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人口減少に立ち向かう地域金融

地域金融機関の経営環境と課題

2015年5月29日
日本銀行金融機構局

要旨

地域金融機関の収益力は、2000年代以降、趨勢的に低下してきた。長期にわたる超低金利環境の継続というマクロ的な要因に、人口減少等の構造的な下押し圧力が、地域経済により強く働いてきたことによるものである。

人口動態は今後も「逆風」として働くとみられるが、地域金融機関は、これに立ち向かうべく、様々な取り組みを行っている。まず挙げられるのは、地域の産業・企業の活力向上支援である。足もと、わが国の景気が緩やかな回復を続けるもとで、金融機関の取り組みは、より効果を発揮しやすくなっていくと考えられる。また、事業領域の拡充や新たな金融ニーズの掘り起こし、ITの活用等による業務革新や経費構造の見直しなどへの取り組みもみられる。これらは、金融サービスの付加価値と効率性を高め、個々の金融機関のみならず、地域金融全体の収益力向上にも繋がり得るものである。業務提携や経営統合は、これらの取り組みをより効果的に推進し、地域に貢献していくための選択肢の一つと位置づけられる。

地域の経済活力の維持・向上には、それを支える地域金融が収益力を備えた活力ある「産業」として存立していくことが不可欠である。企業統治改革の浸透とともに、地域金融機関においても株主等の視点から収益力が評価される傾向が強まっていく。金融機関自身の経営努力の重要性は言うまでもないが、人口動態など構造的な下押し要因の存在を考慮すると、(1)地方創生に向けた官民の協働、(2)金融業務に関する制度・規制、(3)公的金融のあり方など、金融機関の取り組みを後押しする環境整備も重要である。日本銀行としても、中央銀行の立場から地域金融機関の様々な取り組みを支援していく。

日本銀行から

本レポートの内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融機構局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

金融機構局金融第2課

E-mail : post.bsd1@boj.or.jp