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金融政策決定会合議事要旨

(1999年 4月22日開催分)*

  • 本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、99年6月14日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。

1999年 6月17日
日本銀行

開催要領

1.開催日時
99年4月22日(9:00〜12:17、13:11〜15:19)
2.場所
日本銀行本店
3.出席委員
  • 議長 速水 優(総裁)
  • 藤原作弥(副総裁)
  • 山口 泰(  副総裁  )
  • 後藤康夫(審議委員)
  • 武富 将(  審議委員  )
  • 三木利夫(  審議委員  )
  • 中原伸之(  審議委員  )
  • 篠塚英子(  審議委員  )
  • 植田和男(  審議委員  )
4.政府からの出席者
  • 経済企画庁 新保生二 調整局長(9:00〜15:19)

(執行部からの報告者)

  • 理事黒田 巌
  • 理事松島正之
  • 理事永田俊一
  • 金融市場局長山下 泉
  • 国際局長村上 堯
  • 調査統計局長村山昇作
  • 調査統計局早川英男
  • 企画室参事(企画第1課長)山本謙三

(事務局)

  • 政策委員会室長小池光一
  • 政策委員会室調査役飛田正太郎
  • 企画室調査役門間一夫
  • 企画室調査役栗原達司

I.前々回会合の議事要旨の承認

 前々回会合(3月25日)の議事要旨(グリーンペーパー)が全員一致で承認され、4月27日に公表することとされた。

II.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要

1.最近の金融市場調節の運営実績

 金融市場調節については、前回会合(4月9日)で決定された金融市場調節方針(より潤沢な資金供給を行い、無担保コールレート<オーバーナイト物>を、できるだけ低めに推移するよう促す。その際、短期金融市場に混乱の生じないよう、その機能の維持に十分配意しつつ、当初<注:2月12日の金融政策決定会合時点>0.15%前後を目指し、その後市場の状況を踏まえながら、徐々に一層の低下を促す。)にしたがって運営した。

 前回会合以降の短期金融市場は、日本銀行がこうした調節方針のもとで引き続き潤沢に資金を供給したことと、総裁が先日(4月13日)の記者会見で「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまではオーバーナイト・レートを事実上ゼロ%で推移させ、そのために必要な流動性を供給していく」と発言したことを受けて、一段と落ち着いた展開となった。オーバーナイト・レートの毎日の加重平均値は一貫して0.03%で推移している。また、最近では、日々のオーバーナイト取引の大部分が、日本銀行による定例オペの通告(通常9時20分頃)を待たずに約定されるようになっており、資金の運用サイド、調達サイドの双方とも、オーバーナイト・レート0.03%を、あたかも当然の前提として、日々の資金取引を行っているようにみえる。

 さらに、都銀など大手行では、いつでも市場から資金はとれるとの強い安心感から、所要準備を上回るリザーブ(超過準備)は引き続き保有しないとのスタンスを維持している。この結果、短資会社など、準備預金制度の非適用先の日本銀行当座預金口座に、資金が大量に滞留する傾向が続いている。

 前回会合以降の市場の動きの中では、次の3点が注目される。

 第1に、ターム物金利が一段と低下している。前述の総裁発言が、ゼロ金利の長期化予想を醸成し、こうしたターム物金利形成をもたらしている。第2に、コール市場残高の減少ピッチが緩やかになってきている。もっとも、一部の外銀では午後3時以降の取引が極端に細ることをアベイラビリティーの低下として憂慮しており、引き続き注意を要する。第3に、金利ゼロ%のもとで資金の運用サイドは、運用対象としてTB、FBに対する関心を高めている。このため、発行時における入札が過熱気味となっており(TB1年物入札応札倍率9.94倍<4月14日>、FB3か月物入札同7.49倍<4月21日>)、TB、FBの流通レートも低下している。

2.為替市場、海外金融経済情勢

(1)為替市場

 前回会合以降の為替市場での最大の特徴は、ユーロの軟化である。とくに対円で大きく軟化したため、円の対米ドル相場はやや強含みとなった。

 ユーロの軟化の背景としては、(1)今年1月にユーロがスタートした際の熱狂的なムードに対する反動が出ていること、(2)ドイツ、イタリアなどで景気が低迷し、財政面からの出動余地も限りがある(財政赤字の対名目GDP比が3%に近づいている)ため、ユーロエリア全体の景気下押し懸念が高まっていること、(3)ドイツの春闘が生産性を上回る賃上げで決着し、先行き雇用情勢が一段と厳しくなると予想されていること、といった要因が挙げられている。さらに、こうした基調的な経済金融情勢に加えて、最近のコソボ情勢の深刻化などもユーロの売り材料となっている。

