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第1回決済システムフォーラムの議事の概要

2000年 8月 1日
日本銀行信用機構室

(開催要領)

  1. I.開催日時:平成12年7月27日(10:00~12:00)
  2. II.場所:日本銀行本店
  3. III.出席者:別添参照

(議題)

  1. I.開会挨拶
  2. II.日銀当座預金決済および国債決済のRTGS*化の準備状況
    • Real-Time Gross Settlement(即時グロス決済)
  3. III.BISが市中協議に付した報告書「システミックな影響の大きい資金決済システムに関するコア・プリンシプル」の概要
  4. IV.新為替決済制度の概要

I.開会挨拶(日本銀行黒田理事より挨拶)

 日本の決済システムは、昨今の金融機関経営を巡る混乱の中にあっても、その混乱を拡大するといった事態を招くことなく機能し続けており、これまで十分にその役割を果たしてきたと言える。しかし、情報通信技術の発達等を背景に決済システムを巡る環境は急速に変化してきており、グローバル・スタンダード(国際標準)の動向を常に意識しながら不断に改善を図っていく必要がある。

 RTGS化など決済方法の見直しは、市場慣行、決済慣行全般の変化を伴いながら、広範囲に影響の及ぶ大作業である。皆様方と協力し合いながら、わが国決済システムの安全性、効率性向上に努めていきたい。

 本フォーラムは、実務家を中心とする決済システム関係者の方々の率直な意見交換、情報交換の場としていきたい。

II.日銀当座預金決済および国債決済のRTGS化の準備状況

1.事務局説明

(1)日銀ネットのRTGS化の内容

 日銀ネットのRTGS化及びそれと同時に日本銀行が実施する事項は以下の4点。

  1. (a)日本銀行当座預金決済のRTGS化
    時点処理の廃止、日中当座貸越の供与など
  2. (b)当座預金オンライン取引の稼働時間延長
    本店管下希望先について午後7時まで延長
  3. (c)国債決済のRTGS化
    時点処理の廃止、国債DVP*同時担保受払機能の提供など
    • Delivery Versus Payment(証券の引き渡しと資金の支払とが相互に条件付けられて行われる仕組み)
  4. (d)与信・担保システムの構築

(2)日銀ネットRTGS化に向けた作業状況

 2001年1月の実施に向けた5段階の作業のうち、近々、(d)の総合運転試験が実施される予定。

  1. (a)日本銀行による基本要件の決定
  2. (b)市場参加者によるRTGS化に即した市場慣行の確立
  3. (c)個別金融機関による事務・システム面の対応
  4. (d)市場参加者・日本銀行による総合運転試験の実施
    フェーズ1:日中当座貸越、担保の差入・返戻など日銀ネットの新規個別機能を確認するためのテストを8月から9月にかけて延べ4日間実施の予定。
    フェーズ2:本番リハーサル(RTGS化後の本番事務に近い内容で実際の受払い事務に即して行うテスト)を10月から12月にかけて延べ6日間実施の予定。
  5. (e)年末年始におけるシステム・事務の切替

2.出席者からの発言要旨

 東京証券取引所では、日銀ネットのRTGS化を睨んで、国債取引について、振決債によるDVP決済への一本化等の制度改正を行った。
 また、日銀ネットとのCPU接続の準備を進めているほか、総合運転試験を利用して、取引所会員を対象とした東証決済業務に係るテストを実施、RTGS化に万全を期す方針。

(全銀協会長行より)

 RTGS化は市中の取引慣行にも大きな影響を与えるので、平成11年初から短期金融市場取引活性化研究会においてRTGS化後の新しい市場慣行のあり方について検討を行い、今春までに決済額削減のための方策(オープンエンド取引の導入、ネッティングスキームの確定等)や決済タイムテーブルなどについて取り纏めを終了した。
 併せて、総合運転試験に向けて、その実施方法等について取り纏めを行った(「RTフェーズ2への取り組み方針に関する方針」を参照<全国銀行協会ホームページhttp://www.zenginkyo.or.jp(外部サイトへのリンク)に掲載>)。できるだけ多くの関係者が総合運転試験に参加し、RTGS化後の決済のあり方について理解を深めることを期待している。

