政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨 (2018年3月8、9日開催分)
2018年5月7日
日本銀行
本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2018年4月26、27日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。
開催要領
- 1.開催日時:
- 2018年3月8日(14:00~15:34)
- 3月9日( 9:00~11:39)
- 2.場所:
- 日本銀行本店
- 3.出席委員:
- 議長 黒田東彦 (総裁)
岩田規久男(副総裁)
中曽 宏 ( 副総裁 )
原田 泰 (審議委員)
布野幸利 ( 審議委員 )
櫻井 眞 ( 審議委員 )
政井貴子 ( 審議委員 )
鈴木人司 ( 審議委員 )
片岡剛士 ( 審議委員 )
- 4.政府からの出席者:
- 財務省 可部 哲生 大臣官房総括審議官(8日)
うえの賢一郎 財務副大臣(9日) - 内閣府 前川 守 内閣府審議官(8日)
越智 隆雄 内閣府副大臣(9日) - (執行部からの報告者)
- 理事 雨宮正佳
理事 桑原茂裕
理事 前田栄治
企画局長 加藤 毅
企画局政策企画課長 奥野聡雄
金融市場局長 清水誠一
調査統計局長 関根敏隆
調査統計局経済調査課長 一上 響
国際局長 中田勝紀 - (事務局)
- 政策委員会室長 小野澤洋二
政策委員会室企画役 中本浩信
企画局企画役 田村健太郎
企画局企画役 長野哲平
I.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要
1.最近の金融市場調節の運営実績
金融市場調節は、前回会合(1月22、23日)で決定された短期政策金利(-0.1%)および長期金利操作目標(注)に従って、長期国債の買入れ等による資金供給を行った。そのもとで、10年物国債金利はゼロ%程度で推移し、日本国債のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっている。この間、国債買入れについて、2月2日に、長期ゾーンを対象として固定利回り方式のオペ(指値オペ)を実施した。
2.金融・為替市場動向
短期金融市場では、金利は、翌日物、ターム物とも、総じてマイナス圏で推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は-0.06~-0.03%程度で推移している。ターム物金利をみると、短国レート(3か月物)は幾分低下し、直近では-0.2%程度で推移している。
株価(日経平均株価)は、米欧の株価が下落する中、為替の円高・ドル安方向の動きや米国の通商政策を巡る不確実性が意識されたこともあって下落し、最近では、21千円台前半で推移している。為替相場をみると、円の対ドル相場は、投資家のリスク回避姿勢が幾分強まるもとで、円高・ドル安方向での推移となっている。この間、円の対ユーロ相場も、円高方向で推移している。
3.海外金融経済情勢
海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。
米国経済は、拡大している。輸出は、増加基調にある。個人消費は、良好な雇用・所得環境などに支えられて増加基調にあるほか、設備投資も、企業マインドの改善などを背景にしっかりと増加している。物価面をみると、インフレ率(PCEデフレーター)は、総合ベース、コアベースともに前年比+1%台半ばで推移している。
欧州経済は、しっかりとした回復を続けている。輸出は、増加基調にある。個人消費は、雇用・所得環境や消費者コンフィデンスの改善などに支えられて増加基調にあるほか、設備投資も増加基調にある。物価面をみると、インフレ率(HICP)は、総合ベース、コアベースともに前年比+1%台前半で推移している。この間、英国経済は、物価の上昇が個人消費の重石となっており、回復ペースが鈍化している。
新興国経済をみると、中国経済は、総じて安定した成長を続けている。物価面をみると、インフレ率(CPI)は、前年比+1%台半ばで推移している。NIEs・ASEANでは、輸出が増加基調にあるもとで、企業・家計のマインドは改善しており、内需は底堅く推移している。ロシアやブラジルの景気は、インフレ率の落ち着きなどを背景に緩やかに回復している。インドの景気は、内需を中心に緩やかに回復している。
海外の金融市場をみると、米国の長期金利は、賃金・物価指標が市場予想を上回り、先行きの物価上昇ペースが速まるとの見方が拡がったことなどから、上昇した。こうした動きをきっかけに投資家のリスク回避姿勢が強まり、米国をはじめ各国の株価は下落した。その後も、株価は振れの大きい展開が続いているが、クレジット市場や商品市場における価格変動は小幅にとどまっているほか、新興国から資金が流出する動きもみられていない。
4.国内金融経済情勢
(1)実体経済
わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。
輸出は、海外経済の着実な成長を背景に、増加基調にある。先進国向けは、振れを均せば増加基調を続けているほか、新興国向けも、アジア向けの資本財や電子部品、中間財など幅広く持ち直している。先行きの輸出は、資本財や情報関連を中心に、緩やかな増加基調を続けるとみられる。
