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【挨拶】 信用金庫法制定70周年記念全国大会における挨拶

日本銀行総裁 黒田 東彦
2021年6月24日

はじめに

本日は、「信用金庫法制定70周年記念全国大会」にお招き頂き、誠にありがとうございます。コロナ禍の厳しい状況の中、本日の大会が無事行われることに、心よりお祝い申し上げます。

信用金庫業界の皆様におかれては、この70年の間、一貫して地域経済や中小企業とともに歩まれ、わが国経済の発展に貢献されてきました。こうしたご努力に対し、日本銀行を代表して改めて深い敬意を表します。

以下では、はじめに経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営についてお話しし、次に金融システム面の話題について申し述べたいと思います。

経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営

はじめに、経済情勢です。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が強く、足踏み状態となっています。一方で、世界経済の回復を背景に、輸出や生産は着実な増加を続けています。そうした中、企業収益が改善し、設備投資は持ち直しています。このように、わが国経済は、引き続き厳しい状態にありますが、基調としては持ち直しています。

先行き、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、わが国経済は、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、回復していくとみています。

物価について、消費者物価の前年比は、目先、0%程度で推移した後、経済の改善が続くことやエネルギー価格が上昇することなどから、徐々に上昇率を高めていくと予想しています。

もっとも、先行きの経済・物価見通しについては、引き続き、感染症の影響を中心に不確実性が大きく、今後の動向をしっかりと注視していく必要があります。

金融政策運営面では、当面は感染症の影響への対応が重要です。日本銀行では、昨年3月以降、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」を含む金融緩和措置を実施し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めています。これらの対応は、政府の施策や皆様方民間金融機関の積極的な取り組みと相俟って効果を発揮しており、金融機関借入といった外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されています。もっとも、感染症の影響が長期化するもとで、企業等の資金繰りにはストレスのかかる状況が続くことが見込まれます。こうした情勢を踏まえ、先週の決定会合において、「特別プログラム」の期限を来年3月末まで半年間延長しました。引き続き、企業等の資金繰りをしっかりと支援して参る所存です。そのうえで、3月の点検により持続性と機動性を増した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、「物価安定の目標」の実現に向けて、強力な金融緩和を粘り強く続けていく考えです。

また、先週の会合では、民間金融機関による気候変動問題への多様な取り組みを支援するため、新たな資金供給の仕組みを導入することも決定しました。7月の会合で新たな仕組みの骨子を決定し、年内を目途に資金供給を開始したいと考えています。日本銀行では、中央銀行の立場から民間における気候変動への対応を支援していくことは、長い目でみたマクロ経済の安定に資するものと考えています。

金融システム面の話題

次に、金融システム面です。

わが国の金融システムは、引き続き、感染症が国内外の経済・金融面に大きな影響を及ぼすもとでも、全体として安定性を維持しています。

企業の資金繰り状況については先ほど申し上げたとおりです。昨年の新型コロナウイルス感染症の拡大以降、皆様方におかれては、取引先のニーズをきめ細かく把握し、「実質無利子・無担保融資」などの制度融資や日本銀行の「特別プログラム」も活用しながら、企業の資金繰りを積極的に支援して来られました。日本銀行としても心強く感じております。

先行き景気が回復していけば、金融機関による企業支援の重点は、当面の流動性の確保から、企業の実情に即した本業支援や、事業の承継や再編など経営改革に向けた支援へと移っていくものと考えられます。地元企業が抱える様々な課題の解決にあたっては、長年にわたって地域に密着し、信頼関係を構築してきた信用金庫に期待される役割は非常に大きいと思います。

人口減少や成長期待の低下などの構造要因のもとで、地域金融機関が将来にわたって地域経済をしっかりと支え、金融仲介機能を円滑に発揮していくためには、経営基盤の強化が重要です。先般導入した「地域金融強化のための特別当座預金制度」は、金融機関の前向きな取り組みを後押しするものです。日本銀行としては、このほか、考査やモニタリングを通じた対話や、各種セミナーの開催などを通じて、信用金庫業界の皆様の取り組みを積極的に支援していきたいと考えています。

おわりに

最後に、信用金庫業界のますますの発展を祈念して、私からのご挨拶と致します。ご清聴ありがとうございました。