 この間、円の対米ドル相場が強含んでいる要因としては、(1)米国サイドに、株価に対する高値警戒感や経常赤字の拡大懸念などがある一方、(2)日本サイドには、日本銀行による徹底した金融緩和、公的資本投入、抜本的な企業リストラ、さらには個人投資家の株式市場への回帰など、外人勢が日本株を買い増すための材料が揃ってきていることが挙げられる。もっとも、市場には、日本経済の回復の展望が拓けていないとの見方や介入警戒感もあって、円が一本調子で上昇すると見込む向きはほとんどみられない。

 このほか、東南アジアの通貨は、これら地域の経済情勢が徐々に安定を取り戻しつつあることを背景に、全般に強含みの展開となっている。中南米通貨については、ブラジル・レアルの対米ドル相場が、BIS(国際決済銀行)等による融資が実行されたこともあって堅調に推移している。

(2)海外金融経済情勢

 米国株価は、これまでの相場牽引役であったハイテク株が業績下振れ懸念から下落したが、機械・素材等の景気循環株や銀行・証券株が好決算などを材料に物色されているため、上伸を続けた。

 商品市況では、原油価格が堅調に推移している。この要因としては、供給面ではOPEC諸国の減産に対する意欲が強いこと、需要面では、アジア景気の底打ちに伴う世界的な需給改善期待や、コソボ情勢の深刻化などが挙げられる。

 なお、今般、IMF(国際通貨基金)が「World Economic Outlook(世界経済見通し)」を発表した。99年の各国の経済成長率をみると、米国が、拡大基調のもとで98年第4四半期に高成長となったことを映じて、昨年12月時点の見通しに比べ上方改定されたほか、NIEs、ASEANなどのアジア各国も、緩やかながら景気がボトムアウトに向かう姿が想定されている。一方、先行きの減速懸念が強まっているユーロエリア、自国通貨の下落に対して金利引き上げで対応した中南米諸国、さらには、98年第4四半期のマイナス成長を新たに織り込んだ日本などが、下方改定された。

3.国内金融経済情勢

(1)実体経済

 前回会合以降明らかになったいくつかの経済指標は、「景気は、足許、下げ止まりの様相を呈している」という前回の基調判断に沿った動きであった。

 3月の公共工事請負金額は、国・地方とも経済対策に関係する発注が集中し、2月に続いて大幅増加となった。4月以降はさすがに発注のテンポが鈍るものと見込まれるが、こうした公共投資の効果が実体経済に広く波及することが期待される。

 純輸出については、月々の振れや特殊要因を均してみれば、実質輸出、実質輸入とも、横這い圏内で推移している。米国向け輸出が堅調な一方、欧州向け輸出が減少気味である。また、東南アジアとの関係では、同地域の景気回復とともに、日本との間で部品・完成品のやり取りが再び活発になってきている。

 設備投資関連では、機械受注、建築着工床面積、および一般資本財出荷の1〜2月平均が、いずれも昨年10〜12月対比で増加しており、設備投資の大幅な減小テンポが幾分緩やかになった可能性があることを示唆している。内容を詳しくみると、金融システム不安の後退や資金繰りの緩和を背景に、これまで先送りされてきた中小・零細企業の情報化・事務合理化投資が出てきている可能性がある。

 家計支出のうち、個人消費関連をみると、基本的には一進一退の域にあるものの、3月の都内百貨店売上高が減少したことや、4月入り後の百貨店・チェーンストアの販売地合いも改善していないこと、さらには旅行取扱額が減少傾向を続けていることなど、全体としてやや弱い動きとなっている。一方、住宅投資関連では、3月の首都圏・新築マンション販売が大幅に増加した。マンションについては、在庫過剰感が残っていることから、ただちに着工の増加に繋がるとはみられないが、足許の販売在庫減少などの環境が整えば、今後、マンション着工の減少傾向に歯止めがかかる可能性が高い。

 地価については、3月末時点の6大都市の市街地価格指数の下落率が、商業地、住宅地いずれにおいても拡大した。ただし、住宅地については、直近では住宅販売の改善傾向を映じて下落テンポが鈍化しているとの指摘が多い。

(2)金融情勢

 金融市況は、短期金利が低位安定、長期金利が低下、株価は堅調という状況にある。

 短期金利について、ユーロ円金利を1か月毎に分解したインプライド・フォワード・レートでみると、8月スタート物までの各期間とも概ね0.16〜0.18%に収斂しており、流動性リスクプレミアムが引き続ききわめて縮小した状態にあることを示唆している。また、長期金利についても1年物インプライド・フォワード・レートに分解してみると、2月の金融緩和のあと3月初旬にかけての長期金利の低下は、主として短期ゾーンの金利低下によってもたらされたものであったが、最近の低下は、3〜6年先スタート程度の中期ゾーンにも金利低下が波及してきたことによるものであるように窺われる。資金運用サイドは、全般的な金利低下のなかで金利リスクや信用リスクに対するリスクテイクの姿勢を前傾化させているものとみられる。金融債や社債と、国債とのスプレッドも、わずかではあるが縮小しつつある。

