金融市場レポート
2007年前半の動き
2007年7月31日
日本銀行金融市場局
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要旨
2007年前半の金融市場の動向をみると、日本銀行では2007年2月の金融政策決定会合において金融市場調節の操作目標(無担保コールレート<オーバーナイト物>)の誘導水準を0.25%前後から0.5%前後に引き上げた。政策金利引き上げは、2006年7月以来であり、この間の短期金融市場の機能回復を踏まえ、安定的なレートコントロールに支障はないと判断されたことから、補完貸付金利が政策金利を上回る幅は0.15%ポイントから0.25%ポイントに拡大された。新たな政策金利の下で、短期金融市場取引は更に拡大し、活発な裁定取引等により金利形成も円滑に行われた。こうした金融市場環境の下でわが国経済は緩やかな拡大を続けた。
国際金融市場をみると、2月末から3月にかけて、中国株の急落や、米国において住宅市場を中心に経済の先行きや金融市場の安定性に対する不透明感が強まったことなどを受けて、投資家のリスク回避度が高まり、世界的に株価が下落したほか、クレジット・スプレッドが幾分拡大し、投機的ポジションの一部巻き戻し等により円が主要通貨に対して上昇した。もっとも、その後は、世界経済が総じて拡大基調を維持するとの見方が各国で共有される中で、投資家のリスク回避度の高まりは終息し、好調な企業業績見通しと活発な企業合併・買収等により、世界的に株式・クレジット市場は堅調に推移した。5月以降、米国における景況感の強まりなどを背景に、米欧の長期金利が大幅に上昇し、株式・クレジット市場が調整する局面もみられたものの、調整幅は限定的となった。
わが国でも、足許の堅調な企業業績等を受け、株式・クレジット市場ともに総じて底堅く推移したが、株価については、世界同時株安を受けて大きく下落した後、欧米対比やや上昇力が弱い展開となった。また、5月以降、世界的に長期金利が上昇する中で、わが国長期金利も一時1.9%台半ばまで上昇したほか、短期金利も上昇した。円相場は、わが国の金利が相対的に低い水準に止まる中、ボラティリティが極めて低い環境が継続したほか、わが国個人投資家の外貨建資産投資の増加などもあって、円安傾向を辿った。
日本銀行から
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