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金融政策決定会合議事要旨

(2002年12月16、17日開催分) *

  • 本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2003年1月21、22日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。

2003年 1月27日
日本銀行

(開催要領)

1.開催日時
2002年12月16日(14:00〜15:32)
2002年12月17日( 9:01〜13:14)
2.場所
日本銀行本店
3.出席委員
  • 議長 速水 優 (総裁)
  • 藤原作弥 (副総裁)
  • 山口 泰 (  副総裁  )
  • 植田和男 (審議委員)
  • 田谷禎三 (  審議委員  )
  • 須田美矢子(  審議委員  )
  • 中原 眞 (  審議委員  )
  • 春 英彦 (  審議委員  )
  • 福間年勝 (  審議委員  )
4.政府からの出席者
  • 財務省 藤井 秀人 大臣官房総括審議官(16日)
    谷口 隆義 財務副大臣(17日)
  • 内閣府 小林 勇造 内閣府審議官(16日、17日9:01〜10:57)
    竹中 平蔵 経済財政政策担当大臣(17日10:58〜12:42)

(執行部からの報告者)

  • 理事永田俊一
  • 理事白川方明
  • 企画室審議役山口廣秀
  • 企画室参事役和田哲郎
  • 企画室企画第1課長櫛田誠希
  • 金融市場局長山本謙三
  • 調査統計局長早川英男
  • 調査統計局企画役門間一夫
  • 国際局長堀井昭成

(事務局)

  • 政策委員会室長橋本泰久
  • 政策委員会室審議役中山泰男
  • 企画室企画第2課長吉岡伸泰(17日9:01〜9:31)
  • 金融市場局金融市場課長大澤 真(17日9:01〜9:31)
  • 政策委員会室調査役斧渕裕史
  • 企画室調査役山岡浩巳
  • 企画室調査役清水誠一

I.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要

1.最近の金融市場調節の運営実績

 金融市場調節については、前回会合(11月18、19日)で決定された方針1のもとで、目標レンジのできるだけ高い水準を目指して運営した。前回会合以降、当座預金残高を徐々に引き上げた結果、11月最終週には概ね20兆円程度に達し、その後も同水準を維持する調節を続けた。

 こうした調節のもとで、無担保コールレート翌日物(加重平均値)は、引き続き0.001〜0.002%で推移した。

  1. 「日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。」

2.金融・為替市場動向

 短期金融市場では、日本銀行による一層潤沢な資金供給のもとで、足許の資金余剰感は極めて強い状態にある。日銀当座預金保有状況をみると、都長銀、外銀、短資の増加が目立っている。他方、ターム物金利は、銀行株価の低迷を背景に神経質な地合いが続く中で、手形買入オペの落札金利上昇を受けて一時的に強含んだ。もっとも、12月入り後は、一部の都銀が保有短期国債の売却等により一段と余裕のある資金繰りを行っていることや、地銀や投信などの資金の出し手が長めの資金放出に動き出したことを反映して、市場のターム物金利および日銀のオペの落札金利ともに、全般的に緩やかに低下した。市場では、年末を波乱なく越えることができるとの見方が多い。

 株式市場では、日経平均株価は一時9,200円台まで回復したが、その後は反落し、足許では8,500円前後の水準で推移している。

 債券市場をみると、10年国債、5年国債の流通利回りは、それぞれ1.0%、0.3%を挟んで一進一退の展開となった。銀行や機関投資家の国債購入意欲は根強い。社債流通利回りの対国債スプレッドは、概ね横這い圏内で推移した。ただ、銀行債の対国債スプレッドや、クレジット・デフォルト・スワップ市場における邦銀に対するリスク・プレミアムは、個別銘柄間でばらつきがみられており、邦銀の信用リスクに対する警戒感が窺われる。

 円の対ドル相場は、米国景気指標が一部改善を示したことに加え、本邦当局の為替相場に対する姿勢を巡る思惑が強まったことから、一時、125円台後半まで下落した。もっとも、米国財務長官の辞任をきっかけとする思惑の台頭や国際政治情勢を巡る動きを映じて、足許では120〜121円台に上昇している。この間、ユーロの対ドル相場はほぼ3年振りの高い水準となっている。

3.海外金融経済情勢

 米国景気をみると、個人消費や設備投資といった最終需要に関する指標は、小売売上高や自動車販売、非国防資本財受注などが幾分改善した。しかし、生産の回復が足踏み傾向にあるほか、雇用面では、民間非農業部門雇用者数の減少や失業率の上昇が目立っており、循環的な景気拡大テンポは鈍化している。もっとも、在庫が低い水準にあること等を踏まえると、直ちに在庫調整のための生産減退を懸念するような状況ではないと考えられる。

