失業だけが残るという「完全雇用」の状態にあると言ってよいと思います。労働需給の引き締まりを反映して、雇用者所得も緩やかに増加しています。雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、個人消費は底堅く推移しています。

先行きも、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要は増加基調をたどるとみています。また、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に、緩やかに増加すると予想されます。日本銀行が先週公表した1月の「展望レポート」の実質GDP成長率見通しに沿って申し上げると、2015年度は+1.1%、2016年度は+1.5%と、潜在成長率を上回る成長を続けると予想されます(図表3)。そうしたもとで、わが国経済は、「回復局面」から「拡大局面」、すなわち、マクロ的な需給のバランスが需要超過となる局面に転じていくと考えています。その後、2017年度にかけては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動などの影響を受けるとともに、景気の循環的な動きを映じて、潜在成長率を幾分下回る程度に減速しつつも、+0.3%とプラス成長を維持するとみています。

3.わが国の物価情勢

次に、わが国の物価情勢についてご説明します。

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、「量的・質的金融緩和」導入直前の-0.5%から、一昨年の2014年4月には消費税率引き上げの影響を除くベースで+1.5%まで高まりました(図表4)。しかしながら、この年の夏以降、原油価格の大幅下落などが生じた結果、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は次第に低下し、このところ0%程度で推移しています。もっとも、日本銀行では、「物価の基調」は着実に改善しているとみています。そこで、そうした判断の背景にある、私どもの物価に関する基本的な考え方について申し述べたいと思います。

まず、2%の「物価安定の目標」と「物価の基調」の関係について確認しておきます。日本銀行は、「物価安定の目標」を、消費者物価の総合指数で前年比2%と定義しています。主要国でも、物価安定目標は総合指数で定義するのが一般的です。その理由としては、消費者物価の総合指数は、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーしているためです。もっとも、その時々の物価情勢を評価するには、一時的に大きく変動する要因の影響を取り除いて、物価の基調的な動きを的確に見極めていく必要があります。一時的な変動要因の影響はいずれ剥落するものであり、その影響を含む表面的な物価の動きだけをみていると、適切な政策判断が行えないからです。

私どもが、通常、生鮮食品を除いた消費者物価で物価情勢をご説明しているのは、わが国の場合、生鮮食品価格の変動が著しいためです。こうした考え方に基づけば、原油価格の変動が大きい状況下では、エネルギーを除いた消費者物価をみることも当然必要になります。

以上を踏まえて、わが国の「物価の基調」についてご説明します。わが国の物価の基調が着実に改善していると判断している根拠は2つあります。第1に、変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価の前年比をみると、「量的・質的金融緩和」導入以前はマイナスで推移していましたが、2013年10月にプラスに転じた後、27か月連続でプラスを続け、直近では+1.3%まで上昇しています(前掲図表4)。第2に、こうした物価の基調を規定する2つの要因である需給ギャップと中長期的な予想物価上昇率が、いずれも、改善してきていることがあげられます。このうち、需給ギャップとは、マクロ的な需要と供給のバランスを表す指標であり、労働と設備の稼働状況を反映して変動します。労働市場は完全雇用の状態にあると申し上げたように、労働需給は引き締まり傾向が続いており、需給ギャップは、労働面を中心として、着実な改善傾向をたどっています(図表5)。先行きも、潜在成長率を上回る成長が続く中、労働需給の逼迫は強まり、また、設備の稼働率も輸出・生産の持ち直しに伴い上昇していくとみられます。このため、需給ギャップはプラス、すなわち、需要超過に転じていくと考えています。

次に、中長期的な予想物価上昇率です。各種のアンケート調査結果や物価連動国債を用いた指標などをみると、原油価格下落の影響などもあって、このところ弱含んでいる点は、やや気掛かりです。一方で、消費者物価指数を構成する品目のうち上昇した品目数から下落した品目数を差し引いた指標や食料品・日用品を対象とした日次・週次の物価指数の動きをみると、昨春以降、拡大傾向が顕著であり、直近までこうした傾向に変化はみられていません(図表6)。また、労使間の賃金交渉において、昨年まで2年連続でベースアップが実現した後、賃上げの動きは今年も各方面で続いています。これらの点からは、企業の価格・賃金設定スタンスが明確に変化しており、家計の側でも以前と比べて値上げを受容するようになっていることがみて取れます。そのもとで、価格改定の動きは拡がりと持続性を伴っています。これらの点を踏まえると、予想物価上昇率は、やや長い目でみれば全体として上昇しており、これまでのところ、デフレマインドの転換は着実に進んできたものと評価できます。

