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マルチアセット型の投資信託の特徴とリスク管理上の留意点

2020年7月3日
日本銀行金融機構局

要旨

新興国を含む国内外の債券や株式等の幅広い資産を投資対象とする「マルチアセット型」の投資信託(以下、マルチアセット型投信)のなかには、価格変動リスクの抑制を目的として、投資ポートフォリオに組み入れる資産の配分比率を市場の変化に応じて随時変更するタイプも多い。本稿では、こうしたマルチアセット型投信の特徴を踏まえ分析を行い、(1)市場の不確実性が高い局面では、投信のリスク抑制とリターン追求双方の面で比較的良好なパフォーマンスを発揮してきた(ただし、リーマンショック時は例外)、(2)一方、市場が落ち着いている局面では、ポートフォリオのボラティリティを高める方向で資産の入れ替えを行っていたものの、結果としてのリターン面のパフォーマンスは低めにとどまっていた、との示唆を得た。

今回の分析結果が金融機関のマルチアセット型投信のリスク管理にもたらす含意は大きく次の2点にまとめられる。第一に、資産の入れ替えがより頻繁に行われ、中核資産を特定することが困難な銘柄に対しては、通常行われる頻度でのルックスルーが、必ずしも有効なリスク管理手段とはならないため、リスク管理上、保有限度額やロスカット基準の設定など追加的な枠組みが必要である。第二に、マルチアセット型投信の多くは、ミドルリスク・ミドルリターンを狙った商品設計と考えられるが、リーマンショック時のように市場全体にストレスがかかる局面においては、資産の入れ替えを頻繁に行い得るとしても、リスクの遮断に至らないケースがあり得る。新型コロナウイルス感染拡大の影響から、金融市場における先行きの不確実性が依然として非常に大きい状況下において、将来再びボラティリティが拡大する場合に、予期せぬ損失が発生する可能性については、引き続き留意する必要がある。

日本銀行から

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照会先

金融機構局金融システム調査課

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