全国11支店金融経済概況 (2002年 4月)
2002年 4月 4日
日本銀行
目次
- 北海道地区金融経済概況
- 東北地区金融経済概況
- 北陸地区金融経済概況
- 神奈川県内金融経済概況
- 東海地区金融経済概況
- 京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況
- 大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況
- 兵庫県内金融経済概況
- 中国地区金融経済概況
- 四国地区金融経済概況
- 九州地区金融経済概況
北海道地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行札幌支店
北海道地区の景気をみると、全体としてはなお厳しい状況が続いており、企業の景況感も引続き慎重なものとなっている。最終需要面では、公共投資が減少傾向にあり、住宅投資も低調に推移しているほか、民間設備投資も企業収益の一段の悪化等から引続き減少計画となっている。また、個人消費も明暗双方向の動きが交錯するなかで、総じてみれば力強さに欠ける展開が続いている。こうしたなかで、企業の生産は全体としてはなお低調ながらも、ここにきて下げ止まり感がうかがわれている一方、雇用環境は倒産等を背景に厳しい状況が続いている。
最終需要面の動きをみると、個人消費は、百貨店では一部でのリニューアル効果等もあって婦人衣料品や身の回り品等を中心に堅調ながら、スーパー等では衣料品をはじめ総じて伸び悩んでいることから、大型小売店の売上げは引続き前年を下回って推移している。また、耐久消費財についても、乗用車販売は新型車投入効果等から底固い動きを続けている一方、家電販売は冷蔵庫やパソコン等の不振から、引続き減少傾向にあるなど、総じてみれば力強さに欠ける展開が続いている。この間、観光面では、入込み客数はこのところ前年を上回っている。
公共投資は、地方分の発注減等を背景に、引続き減少傾向にある。
住宅投資は、分譲マンションが伸長している一方、持家が大幅な減少を継続し、貸家も増勢が鈍化していることから、低調に推移している。
設備投資については、一部に販売力強化や合理化・省人化投資等の動きがみられるが、企業収益の悪化等を背景に、総じて慎重な投資スタンスにあること等から、14年度も前年を引続き下回る計画となっている。
企業の生産は、建設関連資材(窯業・土石、木材・木製品)では公共工事の減少等から、紙・パでは広告需要の減少等から、いずれも低調な生産を続けている一方、自動車部品、電子部品(情報通信機器向け等)、鉄鋼では、輸出の増加や新製品対応等から、それぞれ生産水準を引上げている。
企業収益については、13年度は売上げの減少等から、製造業を中心にかなりの減益となった後、14年度は製造業、非製造業ともに売上げの増加やコスト削減効果等から、増益を予想している。
雇用情勢については、新規求職者が倒産等を背景に大幅に増加していること等から、有効求人倍率は低下するなど、厳しい状況が続いている。
企業金融は、金融機関では企業の信用力を勘案しつつ、優良先を中心に前向きな貸出姿勢にあるなかで、総じて落ち着いた状況にある。この間、企業倒産については、件数は前年を下回っているものの、負債金額は大型倒産の発生から前年をかなり上回って推移している。
金融面をみると、預金については、個人預金は流動性を中心に堅調に推移しているが、一部に公共債などへのシフトがみられるほか、法人での預貸相殺の動きが根強いこと等から、全体では前年を下回っている。一方、貸出については、企業の資金需要の低迷に加え、住宅ローンの肩代わりの一服等もあって、前年割れが続いている。
以上
東北地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行仙台支店
東北地区経済にも、海外需要の持ち直しなど一部に明るさが見え始め、企業マインドの悪化に歯止めがかかりつつある。しかし、生産水準の低下に伴う雇用・所得環境の悪化と、その個人消費等に対する影響が目立ち、全体としては後退を続けている。
すなわち、鉱工業生産は、一部品目に海外需要の持ち直しから減産を緩和する動きもみられるが、多くの品目では国内需要の減少などから減産を続けている。また、設備投資も、減少が続いている。
さらに、こうした生産水準の低下や海外への生産シフトの進展に伴い、雇用環境は、このところ悪化度合いを強めており、家計所得も一段と減少している。こうした下で、個人消費は、耐久消費財を中心に売行きの不振が強まっている。また、公共・住宅投資は、引き続き低調に推移している。
最終需要をやや詳しくみると、個人消費のうち、大型小売店売上高は、高級ブランド品が堅調な一方、季節衣料品や家庭用品の不振により、引き続き前年を下回って推移している。また、家電販売高も、デジタル製品は引き続き好調ながら、パソコン等情報通信機器が不冴えなほか、冷蔵庫等白物家電も不振が目立ち、このところ前年比減少幅が拡大している。さらに、乗用車販売も、地域によって動きがやや異なるものの、全体としては、消費スタンスの慎重化等から低調な販売が続いている。この間、旅行取扱高は、海外向けに持ち直しの動きもみられるが、全体としては前年を下回る状態が続いている。