 米国金融市場では、実体経済指標の明暗が入り交じる中、長期金利、株価は、いずれも、11月末にかけて上昇したが、12月入り後は、長期金利が再び低下し、株価も軟調に推移している。FF先物金利等から市場の金利観をみると、当面、政策金利は据え置かれるとの見方が大勢となっている。企業金融に関連して、社債発行が前月比小幅増加となったほか、社債の対米国債スプレッドが縮小傾向にあるなど、投資家のリスク回避指向が幾分和らいだ様子が窺われる。

 ユーロエリアをみると、内需が低調に推移するもとで、輸出にも鈍化の兆しがみられており、景気は再び減速する惧れが強まっている。欧州金融市場では、長期金利はほぼ横這いで推移した。株価は、11月末にかけて一旦上昇したが、12月入り後は、米国株価の下落等を材料に下落した。ユーロ先物金利の動きから市場の先行きの金利観をみると、12月5日のECBの利下げにもかかわらず、足許では、一段の利下げ観測が窺われる。

 NIEs、ASEAN諸国では、輸出の増勢がやや鈍化する動きがみられるが、個人消費や設備投資など内需が底固く推移していることから、景気は引き続き回復基調にある。国別にみると、中国は内外需ともに好調を持続しているほか、韓国でも、内需が高めの伸びを続けている。一方、台湾、シンガポール等では、輸出の増勢鈍化を背景に、生産が頭打ち傾向にある。

 エマージング金融市場では、既往の欧米株価の上昇から海外投資家のリスク回避指向が幾分緩和するもとで、このところ資金流入が続いており、エマージング国債の対米国債スプレッドは縮小している。

 この間、民間調査機関による2003年の海外経済見通しをみると、米国については、3か月前の調査に比べて下方修正されているが、引き続き、2003年後半には3%台後半の成長に復帰するとの予想となっている。一方、ユーロエリアについては、比較的大きな下方修正が行われた。また、東アジアは、幾分下方修正されたが、それでも全体として堅調な成長が予想されている。

4.国内金融経済情勢

(1)実体経済

 輸出をみると、このところ横這いの動きとなっている。財別では、資本財・部品が東アジア向けを中心に増加しているものの、情報関連の伸びがゼロ近傍にまで低下しているほか、中国による鉄鋼輸入セーフガードや米国西海岸の港湾封鎖の影響もあって、これまで増加してきた中間財や自動車関連が減少に転じている。先行き、世界的な情報関連需要は、回復力がかなり弱いとみられ、輸出は全体として、横這い圏内の動きとなる可能性が高い。この間、輸入についても、先行きは、国内需要や生産動向を反映して、基調的には横這い圏内で推移すると考えられる。

 企業収益は、12月短観、民間調査いずれにおいても、今年度を通してほぼ予想通りの増益となる見通しである。こうした中で、企業の業況判断も、足許まで改善しているが、先行きについての見方は慎重なものとなっている。

 注目された企業金融に関して12月短観をみると、資金繰り判断には大きな変化がみられなかった。金融機関の貸出態度判断については、中小企業が横這いであった一方、大企業ではむしろ若干悪化しており、一部の過剰債務業種に不良債権処理加速の影響が及んでいる可能性が窺われる。

 設備投資は、企業収益の改善等を背景に、ほぼ下げ止まっているが、収益の改善が比較的明確な製造業・大企業の弱さが示すように、回復への動きは確認できていない。中小企業については、企業金融面からの下押し圧力が懸念されたが、短観では、まずまずの上方修正となった。

 生産は、2002年7〜9月期に増勢が鈍化した後、足許はほぼ横這いの推移となっている。先行き、2003年1〜3月期にかけては、米国クリスマス商戦の帰趨に影響される可能性もあるが、横這い圏内の動きとなる見通しである。在庫面をみると、在庫調整は一巡しており、在庫水準は低い状態で推移している。

 個人消費について、各種販売統計をみると、指標の振れやばらつきはあるが、総じてみれば、個人消費の基調に大きな変化はなく、所得対比で引き続き底固いとは言え、弱めの動きを続けている。消費者コンフィデンスは、一頃に比べて幾分持ち直し、横這いでの動きとなっているが、今後、再び悪化しないか、注意が必要である。

 雇用面をみると、10月の失業率は5.5%と既往ピーク水準となったが、大勢としてはここ数か月ほぼ横這い圏内の動きと言える。新規求人は夏以降増勢が鈍化しているほか、有効求人倍率は、改善ペースが緩やかになっている。賃金については、所定内給与の減少が続くとみられるほか、冬季賞与も、夏季ほどではないにせよ、かなり減少する可能性が高い。

