「共通担保資金供給オペレーション基本要領」の制定等について
2006年4月11日
日本銀行
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融調節実務の効率化を図る観点から、下記の諸措置を講ずることを決定しましたのでお知らせします。
本件は、現在の主要な資金供給手段である手形買入についてペーパーレス化を図るため、「共通担保資金供給オペレーション」を導入することとしたもので、昨年9月8日に開催された金融政策決定会合における決定を踏まえたものです。
- (注)下記3.および5.は、共通担保資金供給オペレーションを電子貸付により行うことに伴い、現在相対取引として行っている電子貸付に関する規定について、取引先の呼称の変更および利息の徴収方法の明文化を行うための技術的な改正を行うものです。
記
- 「共通担保資金供給オペレーション基本要領」を別紙1のとおり制定すること。
- 「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」を別紙2のとおり制定すること。
- 「補完貸付制度基本要領」(平成13年2月28日決定)を別紙3のとおり一部改正すること。
- 次の政策委員会決定を「共通担保資金供給オペレーション基本要領」附則に定める日をもって廃止すること。ただし、当該日よりも前に当該政策委員会決定に基づき実施した手形買入の取扱いは、なお従前の例によること。
- (1)「手形買入基本要領 」(平成12年4月27日決定)
- (2)「手形買入における買入対象先選定基本要領 」(平成12年4月27日決定)
- 「日本銀行の当座預金取引または貸出取引の相手方に関する選定基準」(平成10年6月23日決定)(以下「選定基準」という。)を別紙4のとおり一部改正すること。
- 2.により制定した「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」に基づく第1回目の貸付対象先選定(以下「初回選定」という。)は、平成18年9月末までに実施することとし、それまでの間は次のとおり取扱うこと。
- (1)「手形買入における買入対象先選定基本要領」に基づき現に選定されている買入対象先のうち、共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先となることを希望し、かつ、「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」4.(1)に掲げる事項の遵守を約した者を、次に掲げる各号に応じて取扱うこと。
- イ、手形買入(本店買入)および手形買入(全店買入)における買入対象先
「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」2.(1)に定める共通担保資金供給オペ(本店貸付)および共通担保資金供給オペ(全店貸付)における貸付対象先とする - ロ、手形買入(全店買入)のみの買入対象先
「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」2.(1)に定める共通担保資金供給オペ(全店貸付)における貸付対象先とする
- イ、手形買入(本店買入)および手形買入(全店買入)における買入対象先
- (2)(1)により貸付対象先とする先については、「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」4.(2)および(3)の規定を準用すること。
- (1)「手形買入における買入対象先選定基本要領」に基づき現に選定されている買入対象先のうち、共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先となることを希望し、かつ、「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」4.(1)に掲げる事項の遵守を約した者を、次に掲げる各号に応じて取扱うこと。
- 初回選定において「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」2.(3)ヘ、または(4)ホ、に掲げる場合に該当するときは、共通担保資金供給オペ(本店貸付)または共通担保資金供給オペ(全店貸付)における落札実績として、それぞれ手形買入(本店買入)または手形買入(全店買入)における落札実績を勘案し得る扱いとすること。
- 5.の改正実施前の選定基準に基づいて選定した電子貸付取引の相手方は、改正実施後の選定基準に基づいて選定した相対型電子貸付取引の相手方とみなすこと。
以上
本件照会先
企画局
菅野(03-3277-3768)
山岡(03-3277-2185)
金融市場局
坂本(03-3277-1302)
上條(03-3277-1246)
別紙1
「共通担保資金供給オペレーション基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節の一層の円滑化を図る趣旨から、共通担保資金供給オペレーション(適格担保を根担保として、貸付利率を入札に付して行う公開市場操作としての貸付けをいう。)を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.貸付店
本店(業務局)または支店とする。
3.貸付対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
4.貸付方式
電子貸付とする。
5.貸付期間
金融市場の情勢等を勘案して貸付けのつど決定する1年以内の期間とする。
6.貸付利率および利息の徴収
- (1)貸付利率は、これを入札に付してコンベンショナル方式により決定する。
- (2)利息の徴収は、(1)の定めにより決定された貸付利率によって、貸付日の翌日から返済期日までの日数に応じて、後取りの方法により行う。
7.貸付日および貸付金額等
貸付日、貸付金額、貸付先その他貸付けを行うために必要な具体的事項については、金融市場の情勢等を勘案して貸付けのつど決定するものとする。
8.担保
- (1)貸付対象先から、適格担保を根担保として差入れさせるものとする。