公共投資をみると、請負金額は、各月振れを伴いつつも年度初来累計では前年度を下回っている。先行きについても、投資的経費を削減している地方公共団体が多いこともあって、基調としては低調に推移するとみられる。
また、住宅投資も、月によって振れはあるが、主力持家が前年を下回って推移しているなど、低調な地合いが続いている。
2001年度の設備投資額(東北地区短観、ソフトウェアを含む全産業)をみると、IT関連メーカーを中心に幅広い業種が投資を大幅に削減したほか、小売も足元の新規出店を抑制したため、前年度を3割弱下回った。更に、2002年度も、小売が投資スタンスをやや前傾化させるものの、製造業が事業統廃合等に伴い投資分野を削減するほか、建設、運輸・倉庫が大型投資を抑制することもあって、前年度を1割強下回る計画となっている。
主要製造業の生産動向をみると、電気機械では、半導体等情報関連部品の一部に海外需要の持ち直しから減産を緩和する動きがみられる。しかし、ネットワーク機器等多くの品目では、国内需要の不振から減産を続けているほか、国際価格競争力の強化を狙った海外生産シフトの動きも続いている。
輸送用機械では、多くの先が国内需要の減少から減産を更に強化しているが、一部に他地域からの生産移管により足元の操業度を引き上げる動きがみられる。
その他消費関連業種をみると、食料品は、末端需要の減少などから生産水準を一段と引き下げる品目がある一方で、飲料など堅調な生産を行っている品目もあるなど、明暗が交錯している。紙・パは、情報関連需要の減少等から全体としては低調な生産を続けている。
設備投資関連業種では、一部品目に輸出の持ち直しに加え、他地域からの生産移管により、生産水準を引き上げる動きもみられるが、半導体製造装置等多くの品目では、国内外の受注減少から減産を更に強化している。
建設関連業種(セメント・同二次製品、鉄鋼二次製品、木材・木製品)では、輸出向けに減産を緩和する動きもみられるが、全体としては公共・住宅投資の減少から操業度を更に引き下げている。
2001年度の売上高・経常利益(東北地区短観、全産業)は、IT関連メーカーの一部に海外需要の持ち直しから売上・利益計画を上方修正する動きもみられたが、多くの業種が内需の減少等から一段と下方修正したため、減収・減益幅が更に拡大した。
2002年度は、製造業・非製造業ともに、下期にかけて緩やかな景気回復を期待した事業計画を立てている。通期でみると、売上が製造業の事業統廃合の影響などから減少する一方、利益は、製造業・非製造業ともに経費削減効果を見込んで増加する計画となっている。
雇用・所得環境をみると、有効求人倍率は、電気機械を中心とした生産活動の低下に伴う求人数の減少や海外生産シフトに伴う誘致企業の工場閉鎖等から、引き続き低下傾向にある。また、常用雇用者数も、製造業の減少等から、このところ前年比減少幅が拡大している。
こうした状況の下で、1人当たり名目賃金は、所定外労働時間が前年を下回っている中で、冬季賞与も大幅に減少したことなどから、低下幅が拡大しており、雇用者所得(常用雇用者数×1人当たり名目賃金)も、全国を上回る減少が続いている。
企業倒産件数をみると、建設、卸・小売の中小・零細企業を中心に、引き続き高水準で推移している。
金融面をみると、預金(譲渡性預金を含む)は、法人が引き続き低調な一方、個人は堅調に推移しており、全体として底固い動きが続いている。一方、貸出は、個人向けが増加しているものの、法人向けが減少しており、全体として前年比減少幅がやや拡大している。
以上
北陸地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行金沢支店
北陸の景気は、輸出が下げ止まりつつあるものの、設備投資の減少や個人消費の弱まりがみられるなど、全体としては悪化を続けている。
需要項目別の動き
輸出については、電気機械が持ち直していることに加え、一般機械においても下げ止まり感が窺われるなど、全体でも下げ止まりつつある。
設備投資は、製造業を中心に製品開発投資に底固さがみられるほか、小売業において店舗投資が持ち直しつつあるものの、これまでの収益の悪化を踏まえ投資額削減の動きがみられるなど、全体としては減少している。
個人消費は、雇用・所得環境が厳しさを増し、消費者心理も慎重化する中で、弱まりつつある。
公共投資は、北陸3県の13年度補正後予算が前年を下回っている中、公共工事請負額が前年を下回るなど、減少している。
住宅投資は、雇用・所得環境の悪化に伴う持家の落ち込みに加え、貸家も減少するなど、減少傾向を強めている。
生産・雇用面の動き
