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資産担保証券の買入れの検討について

2003年 4月 8日
日本銀行

  1. 日本銀行による潤沢な資金供給は、金融市場の安定確保と景気・物価の下支えに大きく貢献してきた。しかし、潤沢な資金供給が経済活動の拡大に効果的に結びついていくためには、金融緩和の波及メカニズムを強化することが求められる。
  2. このような考え方に基づき、日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下の点を決定した。
    1. (1)中堅・中小企業関連資産を主たる裏付資産とする資産担保証券を、時限的措置として金融調節上の買入れ対象資産とすることについて、検討を進めること。
    2. (2)資産担保証券買入れの具体的スキーム策定に際しては、広く市場関係者等の意見を求めること。
    3. (3)具体的スキームは、改めて金融政策決定会合において討議のうえ決定すること。
  3. 資産担保証券は、その商品特性から信用リスクの分散化や移転を通じて企業金融の円滑化に貢献する効果が期待される。今回の決定は、わが国の金融機関の信用仲介機能が万全でない中で、発展途上にある資産担保証券市場の活性化を通じて企業金融の円滑化を図り、金融緩和効果を強化することを目的とするものである。
  4. 日本銀行は、これまでも資産担保証券を含めた民間債務を金融調節上の担保や売戻し条件付の買入れ資産として活用してきたが、民間債務を買い切ることは、中央銀行としては異例の措置である。日本銀行としては、(1)波及効果の大きさはどの程度か、(2)市場機能を歪めることはないか、(3)日本銀行の財務の健全性をどのように維持するかといった点も見極めながら、買入れの具体的方法等を最終的に決定していく方針である。
  5. 日本銀行としては、今後とも、金融緩和の波及メカニズム強化や金融政策の透明性向上の観点から政策運営に改善の余地がないかを点検し、必要な措置を講じていく方針である。

以上


<参考>

 なお、同日、資産担保証券市場を通じる企業金融活性化のための新たなスキームの提案が公表されています。