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全国11支店金融経済概況 (2002年10月)

2002年10月21日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行札幌支店

◯ 北海道地区の景気をみると、下げ止まりに向けた動きが続いているものの、全体としてはなお厳しい状況にあり、先行きに対する不透明感もあって、企業マインドの改善にも足踏み感が窺われる。最終需要面では、個人消費は、振れを伴いながらも、総じてみれば底堅く推移している。一方、公共投資や住宅投資は減少しているほか、民間設備投資は、減少テンポを緩やかにしつつも、なお前年を下回る計画となっている。こうしたなかで、企業の生産は持ち直し傾向にあるが、雇用環境は厳しい状況が続いている。

◯ 最終需要面の動きをみると、個人消費については、大型小売店の売上げは、冷夏の影響から、夏物衣料・雑貨、飲食料品等の売行きが一時鈍化したものの、その後は、秋物衣料が堅調な滑り出しとなったこと等から、持ち直してきている。また、耐久消費財については、乗用車販売は小型車等を中心に堅調に推移しているほか、家電販売もテレビが高目の水準で推移しており、全体としては底堅く推移している。この間、来道者数をみると、パック旅行が堅調なことなどから、ほぼ前年並みの水準で推移している。

 公共投資は、年度初の発注前傾化の反動などもあって、前年を下回る状況が続いている。

 住宅投資は、持家、分譲マンションの減少が続いているほか、貸家も高水準となった前年の反動減がみられることなどから、全体として減少している。

 設備投資については、一部には販売力強化を狙った新規出店や合理化投資等がみられ、減少テンポは緩やかになっているものの、需要低調等を眺めた慎重な投資スタンスを背景に、14年度もなお前年を下回る計画となっている。

◯ 企業の生産は、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品、木材・木製品)では一部の製品を除き低調に推移しているものの、紙・パでは東南アジア向けを中心に増加している。また、鉄鋼、自動車部品、電子部品(情報通信機器向け等)は、輸出の増加や新型車・新製品対応等を背景に、総じて高目の生産水準が続いており、全体としては持ち直し傾向にある。

◯ 企業収益については、夏場の売上不振などによる計画の下方修正がみられるものの、製造業、非製造業ともに売上げの小幅増加やコスト削減効果等を背景に、14年度は増益を予想している。

◯ 雇用情勢については、新規求人がパートや臨時・季節工など非正規社員を中心に前年を上回っていることから、有効求人倍率は、低水準ながらも若干上昇している。もっとも、新規求職者は企業の事業規模縮小等を背景に増加傾向が続いており、全体としては、引き続き厳しい状況にある。

◯ 企業金融は、金融機関では企業の信用力を勘案しつつ、優良先を中心に前向きな貸出姿勢にあるなかで、企業側でも収益の改善を背景に総じて落ち着いた状況にある。この間、企業倒産については、件数は前年を下回っているほか、負債金額も前年を大幅に下回っている。

◯ 金融面をみると、預金については、個人預金は流動性を中心に堅調に推移しているものの、一部での公共債などへのシフトの持続や、法人預金における預貸相殺の動きも根強いこと等から、全体では低調に推移している。一方、貸出についても、企業需資の低迷持続に加え、住宅ローンの肩代わり一服等から、前年割れが続いている。

以上

東北地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行仙台支店

◯ 東北経済をみると、輸出関連業種を中心に生産活動持ち直しの動きがみられるが、国内需要が依然として低調に推移しているほか、海外経済の先行きに対する不透明感の強まりなどから企業マインドの改善が足踏み状態となるなど、全体としてはなお厳しい状況が続いている。

 すなわち、生産面では、輸出の増加等を背景に、増勢は鈍化しつつあるものの持ち直し基調を維持しており、つれて労働需給にも限界的な改善の動きがみられる。しかしながら、企業の厳しい雇用スタンスに変化はなく、雇用者所得は引き続き減少しており、こうした下で個人消費は弱い動きが続いている。また、住宅投資、公共投資の減少が続いているほか、企業の設備投資も低調に推移している。