生産については、多くの業種で生産水準の引き下げが続いているものの、輸出ウエイトの大きい電気機械や一般機械の一部において、生産水準を引き上げる動きがみられるなど、減少テンポは緩やかになりつつある。
雇用面をみると、雇用者所得は、所定外給与が減少していることに加え、所定内給与も弱含んでいることから、低調に推移している。また、有効求人倍率(含むパート)は、電気機械で求人数の下げ止まりがみられるものの、それ以外の業種では雇用調整を一段と強めており、求職者数が引き続き増加していることから、低下傾向にある。
金融面の動き
(1)預金
個人預金は、流動性預金が増加基調にあるものの、定期性預金が国債等他の金融商品へのシフトもあって減少していることから、全体としても減少している。
一方、法人預金は、定期性預金が借入金返済のための取り崩しなどを背景に低迷していることから、全体としても減少基調にある。
(2)貸出
個人向け貸出についてみると、民間金融機関の住宅ローンについては、金融機関の積極的な取り組みにより、借換え案件を中心に、引き続き堅調に推移している。
一方、法人向け貸出についてみると、運転資金貸出は、企業における有利子負債圧縮の影響から、引き続き低迷している。また、設備資金貸出は、企業における投資計画自体の縮小を背景に、引き続き減少している。
この間、貸出約定平均金利(ストック)は、比較的高利であるの一巡等により、低下テンポが緩やかになっている。
以上
神奈川県内金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行横浜支店
神奈川県経済をみると、情報通信関連の在庫調整を映じて生産は下げ止まりの方向にあるが、雇用・所得環境の悪化が個人消費にも及んでいるなど、引き続き厳しい状況にある。
足許、企業の景況感について、平成14年3月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」(以下「3月短観」と略称)をみると、業況判断D.I.は、製造業で情報通信関連需要の調整長期化等を背景に悪化したものの、非製造業では各種合理化策等の奏効により改善したことから、全産業では2000年12月以来5期振りに改善した。先行きについては、製造業で改善を見込んでいることから、更に改善する見通し。
最終需要面をやや詳しくみると、個人消費は、雇用・所得環境の悪化等を背景に弱めの動きが続いている。すなわち、乗用車販売は、一部新規投入車種を除いて、購入を手控える動きが強い。また、家電販売ではパソコン販売等の減少が続いているほか、百貨店売上高も、中年齢層を中心に消費支出姿勢が弱まっていることもあって、前年を下回っている。
県内企業の設備投資計画を3月短観でみると、2001年度は、製造業において、情報通信関連業種における業績悪化に伴う設備投資先送り等から、2年振りに前年を下回る見込みにあるほか、非製造業でも、4年連続して前年を下回っていることから、全体では2年振りに前年を下回る見込み。また、2002年度についても、老朽化設備の更新投資や合理化投資など、設備投資を必要最小限度に止める先が多いことから、2年連続して前年を下回る計画。
住宅投資は、雇用・所得環境の悪化等を背景に、住宅取得を手控える動きがみられており、伸び悩みの動きが鮮明になってきている。
公共投資は、足許大型工事の発注がみられているものの、予算制約の下、振れを伴いつつも、総じてみれば減少傾向を辿っている。
輸出を3月短観でみると、2001年度は、海外経済の回復の遅れや情報通信関連の調整長期化の影響から、2年振りに前年を下回る見込み。一方、2002年度については、情報通信関連財における在庫調整の進捗や海外需要の持ち直し期待から、2年振りに前年を上回る計画となっている。
こうした需要動向の下、県内企業の生産をみると、情報通信関連需要の低迷等を受けて低操業が続いているが、電気機械・工作機械では、昨秋以降のリストラや一時帰休等による減産を映じ、在庫調整が進捗していることから、下げ止まりの方向にある。
雇用面をみると、新規求人倍率、有効求人倍率ともに低水準で推移している。特に製造業においては、生産調整の長期化から、所定外労働時間が減少を続けているなど、雇用環境が悪化している。
企業収益を3月短観でみると、2001年度は、製造業で情報通信関連需要の減退に伴う売上減少等を主因に、電気機械で赤字転化しているほか、一般機械でも前年を大きく下回っていることから、全体では3年振りに大幅な減益となる見込み。また、売上高経常利益率(製造業)は、電機機械・一般機械の大幅な悪化を主因に、マイナス転化する見込み。2002年度については、2001年度に実施したリストラ等合理化策の効果を期待し、全体では2年振りに前年を上回る計画となっている。
また、企業倒産は、これまでの製造業や建設業に加え、消費低迷の影響から小売、サービス業で増加していることから、件数、負債総額とも引き続き高水準で推移している。