 金融の量的指標をみると、民間銀行貸出の前年比マイナス幅は縮小している。一方、CPや社債等の資本市場調達は低迷している。

 企業の資金需要は、設備投資などの実体経済に伴う資金需要が低迷しているほか、資金調達環境の厳しさを意識した手許資金積み上げの動きも収まってきている。一方、銀行サイドは、これまでの貸出回収一本槍のスタンスを徐々に緩和させている。この結果、企業金融の逼迫感は引き続き和らいできている。

III.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要

(1)景気の現状と先行き

 景気の現状をみると、前回会合以降明らかになった経済指標は、「景気は、足許、下げ止まりの様相を呈している」というこれまでの判断に沿った動きであるということで、各委員の意見は概ね一致した。

 多くの委員からは、景気の下げ止まりを裏付ける材料として、3月の公共投資の発注が2月に引き続いて高水準であったことや、マンションの販売動向など住宅投資を巡る動きが持ち直しつつあること、などの指摘があった。また、このうちの複数の委員は、これまで大幅に減少してきた設備投資について、機械受注などの先行指標が幾分持ち直していることに注目し、金融緩和などによって企業金融を巡る環境が改善しつつあることのひとつの現われではないかと発言した。

 もっとも、これらの各委員は同時に、設備投資の先行指標が持ち直しつつあるとは言え、これまでの減少基調に歯止めがかかったとは判断できないとも述べた。また、個人消費についても、都内百貨店売上高や最近のミクロ情報を踏まえると、その動きがやや弱くなっていることが窺われるとして、民間経済動向は引き続き弱いままであるとの認識が示された。

 こうした認識を踏まえて、複数の委員は、足許の経済情勢は、需要項目別、業種別、さらには企業別など、多くの側面でプラス材料とマイナス材料が交錯している段階にあるとの見解を明らかにした。

 景気の先行きについても、民間経済の弱い動きなどを踏まえ、景気回復の展望は依然不明確であるとする前回会合における判断が踏襲された。

 ひとりの委員は、今後のポイントは、本年度後半以降、財政面からの景気下支え効果が減衰してきた際に民間需要の拡大にうまくスイッチできるかどうかであるが、この点については、これまでの民間サイドの動きを踏まえると、なお展望が得られていない、との立場をとった。そのうえで、その委員は、具体的な注目点として、(1)現在の公共投資や住宅投資による需要増加によって、生産面や雇用・所得面に多少なりとも明るい動きがもたらされるかどうか、(2)昨年来の日本銀行や政府による施策と金融市場の状況などを背景に金融機関の融資姿勢が前向きとなっているが、これによって、これまで資金面の制約から設備投資などを先送りしていた中小・零細企業レベルでの動きがどのように変化するか、またそれは、景気回復に向けた足がかりとなるかどうか、といった点を挙げた。

 別の委員は、価格の下落は企業経営や企業決算にとって大きなマイナスのインパクトをもたらすものであり、企業経営者にとっては、物価の下落基調に歯止めがかかる兆しが見えないと、前向きの投資マインドや景気の回復感が出てこないと指摘した。そうした観点から、その委員は、今後の関心事項として、(1)在庫調整をこなしながら、生産水準がどの程度まで回復するのかという量のレベル感とともに、(2)アジアの景気回復の動きを受けて国際的な素材市況が持ち直しつつある中で、これが国内素材市況にどのように波及していくのかという価格のレベル感の回復状況も重要であると発言した。

 何人かの委員は、今後の景気見通しとの関連で、構造調整の必要性とそれが経済に及ぼすインパクトについて言及した。いずれの委員も、日本経済にとっての「負の遺産」である過剰な設備、雇用、および債務を削減することが必要であるとの立場を採り、このうちのひとりの委員からは、各企業の資源を戦略的分野に重点的に配分することと、それに基づく新技術や新商品開発によって新たな需要を喚起していくこと、そして新しい産業を育成していくことなどの必要性が付け加えられた。また、それらの委員は、構造調整に向けた取り組みが短期的には経済に対して下押し圧力をもたらすことについて、政府による雇用面のセーフティ・ネットの整備や日本銀行による現在の金融緩和の継続によって、そうした痛みを和らげるなど、財政政策、金融政策そして民間部門の自助努力が相互に補い合いながら構造調整に取り組んでいくことが必要であるとの認識を示した。とりわけひとりの委員からは、昨年秋の緊急経済対策の際には、雇用対策として1兆円程度の事業規模が盛り込まれ、それがかつてない大規模なものと言われたが、その程度の金額では現在必要とされている雇用調整には十分に対応できないのではないか、との見解が示された。