公共投資は、高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。先行きについては、2016年度の大型経済対策の押し上げ効果の減衰に伴い減少はするものの、オリンピック関連工事などが下支えとなり、高めの水準を維持するとみられる。
設備投資は、企業収益や業況感が改善する中で、増加傾向を続けている。法人企業統計で2017年10~12月の売上高経常利益率をみると、堅調な内需や海外経済の成長にも支えられて、引き続き改善傾向にある。こうした中、10~12月のGDPベースの実質設備投資(2次速報値)は、前期比+1.0%と5四半期連続の増加となった。先行指標である機械受注や建築着工・工事費予定額(民間非居住用)は、月々の振れを伴いつつも、増加基調を続けている。先行きの設備投資は、企業収益の改善や緩和的な金融環境、成長期待の高まりなどを背景に、増加を続けていくとみられる。
雇用・所得環境をみると、労働需給は着実な引き締まりを続けており、雇用者所得も緩やかに増加している。有効求人倍率は着実な改善傾向を辿っているほか、失業率も2%台半ばまで低下している。
個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。各種の販売・供給統計を合成した消費活動指数をみると、10~12月に前期比がプラスに復した後、1月の10~12月対比も小幅の増加を続けた。先行きの個人消費は、雇用者所得の増加や既往の株価上昇による資産効果に加え、耐久財の買い替え需要にも支えられて、緩やかな増加傾向を辿るとみられる。
住宅投資は、貸家系の新設住宅着工戸数が節税ニーズの需要一巡などを受けて減少していることから、弱含んで推移している。
鉱工業生産は、内外需要の増加を背景に、増加基調にある。先行きについては、内外需要の増加を反映して、当面はしっかりとした増加を続けるとみられる。
物価面について、国内企業物価(夏季電力料金調整後)を3か月前比でみると、国際商品市況の動きを反映して、上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっているが、除く生鮮食品・エネルギーでみた前年比は、0%台半ばのプラスにとどまっている。先行きについて、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとみられる。
(2)金融環境
わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。
予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。長期金利から中長期の予想物価上昇率を差し引いた実質長期金利は、マイナスで推移している。
企業の資金調達コストは、きわめて低い水準で推移している。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、大幅に緩和した状態にある。CP・社債市場では、良好な発行環境が続いている。資金需要面をみると、設備投資向けや企業買収関連などの資金需要が増加している。以上のような環境のもとで、企業の資金調達動向をみると、銀行貸出残高の前年比は、2%台前半のプラスとなっている。CP・社債の発行残高の前年比は、高めのプラスで推移している。企業の資金繰りは、良好である。
この間、マネタリーベースは、前年比で1割程度の高い伸びを続けている。マネーストックの前年比は、3%台半ばの伸びとなっている。
II.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要
1.経済情勢
国際金融市場について、委員は、2月入り後、米国長期金利の上昇を契機に投資家のリスク回避姿勢が強まり、各国の株価が調整する場面もみられたが、これまでのところ、他の金融市場や実体経済への影響は限定的であるとの認識を共有した。何人かの委員は、この時期、一部投資家のショートボラティリティ戦略の巻き戻しなどが重なったことも、株式市場が急速に不安定化する一因になったとの見方を示した。このうちの一人の委員は、わが国の金融機関が外債投資を増やしてきたことを踏まえると、国際金融市場の変動が金融機関の財務状況に与える影響も、しっかりと把握していくことが重要であると述べた。国際金融市場の先行きについて、委員は、米国の経済政策運営などを巡る不透明感は払拭されておらず、これが国際資本フローやわが国の経済・物価に及ぼす影響については、引き続き注視していく必要があるとの認識で一致した。ある委員は、グローバルにリスク回避姿勢が強まり、円高・株安傾向が長引くようなことがあれば、わが国の輸出が減少したり、設備投資や消費が抑制されたりする可能性があると付け加えた。
海外経済について、委員は、総じてみれば着実な成長が続いているとの認識を共有した。委員は、世界的に活発な貿易活動が継続する中、先進国は着実な改善を続け、新興国も全体として緩やかに回復しているとの見方で一致した。ある委員は、先進国における製造業の改善については、景気循環的な要因に加え、IoTやAI、自動運転といった技術革新に伴い新たな需要が発掘されていることも寄与していると指摘した。海外経済の先行きについて、委員は、着実な成長を続けるとの認識で一致した。多くの委員は、世界的に製造業の生産・貿易活動が堅調に推移し、先進国・新興国がバランスよく成長することが見込まれるとの見方を示した。