県内金融機関の貸出動向をみると、個人向けが住宅ローンを主体に高目の伸びを維持しているものの、一般事業法人向けが資金需要の低迷を反映して減少傾向にあることから、前年比減少率は横這い圏内で推移している。一方、預金は、法人預金が引き続き低調に推移しているものの、個人預金がリスク商品からの資金流入もあって、流動性を中心に順調な吸収が続いていることから、堅調に推移している。こうした中、金融機関では、不採算預金の調達を抑制する動きもみられる。
以上
東海地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行名古屋支店
東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気は、引き続き悪化しているが、そのテンポは緩やかになりつつある。
最終需要の動向をみると、住宅投資が減少を続けているほか、個人消費、公共投資は引き続き弱含んでいる。しかし、輸出が持ち直しているほか、設備投資も底固さを維持している。
こうした中、生産は、輸出の持ち直しや在庫調整の進捗を背景に、下げ止まりつつある。もっとも、最終需要が全体としては減少を続ける中で、雇用・所得環境は引き続き悪化傾向を強めており、物価も弱含んでいる。
先行きについては、在庫調整の進捗や米国を中心とする海外の景気動向が、輸出や生産といった企業活動にどのような影響を及ぼすか、注意深く見極めていく必要がある。また、雇用・所得環境の悪化が個人の支出活動に与える影響に関しても、今後どのような広がりをみせるか、引き続き警戒的にみていく必要がある。
金融面をみると、資金需要の低迷を受けて、管内金融機関の貸出は前年割れで推移している。
個人消費・・・各種売上指標をみると、百貨店売上高が一進一退の動きとなっており、スーパーの売上高も依然低調に推移している。また、乗用車販売が弱含んでいるほか、家電量販店の売上げも低調に推移している。旅行取扱高は、依然として前年を大幅に下回っているものの、海外旅行の落ち込み幅が縮小していることなどを背景に幾分持ち直している。
設備投資・・・非製造業は、電力の抑制スタンス等を背景に総じて低調であるものの、当地主力の輸送用機械では、モデルチェンジ対応や研究開発関連の投資案件を中心に堅調な設備投資スタンスを維持している。また、これまで設備投資減額の動きが続いていたIT関連業種においても、一段の削減には歯止めがかかっているように窺われる。
住宅投資・・・新設住宅着工をみると、貸家が引き続き堅調に推移しているほか、分譲も増加している。一方、持家は低調に推移している。
公共投資・・・発注の動きを示す公共工事請負金額をみると、中部国際空港等のプロジェクトに絡む大型案件の発注が一部にみられるものの、国および地方公共団体の歳出抑制スタンスを反映して、全体では減少傾向にある。
輸出・・・主力の米国向けは、鉄鋼や工作機械等が低調に推移しているものの、自動車がやや強含んでいるほか、一部電子部品や電気機器も新製品の投入効果などから増加している。アジア向けは、鉄鋼、化学製品が円安の影響もあって増加しているが、自動車、工作機械、電子部品などは引き続き弱含んでいる。欧州向けは、工作機械等の低迷が続いている一方、自動車は引き続き横這いで推移しており、事務機器や電気機器は増加している。
生産・・・加工業種では、工作機械、電動工具、フォークリフトは内外需要の低迷から引き続き減産に取り組んでおり、電子部品組立機も低水準の生産を続けている。しかし、当地主力の自動車関連は、米国・中近東向け輸出の持ち直しや国内での新型車投入などを背景に生産を増加させており、ICパッケージも新製品向けに増加を続けている。また、ビデオカメラも新製品投入のため生産を幾分増加させており、二輪車、事務機器も海外需要の堅調から高水準横這いを維持している。
素材業種では、紙・パルプ、化学製品、繊維製品は国内最終需要の減少を背景に減産に取り組んでおり、洋食器も内外需要の落ち込みから生産を減少させている。また、住宅向け窯業製品(瓦、衛生陶器、タイル)も低水準の生産を続けている。しかし、棒鋼は国内大型プロジェクト向けに幾分増加しているほか、鋼板・鋼管、特殊鋼は建材、IT関連、一般機械向けが低調ながら、自動車向けが増加しているため、横這いの動きとなっている。
雇用・所得・・・所定外労働時間や新規求人数が引き続き前年を大きく下回っているほか、常用労働者数も減少幅が拡大している。また、完全失業率は大幅に上昇している。この間、1人当たり名目賃金の前年比マイナス幅が拡大するなど、所得面の悪化も続いている。
以上
京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行京都支店
管内景気は、輸出の減少テンポが緩やかになりつつあるといった変化はみられるものの、設備投資の落ち込みが続いているほか、厳しい雇用・所得環境の下で個人消費も弱目の動きになっているなど、引き続き悪化している。
すなわち、最終需要の動きをみると、輸出は電子部品関連では持ち直しの動きが窺われているが、設備投資は依然減勢を辿っており、住宅投資も減少傾向が続いている。また、百貨店売上げや耐久消費財の売上げも捗々しくないなど、個人消費も総じて低調裡に推移している。