 これとは別のある委員からは、きわめて厳しい景気認識が示された。その委員は、そうした認識の背景として、(1)足許の設備投資関連指標の持ち直しには、一時的、統計的な特殊要因が寄与した面が少なくなく、現段階では設備投資が回復基調に入ったとは判断できない、(2)個人消費については、消費性向が最低を更新しており(2月家計調査ベース)、4月入り後の自動車販売も伸び悩んでいる、(3)昨年欧州向けを中心に伸びた輸出も今年は横這い圏内の動きとなっている、さらには、(4)底値から反発してきた原油価格は、産油国の協調体制が今後も維持されれば、1バレルあたり20ドル程度まで一段と上昇する可能性がある、などの点を列挙した。それとともに、その委員は、(1)足許、株式市場などにみられる一種の安堵感が、企業のリストラに対する取り組みを弱める惧れがある、(2)そもそも、そうした安堵感は、原油価格の上昇、米国株価の大幅下落、あるいはコソボ情勢の深刻化などによって、一気に解消してしまう惧れがあるような脆弱なものである、といった見方を付け加えた。

(2)金融面の動き

 金融面では、多くの委員から、金融資本市場における明るい動きは足許の景気の下支えに寄与しているが、前述のとおり、これが今後どの程度持続し、実体経済に対してどのようなインパクトを及ぼしていくのかが注目点である、との見解がほぼ一致して示された。

 まず、金融市況については、何人かの委員から、(1)短期金融市場では、オーバーナイト金利ゼロ%のもとで、資金調達に対する警戒感が後退し、流動性リスクプレミアムが鎮静化した状態にあること、(2)債券市場では、価格変動リスクをとって長期国債を購入したり、ある程度の信用リスクをとって中期の社債や利金債の購入を進める動きが広まっていること、さらに(3)株価は、企業の経営合理化策の発表などを背景に、企業収益を巡る先行き不透明感がある程度薄らいだこともあって堅調に推移していること、などについて言及があった。

 また、別のひとりの委員は、企業金融面では資金は潤沢に確保されており、金融緩和効果は十二分に浸透しているとの認識を述べたうえで、社債と国債のスプレッドや、CPとTBのスプレッドが縮小してきていることに注目した。その委員は、こうした動きからは、単に信用リスクに対する警戒感が後退していることのみならず、銀行の融資姿勢が前傾化する中で、企業は、資本市場調達に依存せずとも、銀行借入によって順便に資金を調達できるようになっていることが窺われる、との見方を示した。

 以上のような認識のもとで、多くの委員からは、市場参加者がリスクテイクに対して一頃に比べて再び前向きになってきており、市場におけるリスクプレミアムも明確に低下してきているとの判断が明らかにされた。

 こうした全般的な判断の中にあって、個別の金融市況については、様々な意見が示された。

 まず、何人かの委員が、長期金利に関し、昨年末からの上昇を経たあと、ここにきて一段と低下している要因や、今後の展望などについての整理をあらためて試みた。

 ひとりの委員は、昨年暮れから2月にかけての金利上昇と、その後最近に至るまでの低下をもたらした要因について、一応の解釈を示した。その委員は、まず中長期の期待成長率や期待インフレ率を長期金利の変動要因とするオーソドックスな考え方について、これらは数か月の間に大きく振れるようなものではないため、この間の説明要因にはなりにくいとの判断を示した。そのうえで、昨年来の長期金利の変動にはリスクプレミアムの変化の方が強く影響したと考えられるが、その場合でも、さらにそうしたリスクプレミアムの変動をもたらした要因が何であったかということになると、なかなか決め手に乏しいとした。しかし、あえて述べれば、第1に、公的資本投入の決定を機に、金融機関のリスクテイク能力やリスクテイクに対する姿勢が変化して、前向きなものに変わったこと、第2に、オーバーナイト金利をゼロ%まで誘導したこと、などが長期債保有にかかわるリスクプレミアムの低下につながった面があるのではないかとの指摘を行った。

 別の委員は、今後は、需要創出のための公共投資だけではなく、前述のとおり、雇用面でのセーフティ・ネット整備など、構造改革の痛みを和らげるための様々な財政支出が考えられるが、こうした財政支出の増加が単純に長期金利上昇に結びつく訳ではない、との見方を示した。その根拠として、その委員は、昨年の国債の格付け引き下げやその後の長期金利の上昇は、単なる財政赤字拡大懸念というよりも、財政支出が従来型の公共投資偏重パターンを続け、構造改革を必要とする経済の実情に合わなくなっていることが、将来の財政の姿に関する不安感の強まりにつながった面が大きかったのではないか、との見解を述べた。

