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「決済システムレポート」の公表開始について

2006年 3月 6日
日本銀行

「決済システムリポート」の公表開始

 日本銀行は、このたび、「決済システムレポート」の公表を開始しました。

 本レポートは、(1)わが国決済システムにおける取扱高の推移や制度改革の動向を分析、紹介すること、(2)わが国決済システムの安全性、効率性面での課題を把握し、それへの対応状況と日本銀行の取組みを紹介すること、(3)決済システムにかかる研究成果を紹介し、国内外における決済問題への取組みに貢献すること、を目的としています。

 創刊号(「決済システムレポート2005」)においては、原則として、2005年中をレビュー対象期間とし、必要に応じてその前後の期間の動向にも言及しています。また、創刊号であることに鑑み、わが国の各決済システムの決済処理方式とリスク管理策について詳細に解説しています。さらに、わが国決済システムに関する基礎資料となるよう、関連する参考資料(年表、各種の国際基準、参考文献等)を付しています。

 本レポートの作成は、決済機構局が担当しています。

創刊号の「はじめに」より

 決済システムは、一国の経済活動を支える重要な基盤の一つである。商取引や金融取引をはじめとする経済活動は、決済が確実に行われるとの信認の上に成り立っている。万一決済システムが円滑に機能しない場合には、経済活動全般に多大な影響が及ぶ。決済システムの運営主体や参加金融機関は、日々決済システムを円滑に運営するとともに、その安全性と効率性を向上させる責務を負っている。

 日本銀行も、支払・決済手段の提供者および決済システムの運営主体として、日本銀行券を発行するとともに、日本銀行当座預金を提供している。証券決済の分野でも、国債の振替制度、登録制度を運営している。また、わが国資金・証券決済システム全般の安全性、効率性向上に向けた働きかけを行うほか、各国にまたがる国際的な決済システム等に対しても、主要国中央銀行とともに国際協調オーバーサイトを実施している。2005年7月には、安全で効率的な決済システムの構築に積極的に貢献することを目的に、決済機構局を新設した。

 わが国決済システムの動向をみると、1980年代は金融取引の急増を受けて、決済処理のオンライン化が進められた。また、1990年代以降は、金融システム不安の高まりにも対応して決済リスク削減策の導入・強化が積極的に図られた。わが国資金・証券決済システムの改革はこれまで着実に進展してきたと評価できよう。

 しかし、決済システムを取り巻く環境の変化は著しい。情報通信技術が不断に進歩するもとで、情報セキュリティ面では新たな対応を要する事例が増加している。金融市場では、市場参加者や金融商品の多様化、金融取引の国際化が進み、決済システムの構造にも変化が生じている。自然災害や大規模テロなどの物理的脅威にも備えなければならない。より安全で効率的な決済システムの構築にあたっては、配慮すべき要素が一層多様かつ複雑なものとなっている。

 今回創刊する決済システムレポートは、こうした環境変化を踏まえながら、最近のわが国決済システムの動きを概括し、今後の課題を把握することを目的としている。対象期間は原則として2005年中とし、必要に応じて前後の期間の動きにも言及している。

 具体的な記述にあたっては、以下の3点を柱とした。

  1. (1)わが国決済システムにおける取扱高の推移や制度改革の動向を分析、紹介すること。
  2. (2)わが国決済システムの安全性、効率性面での課題を把握し、それへの対応状況と日本銀行の取組みを紹介すること。
  3. (3)決済システムにかかる研究成果を紹介し、国内外における決済問題への取組みに貢献すること。

 日本銀行は、今後とも、決済システムの運営主体や参加金融機関との緊密な連携のもとで、より安全で効率的なわが国決済システムの構築に引き続き注力していく考えである。

以上