こうした最終需要のもと、製造業における生産はなお減少を続けており、雇用調整の動きも拡がっている。このため、有効求人倍率は低水準で推移している。
最終需要の動きをやや詳しくみると、輸出は、IT(情報技術)関連における世界的な在庫調整の進捗等を背景に、電子部品関連で持ち直しの動きが窺われていることなどから、減少テンポがやや緩やかになっている。
一方、個人消費は、百貨店売上げは、暖冬の影響から冬物商品の販売が芳しくなく、また、足元も春物衣料は比較的好調ながら全体としては盛上がりを欠いている。乗用車販売(新車登録台数<除く軽自動車>)は、新型車投入効果の一巡などから、かなり弱含んでいる。家電販売は、季節家電や白物家電の不振を背景に、低調な状況が続いている。
この間、京都観光をみると、安全性の観点から海外旅行を避けるとの動きは次第に薄らいできているものの、なお入込客数は増加基調を続けている。
設備投資は、企業収益の悪化や稼働率の低さを背景に幅広い業種で投資を絞り込む動きがみられ、全体として減少している。先行きについても、製造業ではさらに減少傾向を辿るものとみられる。
住宅投資は、大型分譲マンションの着工は底固く推移しているものの、基調としては減少傾向で推移している。
公共投資は、多くの地公体の工事発注が低調に推移していることから、減少している。
こうした状況下、管内製造業の生産動向をみると、電子部品等一部のメーカーでは在庫調整の進捗や輸出環境の改善等を背景に、水準低下に歯止めが掛かりつつあるものの、産業用車輌や金属・化学など多くの業種では受注減少が続いているため、さらに減産体制を継続している。すなわち、業種別に具体的にみると、電子部品については、業界内の在庫調整進捗を背景とした受注持ち直しから、一部では生産水準を引き上げている。しかしながら、半導体・液晶製造装置は、受注低迷等を背景に大幅な減産体制を継続している。一般・精密機械等は、一部に減少テンポが緩やかになっている動きもみられるものの、全体の生産水準としてはなお低下している。金属、化学等の素材関連業種でも、在庫圧縮のため大幅減産を続けている。和装関連は、総じて需要が不振な中、大幅な減産が続いている。
企業収益をみると、製造業を中心に、売上低迷の下で企業間競争が激しく、製品価格への下押し圧力が強いことから収益率の低下が目立ち、大幅減益を余儀なくされる先が多い。先行きについては、IT関連の需要回復やリストラ効果の顕現化期待等から、製造業、非製造業ともに収益改善が見込まれているものの、その程度は緩やかなものに止まるとみる向きが少なくない。
雇用・所得面をみると、雇用調整の拡がりを背景に有効求人倍率は低水準で推移しているほか、ベア凍結の先が多いなど、さらに厳しさを増している。
企業倒産は、件数、負債金額とも、高水準で推移している。
金融面をみると、民間金融機関の貸出は、住宅ローンが堅調に推移しているが、法人向けの増加運転資金、設備資金需要ともに引き続き低迷しており、前年を下回っている。
預金は、法人預金、個人預金ともに定期性が伸び悩んでいるものの、流動性が高い伸びを示しており、全体では前年を上回って推移している。
以上
大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行大阪支店
管内の景気は、輸出の持ち直しに伴い生産が下げ止まってきているものの、全体としては引き続き厳しい状況にある。管内企業、とりわけ海外売上のウエイトが高い企業の中には景況感を幾分改善させている先もあるが、設備投資の減少が続き、雇用・所得環境が悪化する下で個人消費も幾分弱めに推移していることなどから、全体として現状、先行きともなお慎重にみる向きが多い。
最終需要面の動きをみると、輸出は、米国・欧州向けが資本財を中心に依然減少を続けているものの、アジア向けを中心に、情報関連財や鉄鋼、化学製品などその他の生産財が増加してきており、全体としてみれば持ち直しに転じつつある。
設備投資は、競争力強化に向けて積極的な投資姿勢を維持する先もあるが、企業収益悪化の下で、投資スタンスは依然慎重であり、全体として減少している。
個人消費は、乗用車販売が新型車の投入に伴い底堅く推移しているものの、百貨店売上高が足許弱めとなっているほか、家電販売やスーパー売上高は減少を続けており、全体として引き続き幾分弱めとなっている。
住宅投資は、大型分譲マンションの着工は底堅く推移しているものの、全体としては低調に推移している。
公共投資は、発注ベースでは大型案件によって足許増加しているが、工事ベースではなお低調に推移している。
生産は、輸出が持ち直しに転じつつあり、在庫過剰感も徐々に弱まる下で、下げ止まってきている。
企業収益(経常利益)は、一部に為替円安や生産下げ止まりによる上振れもみられるが、全体として悪化している。3月短観結果(近畿地区)を全産業ベースでみると、2001年度は前年比-32.9%の減益となる見込みである。2002年度については、現段階では同+16.9%の増益計画となっている。
