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ISO/TC 68国内委員会について

ISO/TC 68の組織・概要

ISO(International Organization for Standardization

国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)は、国際標準化活動を行うために1947年に設立された非政府組織(本部 : スイス・ジュネーブ)です。
ISOの会員団体(Member Body:MB)として、各国1機関の国内で最も代表的な標準化機関が参加しており、現在は167カ国が加盟しています(2021年12月末時点)。日本は経済産業省(産業技術環境局基準認証ユニット)に設置されている審議会である日本産業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee:JISC)が1952年に加盟しています。
総会(General Assembly:GA)は年1回開催されており、ISO運営上の戦略的目標を決定しています。また、理事会(Council)は年3回開催されており、ISOの統括組織として活動しています。中央事務局(Central Secretariat:CS)は、事務局長(Secretary-General)の指揮のもとで様々な業務を行っています。

ISOの標準化分野は多岐にわたっており、往年は「ねじ」(TC 1)や「締結用部品」(TC 2)といったモノに関する規格開発が中心でしたが、近年では「情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC 27000s)」といったモノ以外に拡大しています。これにより規格開発を行うことを目的として設置される専門委員会(Technical Committee:TC)は増加傾向にあり、「アセットマネジメント」(TC 251)や「労働安全衛生マネジメント」(TC 283)といったマネジメント関連、および「サービスエクセレンス」(TC 312)や「電子商取引におけるトランザクション保証」(TC 321)といったサービス関連の委員会等が設置されています。そして、「金融サービス専門委員会」(TC 68)は68番目に設置されて金融情報技術の国際標準化を担当しています。

ISOの組織体制

下図の情報は2024年3月時点。
詳細はISO組織図(外部サイトへのリンク)をご参照ください。

  • ISOの組織体制を説明しています。詳細は本文のとおり。

TC 68(Technical Committee Financial services

TC 68は、議長(Chairperson)、各国審議団体(National Standards Body:NSB)から選任された代表者、リエゾンでメンバー構成されており、事務局(Committee Manager)が設置されています。
TC 68の下部組織には、TC 68議長(Chairperson)をサポートするCAG(Strategic Leadership Group)等のほか、3つの分科委員会(Sub-Committee : SC)が設置されています(SC 2:セキュリティ、SC 8:参照データ、SC 9:情報交換)。
TC 68では、上層委員会である技術管理評議会(TMB)および他TCとの調整事項、下部組織間における調整事項、TC 68の活動領域(Scope)に関する審議・決議(国際投票やPlenary会合席上で実施)、規格の活用促進のための情報発信、将来のISO規格作成に向けた調査・研究等に取り組んでいます。また、各SCの議長(Chairperson)を国際投票により選任します。

ISO/TC 68と3つの分科委員会(Sub-Committee:SC

下図の情報は2024年3月時点。

  • ISO/TC 68と3つの分科委員会(Sub-Committee:SC)を説明しています。詳細は本文のとおり。

各SCの担当分野は、金融サービスに関するデータ交換を安全・確実に行うための基本要素別に分かれています。SC 2(セキュリティ)は暗証番号の管理、生体認証、暗号化方式等のデータを安全に伝送する技術を、SC 8(参照データ)は必要なデータを識別しやすくするための付番・コード体系を、そしてSC 9(情報交換)はデータを伝送するフォーマットやデータ項目を、それぞれ担当しています。

各SCは、議長(Chairperson)、各国審議団体(National Standards Body:NSB)から選任された代表者、リエゾンでメンバー構成されており、事務局(Committee Manager)が設置されています。この各SCレベルでISO規格の立案・審議・決議(国際投票やPlenary会合席上で実施)・発行・改訂・廃止等に取り組んでいます。国際投票はPメンバー(Participating member)による決議となり、1国1票となります。このため、各国審議団体(National Standards Body:NSB)において審議・決議により見解を1つに纏めておく必要があります。

各SCの下部組織には、実際にISO規格開発を担当している作業グループ(Working Group:WG)や、ISO規格開発に向けた研究グループ(Study Group:SG)、アドバイザリーグループ(Advisory Group:AG)等が設置されています。これらのグループは、国際投票で選任された主査(Convenor)をはじめ、Convenor/Secretary Support Team、各国審議団体(National Standards Body:NSB)から選任された専門家(Expert)、リエゾン、Document monitor、Technical programme managerで構成されています。主査(Convenor)は、作業計画を策定した上で会議(リモート/対面)やメール等で、メンバーと議論しコンセンサスを得ながらドキュメントの作成に取り組み、作業達成を目指します。専門家(Expert)は、各国審議議団体(National Standards Body:NSB)の見解を認識していることが望ましいとされていますが、各人の立場で行動することが求められています。

このほか、公開済みのISO規格のうち登録・維持管理作業が必要なものは、維持機関(Maintenance Agency : MA)、登録機関(Registration Authority : RA)等が設置されています。また、ISO/TC 68/SC 9所管のISO規格「ISO 20022」(金融通信メッセージの国際規格)では、各評価グループ等を取りまとめ、登録手続き全般を審査・管理する組織として登録管理グループ(Registration Management Group : RMG)が設置されています。

