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金融経済月報(基本的見解1)(1999年 8月)2

  1. 本「基本的見解」は、8月13日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、8月13日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

1999年 8月17日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp9908.pdf 639KB)から入手できます。


 足許の景気は下げ止まっており、企業の業況感も一頃に比べ幾分改善をみている。しかし、民間需要の自律的回復のはっきりとした動きは、依然みられていない。

 最終需要面をみると、設備投資は、引き続き減少傾向を辿っており、個人消費も、全体としては回復感に乏しい状態が続いている。また、純輸出(輸出−輸入)は、輸入の増加から、足許はやや弱含みで推移している。一方、住宅投資は、持ち直し傾向が続いており、公共投資も増加している。

 このような最終需要の動向や、在庫調整が引き続き進捗していることを背景に、鉱工業生産は下げ止まっている。また、金融システムの建て直し等に向けた取り組みや日本銀行による金融緩和措置の継続もあって、企業・消費者心理は一頃に比べ改善をみている。もっとも、企業の業況感の改善は、設備・雇用過剰感が根強く、収益の低迷も続く中で、必ずしも積極的な企業行動に繋がっていない。また、消費者心理の改善は、雇用・所得環境が悪化するもとで、家計支出の下支えに寄与しているが、個人消費全体の回復をもたらすまでには至っていない。

 今後の経済情勢については、在庫調整の進展により生産回復の条件が整いつつあるもとで、日本銀行による金融緩和措置などによる金融環境全般の改善や政府による一連の経済対策が、引き続き下支え効果を発揮していくことが期待される。また、アジアをはじめとする海外景気の持ち直しは、生産面にプラス効果をもたらすとみられる。しかし、他方で、企業部門では、慎重な売上計画のもと、リストラの強化により収益改善を図る動きが引き続き目立っている。こうした企業リストラは、生産性の向上につながると期待される一方、短期的には、設備投資の抑制に働くほか、雇用・所得環境の悪化などを通じて家計支出にもマイナスの影響を及ぼすと考えられる。これらを踏まえると、民間需要の速やかな自律的回復は依然として期待しにくい状況にある。今後は、このような点に留意しつつ、経済情勢全般の動向を注意深くみていくとともに、経済の中期的な成長力確保に向けた構造改革を、円滑に進めていくことが重要と考えられる。

 物価面をみると、輸入物価は、原油など国際商品市況の回復を映じて、引き続き上昇している。国内卸売物価は、石油製品等一部市況関連商品の上昇に加え、在庫調整の進捗もあって、足許では横這いとなっている。また、消費者物価も、同様に横這いの動きとなっている。一方、企業向けサービス価格は下落が続いている。先行きについても、輸入物価の上昇や、在庫調整の進捗を映じた国内商品市況の下げ止まりを背景に、物価は当面、概ね横這いで推移していくものと考えられる。しかし、景気の下げ止まりが続くもとでも、需給ギャップの明確な縮小は当面見込み難く、賃金の軟化が続いていることなども考慮すると、物価に対する潜在的な低下圧力は、引き続き残存するものと考えられる。

 金融面をみると、短期金融市場では、引き続きオーバーナイト物金利がゼロ%に近い水準で推移しており、オーバーナイト資金の確保に対する懸念は払拭された状況が続いている。また、ターム物金利は、6月中旬以降いったんやや上昇したが、その後再び低下し、最近では落ち着いて推移している。ただし、年末越えのターム物金利は、いわゆる「コンピュータ2000年問題」の影響もあってやや高めとなっている。

 この間、ジャパン・プレミアムは、ほぼ解消された状態が続いている。

 長期国債流通利回りは、7月中旬に一時1.6%程度まで低下したが、その後幾分上昇し、最近では1.8%台で推移している。この間、国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは、低めの格付けの社債を中心に、一段と縮小してきている。

 株価は、7月下旬以降、円高の進行や米国株価の調整などを受けて下落に転じ、最近では1万7千円台前半での動きとなっている。

 コール市場残高は、6月中旬以降、横這い圏内での推移が続いている。これまでのところ資金決済面で支障が生じるといった事態はみられていないが、今後ともその動向を注視していく必要がある。

 金融の量的側面をみると、民間銀行は、基本的に慎重な融資姿勢を維持している。ただ、民間銀行自身を巡る資金繰り面や自己資本面からの制約は緩和されており、そうしたもとで、大手行などでは、融資先の信用力などを見きわめつつ、徐々に融資を回復させようとする姿勢にある。

 しかし、企業の資金需要面をみると、設備投資などの実体経済活動に伴う資金需要が低迷を続けているほか、手許資金積み上げの動きも収まっている。この結果、民間の資金需要は引き続き減退しており、民間銀行貸出は弱含みで推移している。社債、CP等の発行も緩やかな減速傾向が続いている。

 マネーサプライ(M2+CD)は、財政資金の支払いなどを背景に、前年比4%強の伸びを続けている。

 以上のような金融環境のもとで、企業金融を巡る逼迫感は和らいできている。

 今後、投資家のリスクテイク姿勢や民間銀行の融資態度の変化がどのように進み、実体経済活動にどのような影響を与えていくか、十分注目していく必要がある。

以上