雇用・所得環境をみると、常用労働者数の前年割れが続き、失業率が上昇しているほか、有効求人倍率も依然として低下している。また賃金も減少しており、全体として厳しさが増している。
物価をみると、在庫調整の進捗や為替円安等を受け、一部には上昇ないし下げ止まりの動きもみられるが、全体としては、需給が緩和している下で下落を続けている。
企業倒産件数は、高水準で推移している。
企業金融についてみると、比較的業況の良い先では緩和基調が続いているが、業績低調な先では売上不振に加えて、信用力の低下もあって厳しさが増している。
金融面では、企業業績の悪化から後ろ向き資金の需要はみられるものの、優良企業を中心とした借入金圧縮の動きや設備投資の減少等を背景に前向きの資金需要が乏しくなっていることから、貸出は減少を続けている。金融機関では、優良企業向け貸出や住宅ローンの伸長に向けた積極的な取組みを続ける一方、借り手の信用リスクをより慎重に見極めるとともに、リスクに見合った金利を適用するよう努めている。
預金については、個人預金を中心に底堅く推移している。
以上
兵庫県内金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行神戸支店
管内景気は、全体として引き続き厳しい状況にあるが、企業の景況感には下げ止まりの兆しがみられる。
個人消費をみると、百貨店売上高が底固く推移しているが、家電販売やスーパー売上高は、引き続き低調に推移している。また、乗用車販売は、このところ弱含み傾向が続いている。この間、観光面をみると、USJ効果や同時多発テロに伴う海外旅行から国内旅行へのシフトの動きを背景に、管内ホテルの宿泊客数や温泉地への入込客数は増加している。
設備投資は、収益の悪化などを背景に抑制的な動きが続いている。
住宅投資は、着工戸数がマンションを中心にこのところ前年を上回っているが、販売面ではなお低調の域を脱していない。
公共投資は、全体としては減少を続けている。
生産・出荷の状況をみると、在庫調整の進捗に加え、一部で輸出に持ち直しの動きがみられることなどから、減少テンポが緩やかになっている。
造船では、高水準の手持工事量を確保しており、高操業を続けている。
鉄鋼では、市況立直しを企図した生産調整を継続しているため、粗鋼生産量は減少している。品目別にみると、自動車向け需要の減少から、薄板、線材、特殊鋼の生産水準が低下しているほか、条鋼類(H形鋼等)でも、住宅建設・公共事業向けの需要低迷から減産を余儀なくされている。この間、H形鋼、異形棒鋼等の市況は、このところ強含みとなっている。
一般機械では、射出成形機でIT関連のアジア向け輸出が持ち直している一方、化工機、物流機械、建設機械は、設備投資や公共事業向けの需要不振から低調に推移している。
電子部品では、コンデンサーが家電向けを中心に出荷が依然低迷しているが、水晶振動子、半導体、液晶表示装置では、在庫調整の進捗や海外景気の持ち直しからこのところ輸出に動きがみられ始めている。
食品では、狂牛病問題の影響等から、食肉加工の生産は低調に推移している。
地場産業では、ケミカルシューズで春物の出荷が低調であったほか、播州織や豊岡鞄でも、個人消費の低迷や安値輸入品との競合から生産水準が低下している。
業況判断D.I.(3月短観)は、「現状」については、僅かながら悪化したものの、「先行き」については、製造業を中心に5四半期振りに改善するとの予測となっている(全産業13/12月-41→14/3月-42→14/6月予測-39)。
雇用・所得環境は、依然厳しさを増している。
物価は、引き続き下落している。
企業倒産は、中小・零細企業を中心に増加している。
金融面をみると、貸出は、企業の資金需要が乏しいことなどから、引き続き低調に推移している。
貸出約定平均金利は、長期プライムレートの引き上げの影響等から僅かながら上昇している。
預金は、公金預金が減少している一方、個人預金が堅調に推移していることから、全体ではほぼ前年並みの水準にある。
以上
中国地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行広島支店
概況
中国地区の景気は輸出に回復の兆しが窺われるものの、内需の低迷等を背景に企業マインドが悪化しているなど、なお後退を続けている。
(前回<3か月前>との比較)
- 改善がみられる項目
- 輸出は回復の兆しが窺われる。
- 概ね変化がみられない項目
- 個人消費は雇用・所得環境の悪化を背景に、弱まっている。
- 設備投資については、引き続き慎重な投資スタンスにある。
- 住宅投資は減少している。
- 公共投資は減少傾向にある。
- 生産は総じてみれば減少している。
- 雇用・所得環境は一段と厳しさを増している。
- 悪化がみられる項目
- 企業マインドは悪化している。
1.実体経済
