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金利リスクの管理のための諸原則

(日本銀行仮訳)

1997年 9月19日
バーゼル銀行監督委員会

日本銀行から

 全文は、こちら(bis9709c.lzh 38KB [MS-Word])から入手できます。

プレス・ステートメント

バーゼル銀行監督委員会は、G10総裁会議の了承を得て、本日、金利リスクの管理のための諸原則を盛り込んだペーパーを公表する。本文書は、1997年1月に作成された市中協議用ペーパーの改訂版である。本文書は、銀行がその全ての活動において適切なリスク管理を継続して実行することの必要性を再度強調し、監督当局が銀行の金利リスク管理を評価する際に考慮する特定の合意された諸原則を明らかにするものである。

本ペーパーのテキストは、9月19日より、インターネット上のBIS Web Siteのhttp://www.bis.org/(外部サイトへのリンク)、各国監督当局、ないしは国際決済銀行にあるバーゼル委員会事務局から入手することができる。

要旨

  1. バーゼル銀行監督委員会1は、国際的な銀行監督に係る問題についての継続的な検討の一部として、金利リスクの管理に関するペーパーを公表する。この分野では、他の分野と同様に、健全な管理が極めて重要である。銀行が、金利リスク・エクスポージャーを有効に識別・計測し、モニターし、コントロールするとともに、取締役会及び上級管理職の適切な監視に服するような包括的なリスク管理手続きを有していることが不可欠である。別添のペーパーでは、これらの要素それぞれについて、当委員会のメンバー国における経験や、当委員会のこれまでの公表資料で確立された諸原則を参考にしつつ記述されている。このペーパーの目的は、銀行の金利リスク管理を評価する際に監督当局が用いることができる幾つかの原則を説明することである。
    1. バーゼル銀行監督委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スウェーデン、スイス、英国及び米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表により構成される。委員会は通常、常設事務局が設けられているバーゼルの国際決済銀行において開催される。
  2. バーゼル委員会が設定した自己資本規制は、1997年末より、銀行のトレーディング勘定における金利リスクをカバーすることになる2。このペーパーは、そのポジションがトレーディング勘定の一部であるか非トレーディング活動を反映したものであるかとは独立に、より一般的に金利リスク管理に適用される諸原則を提示することを意図している。そして、経営戦略の展開、銀行勘定とトレーディング勘定における資産・負債についての仮定、内部管理の体制を含めた金利リスク管理プロセスに言及している。とくに、そのプロセスにおける効果的な金利リスクの計測、モニタリング、コントロール機能の必要性を示している。
    1. 2「マーケット・リスクを対象とするための自己資本合意の改訂」、1996年1月公表。
  3. 当諸原則を作成するにあたり、当委員会はメンバー国における監督上のガイダンスだけでなく、市中協議のために公表された1993年4月の当委員会のペーパー3および1997年1月の当ペーパーのドラフトに対して寄せられた銀行業界からのコメントを参考にしている。さらに、このペーパーには、当委員会が公表したデリバティブ取引に関するガイダンス4に含まれ、最近公表されたマーケット・リスクを対象とする自己資本規制の中で内部モデルの利用行に適用される定性的基準にも反映されている諸原則の多くが取り込まれている。
    1. 3「銀行の金利リスク測定フレームワーク——バーゼル銀行監督委員会による市中協議のための提案」、1993年4月。
    2. 4「金融派生商品のリスク管理に関するガイドライン」、1994年7月。
  4. 当諸原則は、その個別の適用は個々の銀行の活動の複雑さとその範囲にある程度依存するとしても、多くの国際的な銀行で現在実行されている手法を基にしているだけに、一般的に適用することが意図されている。したがって、各国監督当局は、銀行の金利リスク管理をモニターするための自らの監督手法や手続きを再評価するために、これらを活用すべきである。個別の監督当局が採用する具体的なアプローチは、オンサイトないしはオフサイトでの監督技術や監督機能の中における外部監査の活用度合いといった種々の要因に依存するとは言え、バーゼル委員会の全てのメンバーは、ここに提示されている諸原則は、銀行の金利リスク管理の適切さと有効性を評価するうえで用いられるべきものであると合意している。
  5. バーゼル委員会は、提示されている諸原則が金利リスクに対する健全な監督のための有用なフレームワークを提供するものであるとの信念に基づき、このペーパーを世界中の監督当局に配布している。より一般的に、当委員会は、健全なリスク管理の実施は、銀行の健全な業務遂行及び金融システム全体の安定性促進のために不可欠であることを強調しておきたい。
  6. このペーパーはまた、監督当局が金利リスクに関する情報を入手するためのフレームワークを提供している。当ペーパーは、銀行の金利リスク・エクスポージャーの評価の手助けとなるよう、監督当局に入手可能であるべき基本的な情報の種類について大まかな記述をしている。銀行が直面する金利リスクの定量的評価のために、監督当局はこうした情報を様々な方法で利用することができる。
  7. コメントを慎重に検討した結果、当委員会は、金利リスクに関するより標準化された計測手法ではなく、健全な金利リスク管理のための諸原則を提示することとした。しかしながら、当委員会は、そのような、より標準化された計測手法の必要性については引続き検討課題としており、将来的には、この分野におけるアプローチを見直す可能性がある。この文脈で、当委員会は、特に、多くのモーゲージ関連商品や小口預金のようにキャッシュ・フローや金利改定期が不確定であるような商品については、金利リスクの計測及び管理に関する業界の技術が進化を続けていると認識している。
  8. 当委員会は、現時点で金利リスクに特定の自己資本賦課を提案しているわけではないが、全ての銀行は、金利リスクを含め、負っているリスクを支えるに十分な自己資本を保有しているべきである。個々の監督当局は、当然、銀行システム全体に対し、ないしは金利リスク・エクスポージャーが相対的に大きいか、またはリスク管理手続きが不十分である個別銀行に対し、自己資本の賦課を決定することができる。
  9. 当委員会は、このペーパーのIIIからVIIまでの5つのセクションの中で、銀行監督当局が銀行の金利リスク管理を評価する際に適用するための以下の11の原則を規定している:

