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オンライン当座預金振替のサービス提供時間延長について

1998年 3月27日
日本銀行

 日本銀行は現在、オンライン当座預金振替のサービスを午前9時から午後5時まで提供している。このサービスの提供時間について日本銀行は、西暦2000年末までを目途に2時間延長し、午後7時までとする方向で検討を進めている。

 この主な目的は、市場参加者による外為取引の決済リスク削減努力を中央銀行の側から支援することである。国境を越えた金融取引が拡大する中で、外為取引の ── したがって、その決済リスクの ── 規模が急速に増大している。この状況に対処するため、G10諸国の中央銀行は1996年3月、『外為取引における決済リスクについて』という報告書を公表し、市場関係者による外為取引の決済リスク削減を促した。報告書は同時に、そうした市場関係者の行動を支援するため、中央銀行が「国内決済システムに重要な改善を施す」考えを明らかにしている。本件は、こうしたG10中央銀行の協調行動の一環と位置付けることができる。(注1)

 外為取引における決済リスクとは、例えば「A銀行とB銀行との間で円・米ドル売買の決済が行われる際に、A銀行がB銀行に円を支払ったにも拘らず、B銀行がA銀行にドルを支払うことができず、A銀行に損失が生じるリスク」を指す。このリスクは、A銀行が円を支払ってからドルを受取るまでの間存続するので、市場参加者はこの時間差を縮める工夫を行うことでリスクを削減することができる。(注2)

 しかしながら、上記の例の場合、両通貨を最終的に決済する日米の中央銀行において、資金決済サービスの提供時間帯に重なっている部分がなければ ── あるいは、重なっていても、その時間が十分に長くなければ ── 市場参加者の工夫にも限界が生じてしまう。現状、中央銀行における資金決済サービスの提供時間帯は、日米間で2時間半、日独間で1時間しか重なっておらず(日英間には重なりなし)、これが市場参加者による外為取引の決済リスク削減にとって大きな制約となり始めている。

 このような状況を踏まえ、日本銀行としては、オンライン当座預金振替のサービス提供時間を延長することが適当と考える次第である。

 日本銀行が現時点で考えている時間延長の枠組みは、以下のとおりである。

  • 当座預金決済の「RTGS化」(西暦2000年末までに実現の予定)と同時に、オンラインによる当座預金振替サービスの提供時間を現行(午前9時~午後5時)比2時間延長し、午後7時までとする。(注3)
    この結果、中央銀行における資金決済サービスの提供時間帯の重なりは、日米間で4時間半、日独間で3時間に拡大する(日英間にも新たに1時間半の重なりが発生する)。(注4)
  • 外為取引にかかる円決済を延長時間帯にも行う先が日本銀行本店の取引先に集中すると見込まれることから、上記の時間延長は、日本銀行本店の取引先の間におけるオンライン当預振替についてのみ実施する。なお、日本銀行各支店の取引先を少なくとも一方の取引当事者とするオンライン当預振替については、市中協議を通じてニーズを見極めたうえで、時間延長を検討することとしたい。
  • 時間延長がRTGSの環境下で実施されることから、延長時間帯においては、RTGSの円滑な運行に不可欠な日中当座貸越のサービス(「RTGS化」実現時に提供開始)も合わせて提供する。(注5)
  • 延長時間帯の利用を希望しない当座預金取引先は、現在と同様、午後5時にその日の日銀当預決済の利用を終了させることができるようにする。

 日本銀行は本件につき、当座預金取引先の皆様から建設的なご意見・ご提案を頂戴いたしたいと考えている。ご意見・ご提案は日本語により適宜の形式で書面にまとめ、1998年5月29日(必着)までに、書留で下記へ郵送頂きたい。頂戴したご意見・ご提案は、日本銀行において十分に検討のうえ、主なものとそれに対する日本銀行の考えをとりまとめたペーパーを作成する。そのペーパーは、頂戴した個別のご意見・ご提案とともに、公表する予定である。

  • 送付先:郵便番号103-8660
  • 東京都中央区日本橋本石町2-1-1
  • 日本銀行信用機構局決済システム課
  1. (注1)米国FRBは、従来午前8時半から午後6時半までとなっていたFedwireの運行時間を、昨年12月8日から8時間繰り上げ、午前0時半からとしている。また、欧州においては、統一通貨ユーロの決済システムであるtarget(来年1月稼働開始の予定)について、運行時間を午前7時から午後6時までの11時間と、現在の個別中央銀行の決済時間(例:ドイツ=午前8時~午後2時15分の6時間15分、イギリス=午前8時半~午後3時45分の7時間15分)に比べ長めに設定する計画となっている。
  2. (注2)詳しくは『外為取引における決済リスクについて』(国際決済銀行、1996年3月、日本銀行仮訳)を参照。
  3. (注3)なおシステム上は、午後8時まで延長可能なつくりとする。
  4. (注4)この時間延長により、予定されているtargetのサービス提供時間との重なりは4時間となる。
  5. (注5)延長時間帯における日中当座貸越は、各当座預金取引先の午後5時の段階における差入担保の範囲内で実行する扱いとする。

以上