(1)最終需要の動向
個人消費は雇用・所得環境の悪化を背景に、弱まっている。
百貨店は、一部雑貨に動意がみられたものの、衣料品が低調に推移していることから前年割れが続いている。また、スーパーも衣料品等の低迷から前年割れが続いている。この間、パソコンや白物家電が低調に推移しているほか、携帯電話の通信・通話料も増勢が鈍化してきている。
設備投資については、引き続き慎重な投資スタンスにある。
13年度の設備投資実績見込み(3月調査)をみると、前年度比△5.7%の減少となっている。また、14年度は同△7.2%と減少する計画となっており、引き続き慎重な投資スタンスにある。
住宅投資は減少している。
新設住宅着工戸数をみると、ウエイトの高い持家の大幅な前年割れが続いているなど、減少している。
公共投資は減少傾向にある。
公共工事請負額をみると、地方公共団体の投資的経費圧縮等を主因に、減少傾向にある。
輸出は回復の兆しが窺われる。
輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、米国向け自動車が堅調に推移していることや、ウエイトの高いアジア向け輸出の一部に動意がみられるなど、回復の兆しが窺われる。
(2)生産の動向
生産は総じてみれば減少している。
業種別にみると、造船は高目の操業を持続しているほか、電気機械では在庫調整進捗等を背景に一部に減産を緩和する動きがみられている。もっとも、鉄鋼や一般機械等その他製造業では生産水準を引き下げる動きが続いている。
(3)雇用・所得環境の動向
雇用・所得環境は一段と厳しさを増している。
常用雇用者数の前年割れが続いている中で、有効求人倍率の低下が続いているほか、所得面についても名目賃金が減少しているなど、雇用・所得環境は一段と厳しい状況にある。
(4)企業の動向
企業マインドは悪化している。
3月短観(中国地区)からみると、足許の景況感は悪化しているが、先行きはほぼ横這いを見込んでいる(業況判断D.I.〈「良い」−「悪い」〉13年12月△41%→14年3月△46%→6月予測△47%)。
企業収益は足許悪化しているが、先行きは改善が見込まれている。
3月短観から13年度実績見込みをみると、前年度比△15.8%と前回調査(13年12月)に比べ減益幅を拡大している。しかしながら、14年度は同+30.0%の増益計画と、収益改善が見込まれている。
2.金融動向
(1)貸出の動向
貸出は低迷を続けている。
内訳をみると、個人向けは、借り換え案件を中心とする住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。
(2)預金の動向
預金は概ね横這いで推移している。
内訳をみると、法人預金は低調に推移している一方、個人預金は堅調に推移している。この間、定期性預金から流動性預金へのシフトがやや強まっている。
以上
四国地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店
概況
四国地区の景気は、全体としてなお悪化が続いている。すなわち、輸出や住宅投資の減少が続いているほか、公共投資もこのところ前年を下回ってきている。設備投資も企業収益の悪化や需要見通しの不透明感を背景に抑制的なスタンスを継続する先が多い。さらに、雇用・所得環境の悪化等を反映して、個人消費も総じて弱めの動きが目立っている。
こうした需要動向を受けて、企業の生産は、一部の業種における在庫調整の進捗等もあって、その減少テンポはこのところ緩やかになってきているものの、全体としては減少が続いている。この間、企業マインドについては、依然として悪化を続けている。
需要動向
最終需要についてみると、輸出の減少が続いているほか、住宅投資も低調に推移している。公共投資も、高速道路網整備や空港拡張等の大型工事は引き続きみられるものの、全体としてはこのところ前年を下回ってきている。設備投資も、企業収益の悪化や需要見通しの不透明感を背景に抑制的なスタンスを継続する先が多く、計画繰り延べや減額の動きを反映して減少基調にある。また、個人消費では、百貨店等の売り上げが、増床効果等により堅調な一部店舗を除けば総じて低調となっている。家電販売についても、一部高額商品(大画面テレビ等)に動意が窺われるものの、主力のパソコンや大型家電製品の落ち込みを主因に不振が続いている。さらに、乗用車販売も、引き続き低調な地合いとなっている。このように、個人消費全体としては弱めの動きが目立っている。
生産
企業の生産動向をみると、減少テンポはこのところ緩やかになってきているものの、全体としては生産の減少が継続している。
すなわち、高水準の受注残を抱える造船(外航船)や、輸出が堅調な化学の一部(ナイロン繊維原料)では高操業を続けている。また、電子部品・情報機器関連財では、受注低迷を背景に生産の減少が続いているものの、一部(プリント基板用硬化剤、特殊工業紙等)では、在庫調整の進捗等もあって生産の減少幅は縮小してきている。