 物価面をみると、輸入物価は、夏から秋にかけての原油価格の上昇や円安などを反映して、上昇している。国内卸売物価は、輸入物価の上昇や素材業種における需給改善を受けて、強含んでいる。12月分から国内卸売物価に替えて公表される国内企業物価は、情報関連財のウエイト上昇等もあって、当面、横這い圏内で推移する可能性が高い。消費者物価は、当面、現状程度の緩やかな下落傾向を辿るものと考えられる。

 この間、国内需給環境について12月短観をみると、製商品・サービス需給判断は、在庫調整の一巡を受けて改善が続いていたが、足許、そうした動きが一服している。

(2)金融環境

 民間総資金調達は、引き続き減少傾向を辿っている。11月の銀行貸出は、マイナス幅が若干縮小した。これは、不良債権処理加速の影響など金融環境に先行き不透明感がある中で、企業が必要資金を前倒し調達する動きが部分的に影響した可能性もあり、今後の動向を注視する必要がある。

 11月のマネタリーベースは、10月30日の追加緩和措置を受けて日銀当座預金残高が増加したことから、伸び率が幾分高まった。マネーサプライは、前年比3%台前半の伸びが続いている。広義流動性の前年比伸び率は、速報段階であり今後改定される可能性もあるが、比較的大きく低下した。

 企業金融の動向について、12月短観では、金融機関の貸出態度判断、企業の資金繰り判断とも、中小企業を中心に大きな変化はみられなかった。もっとも、中小企業金融公庫のアンケート調査では、貸出態度を「厳しい」とみる企業の割合が高まり、貸出態度判断D.I.は99年7月以来の水準にまで低下した。これは、中小企業金融公庫の調査は主として大都市圏の中小企業を対象としており、それだけ、大手銀行の貸出姿勢の変化が反映されやすい可能性があるためと考えられる。

 この間、銀行株が10月初に比べて約3割方下落していることもあり、ジャパン・プレミアムは、年末を控え、ごく僅かではあるが上昇している。また、CP発行金利は、全体としてみれば落ち着いた動きとなっているが、銀行のCP引き受け姿勢がやや慎重化している模様であり、年度末越えとなる6か月物については、信用スプレッドが幾分上昇している。

 今後、不良債権処理の加速、産業・企業再生等に向けた政府の対応の影響も含め、金融機関行動や企業金融の状況について、十分注意してみていく必要がある。

II.「適格担保取扱基本要領」の一部改正等

1.執行部からの提案内容

 現在、金融機関は、不良債権問題への取り組みを強める中で、信用力の低い企業に対して貸出姿勢を慎重化させている。こうした状況を踏まえて、日本銀行として、企業金融の円滑確保等のため、(1)証書貸付債権の担保掛け目の細分化および適格対象の拡大、および(2)資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の取引先保証債務不適格化要件の緩和(平成16年度末までの時限的措置)を講じることとしたい。(1)の措置の結果、貸付期間3年以内の証書貸付債権の担保掛け目が引き上げられるほか、貸付期間5年超10年以内の証書貸付債権が新たに適格担保に加わることになる。また、(2)の措置により、現時点で設定されているABCPの発行枠18兆円のうち、9割近くが適格化の対象となる見込みである。

 あわせて、ストリップス制度の導入への対応のため、分離元本振替国債および分離利息振替国債の適格担保化を講じることとしたい。

2.委員による検討・採決

 何人かの委員は、こうした措置が、金融機関の企業向け貸出やABCP引き受けのリファイナンスを容易にすることを通じて、企業金融の円滑化やABCP市場の発展に寄与する効果を期待したい、との意見を述べた。また、複数の委員は、今回の措置は技術的な側面も含むため、対外的に分かり易く説明することが重要である、と指摘した。

 採決の結果、上記執行部提案が全員一致で決定された。

III.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要

1.経済情勢

 経済情勢について、委員は、(1)現状、全体として下げ止まっている、(2)しかし、海外経済の動向や不良債権処理の影響など、回復へ向けての不透明感が強い状態が続いている、(3)これらの点は、12月短観でも確認できた、との見方を共有し、前月の景気判断を維持することで一致した。

 ひとりの委員は、企業収益の改善傾向が確認されたことに加え、「金融再生プログラム」の作業行程表や今年度補正予算編成、来年度の減税内容が明らかになったこと等を背景に、企業経営者の間では、秋口に強まった悲観論が若干後退している、と述べた。

