このページの本文へ移動

金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について

2024年7月31日
日本銀行

  1. 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対2)(注)

    無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.25%程度で推移するよう促す1

  2. 長期国債買入れの減額について、月間の長期国債の買入れ予定額を、原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額し、2026年1から3月に3兆円程度とする計画を決定した2(別紙参照)(全員一致)。
  3. 上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更等を決定した3(賛成7反対2)(注)
    1. (1)補完当座預金制度の適用利率

      補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、0.25%とする。

    2. (2)基準貸付利率4

      補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を0.5%とする。

    3. (3)貸出増加支援資金供給等(新規実行分)に対する適用金利

      被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペについては、貸付利率を0.25%とする。貸出増加支援資金供給については、変動金利貸付に変更のうえ5、実施する。

  4. わが国の経済・物価は、これまで「展望レポート」で示してきた見通しに概ね沿って推移している。すなわち、企業部門では、企業収益が改善するもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。家計部門では、個人消費は、物価上昇の影響などがみられるものの、底堅く推移している。賃金面では、春季労使交渉で前年を大きく上回る賃上げが実現した大企業だけでなく、幅広い地域・業種・企業規模において、賃上げの動きに広がりがみられている。物価面をみると、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、賃金の上昇を販売価格に反映する動きが強まってきており、サービス価格の緩やかな上昇が続いている。企業や家計の予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。輸入物価は再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れするリスクには注意する必要がある。

    こうした状況を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。

  5. 今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。

以上


  • (注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、安達委員、中川委員、高田委員、田村委員。反対:中村委員、野口委員。中村委員は、次回の金融政策決定会合で法人企業統計等を確認してから金融市場調節方針の変更を判断すべきであり、今回はそうした考え方を示すにとどめることが望ましいとして反対した。野口委員は、賃金上昇の浸透による経済状況の改善をデータに基づいてより慎重に見極める必要があるとして反対した。本文に戻る

  1. 新たな金融市場調節方針は、翌営業日(8月1日)から適用する。本文に戻る
  2. CP等・社債等の買入れについては、2024年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する。本文に戻る
  3. 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(8月1日)から適用する。また、金融調節の一層の円滑化を図る観点から、固定金利方式の国債売現先オペを新たに導入することとした。本文に戻る
  4. 日本銀行法第15条第1項第2号に規定する「基準となるべき貸付利率」。なお、同第1号の「基準となるべき割引率」も0.5%とする(手形割引の取り扱いは現在停止中)。本文に戻る
  5. 貸付利率は、貸付期間中の補完当座預金制度の適用利率の平均値とする。本文に戻る

(別紙)

長期国債買入れの減額計画について

長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切である。こうした観点から、2026年3月までの長期国債の買入れは、以下のとおり運営する。

  1. 月間の長期国債の買入れ予定額を、原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額し、2026年1から3月に3兆円程度とする(詳細は、別添)。
  2. 来年6月の金融政策決定会合では、長期国債買入れの減額計画の中間評価を行う。中間評価では、今回の減額計画を維持することが基本となるが、国債市場の動向や機能度を点検したうえで、必要と判断すれば、適宜、計画に修正を加える。また、同時に、2026年4月以降の長期国債の買入れ方針について検討し、その結果を示すこととする。
  3. 長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。
  4. なお、必要な場合には、金融政策決定会合において、減額計画を見直すこともありうる。

以上


(別添)

月間の長期国債の買入れ予定額

月間の長期国債の買入れ予定額の表
月間の長期国債の買入れ予定額
2024年7月(実績) 5.7兆円程度
2024年8から9月 5.3兆円程度
2024年10から12月 4.9兆円程度
2025年1から3月 4.5兆円程度
2025年4から6月 4.1兆円程度
2025年7から9月 3.7兆円程度
2025年10から12月 3.3兆円程度
2026年1から3月 2.9兆円程度
  • (注)残存期間別等の1回当たりのオファー金額や日程等の予定については、従来同様、「長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定」で公表する。

(参考)

開催時間
  • 7月30日(火) 14:00から15:51
  • 7月31日(水) 9:00から12:49
出席委員
  • 議長 植田 和男(総裁)
  • 氷見野良三(副総裁)
  • 内田 眞一( 副総裁 )
  • 安達 誠司(審議委員)
  • 中村 豊明( 審議委員 )
  • 野口 旭 ( 審議委員 )
  • 中川 順子( 審議委員 )
  • 高田 創 ( 審議委員 )
  • 田村 直樹( 審議委員 )

上記のほか、

7月30日
  • 財務省 寺岡 光博 大臣官房総括審議官(14:00から15:51)
  • 内閣府 林 幸宏  内閣府審議官(14:00から15:51)
7月31日
  • 財務省 赤澤 亮正 財務副大臣(9:00から12:26、12:35から12:49)
  • 内閣府 井林 辰憲 内閣府副大臣(9:00から12:26、12:35から12:49)

が出席。

公表日時
  • 金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について
    ――7月31日(水)12:56
  • 経済・物価情勢の展望(基本的見解)――7月31日(水)12:56
  • 経済・物価情勢の展望(背景説明を含む全文)――8月1日(木)14:00 予定
  • 主な意見――8月8日(木)8:50予定
  • 議事要旨――9月26日(木)8:50予定

以上