A.取締役会及び上級管理職の役割

  1. 原則 1: 銀行の取締役会は、その責任を果たすために、金利リスク管理についての戦略と方針を承認するべきであり、また、上級管理職がこれらのリスクのモニタリングとコントロールのために必要な施策をとることを確保すべきである。さらに、これらのリスクのモニタリングとコントロールを評価するために、銀行の金利リスク・エクスポージャーについて定期的に報告を受けるべきである。
  2. 原則 2: 上級管理職は、確実に、銀行の業務構造及び銀行が負う金利リスクの水準が有効に管理され、こうしたリスクをコントロール・制限する適切な方針や手続きが確立されるようにするとともに、金利リスクを評価・コントロールする資源が利用可能であるようにしておかなければならない。
  3. 原則 3: 銀行は、金利リスク管理についての個人ないし委員会の責任を明確に示すべきであり、また、潜在的な利益相反を回避するために、リスク管理プロセスの鍵となる業務について職責の適切な分離がなされていることを確保すべきである。また、銀行は、ポジションを取る機能から十分に独立し、かつ上級管理職及び取締役会にリスク・エクスポージャーを直接報告する、リスクの計測、モニタリング、コントロール機能を有するべきである。より大規模の、ないしはより複雑な銀行は、金利リスクの計測、モニタリング、コントロール機能の設計と運営に責任を持つ独立した担当部署を有するべきである。

B.方針及び手続き

  1. 原則 4: 銀行の金利リスクに関する方針及び手続きは、明確に定められ、銀行の活動の性質・複雑さと整合的なものであることが必要である。こうした方針は、連結ベースで、さらに適切な場合、とりわけ関連会社間に法律上明確な区分がなされ、かつそれらの間での資金移動に障害が認められるときは、個別の関連会社のレベルでも適用されるべきである。
  2. 原則 5: 銀行は、新商品を導入したり新たな活動に従事する場合には、これらに固有のリスクを識別し、確実にこれらが適切な手続き・管理に服するようにすることが重要である。主要なヘッジないしはリスク管理のイニシアティブは、取締役会ないしは授権された担当の委員会によって事前に承認されるべきである。

C.計測及びモニタリング・システム

  1. 原則 6: 銀行は、金利リスクの全ての重要な発生源を把握し、その活動の範囲と整合的な方法で金利の変化の影響を評価するような金利リスク計測システムを有することが必要である。システムの基礎にある前提条件は、リスク管理者及び管理職によって明確に理解されているべきである。
  2. 原則 7: 銀行は、エクスポージャーを内部方針と整合的なレベル以内に維持するような業務運営上のリミットやその他の実務上の取扱いを確立し、実施しなければならない。
  3. 原則 8: 銀行は、市場のストレス時——主要な前提条件が崩れるような場合を含む——における損失に対する自行の脆弱性を測定し、その結果を金利リスクに関する方針やリミットの設定や見直しの際に考慮すべきである。
  4. 原則 9: 銀行は、金利リスク・エクスポージャーの計測、モニタリング、コントロール、報告のための適切な情報システムを有しなければならない。報告は取締役会及び上級管理職、さらに適切な場合には、個別の業務系統の管理者に対して適時になされなければならない。

D.内部管理

  1. 原則10: 銀行は、金利リスク管理プロセスに関し適切な内部管理体制を有していなければならない。内部管理体制は基本的な構成要素としては、体制の効率性についての定期的な独立したチェックと評価、さらに必要に応じて、適切な改定ないし強化の実施の確保が挙げられる。また、こうしたチェックの結果は、関連する監督当局に利用可能とすべきである。

E.監督当局用の情報

  1. 原則11: 監督当局は、銀行からその金利リスクの水準を評価するために十分な情報を適時に入手するべきである。この情報は、各銀行のオフバランス項目を含めたポートフォリオ内の満期や通貨の範囲、ならびにトレーディング・非トレーディング活動の区分といった、その他の関連する要素を適切に勘案したものであるべきである。

目次

要旨

  1. I.金利リスクの発生源と影響
  1. 金利リスクの発生源
  2. 金利リスクの影響
  1. II.健全な金利リスクの管理手法
  2. III.取締役会及び上級管理職による金利リスクの監視
  1. 取締役会
  2. 上級管理職
  3. 金利リスク管理のための責任、権限の体系
  1. IV.適切なリスク管理の方針及び手続き
  2. V.リスクの計測、モニタリング、コントロール機能
  1. 金利リスクの計測
  2. リミット
  3. ストレス・テスト
  4. 金利リスクのモニタリング・報告
  1. VI.内部管理
  2. VII.監督当局による金利リスクのモニタリング
  3. 付A 金利リスクの計測手法
  1. 金利改定スケジュール
  2. シミュレーション・アプローチ
  3. 追加的事項
  1. 付B 監督当局による金利リスクのモニタリング
  1. 期間帯
  2. 項目
  3. 監督上の分析