◯ 最終需要をやや詳しくみると、個人消費では、食料品のほか一部高級ブランド品やデジタルAV機器など堅調に推移している品目もみられるが、大型小売店では秋物衣料品や家庭用品の不振から、また家電量販店では主力パソコン、オーディオ機器等の低迷から、総じて弱い動きとなっている。乗用車販売も、厳しい雇用・所得環境を映じ、全国平均を上回る落ち込みが続いている。この間、旅行取扱高も、全体として低調に推移している。

 公共投資をみると、東北地区全体の請負金額は、年度初来累計では前年度を下回っている。先行きについても、投資的経費を抑制する地方公共団体が多いため、低調に推移するとみられる。

 また、住宅投資についても、主力の持家を中心に低調な地合いが続いている。

 設備投資(2002年度東北地区短観、ソフトウェアを含む全産業)は、大幅に減少した前年度をさらに1割強下回る計画となっている。

◯ 主要製造業の生産動向をみると、電気機械では、半導体等電子部品の一部に海外メーカーからの受注鈍化の動きがみられるものの、全体としては海外デジタル家電メーカー向け輸出の好調を背景に高操業を続けているほか、パソコンも他地域からの生産移管に伴い生産水準を引き上げている。

 輸送用機械では、既存車種の国内向け販売低迷から、低調な生産を続ける先がみられるが、全体としては輸出の増加を背景に持ち直しの動きが続いている。

 その他消費関連業種をみると、食料品は、品目による明暗はあるが、全体として底固い動きとなっている。また、紙・パでは、情報関連需要の減少から低調な生産を続けている先が多いが、農産物梱包用段ボール関係では、前年を上回る生産を続けている。

 設備投資関連業種では、内需の低迷から多くの品目が減産を継続しているものの、半導体製造装置や金型等では、海外需要の増加を背景に生産水準を引き上げている。

 建設関連業種(セメント・同二次製品、鉄鋼二次製品、木材・木製品)では、公共・住宅投資等の低迷を受け、低調な生産となっている。

◯ 企業の事業計画(2002年度東北地区短観、全産業)をみると、売上高は前回調査比やや下方修正され、小幅減収の見通しとなっている。一方、経常利益もやや下方修正となったが、増益計画は維持されている。

◯ 雇用・所得環境をみると、生産活動の持ち直しに伴い、有効求人倍率や所定外労働時間などの一部指標に改善の動きがみられている。もっとも、常用雇用者数の前年比減少幅が拡大しているほか、1人当たり名目賃金も、企業の人件費削減スタンスを映じて前年割れを続けていることから、雇用者所得の減少幅は、全国を上回って推移している。

◯ 企業倒産件数は、建設、卸・小売の中小・零細企業を中心に引き続き高水準で推移している。

◯ 金融面をみると、預金(譲渡性預金を含む)は、法人が引き続き低調なものの、個人が堅調に推移していることから、全体としては底固い動きが続いている。一方、貸出は、個人向けは増加しているが、法人向けが低調に推移しているため、全体でも引き続き前年比減少となっている。

以上

北陸地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行金沢支店

 北陸の景気は、個人消費の一部に明るい動きがみられるほか、輸出の増加が続いており、全体としては持ち直し方向にあるが、これまで管内景気をリードしてきた電気機械の輸出・生産の増加テンポが鈍化しているほか、内外金融・資本市場や海外景気に対する懸念もあって、先行きの不透明感が強まっている。

需要項目別の動き

 輸出については、電気機械の増勢が鈍化しているが、一般機械などが増加していることもあって、テンポは緩やかになりつつも増加を続けている。

 設備投資は、輸送用機械関連や化学、小売の投資が増加しているものの、その他の多くの業種では投資計画の削減を続けていることから、減少が続いている。

 個人消費は、厳しい所得環境の中で、全体としては横這い圏内で推移しているが、百貨店売上高が増床・改装効果から持ち直しているほか、乗用車新車登録台数、観光入り込み客数が前年を上回って推移するなど、一部に明るい動きがみられている。

 公共投資は、北陸3県の平成14年度9月補正後予算が前年を下回っている中、公共工事請負額も前年を下回るなど、減少傾向にある。

 住宅投資は、貸家、持家ともに減少しており、全体でも減少傾向を辿っている。

生産・雇用面の動き

 生産については、繊維の減少が続いているほか、電気機械の増加テンポが鈍化しているものの、一般機械、輸送用機械、鉄鋼等の多くの業種で増加していることから、全体としては幾分テンポを緩めつつも回復傾向にある。

