「手形買入および手形売出の見直しに関する基本方針」の決定および「手形買入基本要領」等の制定について
2000年 4月27日
日本銀行
日本銀行は、本日開催した政策委員会・金融政策決定会合において、手形買入オペおよび手形売出オペの見直しに関し、下記1.の基本方針を決定するとともに、下記2.から5.までの基本要領を制定しましたので、お知らせします。
記
- 1.「手形買入および手形売出の見直しに関する基本方針」・・・・・・別紙1
- 2.「手形買入基本要領」 ・・・・・・別紙2
- 3.「手形売出基本要領」 ・・・・・・別紙3
- 4.「手形買入における買入対象先選定基本要領」 ・・・・・・別紙4
- 5.「手形売出における売出対象先選定基本要領」 ・・・・・・別紙5
以上
別紙1
「手形買入および手形売出の見直しに関する基本方針」
日本銀行当座預金決済の即時グロス決済化(以下「RTGS化」という。)に伴う資金決済方法の変更を踏まえ、RTGS化後における金融調節の円滑な実施等の観点から、手形買入および手形売出に関し、下記の基本方針に基づき見直しを行う。
記
1.手形買入の見直し
- (1)買入方式の変更(直接方式の導入)
RTGS化後の手形買入は、短資業者のみを直接の相手方として行う方式(以下「短資経由方式」という。)によらず、社債等を担保とする手形買入(以下「社債等担保手形買入」という。)と同様、金融機関、証券会社、証券金融会社および短資業者(以下「金融機関等」という。)の中から本行が予め定めて公表した基準および手続に基づき選定した先を直接の相手方として行う方式(以下「直接方式」という。)により実施すること。 - (2)社債等担保手形買入の統合
社債等担保手形買入は、RTGS化後においては、手形買入に統合すること。 - (3)担保の根担保化
RTGS化後の手形買入における担保は、RTGS化に伴い導入することとしている日中当座貸越の担保および代理店制度における保証品と共通して利用できる根担保とすること。 - (4)本店買入および全店買入の導入
- イ、RTGS化後の手形買入については、民間企業債務を活用しつつ幅広く資金供給を行い得る体制を整備する等の観点から、(a)本行本店の当座預金取引先である金融機関等を相手方として行う買入(以下「手形買入(本店買入)」という。)のほか、(b)本行本支店の当座預金取引先である金融機関等を相手方として行う買入(以下「手形買入(全店買入)」という。)を導入すること。
- ロ、手形買入(本店買入)については、RTGS化後直ちに実施することとし、手形買入(全店買入)については、RTGS化後、所要の準備が整い次第実施すること。
- (5)経過措置
- イ、RTGS化に向けて買入対象先の事務体制を整備し金融調節の円滑な実施に資する等の観点から、買入対象先を本行本店の当座預金取引先である金融機関等から選定する直接方式の手形買入を、RTGS化に先駆けて導入することとし、所要の準備が整い次第実施すること。なお、RTGS化までの間は、現行の短資経由方式も併用し得る扱いとすること。
- ロ、(2)における統合までの間、社債等担保手形買入における新たな買入対象先の選定を行わないこと。
- ハ、RTGS化後、手形買入(本店買入)の買入対象先は、当該手形買入の初回の買入対象先選定までの間、社債等担保手形買入およびイ、により導入する手形買入の買入対象先とすること。
2.手形売出の見直し
- (1)売出方式の変更(直接方式の導入)
RTGS化後の手形売出は、短資経由方式によらず、売出対象先を本行本店の当座預金取引先である金融機関等の中から本行が予め定めて公表した基準および手続に基づき選定し、直接方式により実施すること。 - (2)導入時期および経過措置
RTGS化に向けて売出対象先の事務体制を整備し金融調節の円滑な実施に資する等の観点から、(1)に掲げる直接方式の手形売出を、RTGS化に先駆けて導入することとし、所要の準備が整い次第実施すること。なお、RTGS化までの間は、現行の短資経由方式も併用し得る扱いとすること。
以上
別紙2
「手形買入基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節の一層の円滑化を図る趣旨から、別に定めるものを除き、手形および債券を担保として金融機関等が振出す手形の買入を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.買入店
本店(業務局)とする。
3.買入対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
4.買入対象
買入先が自己を受取人および支払人として振出し引受を完了した為替手形であって、満期日が買入日の翌日から起算して3か月以内に到来するものとする。
5.買入方式
手形の買入は割引の方法により行うこととし、割引率はこれを入札に付してコンベンショナル方式により決定する。
6.買入日および買入金額等
買入日、買入金額、買入先その他買入を行うために必要な具体的事項については、金融市場の情勢等を勘案して買入のつど決定するものとする。
7.担保の種類
- (1)支払人(当座預金取引の相手方以外の者とする。)の信用力等に照らし本行が適格と認めた手形(外貨表示の手形を含む。)であって、満期日が買入日の翌日から起算して1年以内に到来するもの。
- (2)国債、政府短期証券、政府保証付債券または利付金融債であって、本行が適格と認めたもの。
8.担保価額
- (1)担保手形の担保価額は、手形金額とする。この場合において、外貨表示の手形の手形金額は、外貨表示の手形金額を邦貨換算して得た額に、0.75を超えない範囲で定める値を乗じて得た金額とする。
- (2)担保債券の担保価額は、次により算定する。
- イ、利付国債(償還年限10年以内) 額面額の100/120以内
- ロ、利付国債(償還年限10年超30年以内) 額面額の100/130以内
- ハ、割引国債 額面額の100/140以内
- ニ、割引短期国債および政府短期証券 額面額の100/110以内
- ホ、政府保証付債券 額面額の100/130以内
- ヘ、利付金融債 額面額の100/130以内
(附則)
この基本要領は、平成12年4月27日から実施する。
別紙3
「手形売出基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節の一層の円滑化を図る趣旨から、別に定めるものを除き、本行が振出す手形の売出を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.売出店
本店(業務局)とする。
