日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について
1996年12月 6日
日本銀行
日本銀行における当座預金決済については、いわゆる「時点決済」と「即時決済」(RTGS)の双方が利用可能な作りとなっていますが、実際には、ほとんど全てが「時点決済」で処理されています。日本銀行は、こうした当座預金決済のあり方が、決済システムの安定維持の観点に照らし必ずしも適当ではなく、決済リスク削減の見地から「時点決済」を廃止すること——「RTGS化」——が適当と判断し、西暦2000年中を目標に「RTGS化」を実現すべく努力していくこととしました。
ただ、日銀当座預金はわが国の決済全体を底辺で支えるインフラであるだけに、その決済方法を「時点決済」中心からRTGSへと変えた場合、金融機関の実務や市場取引の慣行などに大きな影響が及ぶものと考えられます。このため、「RTGS化」を実現していくにあたっては、当座預金取引先や民間決済システムの運営者の方々の英知を集めることが何より大切です。
そうした考え方から日本銀行は、「RTGS化」に関する建設的なご意見・ご提案をいただくべく、ペーパーを取りまとめ、本日これを全ての当座預金取引先と主要な民間決済システム運営者にお配りすることといたしました。以下はその全文です。
目次
- RTGSとは何か
- (1)中央銀行当座預金の役割
- (2)中央銀行当座預金の決済方法
- RTGSのメリット
- (1)決済に伴うリスク
- (2)RTGSの下におけるシステミック・リスク削減
- 各国におけるRTGS採用状況
- (1)国際標準となった中央銀行のRTGS
- (2)各国の採用状況
- RTGSの問題点と中央銀行の対応
- (1)RTGSの問題点
- (2)中央銀行による日中流動性の供給
- RTGSの下における決済の姿
- (1)RTGSの下における秩序
- (2)民間決済システムの受払い尻の決済方法
- (3)証券DVPの決済
- 日銀当預決済の現状
- (1)利用先数
- (2)何に利用されているか
- (3)決済金額
- (4)どのように決済されているか
- 現状の問題点と「RTGS化」の必要性
- (1)日銀当預決済の問題点
- (2)「RTGS化」の必要性
- 「RTGS化」された日銀当預決済の枠組み
- (1)「時点処理」の廃止
- (2)民間決済システムの受払い尻の決済方法
- (3)国債DVPの扱い
- (4)日銀による日中流動性供与の問題
- (1)ご意見・ご提案の期限、提出方法
- (2)いただいたご意見・ご提案の扱い