 雇用面をみると、有効求人倍率(含むパート)は、生産の回復に伴い、生産請負労働者やパートなどの求人数が増加しているため、緩やかながら改善している。もっとも、雇用者所得については、所定外給与が増加しているものの、所定内給与が引き続き弱含んでいることから、低調に推移している。

金融面の動き

(1)預金

 個人預金は、定期性預金において国債等他の金融商品へのシフトなどがみられていることから、全体でも低調に推移している。

 法人預金についても、定期性預金で借入金返済のための取り崩しなどがみられていることから、減少傾向にある。

(2)貸出

 個人向け貸出についてみると、住宅投資全体が減少傾向にある中、銀行の住宅ローンは金融機関の積極的な取り組みにより増加を続けている。また、ここへきて信金の住宅ローンも増勢が強まっている。

 一方、法人向け貸出についてみると、運転資金貸出は、企業における有利子負債圧縮の影響から、引き続き低迷している。また、設備資金貸出は、企業における設備投資が低水準であることを背景に減少している。このため、法人向け全体でも減少傾向にある。

 この間、貸出約定平均金利(ストック)は、長期金利が引き続き低下傾向にあるものの、短期金利が一部金融機関における貸出金利引き上げの取り組みもあって上昇しており、全体としても低下テンポが緩やかになっている。

以上

神奈川県内金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行横浜支店

 神奈川県経済は、引き続き厳しい状況にあるが、在庫調整の進捗等を背景に、一部業種では底入れ感もみられている。

 足許、企業の景況感について、平成14年9月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」(以下「9月短観」と略称)をみると、業況判断D.I.は、製造業で引き続き「悪い」超幅が縮小したことから、3期連続で改善。先行きについても、非製造業が横這いで推移する中、製造業で改善が予測されていることから、全産業でも4期連続で改善する見込み。

 最終需要面をやや詳しくみると、個人消費は、厳しい雇用・所得環境等を背景に全体としては弱めの動きとなっている。すなわち、家電販売は、パソコン販売等が依然として低迷しているほか、乗用車販売も、一部小型車等の新車投入効果がみられているものの、顧客の慎重な購入姿勢もあって、全体的な力強さは欠いている。百貨店売上高は、プロ野球優勝セールなどもあって前年を上回る先もみられるが、基調としては弱めの動きが続いている。

 県内企業の設備投資計画を9月短観でみると、2002年度(全産業)は、製造業の一部で、新車投入に向けた投資や生産設備の更新などがみられていることから、大きく落ち込んだ前年度こそ上回る計画となっているものの、収益の下方修正や経済の先行きに対する不透明感が強い中、総じてみれば慎重なスタンスを継続している先が多い。

 住宅投資は、雇用・所得環境の悪化等を背景に、住宅取得を手控える動きがみられていることから、減少傾向を辿っている。

 公共投資は、予算が制約されている状況下、減少傾向を辿っている。

 一方、輸出については、9月短観における2002年度計画をみると、上期にアジアにおける情報通信関連財の在庫復元の動きがみられたほか、東南アジアからの設備関連受注の持ち直しや、中近東・アジア向け自動車輸出の増加などによって、2年振りに前年度を上回る計画となっている。

 こうした需要動向の下、県内企業の生産をみると、個人消費の低迷や設備投資抑制の動きを受けて総じてみれば低操業を続けているが、一部業種では持ち直しの動きがみられている。電気機械では、在庫調整の一巡に加え、一部情報通信関連財の輸出堅調や新製品投入に伴う受注増を受け、前年を上回る生産を行っている先が多くみられる。また、輸送用機械でも、中近東・アジア向け輸出が好調であることに加え、一部新規投入車種の増産効果等もあり、引き続き前年を上回っている。

 雇用面をみると、常用雇用者数の減少が続いているなど、企業は人員抑制姿勢を堅持している。また、所得面をみても、夏季賞与の減少を主因に、現金給与総額も前年を下回っているなど、雇用・所得環境は引き続き厳しい状態にある。もっとも、有効求人倍率は、低水準ながら、このところ下げ止まりつつあるほか、一部業種における生産の持ち直しを映じて、所定外労働時間も前年比マイナス幅が縮小傾向にあるなど、限界的な部分には下げ止まりの動きもみられている。