 先行きについては、何人かの委員は、10月の展望レポートで提示した来年度の緩やかな景気回復シナリオは引き続き維持されている、との認識を示した。別の何人かの委員も、企業収益の状況や在庫水準を踏まえれば、足許、下方リスクが拡大しているということはない、との見方を述べた。もっとも、これらの委員を含む多くの委員は、同時に、国内需要の先行きは厳しく、外需に依存する形で、暫くは景気回復への動きがはっきりとしない状態が続く可能性が高い、との認識を共有した。

 まず、輸出と生産について、複数の委員は、これまでの予想通り横這い圏内の動きとなり、先行きも、横這いの展開になるのではないか、と発言した。このうちひとりの委員は、アジア諸国の内需が引き続き堅調であり、アジア向け輸出の堅調さが目立っている、と指摘した。他方、別のある委員は、いずれは輸出・生産が再び持ち直すとのシナリオは崩れていないが、米国の景気情勢を踏まえると、来年度前半にかけての動きには注意を要する、と発言した。

 多くの委員は、12月短観において製造業を中心に企業収益の大幅増加が確認されたことに着目した。ある委員は、売上高が概ね横這いの中で、賃金の抑制が増益に繋がっている、との認識を示した。もうひとりの委員は、賃金の低下に加えて、数量ベースでの経済活動の拡大が収益増に相応に貢献している、と発言した。さらに、別のある委員は、デフレに対応した企業のリストラ等経営努力が効果をあげているとの評価を述べた。

 次に、設備投資について、複数の委員は、ほぼ下げ止まっているが、12月短観によると、企業収益が改善している製造業・大企業において慎重さが窺われており、設備投資の回復力が強まっていない、との見解を示した。別の複数の委員は、大企業の間で、海外の設備投資が増加していることが注目される、と述べた。中小企業の設備投資については、複数の委員が、心配された企業金融面からの大きな下押し圧力はみられず、12月短観においてもまずまずの上方修正となっている、との評価を示した。

 家計部門について、複数の委員は、雇用・所得環境は全体として引き続き厳しく、冬季賞与の帰趨を含め、今後も注視する必要がある、と述べた。個人消費に関しては、複数の委員が、所得の状況との対比では堅調さを維持しているが、今後の景気情勢をみるうえで、こうした状況が先行きも継続するかどうかが重要である、との認識を示した。

 先行きのリスク要因については、ほとんどの委員が、(1)米国をはじめとした海外経済の動向と、(2)不良債権処理の加速が企業金融や株価に及ぼす影響を指摘した。

 このうち、米国経済の動向について、多くの議論があった。多くの委員は、最近明らかになった経済指標の中には、一部個人消費関連や消費者コンフィデンス指数、非国防資本財受注など、緩やかな回復が続いていることを裏付けるものがみられ、一頃に比べると悲観色が後退している、との認識を明らかにした。同時に、これらの委員からは、生産、雇用、所得の改善テンポはむしろ鈍化しており、設備投資などの最終需要の回復は確認できていない、との見方が相次いで示された。

 米国経済の先行きについては、何人かの委員は、緩やかな回復基調が腰折れする懸念は弱まっている、との認識を述べた。ただ、これらの委員を含む多くの委員は、どちらかと言えば下方リスクがなお大きく、先行きについての慎重な見方を変えるような材料はない、との見解を示した。このうち何人かの委員は、クリスマス商戦の帰趨を含めて個人消費の動向に着目したいと述べたうえで、雇用・所得環境の悪化、株価や住宅価格の変動の影響、家計の負債の積み上がりといった個人消費を巡る留意点を指摘した。また、複数の委員は、減税の動きなど、米国の経済政策の行方にも注目する必要がある、との意見を述べた。別のある委員は、米国内では、国際政治情勢に伴うリスクは相当根深いものと認識されており、中長期的なコスト上昇要因になるとの見方があることを紹介した。さらに、もうひとりの委員は、このところ原油価格が上昇しつつあり、その米国経済への影響についても注意深くみていきたい、と発言した。

 この間、物価について、何人かの委員が言及した。複数の委員は、足許、賃金の下落傾向が目立っているものの、総じて言えば、物価の下落が加速するような状況は窺われない、との見方を示した。このうちひとりの委員は、このような一般物価のデフレ状況は克服すべき課題ではあるが、不良債権問題を含め日本経済の抱える問題は、一般物価の下落というより、資産価格の下落に密接に関係しているとの意見を明らかにした。この委員は、業種別データによれば、不良債権問題が深刻な業種の方が、財・サービス価格の下落は大きくない、との分析結果を紹介した。