地域毎にみると、米国経済について、委員は、実質GDP成長率が高めの伸びを続け、労働市場でも雇用の増加基調が続くなど、拡大しているとの認識で一致した。米国経済の先行きについて、委員は、拡大を続けるとの見方を共有した。一人の委員は、労働需給の引き締まりに伴い賃金上昇ペースが加速しており、これが一層の消費拡大につながることが期待されると述べた。複数の委員は、法人税減税やインフラ投資の拡大は米国経済を押し上げる方向で作用すると考えられるが、そのインパクトやタイミングは必ずしも明確ではなく、今後とも、よくみていく必要があると指摘した。
欧州経済について、委員は、内外需とも増加基調にあり、しっかりとした回復を続けているとの認識を共有した。ある委員は、底堅い個人消費が一貫して成長を支えていると指摘した。別のある委員は、製造業PMIが高めの水準を維持し、サービス業のPMIも足もと上昇するなど、企業の業況感は幅広く改善していると付け加えた。欧州経済の先行きについて、委員は、回復を続けるとの見方で一致した。
新興国経済について、委員は、全体として緩やかに回復しているとの認識を共有した。中国経済について、委員は、総じて安定した成長を続けているとの見方で一致した。その背景として、ある委員は、輸出が基調として増加していることに加え、経済の変動に対して当局が機動的に対応していることを指摘した。別の一人の委員は、小型車に対する減税措置終了の影響が心配されたが、これまでのところ、自動車販売に大きな落ち込みはみられないと付け加えた。NIEs・ASEANについて、委員は、輸出が増加基調にあるもとで、企業・家計のマインド改善や景気刺激策の効果などから、内需も底堅く推移しているとの見方で一致した。ロシアやブラジルなどの資源国経済について、委員は、インフレ率の落ち着きや金融緩和の効果などを背景に、緩やかに回復しているとの認識を共有した。先行きの新興国経済について、委員は、全体として緩やかな回復を続けるとの認識で一致した。このうち中国経済について、委員は、当局が財政・金融政策を機動的に運営するもとで、概ね安定した成長経路を辿るとの見方を共有した。
海外経済を巡るリスク要因として、委員は、引き続き、米国の経済政策運営や英国のEU離脱交渉の展開、地政学的リスクなどが挙げられるとの認識を共有した。多くの委員は、米国の政策運営については、財政・金融政策に加え、通商政策を巡る不透明感も高まっているとの見方を示した。この点に関し、複数の委員は、仮に米国が保護主義的な動きを更に強めた場合、これに反発する他国から米国への輸入が滞る惧れがあると指摘した。また、ある委員は、行き過ぎた保護主義は、これまでに築かれたグローバルなサプライチェーンを毀損し、せっかく回復してきた世界貿易の縮小をもたらすリスクがあると付け加えた。この間、一人の委員は、北朝鮮を巡る情勢も、引き続き地政学的リスクとして認識しており、今後とも十分注意してみていく必要があると述べた。
以上のような海外の金融経済情勢を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。
わが国の景気について、委員は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大しているとの見方で一致した。委員は、企業部門の動きについて、輸出は増加基調にあるほか、設備投資も、収益が過去最高水準で推移する中、増加傾向を続けているとの認識を共有した。また、家計部門についても、委員は、個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加しているとの見方を共有した。何人かの委員は、2017年10~12月の実質GDP成長率が前期比年率+1.6%と潜在成長率を上回り、かつ8四半期連続のプラスとなったことは、わが国経済の着実な改善を裏付けていると指摘した。ある委員は、2000年代半ばの戦後最長の景気回復局面は外需に依存した自律性に乏しいものであったが、現在の景気回復は、地域、業種、企業規模のいずれでみても拡がりがあり、バブル崩壊以降、最もバランスの取れた成長を実現していると述べた。景気の先行きについて、委員は、緩やかな拡大を続けるとの見方で一致した。このうち、国内需要について、委員は、きわめて緩和的な金融環境や政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調を辿るとの認識を共有した。
輸出について、委員は、海外経済の着実な成長を背景に、増加基調にあるとの認識を共有した。複数の委員は、わが国のGDPベースでみた輸出は6四半期連続で増加しており、機械受注統計をみても、このところ海外向けが堅調に推移していると指摘した。先行きの輸出について、委員は、世界経済が着実な成長を続けるもとで、当面、緩やかな増加基調を続ける可能性が高いとの見方で一致した。
公共投資について、委員は、高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移しているとの見解で一致した。
設備投資について、委員は、企業収益や業況感が改善する中で、増加傾向を続けているとの認識で一致した。複数の委員は、合理化・省力化投資の進展に加え、最近では、部材等の供給制約が意識される中、設備更新の機会などを捉え、能力増強投資に取り組む企業も増加していると指摘した。先行きの設備投資について、委員は、緩和的な金融環境や成長期待の高まりなどを背景に、増加を続けていくとの見方で一致した。ある委員は、各種先行指標をみても、オリンピック関連投資や人手不足に対応した省力化投資を含め、設備投資は、当面、しっかりとした増加を続ける可能性が高いとの見解を示した。