 堅調な動きを続ける株価については、一部の委員から慎重な見方も示された。

 ひとりの委員は、企業のリストラ努力を好感した外人勢の日本株買いが株式相場を支えている現状は、97年に「財政構造改革元年」として消費税率引き上げや特別減税の廃止などが実施され、これが海外勢に評価されて株価も上昇した状況と似ていると発言した。そのうえで、97年の場合は、その後の景気失速や金融システム不安の深刻化を受けて、外人勢が一転して売りに回ったことが株価下落の大きな要因になっただけに、今回も企業のリストラが所期の効果をもたらさないようなことになると、株価は不安定化する危険性があるとの懸念を示した。

 このほか、円相場に関しては、ユーロの軟化を受けて円高気味の展開になっていることの評価について、いくつかの意見が示された。

 ひとりの委員は、これには日本の景気に対する再評価が盛り込まれているとの見解を述べ、別の委員は、現状程度の円相場の強含みは企業の景況感にさほど影響を及ぼさないのではないかとの立場をとった。もっとも、前者の委員は、デフレ懸念の払拭に取り組んでいる日本経済においては、円高が輸出企業などに及ぼす減益圧力を無視できない、との考えを述べた。また、ほかの委員からも、ユーロの弱さが円に対して上昇圧力を及ぼしていることについて、警戒すべき材料としてみておく必要があるとの趣旨の発言があった。

 この間、景気の先行きをとくに厳しくみる委員は、量的緩和の重要性を主張しつつ、長期金利の低下や株価の堅調は日銀による量的緩和への期待が支えているとする一方、為替相場の円高方向への動きは量的緩和への期待が剥げたことが影響しているとの見解を述べた。そのうえで、その委員は、為替相場については、日本の経常黒字の規模にほぼ見合っていた海外向けの資本の流れが鈍ってきていることや、米国貿易赤字の拡大と保護主義的な動きの強まりなど、先行きに向けては円高要因が徐々に優勢になっているとの懸念を明らかにした。

 金融の量的側面については、ひとりの委員から、これまでの金融状況を前提とすると、今後景気回復の動きが広がっても、マネタリーベースやマネーサプライといった量的金融指標が必ず増加するとは限らないとの指摘があった。すなわち、景気回復局面では、通常、経済の動きとともに資金需要が活発になり、量的金融指標も増加するが、今回の場合は、これまで金融システム不安などを背景に積み上げられてきた企業の手許資金が圧縮されたり、預金からリスクの高いマネー対象外資産へと資金がシフトするなど、これらの指標が減少する可能性も十分にありうるとの見方を述べた。さらにその委員は、企業に対する資金供給方法(銀行貸出と資本市場調達のいずれによるかなど)も量的金融指標の動きを規定するとして、90年代前半に米国経済がバランスシート問題を克服して回復に向かった際には、資本市場調達が中心になった結果としてマネーサプライの伸びが高まらなかった事例を紹介した。

IV.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要

 以上のような金融経済情勢を踏まえて、当面の金融政策運営の基本的な考え方が検討された。

 多くの委員の金融経済情勢に関する認識は、(1)景気は、足許下げ止まりの様相を呈しているが、民間経済の動きは引き続き弱く、先行きの回復の展望は依然明確でない、(2)そうしたもとで、現在の金融政策は金融資本市場に十分な緩和効果をもたらしており、今後も実体経済によい方向での効果を及ぼしていくことが期待される、といったものであった。

 また、金融政策運営の方法については、複数の委員から、現在、金利に軸足を置いた手法を採っていることが市場にも広く理解されるようになっているとの指摘があった。

 こうした認識を踏まえて、会合では、金融政策運営について、現在の金融市場調節方針を維持することが適当であるとの見解が大勢を占めた。このうちの何人かの委員は、前回会合の議論を経て、現状は「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで、オーバーナイト金利ゼロ%を維持している」局面にあるとしたうえで、金融経済情勢の様子をよくみていくことが必要であることを確認した。

 しかし、少数ながら、これとは異なる2つの主張がみられた。

 まず第1に、ひとりの委員は、4〜6月の経済活動は公共投資や住宅投資によって活発化するとみているが、7〜9月以降早期に失速する懸念があるため、中期的な物価上昇率に関する目標を設定したうえで、量的ターゲットへの移行を早期に行うことを主張した。こうした判断の背景として、その委員は、(1)オーバーナイト金利が実質ゼロ%まで低下し、金利政策としての自由度がなくなっている以上、量的ターゲットを導入して政策運営上のフリーハンドを取り戻す必要があること、(2)金融市場の好ましい動きを支えるためにも量的ターゲットによる金融緩和期待を保つことが必要だが、マネタリーベースの前年比4〜5%の伸びが金融緩和としては不十分であることは、テイラー・ルール——GDPギャップの推計値とインフレ率に適宜のウェイト付けを施し、それに対応する政策変数の水準を試算する算式——によって確認できるし、その低い伸びが市場の緩和期待を萎ませる惧れもあること、(3)これまでマネーサプライの伸びが高くならなかったことも経済成長に何がしかの制約となっていたとみられること、(4)量的ターゲットは短期金利の乱高下を招きやすいとの批判があるが、低水準にある金利が少々乱高下しても経済に対する影響度合いは小さいほか、万が一、信用不安等に基づく資金需要の増大から市場に混乱が生じるような場合には、日銀貸出を受動的に実施していけば対応可能であること、などを縷々挙げて説明した。