2.金融面の動向

 多くの委員が、実体経済との関連から、企業金融について触れた。これらの委員は、12月短観において、中小企業を中心に企業金融に関する判断に変化がみられなかったことを指摘し、短観からみる限り、不良債権処理加速の影響が企業金融に及んでいるとは言えない、との見方を述べた。もっとも、このうち複数の委員は、中小企業金融公庫のアンケート調査では、金融機関の選別姿勢の強まりが比較的はっきり示されているとしたうえで、同調査の対象が大都市圏の企業中心となっていることから、大手銀行の貸出態度の変化が先行的に現れているのではないか、との考えを述べた。ひとりの委員は、こうした動きは、金融機関の健全性強化の過程である程度やむを得ない面があるが、健全な企業も巻き込んだマクロ的な信用収縮の動きは避けなければならない、と発言した。他の複数の委員も、銀行行動の本格的変化が現れるのは、むしろ年度末に向けたこれからの時期であるとして、こうした考え方に同調した。さらに、別のある委員は、金融システム強化や企業再生のプロセスで、銀行と企業が従来のグループ関係への依存を高めることがあれば、むしろ市場メカニズムが働きにくくなる懸念がある、と指摘した。

 次に、金融市場動向について議論が行われた。まず、短期金融市場に関して、多くの委員は、一時、ターム物レートやオペ金利が若干強含んだが、日本銀行の一層潤沢な資金供給の効果もあって、年末を控えても短期金利は落ち着きを取り戻している、との認識を述べた。もっとも、このうち何人かの委員は、ターム物取引をはじめとして短期金融市場の流動性が低下していると考えられることから、何らかのイベントをきっかけに金融機関の資金繰りが不安定化するリスクがある、と指摘した。そのうえで、ある委員は、金融機関から日銀の資金供給オペにおける一段の工夫を期待する声がさらに強まっているように窺われる、と述べた。

 資本市場動向についても、多くの意見が出された。ある委員は、世界各国の市場をみると、実体経済や企業収益の改善、各国の政策対応等を眺めて、株価の落ち着き、信用スプレッドの縮小、国際資本取引の増加など、投資家のリスクテイク姿勢が回復しつつあるように窺われる、と発言した。この委員を含めた複数の委員は、そうした中にあっても、わが国の株価は不安定な状態にあると述べたうえで、その理由は明確ではないが、様々な悪材料に反応しやすい状態にある、との見方を示した。多くの委員は、金融システム問題や国際政治情勢、持ち合い解消の動き、株式税制変更の影響といった様々な要因が銀行株を中心に株価を下押ししていると述べ、業況不芳業種や一部の銀行の信用スプレッドおよびジャパン・プレミアムの拡大の動きと合わせてみれば、市場では信用リスクに対する警戒感が引き続き根強い、との認識を共有した。

 この間、為替相場について、ひとりの委員は、国際政治情勢を巡る動きに加え、米国の経済政策担当者の交替にかかる思惑もあって、ドル安の動きとなっているが、円相場の急騰は望ましくなく、今後、市場の動きを注視したい、との意見を述べた。他のひとりの委員も、こうした考えに同調した。関連して、ある委員は、このところ家計が外貨資産保有を増加させていることに着目し、家計がポートフォリオの構成を変えつつある、との見方を示した。

 以上の議論を踏まえ、委員の間では、今後、とりわけ年度末に向けて、不良債権処理の加速、産業・企業再生等に向けた政府の対応の影響も含め、金融機関行動や企業金融の状況、金融資本市場の動向を十分注意してみていく必要がある、との認識が共有された。

IV.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要

 当面の金融政策運営については、大方の委員が、経済金融情勢に大きな変化はなく、金融市場も全体として落ち着いていることを踏まえ、金融市場調節方針を現状維持とすることが適当である、との見解を示した。多くの委員は、今後、企業金融や金融市場の動きに細心の注意が必要である、と付け加えた。また、ひとりの委員は、これほど短期間に当座預金残高が20兆円程度に到達したのは、短期金融市場が緊張している現れでもあるとして、警戒感を示した。

 日々の金融調節については、何人かの委員が、これまで同様、「15〜20兆円程度」というレンジの上限を目指すことでよい、と発言した。さらに何人かの委員は、金融市場において流動性需要が高まる場合には、調節方針の「なお書き」を機動的に活用し、適切に対応することが必要である、との意見を述べた。そのうちひとりの委員は、日本銀行に対する金融機関の担保差し入れ状況から判断しても、機動的な追加資金供給は可能であるとの認識を付け加えた。

