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決済システムレポート2009

国際金融危機への対応と新たな取組み

2010年1月
日本銀行

はじめに

決済システムレポートは、わが国の決済システムの動きを概括し、今後の課題を把握することを目的として発行するものであり、以下の3点を柱に記述している。

  1. (1)わが国決済システムにおける取扱高の推移や制度改革の動向を分析・紹介すること。
  2. (2)わが国決済システムの安全性・効率性の面での課題を把握し、それへの対応状況と日本銀行の取組みを紹介すること。
  3. (3)決済システムにかかる研究成果を紹介し、国内外における決済問題への取組みに貢献すること。

「決済システムレポート2009」は、2008年秋から2009年秋までを対象期間としている。国際金融市場では、2007年夏のサブプライムローン問題の発生以降、緊張感が高まっていたが、2008年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破綻をきっかけに、さらに大きく動揺した。わが国においても、リーマン・ブラザーズ証券(日本法人)が破綻したことに伴い、多額の決済不履行が発生した。こうしたなか、危機の発生に伴うショックを柔軟に吸収しうる頑健性の高い決済システムの構築が、安定的な金融取引の基盤として重要であることが改めて認識された。

今次の国際金融危機は、わが国決済システムにとっても、これまで整備してきた決済リスク管理策の実効性を検証する、ひとつの試金石となった。本レポートでは、わが国決済システムにおいて、決済不履行への対処がいかに行われ、決済リスク削減のための仕組みが今次局面でどのように機能したかを解説する。また、今回の経験を通じて明らかになったいくつかの課題を整理するとともに、これに関連して、決済システムの安全性確保と効率性向上に向けた日本銀行のオーバーサイト活動を紹介する。

このほか、日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)の機能向上に向けての取組みを紹介する。また、新たに制定された「資金決済に関する法律」の概要や、日本銀行や民間決済システム・金融機関が協調して取組んでいる業務継続体制整備の動きについて説明する。

日本銀行としては、今後とも、わが国の中央銀行として、決済システムの運営主体や参加金融機関、海外中央銀行等との緊密な連携のもとで、より安全で効率的なわが国決済システムの構築に向けて引続き注力していく考えである。

日本銀行から

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