一方、化学(無機化学等)の殆どの先では、国内需要の低迷等を受けて操業度を幾分引き下げているほか、鉄鋼や一般機械(建設用機械、産業・運搬機械等)でも、内外の需要不振や根強い在庫過剰感を背景に減産体制を継続している。さらに、繊維(縫製品、タオル)では、需要の長期低迷、海外製品の流入増などから、多くの先で低操業を余儀なくされている。このほか、紙・パルプ(印刷用紙、チラシ用紙等)、木材・木製品(型枠用合板等)、窯業・土石(研磨材、石灰石、住宅エクステリア製品)等、幅広い業種で生産調整を続けている。
雇用
雇用情勢をみると、新規求人の減少が続いているほか、製造業を中心とした雇用調整の動きも継続していることから、有効求人倍率は低位で推移している。
金融
金融面をみると、預金については、個人預金が流動性を中心に堅調に推移していることから、安定した伸びを維持している。一方、貸出は、企業の資金需要の低迷を背景に前年を下回って推移している。
以上
九州地区金融経済概況
2002年 4月 4日
日本銀行福岡支店
九州経済をみると、輸出や生産で改善を示す動きがみられるものの、全体としては厳しい状況が続いている。
すなわち、輸出の持ち直しや在庫調整の進捗から、生産は低水準ながらやや改善している。個人消費をみると、明暗両方の動きがみられる中、全体としてはほぼ横ばいとなっている。一方、公共投資、設備投資は減少を続けているほか、住宅投資はさらに減少している。
こうした状況下、企業の業況感は厳しい状況が続いている。
雇用面でも厳しさが増している。
最終需要をみると、輸出は、電気機械がアジア、米国向けを中心として減少幅を縮小しているほか、輸送用機械も米国向けが増加していることから、全体としてやや持ち直している(通関統計・九州7県、除く船舶、前年比、13/10-12月-6.5%→14/1-2月+0.5%<速報>)。
個人消費をみると、家電販売がパソコンの売上げ減少等から前年を下回っているほか、スーパーの売上高も減少を続けている。また、乗用車販売も弱めの動きとなっている。一方、百貨店売上高は、2月は衣料品を中心にやや減少したが、3月入り後は春物商品を主体に再び増加に転じるなど、一進一退となっている。この間、温泉などの観光地では観光客の来訪が引続き増えているほか、沖縄への旅行客数も回復している(沖縄県入域観光客数・前年比、13/10-12月-18.9%→14/1-2月+1.2%)。また、昨年秋以降落ち込んでいた海外旅行は減少幅が縮小してきている。
公共投資は、新規工事発注が低調に推移しており、減少を続けている。
設備投資は、一部に工場や商業施設の着工がみられるものの、電気機械、化学、窯業・土石等の製造業を中心に減少している。企業の14年度計画をみると、電気機械、一般機械やサービス・リース、通信、小売など多くの業種で減少することから、全体(短観、1054社)としては前年比-6.6%と減少する見通しで、引続き慎重な姿勢にある。
住宅投資は、雇用・所得環境の悪化から家計の住宅取得に対する姿勢がより慎重になっており、持家・分譲(マンション)を中心にさらに減少している(新設住宅着工戸数・九州7県前年比、13/10-12月-8.2%→14/1-2月-10.3%)。
生産面をみると、化学などでは減産を継続しているものの、電気機械では在庫調整がほぼ一巡し、減産緩和の動きが広がっているほか、新製品の増産の動きもみられる。また、自動車も高操業を継続していることから、全体としては低水準ながらやや改善している(鉱工業生産指数<季調済>13/10月:89.1<直近のボトム>→14/1月89.7<速報>)。
こうした状況の下で、企業の業況感は、厳しい状況が続いている(短観・業況判断DI・13/12月<現状>-35%ポイント→14/3月<現状>-34%ポイント→6月<予測>-36%ポイント)。
雇用面をみると、全体として厳しさを増している。新規求人数(九州7県前年比、13/10-12月-9.3%→14/1-2月-9.6%)は製造業では減少のテンポが緩やかになりつつあるものの、非製造業の減少は続いている。一方、新規求職者数は企業の早期退職の実施や企業倒産などを背景に大幅に増加している(同、+13.2%→+20.1%)。
物価面をみると、消費者物価は引続き弱含みで推移している(九州7県前年比、13/10-12月-1.1%→14/1-2月-1.1%)。
企業倒産をみると、倒産件数は前年を上回る月が多く、高水準で推移している。なお、負債総額は前年に大型倒産(フェニックスリゾート)があったことが影響し、前年水準を下回っている。
金融面をみると、銀行預金(譲渡性預金を含む)は、全体としては個人流動性預金を中心に引続き堅調であり前年水準を上回って推移している(九州7県14/1-2月前年比:+1.6%)。預金の内訳をみると、定期性預金から流動性預金へのシフトや他金融機関への定期性預金の分散化の動きが強まった。銀行貸出は、資金需要の低迷が続いていることなどから、前年水準を下回っている(同:-3.0%)。
以上