 企業収益を9月短観でみると、2002年度は、電気機械で一部通信機器に販売伸び悩みがみられることや、素材で原油価格上昇などによる仕入価格上昇分の価格転嫁が進んでいないほか、建設でも公共工事減少の影響から受注が減少していることなどから、全体でも前回調査比下方修正となった。もっとも前年度対比では、売上がほぼ横這いに止まる中、製造業、非製造業ともに、これまでに実施した合理化策の奏効を主因に増益計画となっている。

 この間、企業倒産は、売上の低迷等を背景に、件数、負債総額ともに高水準で推移している。

 県内金融機関の貸出動向をみると、個人向けが住宅ローンを主体に高めの伸びを維持しているものの、一般事業法人向けが資金需要の低迷から引き続き減少しているため、全体としては前年を下回って推移している。一方、預金は、個人預金が堅調に推移していることを主因に、引き続き高めの伸びとなっている。

以上

東海地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行名古屋支店

 東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気をみると、輸出と生産が増加を続ける中で、企業収益も改善するなど、全体として下げ止まっている。ただ、国内需要は引き続き弱く、回復への明確な展望は開けていない。

 最終需要の動向をみると、輸出はテンポを緩めつつも増加を続けている。一方、国内需要は、個人消費が底固く推移しているものの、住宅投資、公共投資は減少を続けている。また、設備投資は、一部に堅調な動きもみられるものの、抑制色を強める先も少なくなく、全体としては引き続き横這い圏内で推移している。

 生産は、輸出の増加等を背景に引き続き増加しており、上期の企業収益も製造業を中心に増加している。ただ、企業の下期の業績見通しは幾分慎重化している。また、雇用・所得環境は、生産の増加を反映した限界的な改善の動きが続いているものの、企業におけるコスト削減への取り組みが根強い中で、全体としてはなお厳しい状況にある。この間、物価は総じて弱めの動きが続いている。

 先行きについては、不透明感を増している海外景気の動向が、管内企業の輸出、生産等にどのような影響をもたらすか、注意深く見極めていく必要がある。また、厳しい状況にある雇用・所得環境の今後の動向や、金融資本市場の動きが企業収益やマインドに及ぼす影響についても、警戒的にみていく必要がある。

 金融面をみると、管内の金融機関(国内銀行+信金)の預金は前年を上回っている一方、貸出は前年を下回って推移している。

個人消費・・・各種売上指標をみると、乗用車販売、スーパーの売上高は持ち直しているほか、百貨店および家電量販店の売上高は横這いで推移している。この間、旅行取扱高は持ち直しつつある。

設備投資・・・製造業では、当地主力の輸送用機械が、大企業の増産・新製品対応や合理化・省力化案件を中心に引き続き投資額を上積みしている。しかしながら、電気機械、一般機械、窯業等他の業種では、需要の伸び悩みや収益の悪化等から投資を抑制する動きがこのところ目立ちつつあるほか、中小企業も引き続き極めて慎重な投資スタンスにある。非製造業は、小売の一部で投資額を増やす動きがみられるが、ウェイトの高い電力が抑制的なスタンスを維持しているほか、サービスやリースでも中小企業を中心に計画を下方修正する動きがみられる。

住宅投資・・・新設住宅着工をみると、持家が低調に推移しているほか、分譲、貸家は弱めの動きとなっている。

公共投資・・・公共工事請負金額をみると、大型プロジェクト関連の発注は増加しているものの、国および地方公共団体の予算規模縮小を反映して弱めの動きが続いている。

輸出・・・主力の米国向けは、鉄鋼や工作機械が低調に推移しているほか、電子部品も弱含んでいるものの、自動車、電気機器は増加が続いている。アジア向けは、鉄鋼が頭打ちになりつつあるが、自動車は増勢を維持しているほか、一般機械も持ち直しに転じている。欧州向けは、工作機械の低迷が続いているものの、自動車は横這いで推移しており、電気機器も引き続き増加している。

