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ホーム > 金融政策 > 金融政策決定会合の運営 > 金融政策決定会合議事要旨 2020年 > 金融政策決定会合議事要旨(5月22日開催分)
2020年6月19日
日本銀行
本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2020年6月15、16日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。
冒頭、議長より、今回の臨時金融政策決定会合開催について、以下のとおり趣旨説明があった。
4月27日の金融政策決定会合で議長よりなされた指示に基づく「新たな資金供給手段」についての検討結果を報告する。当該資金供給は、貸付先が報告する適格融資の残高を限度に、共通担保を担保として、期間1年以内、利率ゼロ%で貸付けること、利用残高の2倍の金額を「マクロ加算残高」に加算すること、利用残高に相当する当座預金へ+0.1%を付利すること、が考えられる。対象となる適格融資については、(1)緊急経済対策における無利子・無担保融資や新型コロナウイルス感染症対応として信用保証協会による保証の認定を受けて実行した融資(制度融資)、(2)融資条件面でこれに準じるプロパー融資とすることとしたい。適格融資の規模感は、約30兆円と見込まれる。また、本措置については、系統会員金融機関等も利用可能とするほか、「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ(特別オペ)」と一体的に運営することとしたい。さらに、本措置の導入にあわせて、特別オペ、CP・社債等の増額買入れ等の実施期限を半年間延長して、2021年3月末までとすることが考えられる。
本日、これらが決定されれば、5月末時点の金融機関の融資実績を踏まえて、6月中に資金供給を開始できるよう、準備を進めたい。
委員は、企業等の資金繰りを支援する観点から、執行部から提案があったように、新たな資金供給手段を導入するとともに、資金繰り支援のための各種措置の実施期限を半年間延長することが適当である、との見解で一致した。
新たな資金供給手段について、ある委員は、中小企業等への貸出比率が高い系統会員金融機関等を制度開始当初から対象に加えることは、中小企業等の資金繰りをさらに支援するために重要であると指摘した。また、この委員は、最近の経済・金融情勢を踏まえると、今回、臨時の会合を開くことで、新たな資金供給手段を速やかに導入する意義は大きいと付け加えた。別のある委員は、緊急経済対策における民間金融機関による無利子・無担保融資を一段と促進していくために、新しい資金供給手段で金融機関の取り組みをさらに後押しすることが適当であるとの意見を述べた。
資金繰り支援のための各種措置の実施期限について、何人かの委員は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は長引く可能性があり、日本銀行として、企業等の資金繰りを、かなり長い期間にわたって支援していく必要が生じる可能性もあると指摘した。そのうえで、これらの委員は、こうした可能性を踏まえると、念のため、期限を延長することが適当であるとの見方を示した。このうちの複数の委員は、今後、新型感染症の影響が長期化すれば、企業の資本が毀損したり、貸出債権が不良債権化したりするリスクがある点にも注意が必要であるとの見解を示した。
続いて、委員は、新たな資金供給手段を含め、新型感染症の拡大を受けて日本銀行が採用してきた諸措置について、市場や国民から十分に理解されるよう、分かりやすく説明していくことが重要であるとの認識を共有した。何人かの委員は、CP・社債等の買入れ(残高上限:約20兆円)と特別オペ(資金供給の対象となる日本銀行に担保として差入れられている民間債務:約25兆円<4月末現在>)に新たな資金供給手段(資金供給の対象となる適格融資:約30兆円)をあわせて、新型感染症の拡大に対応した、総枠約75兆円からなる資金繰り支援のための特別プログラムとして説明していくことが考えられると述べた。このうち、一人の委員は、日本銀行の資金繰り支援策は、大企業から個人事業主まで、幅広い先を対象としていることを、明確に示していく必要があると述べた。また、別のある委員は、3月以降の金融緩和の強化は、(1)上記の企業等の資金繰り支援を企図した特別プログラム、(2)金融市場の安定を維持する観点からの円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、(3)ETFおよびJ-REITの積極的な買入れ、の3つの柱に整理されるとの見方を示した。
この間、委員は、当面の金融政策運営について、今回の会合では上記の執行部提案に関連する論点に絞って討議し、その他の論点については、6月15、16日に開催を予定している次回の金融政策決定会合で、改めて経済・物価・金融情勢を点検したうえで、しっかりと議論することが望ましいとの見解で一致した。
財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。
また、内閣府の出席者からは、以下の趣旨の発言があった。
前記執行部提案を内容とする「『新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション基本要領』の一部改正等に関する件」が採決に付され、全員一致で決定された。
議長から、金融市場調節方針について、前回4月27日の金融政策決定会合での決定を維持するとの議案が提出され、採決に付された。
採決の結果、賛成多数で決定された。
金融市場調節方針に関する議案(議長案)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。
記
採決の結果
片岡委員は、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。
議長から、資産買入れ方針について、CP・社債等買入れの増額措置については執行部提案どおり期限延長し、それ以外については前回4月27日の金融政策決定会合での決定を維持するとの議案が提出され、採決に付された。
採決の結果、全員一致で決定された。
資産買入れ方針に関する議案(議長案)
長期国債以外の資産の買入れについて、下記のとおりとすること。
記
採決の結果
以上の議論を踏まえ、議長からは、2つの対外公表文(「中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入」<別紙1>および「当面の金融政策運営について」<別紙2>)が提案され、採決に付された。採決の結果、何れも全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。
本日の臨時金融政策決定会合の議事要旨は、6月15、16日に開催を予定している次回の会合で承認し、6月19日に公表することとされた。また、本日の会合の「主な意見」については、(1)議事要旨を公表する次回会合までの期間が短いこと、(2)本日の会合では、執行部提案に絞って討議が行われたこと、を踏まえ、政策委員会議事規則の規定に関わらず、作成しないこととされた。
以上
別紙 1
2020年5月22日
日本銀行
以上
(別紙)
貸付先が報告する適格融資の残高を限度に、共通担保を担保として、期間1年以内、利率ゼロ%で資金供給を行う制度。
緊急経済対策における無利子・無担保融資や新型コロナウイルス感染症対応として信用保証協会による保証の認定を受けて実行した融資
プロパー融資のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業等に対して行う、融資条件面で(1)に準じる融資(1先当りの上限:1,000億円)
利用残高の2倍の金額を「マクロ加算残高」に加算する。
利用残高に相当する当座預金へ+0.1%を付利する。
系統会員金融機関等も利用可能とする。
本措置による資金供給は、5月末時点の金融機関の融資実績を踏まえて、6月中に開始する予定。
本措置については、「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」と一体的に運営する。
以上
別紙 2
2020年5月22日
日本銀行
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融市場調節方針および資産買入れ方針について、以下のとおり決定した。
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
以上