以上、「物価の基調」の動きを、見通しも含めてご説明しました。それを踏まえて、1月の「展望レポート」の消費者物価(除く生鮮食品)の見通しについてお話します(前掲図表3)。消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、大まかに言えば、物価の基調的な動きに、エネルギー価格が消費者物価に与える寄与度を足し合わせることによって求められます。1月の「展望レポート」では、原油価格については、ドバイ価格が1バレル35ドルを出発点に、2017年度までの見通し期間の終盤にかけて40ドル台後半に緩やかに上昇していくと想定しています。そうした前提のもとで、エネルギー価格が消費者物価(除く生鮮食品)の前年比を下押しする度合いを試算すると、-1%強と今が最も大きい状況です。今後、この下押しの度合いは次第に減衰していきます。この間、物価の基調も着実に高まっていきますので、エネルギー価格の下押し度合いの減衰に応じて、それが表面に現れてきます。この結果、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2017年度前半頃に「物価安定の目標」である2%程度に達すると予想されます。

4.経済・物価の先行きに関するリスク要因

ここまで、日本銀行が最も蓋然性が高いと考えている経済・物価の見通しをご説明してきました。メインシナリオとしては、わが国経済は基調として緩やかに拡大し、消費者物価の前年比は2%に向けて上昇率を高めていくと考えています。しかし、こうした見通しには様々なリスク要因があります。ここでは、2つの重要な要因についてお話したいと思います。

企業行動の転換

まず、企業行動の転換についてです。

先程申し述べたとおり、企業収益は史上最高水準にあり、労働市場は完全雇用の状態にあります。経済のメカニズムからすれば、経済は成長し、賃金や物価は上昇していくはずです。実際に、これまでご説明してきたように、わが国の景気は緩やかな回復を続けており、賃金が緩やかに上昇するもとで、物価の基調も着実に改善しています。もっとも、これだけの企業収益の水準と労働市場の引き締まりの割には、程度の問題として、経済全体でみた賃金や設備投資など支出面への波及がやや弱いことも事実です。もちろん、設備や人材投資に積極的に取り組んでいる企業はたくさんあります。「量的・質的金融緩和」のもとで、日本の企業や家計のデフレマインドは着実に転換してきていると判断しています。ただ、業種や個社ごとのばらつきが大きく、日本経済全体としては、そうした動きが十分定着したとは言えません。また、長く続いたデフレのもとで根付いてしまった企業のデフレマインドが転換するにはどうしても時間がかかります。現段階では、海外経済の不透明感などによって企業のコンフィデンスが低下すれば、デフレ的な企業行動に逆戻りしてしまうリスクが大きいことを十分に認識しなければなりません。

新興国・資源国経済の減速

そこで、このところ最大のリスク要因として注目されている新興国・資源国経済の減速についてお話します。

世界経済のメインシナリオとしては、先進国が堅調な成長を続けるとともに、その好影響が波及して新興国も減速した状態から脱していくと考えています。同様の見方が、先日公表されたIMFの世界経済見通しでも示されています(図表7)。ただこのところ、金融資本市場では、中国をはじめとする新興国や資源国経済の先行きに対する不透明感が強まっています。

こうした中、原油をはじめとする国際商品市況が大幅に下落しています(図表8)。資源価格の下落は、先進国を中心とする資源輸入国にとってはプラスの影響を及ぼします。わが国でも、資源価格の下落は、企業収益の好調さを支える要因の一つであり、また、家計の実質所得を支える効果も出ています。一方で、留意が必要なのは、ブラジルやロシア、中東の産油国などの資源輸出国の経済に大きなマイナスの影響を与えることです。

