第3章 決済の方法2.預金を使う場合(1)銀行に直接指示する方法
銀行の窓口で
「自分の預金を減らして誰々の預金を増やせ」と銀行に指示する方法――指図手段――には直接的なものと間接的なものとがあります。直接的なやり方というのは、銀行に預金を持っている人が当該銀行に「振替の指示」を行う方法です。銀行の窓口に出かけていって「振替依頼書」におかねの受取人や自分の名前・口座番号、金額などを書き込み、この紙で銀行に指示するやり方が一般的です。なお、「振替」に似た言葉に「振込」というのがありますが、このあたりの言葉の定義は人によってまちまちです。「振込」というのは「銀行におさつを渡して、これで他人の預金口座のおかねを増やすよう依頼すること」であり、「振替」は「自分の預金を減らして他人の預金を増やすこと」である、と定義する人もいます。また、それらは何れも「振込」であって、「振替」とは自分の普通預金を定期預金に移し替えるなど、自分がもつ異なる種類の口座間でおかねを移動させることだ、と定義する人もいます。ここでは、振替や振込という言葉を「自分の預金を減らして他人の預金をふやすこと」という意味で区別なく使うことにします。
窓口へ行く代りに
預金という決済手段を利用するにあたり、「振替の指示」という銀行への直接的な指図手段を用いる場合、そこには何とおりかの利用方法(「アクセス手段」と言います)があります。昔からあるのは、「窓口」に振替依頼書を持っていく方法です。しかし最近では、銀行の窓口に出向くことなく、新しい通信技術を活かして銀行に振替を指示する便利な方法がいろいろと開発されています。例えば、今日では「ATM」から振替を依頼することが可能となっています。ATMは銀行の店舗から離れた所、例えばコンビニエンス・ストアの中にも置かれるようになってきました(コンビニ・バンキング)。また、ATMよりも身近な新しいアクセス手段として、「電話」(テレホン・バンキング)や「携帯電話」(モバイル・バンキング)、「インターネットに繋がったパソコン」(インターネット・バンキング)なども利用され始めています。