雇用・所得環境について、委員は、労働需給は着実な引き締まりを続けており、雇用者所得も緩やかに増加しているとの認識を共有した。何人かの委員は、1月の完全失業率が前月の2.7%から2.4%に大きく低下したことについて、労働市場の一段のタイト化を示すものではあるが、一時的な特殊要因が影響している可能性もあるため、予断を持たずに今後の動向をみていく必要があると指摘した。ある委員は、かつて日本の構造失業率は3.5%程度と言われていたが、現実の失業率はこれを大きく下回っているほか、新卒の採用率や女性就業率も大幅に高まるなど、最近の雇用環境の改善は著しいとの認識を示した。これに対して、一人の委員は、1990年代前半と比較すると、人口動態の変化等を勘案しても現在の就業率はなお低めであり、労働市場には、依然として供給余力が残存しているとの見解を述べた。何人かの委員は、労働市場の逼迫度は業種や職種によって異なっていると指摘した。これらの委員は、AIの活用を含め、労働の資本代替が進みやすい分野では有効求人倍率が低めである一方、女性の新規参入や資本代替が難しい運輸や、価格・報酬規制が強く、賃金が上がりにくい介護や保育などでは人手不足が深刻化していると述べた。この間、一人の委員は、長期にわたる需要不足とデフレのもとで定着した企業の非効率なビジネス・プロセスや投資抑制姿勢といったヒステリシス(履歴効果)が、最近の人手不足を契機に薄れてきていると指摘した。先行きの雇用者所得について、委員は、労働需給の着実な引き締まりが続き、企業収益も改善するもとで、緩やかな増加を続けるとの見方を共有した。そのうえで、多くの委員は、当面、春闘によって賃上げ率がどの程度高まるかに注目していると述べた。ある委員は、労使の前向きな取り組みが、先行き、実質ベースの賃金を前年比プラスに押し上げていくかどうかが一つの重要なポイントになると指摘した。
個人消費について、委員は、振れを伴いながらも、緩やかに増加しているとの認識を共有した。ある委員は、株価の下落や大雪などの悪天候、生鮮食品価格の上昇といったマイナス要因が少なくないにも関わらず、このところ、個人消費はしっかりとしているとの見方を示した。先行きの個人消費について、委員は、雇用者所得の増加や既往の株価上昇による資産効果に加え、耐久財の買い替え需要にも支えられて、緩やかな増加傾向を辿るとの見方で一致した。ある委員は、昨夏以降の消費の回復力が弱い点が気がかりとしたうえで、先行き、輸出増加の好影響が、賃金上昇を通じて家計部門にどの程度波及していくか注視していると述べた。また、別の複数の委員は、春闘の結果や最近の株価下落が家計マインドに及ぼす影響についても、丁寧にみていく必要があると指摘した。
住宅投資について、委員は、貸家系の新設住宅着工戸数が節税ニーズの需要一巡などを受けて減少していることなどを背景に、弱含んで推移しているとの認識を共有した。
鉱工業生産について、委員は、内外需要の増加を背景に、増加基調にあるとの認識を共有した。先行きの鉱工業生産について、委員は、内外需要の増加を反映して、当面は、しっかりとした増加を続けるとの見方で一致した。
物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は1%程度のプラスとなっている一方、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比については、引き続き、企業の価格引き上げの動きが限定的であることなどから、0%台半ばのプラスにとどまっているとの見方で一致した。大方の委員は、わが国の景気が緩やかに拡大するもとで、労働需給が着実に引き締まっていることと比べれば、物価は弱めの動きとなっているとの認識を共有した。そのうえで、複数の委員は、このところ、エネルギー価格のプラス寄与が縮小しつつある一方で、賃金コストや原材料価格の上昇が、外食や食料工業品などの価格押し上げにつながっていると指摘した。ある委員は、新年度入りを控え、様々な商品やサービスの値上げが報じられるなど、企業の価格設定スタンスにも徐々に変化がみられ始めているとの認識を示した。
先行きについて、大方の委員は、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとの見方を共有した。複数の委員は、賃金上昇によるサービス価格の押し上げや、資源価格上昇に伴う財の企業間取引価格の上昇が、先行きの消費者物価に波及していく可能性があると述べた。このうちの一人の委員は、春闘後の賃金動向が、各企業の価格設定スタンスや値上げに対する消費者の許容度をどの程度改善させていくかが重要なポイントになるとの見解を示した。これらに対し、ある委員は、需給ギャップのプラス幅が拡大するもとで、物価にも上昇圧力がかかっているが、その勢いは依然として2%の「物価安定の目標」を早期に達成するに足るほど力強いものではないとの認識を示した。
委員は、予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移しているとの認識を共有した。ある委員は、短期的なインフレ予想については、最近、上昇傾向を示す指標が多くみられており、中長期的なインフレ予想も、一頃の弱含み局面を脱し、横ばい圏内の動きを維持していると指摘した。多くの委員は、このところ現実の物価上昇率が少しずつ高まってきているほか、今後とも、マクロ的な需給ギャップの改善などから物価の上昇が見込まれるため、先行き、「適合的な期待形成」を通じて、人々の予想物価上昇率は高まっていくとの見方を示した。こうした中、ある委員は、1月以降、予想物価上昇率に関する指標は総じて弱めの動きにとどまっており、現時点では、「適合的な期待形成」を通じて予想物価上昇率が上昇するメカニズムが十分に働くとの確信は持てないと述べた。