 今後の金融政策運営についても、いくつかの議論があった。何人かの委員は、先行き、金融市場の大きな変動等を機に、実体経済が悪化に向かうような場合には、追加緩和の可能性を検討する必要がある、と述べた。このうちのひとりの委員は、短期金融市場の安定化の観点から、具体的手段として、当座預金残高目標の引き上げとともに、国債買入の増額や資金供給オペにおける一段の工夫、補完貸付制度の拡充が考えられる、と発言した。別のある委員は、長期金利の低位安定を通じた金融緩和効果を狙うという観点から、国債買入の位置付けや国債保有につき銀行券発行残高を上限とするルールのあり方を再検討するべきではないか、と述べた。この委員は、銀行券発行残高上限を撤廃する際、財政規律や日本銀行の財務の健全性を確保するため、政府との間で何らかの合意が必要になる、と続けた。

 もっとも、最初に国債買入増額に言及した委員は、国債イールドカーブを過度にフラット化させることは、金融機関の収益機会確保やリスク管理の観点から問題があると思う、との意見を述べた。これを受け、ある委員は、金融機関のリスクテイク能力が低下している中、アセット・リアロケーションが生じることはなかなか期待できないうえ、国債イールドのさらなる低下が大きな景気刺激効果を持つとは思わないとの見解を述べた。もうひとりの委員は、長期金利に直接働きかけることは市場機能を歪めることになりかねず、将来、何らかの理由でインフレ期待が生じるような場合には、ある時点で長期金利が非連続的に上昇するリスクがある、との意見を述べた。この委員は、市場機能を活かしつつ長期金利を安定化させるには、量的緩和の枠組みを継続することについての現在のコミットメントの方が有効である、と付け加えた。他方、別のある委員は、これまで、円滑な資金供給を目的として国債買入を増額してきたが、結果的には、すでに長期金利にある程度影響を及ぼしている、との見方を述べた。

 こうした議論を踏まえ、何人かの委員は、国債買入増額の是非を検討する際には、国債市場の状況をも十分念頭に置く必要がある、との認識を示した。このうちのひとりの委員は、現在、市場メカニズムが機能するもとで長期金利が低位安定しているのは、財政規律に加え、金融政策運営に対する信認が維持されているからであり、これらを堅持していくことが重要である、と付け加えた。

 経済の再生とデフレ克服との関係についても、議論があった。ある委員は、不良債権処理や財政再建は短期的には景気、物価を下押しする方向に働くが、長い目でみた経済の再生のため不可欠であるからこそ、政府は現在これらの政策を進めている、との認識を示した。この委員は、こうしたプロセスを経て、経済が持続的な成長軌道に戻れば、その結果としてデフレ脱却を実現できる、との考えを強調した。別のある委員も、調整期間においては、ある程度の物価下落圧力は構造改革の当然の帰結として受け入れるべきなのかもしれない、と同様の意見を述べた。もうひとりの委員は、金融政策は、デフレの加速を回避するうえでこれまで重要な役割を果たしてきたし、今後もそうした努力を続けるべきであると指摘したうえで、同時に、それだけで問題が解決するわけではないとの認識も大事であり、日本経済が本格的に立ち直るには、不良債権処理や構造改革により実体経済面の前向きの動きを引き出すことが必要である、との見解を示した。

 関連して、インフレ・ターゲティングに関して、意見が交換された。ひとりの委員は、(1)十分な政策手段の裏付けがない宣言でインフレ予想を高めることは難しい、(2)インフレ期待の高まりが、中央銀行や日本経済そのものへの信認が損なわれる形で生じる場合には、かえってデフレ脱却や、ひいては日本経済の持続的発展自体を大きなリスクに晒すことになる、といった理由を挙げて、インフレ・ターゲティングを採用することは「無謀な賭け」であり、適当ではない、との考えを明らかにした。他の多くの委員も、物価目標を設定しても、日本銀行単独ではその実現は困難である、との認識を述べて同調した。このうち複数の委員は、仮に政府が需給ギャップ縮小に向けて財政支出の拡大や減税を十分に行うのであれば、物価上昇を実現することができるかもしれないが、現状そのような政策は採用されていないし適当でもない、との趣旨を述べた。

 他方、もうひとりの委員は、インフレ・ターゲティングの採用は、政府と日本銀行との共同責任のもとでしかありえないとしたうえで、政府の財政規律維持にかかる明示的・継続的なコミットがあり、かつ、物価目標の達成時期を明示せずに金融政策運営の機動性と自由度が保証されるのであれば、一定の数値で示した物価上昇率を望ましいものとして政府と共有することができるのではないか、との見解を示した。この委員は、量的緩和継続についての現在のコミットメントだけでは、デフレ脱却が相当困難であるとの見方から、むしろ市場のデフレ期待を強めている面があるのではないか、と続けた。

 これに対し、別のある委員は、現在のような環境のもとで、狭いレンジの物価目標を定め、無理やりその目標を達成しようとすると、先行き、かえって物価の動きを不安定化する惧れがあると考えられるため、物価目標レンジの設定には慎重であるべき、との意見を述べた。もうひとりの委員も、こうした考え方に同意した。