ISO/TC 68(金融サービス)の審議体制、ISO規格「ISO 20022」(ISO/TC 68/SC 9所管)の登録管理グループ

日本は経済産業省の審議会「日本産業標準調査会(JISC)」が加盟。TC 68の国内審議団体(事務局)はJISCから委任を受けた日本銀行決済機構局が担当。下図の情報は2024年3月時点。
詳細は最新版のISO/TC 68(金融サービス)の審議体制と国内リエゾン関係、ISO 20022 RMG [PDF 691KB] をご参照ください。

  • 下の図表は、ISO/TC68(金融サービス)の審議体制、ISO規格「ISO 20022」(ISO/TC 68/SC 9所管)の登録管理グループを説明しています。詳細は本文のとおり。

リエゾン体制

ISO/TC 68およびSC 2・SC 8・SC 9の各レベルで、関連性の高いTC等との作業の重複を排除しつつ国際標準の整備を整合的かつ円滑に進めるために、リエゾン・オフィサー(Liaison Officer)を相互に派遣し、連携を図っています。
現在、ISO/TC 68国内委員会では、ISO/TC 307(Blockchain and Distributed Ledger Technologies)やISO/IEC JTC 1傘下の以下のSCとリエゾン関係にあります。

(1)TC 307(Blockchain and Distributed Ledger Technologies

ブロックチェーンや電子分散台帳技術の標準化を所掌。
国内審議団体の事務局は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)。

(2)JTC 1/SC 17(Cards and Security Devices for Personal Identification

カード及び個人識別を対象とし、各種カード及び個人識別用セキュリティデバイスの要素技術から利用システム(クレジットカード・IC旅券・運転免許証等)までを含む国際互換性に関する標準化と登録管理を所掌。
国内審議団体の事務局は、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)。

(3)JTC 1/SC 27(Information security, cybersecurity and privacy protection

他の複数のTCやSCにおいて共通的に利用可能な情報セキュリティの要素、管理システム、およびサービス技術の標準化を所掌。
国内審議団体の事務局は、一般社団法人情報処理学会(IPSJ)。

(4)JTC 1/SC 37(Biometrics

汎用的な生体認証技術に関する標準化を所掌。
国内審議団体の事務局は、一般社団法人情報処理学会(IPSJ)。

ISO/TC 68国内委員会の組織・運営体制

各TCの国内審議体制

日本では経済産業省(産業技術環境局基準認証ユニット)に設置されている審議会である日本産業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee:JISC)がISOの会員団体(Member Body:MB)となっており、各TCの国内審議団体(National Standards Body:NSB)は、日本産業標準調査会(JISC)から委任を受けた団体・組織がそれぞれ担当しています。ISO/TC 68国内審議団体(会議体名称を「ISO/TC 68国内委員会」という)は、日本銀行決済機構局が事務局を担当しています(決済システム課情報技術標準化グループ)。

各TCの国内審議体制

下図の情報は2024年3月時点。

  • 下の図表は、各TCの国内審議体制を説明しています。詳細は本文のとおり。

詳細は最新版の日本規格協会(JSA)ISO/IEC TC一覧及び国内審議団体連絡先情報(外部サイトへのリンク)をご覧ください。

ISO/TC 68国内委員会の組織・運営体制

ISO/TC 68国内委員会は、ISO/TC 68所管の金融サービス分野における国際標準化について国内での審議および情報共有等を行うことを目的としています(運営規約第2条)。本委員会の構成は、金融業界、金融関連の産業界、中央省庁、および学識経験者からの適切な人材若干名による委員のほか、リエゾン、オブザーバーをもって構成し、委員長1名、事務局長1名をおいています(同第3条)。
委員は本委員会の審議に参加し議決権を有します(同第4条)。本委員会の総会は、議長を務める委員長が招集して年2回程度開催すること、本委員会の審議はこの総会において行うことを原則としており、議事については議事録を作成します(同第5条)。

本委員会の運営面では、ISO/TC 68の審議体制と同じ組織構成(ミラー)で「国内作業部会」を設置し(同第6条1)、その対象となるWG等に関する事項(国際投票の投票案を含む)について審議を行うこととしています(同第6条2)。委員は国内作業部会のいずれかに参加いただきます(同第4条2)。また、国内作業部会にはその対象となるWG等に本委員会から選任された専門家(Expert:当委員会では国内メンバーとの対比で「国際エキスパート」という)を所属させることとしています(同第6条3)。国内作業部会は、その対象となるWG等が解散した場合または所属する国際エキスパートが不在となった場合には解散することとしています(同第6条5)。なお、国内作業部会が未設置のWG等については、事務局がその対象となるWG等に関する事項(国際投票の投票案を含む)の審議を担当します(同第9条3)。