- (2)担保の取扱いは、「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)の定めるところによる。
(附則)
この基本要領は、平成18年7月末までの総裁が別に定める日から実施する。
別紙2
「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節に関する事務手続の明確化を図る趣旨から、「共通担保資金供給オペレーション基本要領」(平成18年4月11日付政委第31号別紙1.)に規定する貸付対象先(以下「貸付対象先」という。)の選定を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.貸付対象先の選定基準等
- (1)貸付対象先の選定に当っては、共通担保資金供給オペ(本店貸付)(本行本店のみを貸付店とする共通担保資金供給オペレーションをいう。以下同じ。)および共通担保資金供給オペ(全店貸付)(本行本支店を貸付店とする共通担保資金供給オペレーションをいう。以下同じ。)の別に、貸付対象先となることを希望する先を公募するものとする。
- (2)貸付対象先については、(1)の公募に応じた者(以下「応募先」という。)の中から、共通担保資金供給オペ(本店貸付)については(3)に掲げる要件を満たす先を、共通担保資金供給オペ(全店貸付)については(4)に掲げる要件を満たす先をそれぞれ選定する。
- (3)共通担保資金供給オペ(本店貸付)
- イ、本行本店の当座預金取引先であること
- ロ、本行本店との当座預金取引について日本銀行金融ネットワークシステムを利用していること
- ハ、自己資本の状況および考査等から得られた情報に照らし、信用力が十分であると認められること
- ニ、適格担保の差入実績が、共通担保資金供給オペ(本店貸付)への積極的な応札を確保するため本行が必要と認める金額以上であること
- ホ、共通担保資金供給オペ(全店貸付)の貸付対象先であること
- ヘ、イ、からホ、までに掲げる要件を満たした応募先の数が、本行が共通担保資金供給オペ(本店貸付)の円滑な実施のために適当と認める貸付対象先の数を上回る場合には、次に掲げる事項を勘案して貸付対象先を選定する。
- (イ) 共通担保資金供給オペ(本店貸付)における落札実績
- (ロ) 共通担保資金供給オペ(全店貸付)における落札実績
- (ハ) 適格担保の差入実績
- (4)共通担保資金供給オペ(全店貸付)
- イ、応募先が貸付けを受けることを希望する本行本支店(1か店のみとする。以下「貸付希望店」という。)の当座預金取引先であること
- ロ、貸付希望店との当座預金取引について日本銀行金融ネットワークシステムを利用していること
- ハ、自己資本の状況および考査等から得られた情報に照らし、信用力が十分であると認められること
- ニ、新たに貸付対象先となることを希望する先については、適格担保の差入実績が、共通担保資金供給オペ(全店貸付)への積極的な応札を確保するため本行が必要と認める金額以上であること
- ホ、イ、からニ、までに掲げる要件を満たした応募先の数が、本行が共通担保資金供給オペ(全店貸付)の円滑な実施のために適当と認める本行本支店毎の貸付対象先の数を上回る場合には、次に掲げる事項を勘案して本行本支店毎に貸付対象先を選定する。
- (イ) 共通担保資金供給オペ(全店貸付)における落札実績
- (ロ) 適格担保の差入実績
3.貸付対象先の選定頻度
- (1)貸付対象先は、原則として年1回の頻度で見直すこととする。
- (2)共通担保資金供給オペ(全店貸付)については、(1)に加えて、貸付対象先を追加する選定を随時実施することができるものとする。
4.貸付対象先の遵守事項等
- (1)貸付対象先の公募に際しては、次に掲げる貸付対象先としての遵守事項を明示するものとする。
- イ、共通担保資金供給オペレーションに積極的に応札すること
- ロ、正確かつ迅速に事務を処理すること
- ハ、金融政策遂行に有益な市場情報または分析を提供すること
- (2)貸付対象先が(1)に掲げる事項に著しく背馳した場合には、貸付対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
- (3)(2)に定める場合のほか、2.に定める基準に鑑み必要と認められる場合には、貸付対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
(附則)
この基本要領は、「共通担保資金供給オペレーション基本要領」附則に定める日から実施する。
別紙3
「補完貸付制度基本要領」中一部改正
2.(1)ロ、を横線のとおり改める。
ロ、本行本支店の相対型電子貸付取引先であること
5.を横線のとおり改める。
5.貸付利率および利息の徴収
- (1)貸付利率は基準貸付利率とする。ただし、1積み期間(準備預金制度に関する法律(昭和32年法律第135号)第7条第3項に規定する1月間をいう。以下同じ。)において、この貸付けを実行した営業日数が累計で(2)に定める上限日数を超える貸付先に対しては、当該積み期間において上限日数を超えた日以降に実行する貸付けについて、基準貸付利率に年2.0%を上乗せした利率を適用する。
- (2) 略(不変)
- (3)利息の徴収は、(1)に定める貸付利率によって、貸付日の翌日から返済期日までの日数に応じて、割引の方法により行う。
(附則)
この一部改正は、「共通担保資金供給オペレーション基本要領」(平成18年4月11日付政委第31号別紙1.)附則に定める日から実施する。
別紙4
「日本銀行の当座預金取引または貸出取引の相手方に関する選定基準」中一部改正
5.を横線のとおり改める。
5. 日本銀行の相対型電子貸付取引(電子貸付(手形または証書を用いることなく日本銀行金融ネットワークシステムにより行う当座貸越以外の資金の貸付けをいう。)のうち、「共通担保資金供給オペレーション基本要領」(平成18年4月11日付政委第31号別紙1.)に基づく貸付け以外の貸付けにかかる取引をいう。以下同じ。)の相手方は、日本銀行の当座貸越取引および手形貸付取引の相手方である金融機関等のうち、相対型電子貸付取引を開始したい旨申出た者で、日本銀行が当該申出に応じることが適当でないと認められる特段の事情がないものとする。
(附則)
この一部改正は、「共通担保資金供給オペレーション基本要領」附則に定める日から実施する。