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金融経済月報(基本的見解1)(1998年12月)2

  1. 本「基本的見解」は、12月15日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、12月15日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

1998年12月17日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp9812.pdf 498KB)から入手できます。


 最近のわが国の経済情勢をみると、公共投資増加などから、悪化テンポが幾分和らいできている。

 最終需要面をみると、設備投資の大幅な減少が続いているほか、住宅投資も低迷を続けている。個人消費は、総じてみれば、やや弱含んでいる。一方、純輸出(輸出−輸入)が増加基調にあるほか、公共投資も増勢を示しつつある。こうした最終需要動向のもとで、在庫調整が耐久消費財を中心にある程度進捗していることもあって、生産の減少テンポは緩やかなものとなってきている。

 しかし、企業収益が悪化を続けているほか、有効求人倍率が既往最低水準を更新し、冬季賞与の減少が予想されるなど、家計の雇用・所得環境も厳しさを増している。また、企業金融面に関しては、政府・日本銀行の各種措置を背景に一部には改善の兆しもみられるが、企業の資金繰りに対する不安感はなお払拭されていない模様である。以上のことから、企業・消費者心理は引き続き慎重化しており、民間需要が回復に向かう動きはみられていない。

 今後は、政府の総合経済対策に加えて、先般策定された緊急経済対策が実施に移されれば、来年度上期にかけて公共投資を中心に経済を下支えしていくとみられる。また、日本銀行による金融面からの措置や、政府の貸し渋り対策も、徐々に効果を発揮していくことが期待される。しかし、上記のように企業収益や家計所得が悪化の方向にあることに加え、民間銀行の慎重な融資姿勢のもとで、企業金融面における制約要因もなお暫くの間は作用し続けるとみられることなどを考えると、民間需要が速やかに自律的な回復に向かうことは展望し難い。また、秋口以降の円高の影響や海外情勢の不透明感にも、留意が必要である。これらを踏まえると、景気回復を確実なものとするためには、金融システムの早期建て直しを含め、企業や家計が経済の先行きに対して自信を取り戻し得るよう、さらに環境を整えていくことが重要である。

 物価面をみると、需給ギャップの拡大等を背景に、国内卸売物価が下落傾向を続け、企業向けサービス価格も軟化している。消費者物価については、生鮮食品の値上がりから、前年比でみて僅かながら上昇となっているが、それを除いてみれば、基調として軟調に推移している。今後は、公共投資の増加などから経済情勢の悪化テンポは和らいでいくものとみられるが、民需が低迷を続けるもとで、当面、需給ギャップの明確な縮小は見込み難い。また、賃金の軟化が続いていることや、秋口以降の円高も、今後物価の低下要因として作用するとみられる。これらを踏まえると、物価は、今後、卸売物価を中心に、下落テンポを幾分速める可能性がある。

 金融面をみると、邦銀の年末越え外貨手当ての進捗から、ジャパン・プレミアムやユーロ円金利はピークアウトしてきており、短期金融市場において一頃強まった不安感は、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。もっとも、来年3月期末を越える市場金利はむしろ上昇気味となっており、流動性リスクに対する市場の警戒感は引き続き根強いことが窺われる。

 長期国債の流通利回りは、11月下旬以降反発している。一方、株価は、10月をボトムに大きく反発したあと、ごく最近は、再び弱含んでいる。イールド・スプレッド(国債流通利回り−予想株式益回り)も、依然きわめて低水準で推移しており、経済の先行きに対する市場の見方は引き続き慎重なものにとどまっている。

 金融の量的側面をみると、企業は、資金調達を巡る厳しい環境や来年3月における社債の大量償還を踏まえて、手許資金を厚めに確保しようとする動きを一段と強めている。一方、民間銀行は基本的に慎重な姿勢を維持している。

 こうした中で、年末に向けての企業金融は、信用保証制度の拡充に伴う中堅・中小企業向け貸出の持ち直しに加え、日本銀行による潤沢な資金供給やオペ・貸出面の措置の実施などを背景に、一頃みられた逼迫感が幾分和らいできているようにみられる。もっとも、企業の資金調達を巡る環境が依然厳しいものであることには変わりがない。こうした企業金融の動向が、今後、年末から年度末にかけてどのように進展し、企業活動や実体経済にどのような影響を及ぼしていくか、引き続き十分注意してみていく必要がある。

以上