 その一方、この意見に対しては、いくつかの異論が示された。

 ある委員からは、現在の金融市場調節方針によって、市場機能の維持に配慮するというある種のフレキシビリティーを保ちながら、必要にして十分なリザーブがきっちりと供給されており、金利に関するディレクティブのもとで、それと整合的な潤沢な資金量がすでに市場で確保されているとの指摘があった。その委員は、さらに続けて、こうした金融市場調節のもとで金融市場の安定がもたらされていることを踏まえると、当面は、現行の調節方針を維持することが適当であると主張した。

 また、別の委員も、(1)現状の政策で十分な金融緩和効果が出ていることを踏まえ、(2)世間では、量的緩和論が、定義不明確のまま、すぐにでも実施されうるような誤解を与えながらひとり歩きし、一部に過度な金融緩和期待が生じているのではないか、との懸念を示した。そして、これまでも議論されてきたように、現在は量的ターゲットには多くの技術的、実務的な難しさがあること等を挙げて、量的ターゲットの設定には反対の立場をとった。さらに、その委員は、こうした政策手法を考える場合の手順として、まずは、現在が追加的な緩和措置が必要な情勢かどうかを徹底的に討議すべきであり、大勢の意見として現状の政策で緩和効果が出ていると判断されるのであれば、今はそれ以上、不確定な手段についての議論に踏み込むべきではないとの趣旨を強調した。

 量的ターゲットによる金融緩和を主張する委員は、これらの意見のうち、量的緩和論が世間に誤解を与えながらひとり歩きをしているとの指摘について、(1)その委員自身も会合で量的緩和について具体的な提案を示し、その詳細はすでに議事要旨で明らかになっていることや、(2)市場参加者も金融政策運営の手法などについて様々な情報をもっていることを挙げて、そのような指摘は当らないとの反論を展開した。

 また第2に、別のひとりの委員は、現行の金融政策運営の枠組みのもとで、金融市場調節の目標として、オーバーナイト金利0.03%を明記するよう、ディレクティブを書き替えるべきであるとの意見を述べた。その委員は、まず現時点での認識として、(1)超低金利政策には基本的に反対であるが、(2)市場機能の維持に配慮しながら金利低下を促してきた結果として、オーバーナイト金利0.03%前後が事実上の下限であるとの合意が得られつつあり、日本銀行のスタンスは市場で評価されている、といった諸点を挙げた。そうした認識を踏まえて、将来ゼロ金利が修正される場合、それは金利の引き上げしかありえないと考えるが、現在のディレクティブは、金融緩和方向へのバイアスを匂わせるものとなっているため、オーバーナイト金利0.03%をターゲットとして明記し、量的緩和論を含めた市場における一段の金融緩和期待を排除することが適当である、との考えを披瀝した。

 これについても、いくつかの意見があった。

 ある委員は、事実認識として、現在のディレクティブはあくまでも次回会合までの指示文であり、先行きの政策運営の方向性に関しては何のインプリケーションも有していないことを念押しした。この点については多くの委員から同意が示された。

 また、金融政策運営のわかりやすさという観点に限定して言えば、具体的な金利水準をターゲットとして明記しておくことには相応の意味があるとの趣旨のコメントもあったが、そうした意見を述べた委員も含め、何人かの委員からは、(1)ディレクティブをあえて書き替えると、何らかの政策変更が生じたとの誤解を与える可能性が強い、(2)2月の段階ではオーバーナイト金利をどこまで引き下げられるのかがわからなかったため金利水準を明記しなかったが、そうしなかったことによって、現状で支障が生じているとはみられない、といった意見がいくつか示された。

 さらに、ほかのもうひとりの委員からは、オーバーナイト金利のターゲットを単に0.03%とすることは、将来の金利変化の方向性についてのインプリケーションが全く込められていないことになるが、これを提案した委員が、将来の金利上昇を提案の前提に置いているのであれば、現在の0.03%がターゲットの下限であるような書き振りとする必要があるのではないか、と指摘した。

 次に、日々の金融調節に関係して、ある委員から、日本銀行が潤沢な資金供給を継続するもとで、資金の一部が短資会社などの準備預金制度非適用先に滞留しているが、この点を、金融緩和効果の浸透や、資金の流れの観点からはどのように整理すればよいか、との問題提起があった。