 以上の議論を踏まえ、ひとりの委員は、重要なことは、日本経済がいずれ持続的な成長に復帰できるという明確な道筋を示すことであり、そのもとで人々の成長期待が高まれば、それが家計や企業の支出スタンスや資産価格に好影響を及ぼすことになる、との認識を述べた。そのうえで、この委員は、インフレ予想ではなく成長予想を高めることこそが重要であると強調した。

V.政府からの出席者の発言

  会合では、内閣府の出席者から、以下のような趣旨の発言があった。

  •  政府の景気認識について、先月、持ち直しに向けた動きがみられるものの、それが緩やかになっていると判断したところであるが、今月は、もう一歩慎重な見方をしなければならないと考えている。
  •  来年度は、様々な形での国民負担増加や、14年度に現れた13年度第二次補正予算の効果が剥落することから、公的部門が民間経済に対してGDP比1%程度のマイナス圧力をかけることになる。本年度補正予算と来年度の先行減税により、こうしたマイナスの影響をオフセットすることができるのではないかと考えている。一方で、財政健全化への道筋を確保することが重要であり、2010年代初頭にプライマリーバランスの黒字を回復するという目標はぜひとも維持したい。税制改革については、個別の中身をみるとそれなりの成果があったと考えているが、今回は抜本的な税制改革の初年度との位置付けであり、引き続き努力してまいりたい。
  •  経済の名目成長率と不良債権の発生状況はかなり連動しており、デフレと不良債権問題の悪循環をどのように断つかという厳しい問題がある。デフレ問題に関しては、やはり金融政策への期待が高くならざるを得ない。日本銀行として、デフレ克服のシナリオをどのように描いているのか、ぜひ議論を進めて頂きたいと思う。
  •  政府・日本銀行が一体となってデフレ克服を目指し、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向けて取り組むことが必要である。日本銀行におかれても、さらに実効性のある金融政策を行って頂きたい。

 財務省の出席者からは、以下のような趣旨の発言があった。

  •  デフレ克服は、政府・日本銀行が引き続き一体となって強力かつ総合的に取り組むべき経済運営における最重要課題であると考えている。政府は、先般(10月30日)取りまとめた「改革加速のための総合対応策」を補完・強化するため、先日(12月12日)、「改革加速プログラム」を策定し、14年度補正予算の編成を行うこととしている。
  •  現在、日本銀行は金融機関に対し潤沢な流動性供給を行っているが、依然としてデフレ心理の反転がみられない中にあって、今後、不良債権処理の加速に伴う一層のデフレ心理深刻化も予想される。日本銀行におかれては、こうした心理を覆すような強い政策態度を示すためにも、流動性供給の質・量の両面においてさらなる工夫を講じるなど、実効性のある金融緩和措置をぜひ検討し、実施して頂きたい。
  •  また、年末に向けて、企業金融を取り巻く環境は厳しくなると予想されている中、こうした資金需要の高まりにも対応できるよう、一層潤沢な資金供給をお願いするほか、今般の企業金融の円滑確保に資する措置について、一日も早く実施されることを期待している。
  •  なお、前回会合で申し上げたとおり、為替介入の不胎化を行わないことを検討頂きたいと考えている。為替介入を非不胎化することになれば、当座預金残高が積み上がることになるわけで、これを調節方針の「なお書き」に盛り込んで頂ければと考えている。
  •  長期国債の買い切りオペについては、ポートフォリオ・リバランス効果という観点から、個人的には月2兆円に増額してはどうかと考えている。その際、例えば15年度末まで、銀行券発行残高による上限を取り除くことを検討してはどうかと思う。
  •  また、実効性のある金融緩和措置の実施と中小企業金融の円滑化という2つの目的を同時に達成するような工夫をして頂きたい。例えば、政府系金融機関が財投機関債を発行し、それを日本銀行が引き受けることで、政府系金融機関を通じてこのマネーを実体経済に出していく方策を検討頂ければと思う。