国内作業部会の運営では、エキスパートの中から取り纏め役1名をおいています。各国内作業部会の取り纏め役は、その対象となるWG等に関する事項(国際投票の投票案を含む)について、国内作業部会メンバー(国際エキスパート+国内メンバーで構成:委員に該当)の意見調整や事務局との連絡役を担当します。また、本委員会総会においては総会資料のアップデート作業に取り組み、総会席上での報告を担当します。国際エキスパートには、対象となるWG等の文書や会合予定等へのアクセス権を有するISO Portalおよび日本産業調査会(JISC)が提供するISO/TC 68ミラーサイト(ISOlutions)へのアクセス権限を付与します。国内メンバーにはISO/TC 68ミラーサイト(ISOlutions)へのアクセス権を付与します。これらのID登録/抹消手続きは、事務局が担当します(同第9条3)。

ISO/TC 68国内委員会の組織構成と各役割

下図の情報は2024年3月時点。

  • 図表はISO/TC 68国内委員会の組織構成と各役割を説明しています。詳細は本文のとおり。

ISO/TC 68国内委員会における各国内作業部会

下図の情報は2024年3月時点。

  • 図表はISO/TC 68国内委員会における各国内作業部会を説明しています。詳細は本文のとおり。

規約

会員一覧(所属先の組織名称のみ掲載)

随時メンバーを募集中です。ISO/TC 68国内委員会運営規約第3条に該当し国際標準化活動への参画を希望される方は事務局までご照会ください。

沿革

表 沿革
1983年 9月 日本工業標準調査会(JISC、現在は日本産業標準調査会に名称変更)がISO/TC 68に対して、議決権のないO(Observer)メンバーとしての会員資格を取得
12月 JISCがISO/TC 68および下部組織のSC 1・SC 2・SC 5に対して、議決権のあるP(Participating)メンバーとしての会員資格を取得(SC 1 : Bank documents and access devices、SC 2 : Operation and procedures、SC 5 : Information Interchange
1984年 5月 ISO/TC 68の下部組織のSC 2およびSC 5のWGレベルの国際会合にPメンバーとして初参加
1985年 1月 第1回ICカード懇談会(ISO/TC 68/SC 2-7国内検討委員会のSC 7に相当)を開催
8月 第1回MAC(Message Authentication Code)懇談会(ISO/TC 68/SC 2-7国内検討委員会のSC 2に相当)を開催
1986年 6月 JISCがISO/TC 68/SC 6のPメンバーとしての会員資格を取得(SC 6 : Financial Transaction Cards, Related Media and Operations
12月 第1回ICカード関連連絡調整委員会(現在のISO/TC 68 国内委員会に相当)を開催
1991年 4月 ISO/TC 68/SC 2年次総会 東京会合開催(ホスト : 日本銀行)
1999年10月 ISO/TC 68/SC 4年次総会 東京会合開催(ホスト : 日本証券業協会)
2000年 6月 ISO/TC 68国内委員会ホームページ開設
2004年 6月 ISO/TC 68/SC 7が新設(SC 7:Core Banking、銀行業務のメッセージコードを所掌)
ISO 20022 RMG(Registration Management Group)をISO/TC 68/SC 4からTC 68へ移管
9月 ISO/TC 68/SC 2およびSC 6年次総会 東京会合開催(ホスト : 日本銀行)
2005年 6月 ISO/TC 68国内委員会運営規約およびISO/TC 68/SC 2・SC 6・SC 7国内検討委員会規則を制定
2006年 5月 ISO/TC 68国内委員長の交代(学習院大学 南部教授から横浜国立大学 松本教授に交代)
2007年 6月 ISO/TC 68/SC 6廃止に伴い、国内検討委員会規則を改正
2010年 5月 ISO/TC 68年次総会、TC 68/SC 4およびSC 7年次総会、ISO 20022 RMG定例会合の東京会合開催(ホスト : 日本銀行、日本証券業協会)
12月 ISO/TC 68国内委員会ホームページ更改
2015年 9月 ISO/TC 68/SC 2・SC 4・SC 7国内検討委員会廃止に伴い、ISO/TC 68/SC 2・SC 4・SC 7国内検討委員会規則を廃止およびISO/TC 68国内委員会運営規約を改正
12月 ISO 20022 RMG定例会合 東京会合開催(ホスト : 日本銀行)
2017年 4月 ISO/TC 68/SC 8(金融サービスにおける参照データ)およびSC 9(金融サービスにおける情報交換)が新設
11月 ISO/TC 68/SC 4およびSC 7が廃止
2019年 7月 ISO/TC 68国内委員会運営規約を全面改正
2020年 7月 ISO/TC 68国内委員会運営規約を一部改正し、ISO/TC 68国内委員会事務局を「金融研究所」から「決済機構局」へ移管
10月 ISO/TC 68国内委員会ホームページを「日本銀行金融研究所ホームページ」から「日本銀行ホームページ」へ移設
2021年 6月 ISO/TC 68国内委員会運営規約を一部改正し、ISO 20022 RMG傘下のグループに対応する国内作業部会を廃止
2022年10月 ISO/TC 68国内委員会ホームページのコンテンツを刷新
2022年12月 ISO/TC 68国内委員会運営規約を一部改正(第9条4)