2.金融面の動向
わが国の金融環境について、委員は、きわめて緩和した状態にあるとの認識で一致した。委員は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、企業の資金調達コストはきわめて低い水準で推移しているほか、大企業、中小企業のいずれからみても、金融機関の貸出態度は引き続き積極的であるとの見方を共有した。
III.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要
以上のような金融経済情勢についての認識を踏まえ、委員は、当面の金融政策運営に関する議論を行った。
金融政策運営にあたって、大方の委員は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点は注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているとの認識を共有した。この背景として、大方の委員は、(1)マクロ的な需給ギャップが着実に改善していく中で、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、(2)中長期的な予想物価上昇率は、このところ横ばい圏内で推移しており、先行き、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、着実に上昇すると考えられること、の2点を挙げた。これらを踏まえ、大方の委員は、現在の金融市場調節方針のもと、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適切であるとの認識を共有した。多くの委員は、2%の「物価安定の目標」の実現までにはなお距離があることを踏まえると、今後とも、現在のきわめて緩和的な金融環境を維持していくことが必要であるとの見解を示した。また、一人の委員は、「物価安定の目標」の実現に資するため、現在の金融政策を継続することで、需要の活性化が供給面の変革を促す経済の好循環を息長く支えていくべきであると述べた。別のある委員は、経済の供給面の強化に向けた動きは、自然利子率の上昇を通じて現在の金融緩和政策の効果を強める方向に作用していくことも期待されると付け加えた。
委員は、金融政策の基本的な運営スタンスについて議論を行った。何人かの委員は、現在の金融緩和政策の効果と副作用について、金融仲介機能や金融システムに及ぼす影響も含めて、多面的な点検・評価を継続していくことが重要であると指摘した。一人の委員は、現状、わが国の金融機関は充実した資本基盤を有しており、現時点で金融仲介機能に支障は生じていないが、金融機関の収益動向がその経営体力に及ぼす影響は累積的なものであるため、この先、低金利環境が更に長期化すれば、先行き金融仲介が停滞していくリスクがあるとの見方を示した。ある委員は、今後、2%に向けて物価が上昇し、潜在成長率が高まるもとでは、金融緩和政策の効果が強まることになるため、そうした環境変化や政策の副作用も考慮しながら、適切な政策運営のあり方について検討していくことが必要であるとの見解を示した。一人の委員は、最近では大手銀行の新規貸出の多くが短期金利連動型となっていることなどから、長期の実質金利の低下が経済・物価へ及ぼす影響は小さくなってきている可能性があるとしたうえで、こうした変化も踏まえつつ、望ましいイールドカーブの形状について検証を進めていくことが重要であると指摘した。別のある委員は、望ましいイールドカーブの形状を判断するにあたっては、経済・物価のみならず、金融情勢もしっかりと考慮する必要があるが、オーバーバンキングという構造的な問題を踏まえれば、金融政策面の調整だけで金融仲介機能や金融システムを安定化させることは難しいとの認識を示した。この間、一人の委員は、わが国経済はデフレではない状況を維持する状態に到達したが、その過程で生じた好循環の勢いを、追加緩和策を講じることによって更に強め、デフレから完全に決別することが重要であると述べた。
委員は、金融政策運営に関する情報発信のあり方についても議論を行った。何人かの委員は、最近の為替市場や株式市場における不安定な動きについては、国際金融市場の変動に加え、わが国でも経済・物価情勢の改善が続く中、今後の金融政策運営の方向性を巡り、市場参加者の関心が高まっていることも影響しているとの見方を示した。何人かの委員は、市場に誤解が生じないよう、日本銀行としては、「物価安定の目標」の実現までにはなお距離があることを踏まえ、引き続き、現在の強力な金融緩和を粘り強く進める方針にあり、いわゆる「出口」のタイミングやその際の対応を検討する局面には至っていないと考えていることを、丁寧に説明していくことが重要であると指摘した。そのうえで、このうちの一人の委員は、将来的には、金融緩和の度合いを次第に縮小していくという意味での「正常化」を検討していくことになるが、それがなお金融緩和の領域にあり、需給ギャップの縮小を狙った「金融引き締め」とは異なることを、市場参加者にきちんと理解されるよう説明していくことも必要であると述べた。別のある委員は、企業の価格設定スタンスの強まりがネガティブに捉えられることのないよう、デフレ脱却の意義について人々の理解を得つつ、「物価安定の目標」の実現を図っていくことが重要であるとの認識を示した。