III.BISが市中協議に付した報告書「システミックな影響の大きい資金決済システムに関するコア・プリンシプル」の概要

1.事務局説明

(1)経緯

 1998年5月、決済システムの安全性・効率性向上のため、その設計・運営についての一般的な原則・指針の設定が必要との認識に立って、BISペイメント委員会のもとに作業部会が設置された。

 本コア・プリンシプルを確定するにあたり、BISでは原案を公表し、7月10日から9月8日まで市中協議を実施中である。その後、市中協議を踏まえて本年末にも最終版を確定する予定。

(2)報告書の構成

第1部(総論)

  • 「システミックな影響の大きい資金決済システムに関するコア・プリンシプル(I~X)」とその要点
  • 「コア・プリンシプルを巡る中央銀行の責務(A~D)」とその要点、等

第2部(解説)

  • コア・プリンシプルの適用範囲
  • コア・プリンシプル(I~X)・中央銀行の責務(A~D)の解説、等

(3)報告書の内容(注)

  • (注)G10中央銀行支払・決済システム委員会報告書「システミックな影響の大きい資金決済システムに関するコア・プリンシプル」(Core Principles for Systemically Important Payment Systems)の内容については、BISホームページhttp://www.bis.org(原文)(外部サイトへのリンク)、または本ホームページ(日本銀行仮訳)を参照。

2.出席者からの発言要旨

 取引の国際化が一段と進む中で、円の決済がグローバル・スタンダードに適合することが益々重要になってきていると感じている。また、わが国の場合には、民間部門がより一層主体的に、かつビジネスとして、決済サービスを提供していくことが大切であると思う。

IV.新為替決済制度の概要(東京銀行協会事務システム部矢部部長より説明)

 東京銀行協会が運営する内国為替制度は、平成10年の秋に以下の2点をポイントに見直すことが決定している。2001年1月、日銀ネットのRTGS化と同時に、新為替決済制度をスタートさせる予定である。

  1. (a)セントラル・カウンターパーティーを日本銀行から東京銀行協会に変更する。
  2. (b)参加行の債務不履行時の決済確保策として、自行の仕向け超過限度額に応じた物的担保を差入れる現行の方式に加え、他の加盟行による保証供与も認める方式に変更する(保証行責任方式の導入)。

 東京銀行協会では、新為替決済制度へ移行後、平成15年秋に、第5次全銀システムの稼動によるレベルアップも予定しており、両者が相俟って前述のBISのコア・プリンシプルに適合する安全性・効率性の高い決済システムが実現していくものと考えている。

以上


(別添)

第1回決済システムフォーラム出席者(敬称略)

  • 荒井 三郎 東京銀行協会CDセンター所長
  • 飯田 確 全国信用協同組合連合会(SANCS運営)決済企画部長
  • 今村 長武 第二地方銀行協会(SCS運営)事務局長兼業務部長

(座長)

  • 黒田 巖 日本銀行理事
  • 小坂井 雅夫 全国信用金庫連合会(しんきんネットキャッシュサービス運営)決済業務部長
  • 佐方 裕 東京銀行協会外国為替円決済制度管理室長
  • 清水 寿二 東京証券取引所決済管理部長
  • 高野 久男 東京銀行協会全銀センター所長
  • 高野 雄一 あさひ銀行(全国銀行協会事務委員会委員長行)ALM部次長
  • 瀧 久隆 中央三井信託銀行(信託協会<SOCS運営>会長行)決済管理部部長
  • 飛山 康雄 証券保管振替機構企画部長
  • 長谷川 芳完 全国地方銀行協会(ACS運営)業務部副部長
  • 半田 邦博 農林中央金庫(全国農協貯金ネットサービス運営)資金為替部副部長
  • 平井 賢一 東京金融先物取引所業務部長
  • 溝口 右一 東京銀行協会東京手形交換所長
  • 宮崎 雅夫 住友銀行(全国銀行協会会長行)市場営業グループ担当次長
  • 森 光彦 労働金庫連合会(ROCS運営)資金管理部次長
  • 諸節 潔 CLSサービシズ東京事務所代表
  • 矢部 伸 東京銀行協会事務システム部長
  • 山川 芳伸 債券決済ネットワーク業務部長
  • 渡辺 修一 日本興業銀行(全国銀行協会市場委員会委員長行)市場委員会室長

(事務局)

日本銀行信用機構室