公表資料・広報活動

ホーム > 公表資料・広報活動 > 講演・記者会見 > 講演・挨拶等 2022年 > 【挨拶】黒田総裁(雨宮副総裁代読)(全国信用金庫大会)

【挨拶】全国信用金庫大会における挨拶

日本銀行総裁 黒田 東彦 
(代読 日本銀行副総裁 雨宮 正佳)
2022年6月24日

はじめに

本日は、全国信用金庫大会にお招き頂き、誠にありがとうございます。

信用金庫は、中小企業や地域住民のための協同組織金融機関として、地域にとって不可欠な存在です。特に、この間、新型コロナウイルス感染症が大きな影響を及ぼすもとでも、積極的に地域経済・社会の支援に取り組まれてきました。こうした皆様のご尽力に対し、日本銀行を代表してあらためて深い敬意を表します。

経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営

まず、はじめに経済情勢についてお話しします。

わが国の景気は、感染症や資源価格上昇の影響などから一部に弱めの動きもみられますが、基調としては持ち直しています。個人消費は、感染症の影響が和らぐもとで、サービス消費を中心に持ち直しています。他方、輸出や鉱工業生産は、基調としては増加を続けていますが、中国でのロックダウンなどにより、供給制約の影響が強まっています。もっとも、企業収益は全体として高水準で推移しており、そのもとで、設備投資は、一部業種に弱さがみられますが、持ち直しています。先行きのわが国経済は、ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けますが、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみています。

物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、携帯電話通信料の引き下げの影響が剥落した4月以降、エネルギーや食料品の価格上昇を主因に、2%程度となっています。先行きは、当面、2%程度で推移するとみていますが、その後は、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想しています。

リスク要因については、引き続き、内外の感染症の動向やその影響、今後のウクライナ情勢の展開、資源価格や海外経済の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高いと考えています。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要があります。

こうした中で、日本銀行としては、わが国の経済をしっかりとサポートし、賃金の上昇を伴うかたちで、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現できるよう、金融緩和を実施していく考えです。

金融システム面の話題

次に、金融システム面です。

わが国の金融システムは、引き続き、全体として安定性を維持しています。そうしたもとで、感染症による影響については、短期的な資金繰りの課題は概ね落ち着いていると考えています。感染症拡大以降、政府等の施策も活用しながら、積極的な企業の資金繰り支援を継続されてきた金融機関の皆さま方のご尽力の賜物です。

もっとも、コロナ関連融資の返済が一段と進む過程では、感染症の影響が大きい業種・企業を中心に、きめ細かな与信管理が重要です。また、足もとの資源・エネルギー価格の上昇が、企業の財務や資金繰りを通じて、信用コスト等に影響を与える可能性もあります。日本銀行としても、今後の企業金融の動向やそのもとでの金融機関の対応等について、注意深くみていきたいと思います。

さらに、中期的には、人口減少・高齢化や成長期待の低下といった構造要因のもとで、地域経済が直面する課題への対応が求められます。この点、多くの信用金庫において、コンサルティング機能の強化や行政等との連携などさまざまな工夫を講じた取り組みが進められていることを、心強く感じています。今後も、地元企業との信頼関係や地域に密着したネットワークを構築してきた信用金庫が、地域の課題解決に役割を発揮されていくことを期待します。

おわりに

最後に、信用金庫業界のますますの発展を祈念して、私からのご挨拶と致します。ご清聴ありがとうございました。