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証券決済システムのための勧告

BIS支払・決済システム委員会と証券監督者国際機構専門委員会による報告書

2001年11月12日
国際決済銀行
支払・決済システム委員会

日本銀行から

 以下には、国際決済銀行の支払・決済システム委員会が公表したプレス・リリースの日本銀行仮訳を掲載しています。報告書本文の日本銀行仮訳は、こちら (bis0111b.pdf 162KB) から入手できます。

日本銀行仮訳

プレス・リリース

中央銀行と証券監督者が「証券決済システムのための勧告」を公表

 本日、支払・決済システム委員会(CPSS)と証券監督者国際機構(IOSCO)専門委員会は、「証券決済システムのための勧告」を公表した。本報告書は、BIS(www.bis.org)(外部サイトへのリンク)およびIOSCO(www.iosco.org)(外部サイトへのリンク)のホームページから入手可能である。

 本報告書は、証券決済システムのための最低基準を明らかにする19の勧告を設定するものである。勧告は、先進国や発展途上国で発行された証券を含むすべての証券のためのシステムと、国内およびクロスボーダー取引の双方に当てはまるように策定されている。

 証券決済システムは、グローバルな金融市場のインフラストラクチャーの重要な構成要素である。証券決済システムが脆弱であることは、証券市場や他の資金・証券決済システムにとって、システミックな混乱の源となりうる。証券決済システムの非効率性は、証券発行者にとってより高いコスト負担を、投資家にとってより低い収益をもたらすことになり、資本形成を阻害する可能性がある。証券決済システムの設計、運営、オーバーサイトに関する本勧告は、リスクを削減し、効率性を向上させ、投資家に対する適切なセーフガードを提供しうるような方策を、世界各国で実現することを狙いとしている。

 本勧告は、CPSSとIOSCO専門委員会が1999年に設置した「証券決済システムに関する作業部会」によって策定された。作業部会は、18におよぶ国、地域、欧州連合から集まった中央銀行と証券監督当局の代表者28名により構成されている。作業部会は、中央銀行、証券監督者、および証券決済システムの運営者や参加者から多大な協力を得た。作業部会は、2000年1月に、約30カ国を代表する中央銀行と証券監督者、さらに国際通貨基金や世界銀行の代表からも意見を受け付けた。また、2001年1月には、市中一般からのコメントを募るべく、本報告書の市中協議版を公表した。作業部会は、ヨーロッパをはじめとして、アジア、アフリカ、アメリカ等の幅広い関係者から、約90ものコメントを受領した。これらのコメントを踏まえ、幾つかの勧告が大幅に変更され、決済システム間のクロスボーダーのリンクに関する新しい勧告が追加された。

 証券決済システムの監督やオーバーサイトに責任を持つ各国当局は、各々が管轄する市場の勧告実現状況を評価し、必要な場合には実現に向けた行動計画を策定すべきである。本報告書には、それぞれの勧告につき鍵となる質問が含まれており、これに対する回答が実現状況の評価を行う際の基礎となる。CPSSとIOSCO専門委員会は、2002年中に当該評価の方法論を策定する計画である。今後の作業には、国際通貨基金と世界銀行が参加する予定となっている。

以上

注記

  1. 支払・決済システム委員会(CPSS)は、G10諸国の中央銀行が支払・決済の仕組みの発展状況をモニター・分析し、関連する政策課題を検討するフォーラムである。非G10諸国の中央銀行も、CPSSの活動にますます参加するようになってきている。CPSS議長は、ECB理事であるトマソ・パドア=スキオッパである。CPSS事務局は、BIS内に設けられている。CPSSの過去の報告書には以下のものがある。『証券決済システムにおけるDVP』(1992年)、『クロスボーダー証券決済』(1995年)、および『システミックな影響の大きい資金決済システムに関するコア・プリンシプル』(2001年)。CPSSの報告書一覧および最近発行された多くの報告書の全文(英文)は、BISのホームページ(www.bis.org)(外部サイトへのリンク)から入手可能となっている。
  2. 証券監督者国際機構(IOSCO)は、現在100を超える法域の証券市場監督者から組織されており、国内・国際証券市場の効率性・健全性を維持するため、高い基準の規制を協力して推進してきた。IOSCOの専門委員会の議長はカナダ・オンタリオ証券委員会委員長であるデビット・ブラウンが務めている。IOSCOは、以下のとおり証券決済システムに関する多くの報告書を発行している。『新興市場における支払・決済——その青写真(Clearing and settlement in emerging markets - a blue print)』(1992年)、『市場監督当局の協調と破綻対応手続(Cooperation between market authorities and default procedures)』(1996年)。他のIOSCOの報告書は、ホームページ上(www.iosco.org)(外部サイトへのリンク)に掲載されている。
  3. 「証券決済システムに関する作業部会」では、FRB調査統計局次長であるパトリック・パーキンソンと、シンガポール通貨庁証券先物局次長(2001年9月30日以前は、オーストラリア証券取引委員会理事)であるシェーン・トレギリスが共同議長を務めている。本報告書の策定期間のかなりの部分については、イタリア証券委員会市場監督室長であるジョバンニ・サバティーニが、2001年5月に民間へ移籍するまでの間、共同議長を努めた。作業部会の事務局は、CPSS事務局が務めている。
  4. これまで、CPSSとIOSCO専門委員会は、『証券決済システムのディスクロージャーの枠組み』(1997年)、『証券貸借取引:市場の発展とそのインプリケーション』(1999年)という報告書を共同で作成してきた。これらはいずれもBIS(外部サイトへのリンク)とIOSCO(外部サイトへのリンク)のホームページから入手可能であり、またその写しをBISとIOSCOから入手することができる。