生産・・・加工業種では、電動工具が低水準の生産を続けている。しかし、当地主力の自動車関連は、輸出の増加と国内向け新型車の増産等を背景に増勢を強めており、ビデオカメラも輸出向けを中心に増加を続けている。加えて、工作機械は国内の自動車向けを中心に、また、電子部品組立機、フォークリフトは輸出向けを中心に、それぞれ幾分持ち直しているほか、二輪車、事務機器も高水準横這いを維持している。この間、電子部品は、液晶、半導体集積回路は底固く推移しているものの、ICパッケージが弱含んでいる。

 素材業種では、住宅向け窯業製品(瓦、衛生陶器、タイル)、洋食器は国内最終需要の低迷を背景に低水準の生産を続けているほか、繊維製品も減産に取り組んでいる。しかし、鋼板・鋼管は自動車向けを中心に、また、化学製品はアジア向けを中心に、それぞれ増加を続けているほか、特殊鋼、棒鋼、紙・パルプは横這いの動きとなっている。

雇用・所得・・・生産の増加を反映して、所定外労働時間の前年比マイナス幅が縮小傾向にあるほか、新規求人数も前年を上回って推移している。こうした中、有効求人倍率も緩やかな上昇が続いている。もっとも、常用労働者数は、倒産や雇用リストラの動きを背景に依然大幅な前年割れとなっており、1人当たり名目賃金も減少傾向に歯止めが掛かっていない。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行京都支店

 管内景気は、個人消費関連で弱めの動きが続いているほか、企業の設備投資上積みの動きも殆どみられないが、輸出の増勢持続や生産の持ち直しを背景に下げ止まっている。

 もっとも、企業収益面での改善が遅々としている中で、輸出環境についての不透明感がこのところ一段と強まっていることから、厳しい業況感を有する企業が足元ではむしろ増えている。先行きに関しても、このところの株価下落の影響懸念もあって慎重な見方をする企業が多く、雇用面での余剰感を訴える向きも依然として少なくない。

 最近の最終需要面の動きをやや詳しくみると、輸出は、IT関連資材の出荷が底固く推移しており、とりわけアジア向けの電子部品を中心に増加を続けている。

 個人消費は、乗用車販売で新型小型車を中心に販売回復の動きはみられるものの、百貨店売上高は一部ブランド品等を除き弱含んでいる。また、家電販売も、液晶テレビや全自動乾燥洗濯機といった一部新型家電の売上げ増が続いているものの、値嵩のパソコン販売が低調に推移しており、全体としては弱めの動きが続いている。

 この間、京都観光をみると、京都市内ホテルの利用客が前年を上回って推移しているほか、主要観光施設の入込客数も増加しているものの、観光客の低価格志向はさらに強まっており、土産品売上げの増加にはつながっていない。

 設備投資は、一部大手メーカーで追加的な増産・新製品対応投資を計画する動きがみられるものの、業績に対する先行き不透明感等から、依然慎重な投資スタンスを継続する先が多く、なお減少を続けている。

 住宅投資は、大型分譲マンションや貸家の着工は底固いものの、主力の持家が減少傾向を辿っているため、全体としては低調に推移している。

 公共投資は、予算規模の縮小を背景に、多くの地方公共団体が工事発注を絞り込んでいるため、減少傾向で推移している。

 企業収益(経常利益<9月短観ベース>)をみると、14年度計画は前年度に比べ増益基調にあるが、製造業、非製造業とも、上期収益が前回調査比上方修正となった一方、下期収益は、輸出環境に対する先行き懸念の強まりや販売価格の下押し圧力の強さ等から、下方修正している先が多い。

 雇用・所得面をみると、製造業における生産活動の持ち直しなどを背景に、引き続きパート等の新規求人や所定外労働時間を増やす動きがみられる。もっとも、事業主都合による離職者がなお高水準で推移している中、企業の人件費削減スタンスは依然として根強く、常用雇用者の圧縮等に取り組む先が少なくない。さらに、先行きの輸出環境等の不透明感が強まっていることから、雇用スタンスを再び慎重化させる動きや冬季賞与の削減に踏み出す動きもみられる。

