このページの本文へ移動

本行所有整理回収銀行株式の預金保険機構への売却等に関する件

1999年3月15日
(議決日 1999年2月16日)
日本銀行政策委員会

平成10年10月、預金保険法及び特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の改正により整理回収銀行(注)と住宅金融債権管理機構との合併が定められ、整理回収機構が創設されることとなった。また、いわゆる「三会派合意」において、整理回収機構を実質的に全額国の出資の株式会社とすること等の基本方針が確認され、これに沿って、預金保険機構が日本銀行及び民間金融機関の所有する整理回収銀行株式を全額買取るとの方針が示された。

こうした情勢の下、日本銀行としては、日本銀行及び民間金融機関による旧東京共同銀行(現整理回収銀行)向け出資は、預金保険制度が十分整備されていない下で、預金者を保護し、もって信用秩序の維持を図るために、極めて異例の緊急避難措置として行ったものであること、そうした趣旨及びその後の預金保険制度の拡充に鑑みれば、現在整理回収銀行が抱えている損失については、出資者にその負担を求めるのではなく、預金保険制度の枠組みの中で処理されるべきであること、等の観点から、同年12月22日、預金保険機構に対し、本株式の買取りに当っては額面金額によるよう、文書で申入れを行った。

これに対し、同年12月25日、預金保険機構から、本件株式買取りは、預金保険制度上の資金援助の対象とはならないこと、従って、一般の株式取引と異なるものではなく、また、公的資金を預かる立場から買取り価格の合理性が必須であること、等の理由から時価による買取り以外に方法はない旨の回答があった。

その後、平成10年9月末時点における整理回収銀行の純資産額の調査結果を受けて、預金保険機構から、平成11年2月15日付けで、株式の買取り価格を1株8,872円(額面5万円)としたい旨の申入れを受けた。

本委員会では、2月16日、整理回収銀行の株式問題を決着することが、整理回収機構の円滑な業務開始を確実なものとし、ひいては金融システムの早期再生に資するという認識の下、(1)日本銀行の信用秩序維持のための資金供与は、必要不可欠な場合に限り行うものであるという基本方針に鑑み、預金保険機構が希望している株式全額買取りに応じ出資関係を解消することが適当と考えられること、(2)前述の預金保険機構の回答内容を踏まえると、現行の預金保険の枠組みの下では、同機構の株式買取りは、一般原則、すなわち時価によらざるを得ないと判断されること、(3)合併に伴う整理回収銀行に対する株式買取り請求手続等他の解決方法によったとしても、時価を超えた出資金の回収は困難であること、から預金保険機構に整理回収銀行株式を売却することが適当であり、その場合売却価格を時価とすることも止むを得ないと判断し、預金保険機構の申入れに応じることを決定した。

なお、2月19日に開催される整理回収銀行臨時株主総会において、本合併の承認の件につき、賛成することも併せて決定した。

  • (注)整理回収銀行は、平成7年、東京共同銀行として、日本銀行200億円、民間金融機関200億円の出資により設立され、平成8年の整理回収銀行への改組時に、預金保険機構により1,200億円の増資が行われた。一方、住宅金融債権管理機構は、平成8年の設立当初から預金保険機構の全額出資となっている。