 まず、問題提起を行った委員を含めた何人かの委員は、資金の一部が準備預金制度の非適用先に滞留している点について、現象面から言えば、大手の市場参加者が一定以上の余剰資金を保有しようとしないスタンスを維持するもとで、短資会社などが顧客との取引関係の維持を狙って、幾分かのコストを負担しながら資金を抱え込んでいるものであるとした。そのうえで、一部に、準備預金制度非適用先への資金の滞留によって金融緩和効果がその分だけ「空回り」しているとの報道があるが、そうした大量の資金供給を行わなければ事実上のゼロ金利が実現できなかったという意味で、その資金は相応の役割を果たしてきていると考えるべきではないか、との指摘があった。

 次に本件を問題提起した委員は、現在のような潤沢な資金供給が続くもとで、短資会社などに滞留している資金は実体経済に何らかの働きかけをすることになるのか、あるいは、さらに進んで資産取引のようなものに向かうのか、といった疑問を呈した。その委員は、ひとつの仮説として、例えば短資会社としてもコスト負担などを鑑みると、こうした資金をいくらでも抱えることができる訳ではないため、その場合には準備預金制度が適用される金融機関(以下「準備預金対象行」と言う。)に滞留して貸出に振り向けられたり(=信用創造の一部を担う)、投信等に滞留し、証券市場に振り向けられる可能性があるかどうかがポイントであるとした。しかし、これについては、別のある委員から、現在超過準備を持とうとしない都銀などにしても、どうしても抱えなければならない状況になった場合は、金利ゼロで超過準備として積み上げることを選択する公算も大きく、したがって、そうした資金がストレートに貸出や証券投資に振り向けられるとは考えにくいのではないか、との意見が述べられた。

 以上に関連するもうひとつの論点として、何人かの委員から、準備預金制度非適用先に大量の資金が滞留している状況では、日々の金利形成と、資金需給や朝方公表される積み上金額(翌営業日以降積み最終日までの間に積まなければならない一日当りの準備預金額<残り所要額>と比べて、当日の準備預金残高が上回っている分)との関係が、わかりにくくなっているとの指摘があった。また、これとは別に、ひとりの委員からは、準備預金対象行の超過準備額と、準備預金制度非適用先に滞留する資金との比率は、おおむね1対1.5の比率で安定しているようにもみえるとの発言もあった。

 このうち、金利と資金需給などとの関係がわかりにくいと指摘した複数の委員は、日々のオーバーナイト金利形成に影響力を有しているのは、現時点では、日銀当座預金全体の金額や準備預金対象行の超過準備額ではなく、毎朝アナウンスされる積み上金額であるとの見方を述べた。そのうえで、それにしても、短資口座に資金が大量に漏出するため、朝方の積み上金額の予想と一日の最終時点(通常午後5時、準備預金制度上の準備預金を確定し、計算する時点)での積み上金額実績が著しく乖離するようになっているため、これまで同様に市場との対話が円滑にいくかどうか懸念されるとの発言を行った。この点は、金融市場調節の透明性にかかわる事柄でもあるので、日々の準備預金残高だけでなく、準備預金制度非適用先も含めた、日々の当座預金残高を公表するなどの工夫を検討すべきとの指示が、何人かの委員から執行部に対して行われた。

V.政府からの出席者の発言

 会合の中では、経済企画庁からの出席者から、以下のような趣旨の発言があった。

  • 経済の現状認識は、政府と日銀との間に大きな違いはない。すなわち、総合経済対策、緊急経済対策の効果に加えて、公的資本の投入や日本銀行の金融政策の転換がかなりの効果を発揮していることもあって、下げ止まってきている。また最近では、日銀短観や本日(4月22日)発表の消費者態度指数が示すように、企業や家計のマインドが相当改善している。ただ現段階は、マインドの改善が先行している感があり、実体経済については、GDPギャップの拡大が止まらず、設備投資の回復も当分は展望しえないなど、その動きが遅れ気味である。
    足許の公共投資の増加は昨年度第1次補正予算の効果が顕現化したものであり、緊急経済対策を盛り込んだ第3次補正予算分の発注は4月以降になると見込まれる。このため、執行は今年度下期に相当ずれ込み、先行きについて言われているほどの公共投資の急速な落ち込みはないのではないかとみている。
  • 現在政府では、緊急経済対策のフォローアップに取り組んでおり、近々公表の予定である。政府としては、みずからの対策の執行状況をしっかりとチェックすることが必要と考えているが、金融政策についても、現在の金融政策の効果を十分みきわめるとともに、自律的な経済回復が明らかになるまで、適切な金融調節の手法により潤沢な資金供給を行い、引き続き日本経済の回復に貢献する金融政策を行っていくことをお願いしたい。