それでは、以上の点は、日本の経済・物価にとってどのようなリスクとなるでしょうか。新興国・資源国経済の一段の減速が輸出の減少等につながるリスクもありますが、より注意すべきは、コンフィデンスを通じた影響です。すなわち、今後、新興国・資源国経済の先行き不透明感や金融市場の不安定な動きを背景に、企業のコンフィデンスが低下すれば、設備投資や価格・賃金設定スタンスが慎重化するリスクがあります。こうしたリスクが顕現化すれば、所得から支出への前向きの循環という景気回復のメカニズムに支障をきたすほか、物価の基調に対しても影響が及びます。先程述べたように、企業のコンフィデンスは改善傾向にあるとはいえ、なお十分に高いとは言えないだけに、特に留意が必要です。

5.金融政策の考え方

マイナス金利政策の意義と効果

このように原油価格の下落やそのもとでの新興国・資源国経済の動向、さらにはそれを受けた世界的な金融市場の不安定な動きなど、日本経済を取り巻く環境を踏まえると、企業のコンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクは増大していると考えられます。日本銀行では、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、先週1月29日の金融政策決定会合において、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しました(図表9)。以下では、今回導入した政策の狙いや趣旨についてご説明します。

日本銀行は、約3年前の2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。「量的・質的金融緩和」は、大規模な長期国債買入れによってイールドカーブ全体にわたって金利低下を促すとともに、2%の「物価安定の目標」に向けた強く明確なコミットメントによって予想物価上昇率を引き上げることで、実質金利を引き下げることを主たる波及メカニズムとして想定しています。「量的・質的金融緩和」は、所期の効果を発揮してきています。10年国債利回りは史上最低水準まで低下し、予想物価上昇率もやや長い目でみれば全体として上昇しています。実質金利の低下は、民間需要を刺激しており、先ほど申し上げたように、既往最高の企業収益と完全雇用といえる労働市場の状況をもたらしました。

今回導入した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は、これまでの「量」と「質」に、「マイナス金利」という緩和オプションを追加した新しい枠組みです。では、そもそも「マイナス金利」とは、何なのでしょうか。金利がマイナスということは、お金を借りると利息がもらえ、逆にお金を貸すと利息を払わなければならないということですから、自然な金融取引において、このようなことが生じることは考えられません。中央銀行が、金融政策によって金利を低下させようとする場合には、通常、市場に出回るお金の量を増加させます。そうすると、余ったお金を貸したい、運用したいという人が増える、つまり、お金の需給が緩むので、お金の使用料である金利が下がるわけです。それでは、中央銀行が、お金をどんどん供給すると、金利はどこまで低下するでしょうか。お金を貸してもそれ以上は儲からないところ、つまり、ゼロ%が、下限となるはずです。これを、「金利のゼロ制約」と言います。

主要先進国の中央銀行が、グローバル金融危機後に非伝統的な金融政策を開始して以降、様々な形での資金供給を行ってきましたが、最後の壁は「金利のゼロ制約」ということでした。ところが、欧州諸国では、景気・物価の下押しに対して様々な政策対応が試みられる中で、スウェーデンを皮切りに、デンマーク、スイスの中央銀行や、欧州中央銀行において、マイナス金利が導入されるに至っています。では、これらの中央銀行は、どうやって、今申し上げた「金利のゼロ制約」を乗り越えたのでしょうか。そのメカニズムの出発点となるのが、金融機関が中央銀行に保有する預金の金利をマイナスに設定するという仕組みです。金融機関は、中央銀行にお金を預けていると損失を被りますので、それより少しでも損失の幅が小さければ、マイナスの金利でも資金を放出しようとします。もちろん、資金の調達者は、お金を借りれば儲かりますので、お金を調達するニーズはあります。このような形で運用者と調達者のニーズがマッチし、マイナス金利での短期市場取引が成立することになります。短期市場での金利がマイナスになるということは、イールドカーブの起点がゼロ%を超えて下がるということです。金融緩和の目的は、イールドカーブ全体を押し下げるということですから、これは大変強力な武器になります。大規模な長期国債買入れを継続することとあわせて、マイナス金利を行えば、イールドカーブ全体に対してより大きな下押し圧力を加えることができるようになります。このことは、実質金利の低下効果を通じて企業や家計の経済活動に好影響をもたらすことが期待できます。

