「日本銀行による金融市場インフラに対するオーバーサイトの基本方針(案)」に関する意見募集について
2013年1月29日
日本銀行
日本銀行では、他の主要国中央銀行と同様に、決済システムの安全性と効率性を確保する観点から、そのオーバーサイトを行ってきました。日本銀行では、この点について、2002年9月、「決済の分野における日本銀行の役割——決済手段・決済システムの提供とオーバーサイト——」を公表し、さらに、2010年5月、オーバーサイトの目的や活動方針について一段の明確化を図る趣旨から、「決済システムに対する「オーバーサイト」の基本方針」(以下「基本方針」)および「オフショア円決済システムに対する「オーバーサイト」の基本方針」(以下「オフショア方針」)を公表したところです。
2012年4月に、国際決済銀行(「BIS」)支払・決済システム委員会と証券監督者国際機構では、決済システムを対象とする従前の3つの国際基準を包括的に見直し、「金融市場インフラのための原則」を公表しました。金融市場インフラとは、資金決済システム、証券集中保管機関、証券決済システム、清算機関および取引情報蓄積機関を指し、多数の参加者が関与するもとで、数多くの金融取引の清算・決済・記録を集中的に処理することを通じ、当該金融市場インフラがサービスを提供する市場の機能を強化し、金融システムの安定を確保するうえで不可欠な役割を果たしています。
金融市場インフラのための原則は、各国の中央銀行、監督者その他の関係当局に対し、同原則を採用することを求めています。これを受けて、日本銀行では、上記の基本方針およびオフショア方針を改訂し、「日本銀行による金融市場インフラに対するオーバーサイトの基本方針」を制定することを予定していますが、今般、その改訂案(資料1:「日本銀行による金融市場インフラに対するオーバーサイトの基本方針(案)」[PDF 486KB]、以下「基本方針(改訂案)」)に関し、金融市場インフラの運営者をはじめとする関係者の皆様方のご意見を伺いたいと考えています。
基本方針(改訂案)では、システミックに重要な金融市場インフラの安全性・効率性の評価に用いる国際基準として、金融市場インフラのための原則を用いることを明記するとともに、同原則の内容に即した改訂((1)オーバーサイトの対象の総称を「決済システム」から「金融市場インフラ」に変更し、取引情報蓄積機関を対象に加えること、(2)日本銀行自身が運営する金融市場インフラに対しても、他のシステミックに重要な金融市場インフラに対して行うのと同様の厳格さをもって、国際基準への適合状況の評価を行っていることを明確化すること、(3)国内外の関係当局等と協力してオーバーサイトを行っていることを明確化すること等)を行っています。
また、オーバーサイトのプロセスに関し、(1)当座預金取引等の業務運営を通じて得られる情報や、そうした業務の適切な実施等の観点から行う立入調査で得られた情報などをオーバーサイトに活用していることを明確化するとともに、(2)日本銀行がとくに重点を置いてオーバーサイトを行う対象は、日本銀行の目的のひとつである「金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保」に重大な影響を及ぼし得るシステミックに重要な金融市場インフラであることを明確化するための改訂を行っています。
さらに、オフショア方針は、海外の円の資金決済システムを対象としていますが、金融市場インフラのための原則において各国当局間の協力に関する原則が設けられたことや、日本銀行では海外の清算機関に対する協調オーバーサイトにも参加することになったこと等を踏まえ、同方針を基本方針に統合し、海外の円貨または円建ての金融商品を対象とした取引について、決済や清算等を行う金融市場インフラを対象とすることとしています。
なお、上記のような内容面での改訂に加え、決済に関する解説にかかる部分を簡素化するなど、構成や記述を整理しています。
具体的な改訂箇所につきましては、資料2(「「日本銀行による金融市場インフラに対するオーバーサイトの基本方針(案)」と現行基本方針の対照表」[PDF 532KB])をご参照ください。
金融市場インフラの運営者をはじめとする関係者の皆様方におかれましては、基本方針(改訂案)に関しご意見がある場合は、適宜の形式で、2013年3月1日(金)までに、氏名または法人名および連絡先を明記のうえ、電子メールで以下の送付先にお送りください。頂いたご意見については、氏名または法人名を含めて公表させていただく可能性があります。また、個別の回答は行いませんので、予めご了承ください。
ご意見の送付先
E-mail : post.oversight@boj.or.jp
照会先
決済機構局決済システム課オーバーサイトグループ
Tel : 03-3277-2627