この間、一人の委員は、追加的な金融緩和の余地が大きくない中、デフレ脱却を確実にするためには、財政政策の協力が必要になるとの見解を示した。そのうえで、この委員は、プライマリー・バランスの黒字化については、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、適切な定量的目標を定めて、柔軟に運営していくことが望ましいと述べた。
このほか、ある委員は、「量的・質的金融緩和」の経済への効果が小さいとみていた人の中には、強力な金融緩和のもとで経済が大きく改善したことを受けて、将来必ず経済は悪化すると強調することで自己の主張と現実とのバランスを取ろうとする向きもみられると指摘した。
長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、委員は、前回会合以降、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが円滑に形成されているとの認識を共有した。ある委員は、米欧において物価上昇率が高まり、金利上昇圧力が強まるもとでも、わが国のイールドカーブは低位で安定して推移していると指摘した。
以上の議論を踏まえ、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、大方の委員は、以下の方針を維持することが適当であるとの見解を示した。
「短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」
これに対し、ある委員は、消費税増税や米国の景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018年度中には物価上昇率が2%に到達し、できるだけ早く2%をオーバーシュートする状況を目指すべきであり、そのために10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとの意見を述べた。
長期国債以外の資産の買入れについて、委員は、次回金融政策決定会合まで、(1)ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこと、(2)CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持すること、が適当であるとの認識を共有した。そのうえで、ある委員は、ETFなどリスク性資産の買入れについては、「物価安定の目標」を実現するための政策パッケージの一要素として行っていることを認識しつつ、その政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から検討を続けるべきであると述べた。
先行きの金融政策運営の考え方について、大方の委員は、(1)2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する、(2)消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する、(3)今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行うとの方針を共有した。
これに対し、一人の委員は、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、今後、展望レポートにおける消費者物価指数の政策委員見通しの中央値について、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、何らかの追加緩和手段を講じるという新たなコミットメントを導入することが適当であると述べた。
IV.政府からの出席者の発言
財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。
- 今回が任期中最後の金融政策決定会合となる総裁および両副総裁におかれては、2013年の就任以来、物価の安定を通じた日本経済の健全な発展に向けて尽力してこられた。在任期間中のこうしたご努力に対し、改めて敬意を表したい。
- 平成30年度予算は、2月28日に衆議院で可決され、現在、参議院でご審議頂いている。政府としては、本予算の早期成立こそが最大の経済対策であると考えている。経済の好循環をより確かなものとし、持続的な経済成長を実現するべく、予算および関連法案の一刻も早い成立に向け、引き続き、取り組んでいく。
- 日本銀行が、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。
また、内閣府の出席者からは、以下の趣旨の発言があった。
- わが国の景気は、緩やかに回復している。2017年10~12月期GDP2次速報では、実質成長率は前期比+0.4%、年率換算で+1.6%と8四半期連続のプラスとなった。先行きは、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。物価動向の判断には、GDPデフレーターを含め、各種物価指標を総合的にみることが重要である。
- 政府としては、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、新しい経済政策パッケージを着実に実施する。働き方改革関連法案については、裁量労働制の改正部分を全面削除するが、その他の部分については今国会での成立を目指す。専門的・技術的な外国人受入れの制度の在り方については、具体的に検討を進め、方向性を示していく。また、TPP11協定と関連国内法案を今国会に提出するべく準備を進める。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の「物価安定の目標」の実現に向け、着実に取り組むことを期待する。
