【参考】資産担保証券の買入基準見直しについて
2004年 1月20日
日本銀行
1.見直しの内容
(1)中堅・中小企業関連債権比率要件
(現行要件)
- 裏付資産に占める中堅・中小企業関連の割合が「金額ベース」で5割を下回らないこと。
- 中堅・中小企業は「資本金10億円未満」の会社と定義。
(見直し後)
- 5割の算出ベースを「金額または件数」に拡大(件数ベースで5割も可とする)。
- 中堅・中小企業の定義を「資本金10億円未満または常用雇用者数999人以下」の会社に拡大。
(考え方)
- 中堅・中小企業関連債権を裏付資産に組み入れるインセンティブを高めるため、新たに「件数」に関する基準を追加し、当該基準を満たす資産担保証券も買入対象に加える。
- 中堅・中小企業金融の円滑化に資するとの観点から、「中堅・中小企業」をより肌理細かく定義する。
(2)正常先要件
(現行要件)
- 裏付資産に金融機関の貸付債権が含まれる場合、各貸付債権の債務者が自己査定上の「正常先」に分類されていること。
(見直し後)
- 本要件を撤廃する。
(考え方)
- 資産担保証券のリスク評価やプライシングは、本来、個々の裏付資産の属性ではなく、裏付資産の分散効果等を勘案して、プログラム全体で判断されるべきもの。
- 買入開始時においては、本件買入れが中央銀行にとって極めて異例の措置であること等の事情を勘案し、日本銀行の財務の健全性確保に万全を期す観点から、本要件を設定した。
- もっとも、資産担保証券市場では、裏付資産に金融機関の貸付債権を含む資産担保証券(CLO)の発行が着実に続いているほか、貸付債権の信用リスクを評価するためのデータ蓄積も進捗している。
- こうした市場における取引の動向やリスク評価手法などの進展に鑑み、CLOについても、他の資産担保証券と同様に、個々の裏付資産の属性ではなく、裏付資産プール全体の信用度や証券化の仕組み、格付等に基づいて適格性を判断する。
(3)格付要件
(現行要件)
- ABCP等は、a−1格相当の格付を複数取得していること。
- ABS等は、BB格相当以上の格付を複数取得していること。
(見直し後)
- ABCP等は、単数の格付取得でも可とする。
(考え方)
- ABCP等については、短期債務であり、かつ高い格付を求めていることなどを勘案して、取得している格付が単数であっても買入対象に含める。
(4)買入対象先の選定頻度
(現行要件)
- 原則として1年に1回。
(見直し後)
- 随時選定(毎月1回の追加選定)を導入する。
(考え方)
- 市場参加者のニーズに機動的に対応し、政策効果を高める観点から、買入対象先の選定頻度を高める。
2.実施日
- 本日から実施する。
以上
ABS等:資産担保債券および準資産担保債券(シンセティック型債券)