3.売出対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
4.売出対象
本行が自己を受取人および支払人として振出し引受を完了した為替手形であって、満期日が売出日の翌日から起算して3か月以内に到来するものとする。
5.売出方式
手形の売出は割引の方法により行うこととし、割引率はこれを入札に付してコンベンショナル方式により決定する。
6.売出日および売出金額等
売出日、売出金額、売出先その他売出を行うために必要な具体的事項については、金融市場の情勢等を勘案して売出のつど決定するものとする。
(附則)
この基本要領は、平成12年4月27日から実施する。
別紙4
「手形買入における買入対象先選定基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節に関する事務手続の明確化を図る趣旨から、「手形買入基本要領」(平成12年4月27日付政委第62号別紙2.。以下「買入基本要領」という。)に規定する買入対象先(以下「買入対象先」という。)の選定を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.買入対象先の選定基準等
- (1)買入対象先の選定に当っては、買入対象先となることを希望する先を公募するものとする。
- (2)買入対象先については、(1)の公募に応じた者(以下「応募先」という。)の中から、次に掲げる要件を満たす先を選定する。
- イ、本行本店の当座預金取引先であること
- ロ、日本銀行金融ネットワークシステムを利用していること
- ハ、信用力が十分であること
- ニ、買入基本要領7.に定める手形または債券のうち、本行が予め買入手形(買入基本要領に基づき買入れる手形をいう。以下同じ。)の担保としての差入に備えた寄託の対象と認めるものを、選定に当って本行に申出た金額(積極的な応札を確保するため本行が必要と認める金額以上の金額とする。)以上、常時買入手形の担保として差入れ、または買入手形の担保としての差入に備え寄託することができること
- (3)(2)に掲げる要件を満たした応募先の数が、本行が手形買入(買入基本要領に基づく手形の買入をいう。以下同じ。)の円滑な実施のために適当と認める買入対象先の数を上回る場合には、(2)ニ、に基づき選定に当って本行に申出た金額を勘案して買入対象先を選定する。
3.買入対象先の選定頻度
買入対象先は、原則として年1回の頻度で見直すこととする。
4.買入対象先の遵守事項等
- (1)買入対象先の公募に際しては、次に掲げる買入対象先としての遵守事項を明示するものとする。
- イ、手形買入に積極的に応札すること
- ロ、正確かつ迅速に事務を処理すること
- ハ、金融政策遂行に有益な市場情報または分析を提供すること
- (2)買入対象先が(1)に掲げる事項に著しく背馳した場合には、買入対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
- (3)(2)に定める場合のほか、2.に定める基準に鑑み必要と認められる場合には、買入対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
(附則)
- (1)この基本要領は、平成12年4月27日から実施する。
- (2)この基本要領に基づく第2回目の買入対象先の選定は、3.にかかわらず、日本銀行当座預金決済におけるRTGS化後、手形買入における取引状況等を勘案のうえ、速やかに行うことができるものとする。
別紙5
「手形売出における売出対象先選定基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節に関する事務手続の明確化を図る趣旨から、「手形売出基本要領」(平成12年4月27日付政委第62号別紙3.。以下「売出基本要領」という。)に規定する売出対象先(以下「売出対象先」という。)の選定を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.売出対象先の選定基準等
- (1)売出対象先の選定に当っては、売出対象先となることを希望する先を公募するものとする。
- (2)売出対象先については、(1)の公募に応じた者(以下「応募先」という。)の中から、次に掲げる要件を満たす先を選定する。
- イ、本行本店の当座預金取引先であること
- ロ、日本銀行金融ネットワークシステムを利用していること
- ハ、信用力が十分であること
- (3)(2)に掲げる要件を満たした応募先の数が、本行が手形売出(売出基本要領に基づく手形の売出をいう。以下同じ。)の円滑な実施のために適当と認める売出対象先の数を上回る場合には、次に掲げる事項を勘案して売出対象先を選定する。
- イ、手形売出における落札実績
- ロ、手形売出により本行が売出した手形(以下「売出手形」という。)および短期国債(割引短期国債および政府短期証券をいう。)の保有平均残高の合計
3.売出対象先の選定頻度
売出対象先は、原則として年1回の頻度で見直すこととする。
4.売出対象先の遵守事項等
- (1)売出対象先の公募に際しては、次に掲げる売出対象先としての遵守事項を明示する。
- イ、手形売出に積極的に応札すること
- ロ、正確かつ迅速に事務を処理すること
- ハ、金融政策遂行に有益な市場情報または分析を提供すること
- (2)売出対象先が(1)に掲げる事項に著しく背馳した場合には、売出対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
- (3)(2)に定める場合のほか、2.に定める基準に鑑み必要と認められる場合には、売出対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
(附則)
- (1)この基本要領は、平成12年4月27日から実施する。
- (2)この基本要領に基づく初回の売出対象先の選定においては、2.(3)イ、およびロ、に定める手形売出は、「売出手形制度の実施に関する件」(昭和46年8月19日付政第56号)に基づき短資業者を対象先として実施した手形売出とする。また、2.(3)イ、の落札実績は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げるとおりとする。
- イ、短資業者
本行から買受けた売出手形の手形金額の合計 - ロ、短資業者以外
短資業者から買受けた売出手形の手形金額の合計
- イ、短資業者
- (3)この基本要領に基づく第2回目の売出対象先の選定は、3.にかかわらず、日本銀行当座預金決済におけるRTGS化後、手形売出における取引状況等を勘案のうえ、速やかに行うことができるものとする。