- 総裁および両副総裁におかれては、「物価安定の目標」の実現に向け、この5年間、大胆な金融緩和に取り組んで頂いた。改めて深く敬意を表したい。
V.採決
1.金融市場調節方針
以上の議論を踏まえ、議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、以下の議案が提出され、採決に付された。
採決の結果、賛成多数で決定された。
金融市場調節方針に関する議案(議長案)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。
記
- 日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。
- 10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。
採決の結果
- 賛成:
- 黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員
- 反対:
- 片岡委員
片岡委員は、消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。
2.資産買入れ方針
議長から、委員の見解を取りまとめるかたちで、次回金融政策決定会合まで、(1)ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う、(2)CP等、社債等について、それぞれ約2.2 兆円、約3.2 兆円の残高を維持する、との資産買入れ方針とすることを内容とする議案が提出され、採決に付された。
採決の結果、全員一致で決定された。
採決の結果
- 賛成:
- 黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、片岡委員
- 反対:
- なし
VI.対外公表文(「当面の金融政策運営について」)の検討
以上の議論を踏まえ、対外公表文が検討された。この間、片岡委員からは、(1)消費者物価の前年比について、先行き、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとの意見、および、(2)オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを公表文中に記述することが必要との意見が表明された。
こうした検討を経て、議長からは、対外公表文(「当面の金融政策運営について」<別紙>)が提案され、採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。
VII.議事要旨の承認
議事要旨(2018年1月22、23日開催分)が全員一致で承認され、3月14日に公表することとされた。
以上
- (注)「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。」 本文に戻る
別紙
2018年3月9日
日本銀行
当面の金融政策運営について
-
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。
- (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
- 短期金利:
- 日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。
- 長期金利:
- 10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。
- (2)資産買入れ方針(全員一致)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
- (1)ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
- (2)CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。
- (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)
- わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。
- 先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。
- リスク要因としては、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが挙げられる。
- 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う(注3)。
以上
- (注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。反対:片岡委員。片岡委員は、消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。 本文に戻る
- (注2)片岡委員は、消費者物価の前年比は、先行き、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対した。 本文に戻る
- (注3)片岡委員は、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。 本文に戻る