VI.採決

 多くの委員の認識をあらためて総括すると、(1)前回会合以降の経済指標は、「景気は、足許下げ止まりの様相を呈しているが、民間経済の動きは引き続き弱く、先行き回復していく展望は依然として不明確なままである」という、これまでの判断に沿ったものである、(2)現在の金融政策は金融資本市場に十分な緩和効果をもたらしており、今後もそれらが実体経済に対してよい方向での効果を及ぼしていくことが期待される、(3)このように現状は「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで、オーバーナイト金利ゼロ%を維持している」局面にあり、金融経済情勢の様子をよくみていくことが必要である、(4)さらに、金融政策運営の方法については、日本銀行が金利に軸足を置いた手法を採っていることが広く理解されるようになっている、というものであった。

 こうした認識を背景に、当面は、引き続き市場機能の維持に配意しながら、これまでの金融市場調節方針を維持することが適当であるという意見が大勢を占めた。

 ただし、ひとりの委員からは、本格的な量的ターゲットに踏み切り、一段の金融緩和を実施することが適当との考えが示された。また、別の委員からは、現在のディレクティブは将来の政策の方向性について、金融緩和方向へのバイアスが強すぎるため、この際、現行の金融政策運営の枠組みのもとで、金利ターゲットを明確にするようなディレクティブに書き替えて、こうしたバイアスをなくすことが適当であるとの意見が示された。

 この結果、次の3つの議案が採決に付されることとなった。

 中原委員からは、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、「中期的目標としてCPI(除く生鮮)の前年比が1%程度となること(2000年10〜12月平均の対前年同期比:0.5〜2%)を企図して、超過準備額を今積み期間(4月16日〜5月15日)について前積み期間対比で平残ベース5,000億円程度増額し、その後も継続的に超過準備額を増加させることにより、本年第4四半期(10〜12月)のマネタリーベースの前年比(四半期平均対前年同期比)が10%程度に上昇するよう量的緩和(マネタリーベースの拡大)を図る。」との議案が提出された。

 採決の結果、反対多数で否決された(賛成1、反対8)。

 篠塚委員からは、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.03%前後で推移するよう促す。なお、金融市場の安定を維持するうえで必要と判断されるような場合には、上記のコールレート誘導目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。」との議案が提出された。

 採決の結果、反対多数で否決された(賛成1、反対7、棄権1)。

 議長からは、会合における多数意見をとりまとめるかたちで、以下の議案が提出された。

議案(議長案)

 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとし、別添のとおり公表すること。

 より潤沢な資金供給を行い、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、できるだけ低めに推移するよう促す。

 その際、短期金融市場に混乱の生じないよう、その機能の維持に十分配意しつつ、当初(注)0.15%前後を目指し、その後市場の状況を踏まえながら、徐々に一層の低下を促す。

  • (注)「当初」とは、2月12日金融政策決定会合時点。

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、後藤委員、武富委員、三木委員、植田委員
  • 反対:中原委員、篠塚委員

 中原委員は、(1)2月12日の金融緩和策は予想以上の効果をもたらしたが、そのモメンタムを維持、発展させることによって、実体経済が失速したり、あるいは、一層の金融緩和に追い込まれることのないようにする必要があること、(2)現在金融緩和効果が現れているひとつの理由はマネタリーベースの増加であるが、今後、市場参加者に日本銀行の断固たる緩和姿勢が浸透するにつれて、必要とされる日銀の資金供給額やマネタリーベースが減少すると、かえって金融市況などにマイナスの影響を及ぼすことが危惧されること、(3)金利政策としての追加余地がない点を強調しすぎることによっても金利は反転し、これまで積み上がってきた金融緩和効果が消滅してしまう惧れがあること、などを理由に挙げて、上記採決において反対した。

 篠塚委員は、(1)現在のゼロ金利政策は、実体経済に明確なプラスの効果をもたらしておらず、この状況は長期化する様相を呈している、その一方、(2)金融市場は安定した動きを続けており、もし将来の政策変更の方向性──金利引き上げ方向──を念頭に置くのであれば、この局面をとらえてゼロ金利からの脱却への布石を打つことが最適であると判断したため、現行のディレクティブを継続することには反対である、と発言した。

以上


(別添)
平成11年 4月22日
日本銀行

当面の金融政策運営について

 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、当面の金融政策運営について現状維持とすることを決定した(賛成多数)。

 すなわち、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下の通りである。

 より潤沢な資金供給を行い、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、できるだけ低めに推移するよう促す。

 その際、短期金融市場に混乱の生じないよう、その機能の維持に十分配意しつつ、当初(注)0.15%前後を目指し、その後市場の状況を踏まえながら、徐々に一層の低下を促す。

  • (注)「当初」とは、2月12日金融政策決定会合時点。

以上