 企業倒産は、件数、負債金額とも、高水準で推移している。

 金融面をみると、民間金融機関の貸出は、住宅ローンが堅調に推移しているが、法人向けの資金需要が引き続き低迷しており、前年を下回っている。

 預金は、法人預金、個人預金ともに定期性が低調ながら、流動性が高伸しているため、全体では前年を上回って推移している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良・和歌山県)金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行大阪支店

◯ 管内の景気は、引き続き厳しい状況にあるが、輸出や生産の増加を背景として下げ止まっている。もっとも、先行きについては、国内民間需要の回復が遅れていることに加え、米国景気の不透明感が強まっていることなどから、慎重にみる企業経営者が増えている。

◯ 最終需要面の動きをみると、輸出は、一頃に比べ伸び率は鈍化しているが、アジア向けの情報関連財、鉄鋼、化学製品や、米国向けの情報家電や自動車関連財などを中心に、引き続き増加している。

 設備投資は、先行きの需要見通しが不透明であることなどを背景に、慎重姿勢を続ける先が多い一方で、競争力強化に向けて積極的な投資姿勢を維持する先に加え、このところ受注増を機に更新投資に踏み切る先も一部にみられ始めている。

 個人消費は、乗用車販売が小型車を中心に足許増加しているものの、スーパー売上高、百貨店売上高、家電販売が低調に推移していることから、全体としては弱めの動きとなっている。

 住宅投資は、分譲マンションの着工がこのところ減少に転じており、全体として弱含んでいる。

 公共投資は、減少している。

◯ 生産は、輸出が増加し、在庫過剰感も弱まる下で、足許増加している。

◯ 企業収益(経常利益)は、輸出の増加やリストラ効果などから持ち直している。もっとも、本年度下期については、内需の回復の遅れや米国景気の不透明感の強まりなどから、慎重にみる向きが多い。

◯ 雇用・所得環境をみると、生産の増加などを受けて新規求人や所定外労働時間などに幾分改善の動きがみられているものの、失業率が高水準を続けているほか、 夏季賞与が大きく前年割れとなるなど、全体としては厳しい状況が続いている。

◯ 物価をみると、在庫調整の進捗や国際商品市況の上昇を受け、上昇ないし下げ止まりとなっている品目がみられるものの、需要の低迷に加えて、このところの輸入物価下落の影響から、全体としては再び弱含んでいる。

◯ 企業倒産件数は、高水準で推移している。

◯ 企業金融は、格別の変化はみられず、全体としては収益の改善もあって落ち着いた状況にある。もっとも、業績低調な先や信用力の低い先では、厳しい状況が続いている。

◯ 金融面をみると、新規の資金需要が低調に推移する中で、企業の借入金圧縮の動きが拡がっていることから、貸出は減少を続けている。金融機関では、引き続き、優良企業向け貸出や住宅ローンに積極的に取組む一方、借り手の信用リスクの見極めやリスクに見合った金利の適用に注力している。

 預金については、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行神戸支店

◯ 管内景気は、内需が依然として低調ながら、輸出の増加や在庫調整の一巡を背景に、生産が回復傾向を続けており、全体として概ね下げ止まっている。
 もっとも、雇用・所得環境の厳しさに加え、米国景気の先行きに対する不透明感や内外の為替・株式市場の不安定な動きなどから、先行きの景気動向について慎重な見方が拡がっており、企業の景況感も改善傾向が一服している。

◯ 業況判断D.I.(9月短観)は、「現状」については、製造業が前回に比べやや改善したものの、非製造業が建設、サービスの悪化を主因に「悪い」超幅を拡大した。一方、「先行き」は、製造業が横這いの一方、非製造業が改善を見込んでいる(全産業14/6月▲36→14/9月▲37→14/12月予測▲34)。

◯ 個人消費をみると、百貨店売上高は、引き続き底固さが窺われるものの、スーパーの売上高は依然として低調にとどまっている。また、乗用車販売は、コンパクトカーが好調を持続しており、全体では前年を上回っている。家電販売は、高画質テレビなどが好調なものの、パソコンの不振が響き、全体としては低調にとどまっている。この間、観光面をみると、ホテルの客室稼働率は、USJ効果の一巡などから前年を下回っている。