 これらの発言のうち、為替介入資金の扱いに関して、委員からコメントがあった。ひとりの委員は、為替介入は政府が一定の政策目的をもって市場取引を行うもので、その資金の動きは通常の財政資金の受払いと同一視する理由はないとの考えを示したうえで、非不胎化の円安効果を認めるのであれば、「なお書き」の範囲内で事実上介入資金を非不胎化することは可能ではないか、との意見を述べた。これに対し、ある委員は、調節方針における「なお書き」は流動性需要が高まった場合に一時的に対応するために設けており、介入資金を非不胎化するというのは「なお書き」の趣旨に馴染まない、と述べた。そのうえで、この委員は、日本銀行の金融調節は、日々様々な資金の出入りがある中で、為替介入資金も利用しながら行っており、「不胎化」、「非不胎化」といった二分法で捉えることは実態に合わず適当でない、との見解を示した。別のある委員は、日本銀行は為替相場の変動が経済金融情勢に与える影響も踏まえたうえで、現在の当座預金残高目標が適当と判断している訳であり、円売り為替介入があったからといって、その額だけ直ちに当座預金残高目標を引き上げなければならないとは考えていない、との認識を述べた。もうひとりの委員も、当座預金残高の増減と為替相場の変動には十分な因果関係が見出せないことを述べつつ、こうした考え方に同意を示した。

VI.採決

 以上のような議論を踏まえ、会合では、当面の金融市場調節方針を現状維持とすべきであるとの考え方が共有された。

 これを受け、議長から以下の議案が提出された。

議案(議長案)

 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとし、別添1のとおり公表すること。

 日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。

 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

採決の結果

  • 賛成:速水委員、藤原委員、山口委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
  • 反対:なし

VII.対外公表文の検討

 本日決定した「適格担保取扱基本要領」の一部改正等のうち、企業金融の円滑化策にかかる対外公表文について、執行部が作成した原案に基づいて委員の間で議論が行われ、採決に付された。採決の結果、対外公表文(「企業金融円滑化策について」)が全員一致で決定され、別添2のとおり、同日公表することとされた。

VIII.金融経済月報「基本的見解」の検討

 当月の金融経済月報に掲載する「基本的見解」が検討され、採決に付された。採決の結果、「基本的見解」が全員一致で決定された。これを掲載した金融経済月報は12月18日に公表することとされた。

IX.議事要旨の承認

 前々回会合(10月30日)、前回会合(11月18、19日)の議事要旨が全員一致で承認され、12月20日に公表することとされた。

X.先行き半年間の金融政策決定会合等の日程の承認

 最後に、平成15年1月〜6月における金融政策決定会合等の日程が別添3のとおり承認され、即日対外公表することとされた。

以上


(別添1)

平成14年12月17日
日本銀行

当面の金融政策運営について

 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

 日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。

 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

以上


(別添2)

2002年12月17日
日本銀行

企業金融円滑化策について

  1.  日本銀行は、10月30日の金融政策決定会合での討議を受け、企業金融の円滑確保のため、一段の工夫を講じる余地がないかを検討してきたが、本日、以下の措置を講じることを決定した。

 (1)証書貸付債権の担保拡大

 貸付期間3年以内の証書貸付債権の担保掛け目を引き上げるとともに、貸付期間5年超10年以内の証書貸付債権を新たに適格担保に加える(従来は5年以内)。

 (2)資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の適格基準の緩和

 日本銀行取引先の保証するABCPは、担保および現先オペの対象資産として原則不適格であるが、2004年度末までの時限措置として適格の扱いとする。

  1.  日本銀行による潤沢な資金供給は、金融機関の流動性調達の不安を取り除くことを通じて、貸出を行いやすい環境を整備する効果を有している。また、既に行っている社債等の企業債務の担保受け入れやCP現先オペも、企業金融の円滑確保に相応の寄与をしている
  2.  日本銀行としては、今回の措置が金融機関の企業向け証書貸付債権やABCPのリファイナンスを容易にすることを通じて、企業金融の円滑化やABCP市場の発展に寄与する効果を期待している。なお、ABCP、資産担保債券(ABS)等の証券化市場の発展に向けて、制度面の見直しが進むことが期待される。
  3.  日本銀行としては、不良債権処理の加速の影響も含め、企業金融の動向を今後とも注視していく方針である。

以上


(別添3)

平成14年12月17日
日本銀行

金融政策決定会合等の日程(平成15年1月〜6月)

表5
会合開催 金融経済月報公表(注) (議事要旨公表)
15年 1月 1月21日(火)・22日(水) 1月23日(木) (2月19日(水))
2月 2月13日(木)・14日(金) 2月17日(月) (3月10日(月))
3月 3月 4日(火)・ 5日(水) 3月 6日(木) (4月11日(金))
4月 4月 7日(月)・ 8日(火)
4月30日(水)
4月 9日(水)
−−
(5月23日(金))
(6月16日(月))
5月 5月19日(月)・20日(火) 5月21日(水) (6月30日(月))
6月 6月10日(火)・11日(水)
6月25日(水)
6月12日(木)
−−
未定
未定
  • (注) 「経済・物価の将来展望とリスク評価(2003年4月)」は、4月30日(水)に公表の予定。

以上