本日の金融政策決定会合における決定について
2003年10月10日
日本銀行
1.わが国経済は、輸出環境が好転し企業の業況感も改善するなど、緩やかな景気回復への基盤が整いつつある。先行きについても、輸出や生産が増加することを通じて、次第に前向きの循環が働き始めると考えられる。もっとも、過剰債務や過剰雇用などの構造的な問題が根強く残っている中、国内需要の自律的な回復力が高まるにはなお時間がかかるとみられる。
2.日本銀行は、かねてより消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を続けることを約束しているが、経済情勢が回復に向かいつつある現時点において、上記の方針を堅持することを強調したい。日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下の措置を講じることを決定した。今回の措置は、金融政策面から、最近の景気回復に向けた動きをより確実なものとすることに資すると考えている。
- (1)当座預金残高目標値の上限の引き上げ
金融調節の柔軟性を高め、流動性供給面から機動的に対応する余地を広げる観点から、日本銀行当座預金残高の目標値の上限を引き上げ、これまでの「27~30兆円程度」から、「27~32兆円程度」とする(別添)。 - (2)国債買現先オペの期間延長
金融調節を機動的に行う観点から、国債買現先オペの最長期間を現在の6か月から1年に延長する。 - (3)金融政策運営の透明性の強化
金融政策運営の透明性を強化する観点から、量的緩和政策継続のコミットメントをより明確化するとともに、経済・物価情勢に関する日本銀行の判断について説明を充実する(「金融政策の透明性の強化について」参照)。
以上
(別添)
2003年10月10日
日本銀行
当面の金融政策運営について
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成多数)。
日本銀行当座預金残高が27~32兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
以上
(参考)
- 開催時間
- 10月 9日(木)13:59~15:55
10月10日(金) 9:00~13:54 - 出席委員
- 議長 福井 俊彦 (総裁)
武藤 敏郎 (副総裁)
岩田 一政 (副総裁)
植田 和男 (審議委員)
田谷 禎三 (審議委員)
須田 美矢子(審議委員)
中原 眞 (審議委員)
春 英彦 (審議委員)
福間 年勝 (審議委員)
上記のほか、
- 10月 9日
- 津田廣喜 財務省大臣官房総括審議官(13:59~15:55)
中城吉郎 内閣府政策統括官(経済財政−運営担当)(13:59~15:55) - 10月10日
- 石井啓一 財務副大臣( 9:00~12:21)、
津田廣喜 財務省大臣官房総括審議官(12:27~13:25、13:31~13:54)
中城吉郎 内閣府政策統括官(経済財政−運営担当)( 9:00~13:25、13:31~13:54)
が出席。
- 金融経済月報の公表日時
- 10月14日(火)14:00
- 議事要旨の公表日時
- 11月27日(木)14:00
以上