金融市場調節方針の変更等について
2002年10月30日
日本銀行
- 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融市場調節方針を変更するとともに、資金供給力を一段と強化する措置を講じることとした。
- (1)日本銀行当座預金残高の目標値の引き上げ
日本銀行当座預金残高の目標値を、これまでの「10~15兆円程度」から、「15~20兆円程度」に引き上げる(別添)。 - (2)長期国債買い入れの増額
これまで月1兆円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月1兆2千億円ペースに増額する。 - (3)手形買入期間の延長
これまで「6か月以内」としてきた手形買入の期間を「1年以内」に延長する。
- (1)日本銀行当座預金残高の目標値の引き上げ
- 日本経済の状況をみると、景気は全体として下げ止まっているが、なお、回復へのはっきりとした動きはみられていない。こうした中で、世界経済を巡る不透明感や不良債権処理加速の影響など、景気の先行きを巡る不確実性は強まっており、内外株価も不安定な地合いを続けている。
- 金融面をみると、日本銀行による潤沢な資金供給のもとで、金融機関の流動性調達を巡る懸念はほぼ払拭された状況が続いている。しかしながら、最近の株価の動向や不良債権処理を巡る不透明感などを背景に、短期金融市場では、ターム物金利の一部が強含むといった、やや不安定な動きもみられている。金融機関の貸出態度も、厳しさを増すことが予想される。
- このような現在および今後予想される経済金融情勢を踏まえ、日本銀行は、金融市場の円滑な機能の維持と安定性の確保に万全を期すことによって、金融面から景気回復を支援する効果を確実なものとすることが適当と判断した。
- 日本銀行による潤沢な資金供給が経済の活性化に繋がるためには、銀行の機能強化と並んで、資本市場における資金配分機能の向上等が重要である。そうした観点から、日本銀行は、政府による不良債権処理の加速策が企業金融に及ぼす影響について注視するとともに、企業金融の円滑確保のため、一段の工夫を講じる余地がないかを検討していく方針である。
- 日本銀行は、日本経済を持続的な成長軌道に復帰させ、物価が下落基調から脱却できる状況を実現するため、金融システムの安定に向けた取り組みを含め、今後とも中央銀行として最大限の努力を続けていく方針である。
以上
(別添)
平成14年10月30日
日本銀行
当面の金融政策運営について
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。
日本銀行当座預金残高が15~20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
以上
(参考)
- 開催時間
- 10月30日(水)9:00~14:33
- 出席委員
- 議長 速水 優 (総裁)
藤原 作弥 (副総裁)
山口 泰 (副総裁)
植田 和男 (審議委員)
田谷 禎三 (審議委員)
須田 美矢子(審議委員)
中原 眞 (審議委員)
春 英彦 (審議委員)
福間 年勝 (審議委員)
上記のほか、
谷口隆義 財務副大臣(9:00~13:32、13:34~14:33)
小林勇造 内閣府審議官(9:00~13:32、13:34~14:33)
が出席。
- 議事要旨の公表日時
- 12月20日(金)14:00
以上