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日系企業・邦銀の視点から見た中国における金融を巡る論点について

「中国金融問題研究会」における議論のとりまとめ

2007年11月
日本銀行国際局
アジア金融協力センター
児玉朗*

概要

  1. 日本銀行国際局アジア金融協力センターでは、本邦事業会社、金融機関(邦銀)の双方にとって、中国関連ビジネスの重要性がますます高まっていることなどに鑑み、本邦事業会社・邦銀で中国関係の実務に携わっておられる専門家の方々から成る「中国金融問題研究会」を組成し、中国における金融を巡る諸問題について事業会社・銀行双方の視点から議論を行った。
  2. 本研究会では、主として(1)中国の各種金融市場、(2)中国での資金決済、(3)中国における信用(資金回収)リスク管理、(4)中国の金融市場開放政策を巡って議論した。このうち、(1)中国の各種金融市場については、事業会社の観点から見た中国における資金調達・資金管理が中心テーマの一つとなり、中国での資金調達では銀行借入への依存度が高くなっていることや、社債・CPの発行を通じた資金調達の道が外資企業には事実上閉ざされていることなどが話題となった。また、資金管理面では人民元CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の構築によりグループ全体でみた外部負債の削減などに努めている状況が紹介された。
  3. 一方、銀行の観点からは短期金融市場及び為替市場が中心テーマとなり、基準金利としてのSHIBOR(上海銀行間市場金利)の導入など、最近の新たな動きを巡って議論が行われた。
  4. 中国における資金決済については、手形・小切手等、中国での資金決済手段や銀行間決済システムについて説明された後、銀行実務の観点から見た今後の課題について議論された。
  5. 中国での内販事業の拡大に伴う中国企業に対する売掛債権の発生等を背景に、事業会社各社にとっては、取引先中国企業に対する信用(資金回収)リスク管理が重要な課題になってきている。もっとも、現状は取引先の経営実態把握が困難なことなどから、各社とも売上代金回収には「キャッシュオンデリバリー」や代金前受方式の採用など、慎重なスタンスで臨んでいるケースが目立った。研究会では、こうした状況を改善し、中国での健全な信用経済の育成を図るための施策を巡って議論が行われた。
  6. 中国の金融市場開放政策に関しては、中国のWTO加盟時における約束事項が外資銀行に対する個人向け人民元業務の開放(昨年12月)によりひと通り履行されたことを受け、この間の対外開放措置に対する評価や経営体質強化に努めてきた中国の地場銀行に対する評価などを巡って議論された。

本稿で示された意見等は、日本銀行および国際局の公式見解を示すものではありません。

  • アジア金融協力センターリサーチフェロー(akira.kodama@boj.or.jp)