では、何故このタイミングで、日本銀行がマイナス金利を採用したのでしょうか。これまで、「量的・質的金融緩和」は、しっかりとその効果を発揮してきました。必要になれば、資産の買入れをさらに拡大することは十分に可能です。決して、一部に言われているように「量的・質的金融緩和」の限界が近づいているとは思っていません。

しかしながら、「量的・質的金融緩和」の開始から、3年近くが経過しました。「量的・質的金融緩和」は効果を発揮しており、物価の基調は改善していますが、原油価格の大幅な下落を主因として、2%の「物価安定の目標」を達成するのに、当初の想定よりも時間がかかっていることも事実です。そこで、最近の欧州における知見を踏まえて、「量的・質的金融緩和」を一段と発展、強化させることとしたのです。

ただし、日本と欧州では金融情勢が大きく異なります。わが国では中央銀行預金の規模が、けた違いに大きいうえ、これが今後も年間約80兆円のペースで増えていきます。そのすべてにマイナス金利をかけると、金融機関の負担が大きくなりすぎ、かえって金融仲介機能に悪影響を与えるリスクがあります。そこで、今回は、日銀預金に階層構造を採用し、その増加分にマイナス金利をかけるという方法をとって、市場金利に十分影響を与えると同時に、副作用はできるだけ小さくするような設計としました。その意味で、日本型マイナス金利政策と言い得る独自の仕組みとなりました。

3つの次元での拡張可能性

今般導入した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもと、日本銀行は、「量」・「質」・「マイナス金利」の3つの次元のすべてで緩和手段を駆使することによって、金融緩和を進めていきます(図表10)。

先行き、日本銀行が必要と判断した場合には、今回の-0.1%より大きいマイナス金利を実施することも可能です。欧州の例をみても、欧州中央銀行-0.3%、スイス-0.75%、スウェーデン-1.1%などの例がみられます。「金利」面での緩和拡大余地は十分に存在しています。日本銀行は、必要な場合、さらに金利の引き下げを行います。

また、現在、年間約80兆円に相当するペースで実施している長期国債買入れについても、全体の発行残高の約3分の2が市場に残っており、さらに買入れを拡大することは十分可能であると考えています。昨年末の金融政策決定会合において、日本銀行適格担保の拡充、長期国債買入れの平均残存期間の長期化、J-REITの買入限度額の引き上げなどを決定しました。「量」および「質」の面での拡大の障害となり得る要因は、既に取り除いてあります。

この点について、マイナス金利を導入すると資産買入れが難しくなるのではないかという疑問があるかもしれません。金融機関が日本銀行のオペに応じて長期国債等を売却した場合、その代金を日本銀行に預けておくとマイナス金利が付されることになるからです。もっとも、オペ先である金融機関がマイナス金利で被るコスト負担は、長期国債等の売買価格の上昇、すなわち利回りの低下で釣り合うことになるはずです。したがって、マイナス金利政策のもとでも、長期国債の買入れが困難になるとは必ずしも言えません。もちろん、マイナス金利の導入に伴う国債市場の動向については注意深くみながら、長期国債の買入れを推進していく方針です。

先行きの政策運営

先行きの政策運営について、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続します。また、今後も、経済・物価のリスク要因を点検し、「物価安定の目標」の実現のために必要な場合には、躊躇なく、「量」・「質」・「マイナス金利」の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じます。「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は、これまでの中央銀行の歴史の中で、おそらく最も強力な枠組みです。

時折「緩和手段の限界」というような声を聞くことがありますが、私にはとても違和感のある表現です。果たすべき目的のために必要であれば、そのために新しい手段や枠組みを作っていけばよいと考えるからです。実際、越えることが不可能と思われていた「金利のゼロ制約」の壁は、日本銀行を含む中央銀行の知恵と実践の中で、乗り越えられようとしています。追加緩和の手段に限りはありません。日本銀行は、今後とも、金融政策手段のイノベーションに取り組んでいきます。

2%の「物価安定の目標」の実現に対する日本銀行のコミットメントには、いささかの揺るぎもありません。中央銀行が本気で取り組んでいる以上、「物価安定の目標」は必ず実現します。最後に、私が日本銀行総裁に就任して以来、繰り返していることをあらためて申し上げて、本日の締めくくりとしたいと思います。

2%の「物価安定の目標」の実現のために、できることは何でもやる。

ご清聴ありがとうございました。