シンジケート・ローン債権の担保受入れについて
2003年 9月12日
日本銀行
- 9月11・12日に開催された金融政策決定会合において、執行部より、最近市場が拡大しているシンジケート・ローン市場に関連し、同ローン債権を担保として受入れるため、実務面での検討を進めていることが報告された。
- シンジケート・ローンには、証書貸付形態で実行されているものもある。この証書貸付形態のシンジケート・ローンについては、現行基準においても、信用度等の要件を満たせば、日本銀行の担保として適格となる。
しかし、市場取引においては、実務的制約から担保取引は殆ど行われていないようであり、日本銀行に対しても、担保の差入れは行われていない。本件は、実務上の工夫をこらすことにより、他の証書貸付と同様に担保の受入れを実現しようとするものである。
- 「シンジケート・ローンの特徴と市場の現状」については、別紙参照。
以上
本件照会先
企画室企画第2課
山田(03-3277-2800)
新見(03-3277-2813)
(別紙)
シンジケート・ローンの特徴と市場の現状
(シンジケート・ローンとは)
- 複数の金融機関が、幹事行の取り纏めにより、同一の契約により実行する融資であり、現在市場規模が拡大しつつある。標準化された契約書を用いるため、迅速な貸出の実行と実行後の転々譲渡が容易になる。
(借り手企業にとってのメリット)
- 資金調達チャネルの多様化
メイン行の経営状況に過度に依存せず、大ロットの資金を機動的に調達できる。
(金融機関にとってのメリット)
- 機動的な信用リスク運営
シンジケート・ローンへの参加や貸出債権の売買を通じ、貸出先の地域・業種等のリスク分散を図ることで、貸出ポートフォリオの機動的な運営が可能となる。 - 手数料収入の拡大
アレンジャーである金融機関にとって、B/Sを拡大させずに収益をあげることが可能。 - 貸出事務の効率化
契約書の標準化、貸出先のリスク査定の合理化、元利金回収業務をエージェント行に一元化することで、貸出にかかる事務が効率化され収益性が向上。
(マクロ的なメリット)
- 価格発見機能の向上
シンジケート・ローン債権売買市場の拡大を通じ、リスクに見合ったプライシングが浸透することにより、貸出金利全体の適正化が進む。
(市場規模)
1999年 | 2000年 | 2001年 | 2002年 | |
---|---|---|---|---|
組成額 | 3.0 | 8.0 | 9.7 | 10.9 |
(出所)Thomson Financial: 本邦法人による円建契約分を集計
- (注)この計数は、(1)タームローン型(貸付証書に基づいて実行される通常の長期貸付)、(2)コミットメントライン型(当座貸越の貸出枠の範囲内で企業が自由に借入・返済を行うもの)等の合計。
以上