◯ 設備投資は、一部に投資上積みの動きがみられるものの、全体としてみると、設備過剰感が根強く、内外需ともに先行き不透明感が強いことから、依然慎重な計画にとどまっている(9月短観:14年度設備投資計画<全産業>前年度比▲8.5%)。

◯ 住宅投資は、引き続き低調にとどまっている。

◯ 公共投資は、全体として減少を続けている。

◯ 生産・出荷の状況をみると、輸出の増加や在庫調整の一巡を背景に、回復している。

 造船では、コンテナ船やバラ積み船を中心に高水準の受注残を抱え、引き続き安定した稼働率を維持している。

 鉄鋼では、高炉メーカー、電炉メーカーともに、アジア向け輸出が引き続き増加していることから、ホットコイルや表面処理鋼板、形鋼等を中心に、生産水準を引き上げている。ただし、先行きについては、中国のセーフガード発動や、アジアでの現地在庫積み上がりによる輸出の減速懸念から、高炉メーカーでは、輸出向けの薄板類を中心に生産調整を計画している。特殊鋼は、自動車関連を中心に内外需ともに増加しており、操業度は引き続き上昇している。

 一般機械では、化工機、物流機械の生産は、設備投資や公共事業の減少から引き続き低調に推移している。一方、射出成形機ではDVD製造装置や自動車関連向けが好調であるため、フル生産を続けているほか、建設機械でも、輸出好調に加え、国内でのスポット受注もあって、増産が続いている。

 電子部品では、ブラウン管、半導体、液晶表示装置がフル生産体制を継続しているほか、半導体検査用部品も、デジタルAV機器や液晶関連向けの好調を受けて、3交替の24時間生産体制に移行している。また、水晶振動子では、携帯電話やデジカメ、DVD向けの増加を受けて生産水準を引き上げているほか、コンデンサーでは、国内向けは減少しているものの、アジア向け輸出が増加している。

 食品では、惣菜が百貨店を中心に堅調なほか、食肉加工は、休日出勤などにより、引き続き高い生産水準を維持している。

 地場産業では、播州織が米国向け輸出の増加から一息ついているものの、日本酒、ケミカルシューズ、豊岡鞄などは引き続き低調に推移している。

◯ 雇用・所得環境は、依然として厳しい状況が続いている。

◯ 物価は、引き続き下落している。

◯ 企業倒産は、引き続き高水準で推移している。

◯ 金融面をみると、貸出は、企業の資金需要が運転・設備とも乏しいことなどから、全体では低調に推移している。

 貸出約定平均金利は、短期金利は上昇しているものの、長期金利が低下しているため、全体では僅かながら低下している。

 預金は、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

中国地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行広島支店

概況

 中国地区の景気は輸出の増加を受けて生産が持ち直しているなど、全体としては下げ止まりつつある。こうした中で、海外経済の先行き不透明感に対して、懸念する声が聞かれている。

(前回<3か月前>との比較)

  • 改善がみられる項目
    1. 輸出は増加基調にある。
    2. 生産は持ち直している。
    3. 企業マインドは若干改善している。
  • 概ね変化がみられない項目
    1. 個人消費は一部に動意がみられるものの、引き続き弱含みの状態にある。
    2. 設備投資は慎重な投資スタンスにある。
    3. 住宅投資は減少傾向にある。
    4. 公共投資は減少傾向にある。
    5. 雇用・所得環境は、一部に改善の動きがみられているものの、なお厳しい状況が続いている。
    6. 企業収益は、前年を上回る計画にある。

1.実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は一部に動意がみられるものの、引き続き弱含みの状態にある。

 家電販売はテレビや一部の白物家電が前年を上回っているほか、乗用車販売も軽乗用車、小型車を中心に前年を上回っている。もっとも、百貨店は、主力の衣料品を中心に低調に推移しているほか、スーパーも衣料品の低迷等から前年割れが続いている。また、携帯電話の通信・通話料も増勢が鈍化してきている。

設備投資は慎重な投資スタンスにある。

 14年度の設備投資計画(9月短観調査)をみると、前回(6月)調査に比べ小幅上方修正されたものの、前年度比△1.0%と、なお前年水準を下回る計画となっており、慎重な投資スタンスにある。

住宅投資は減少傾向にある。

 新設住宅着工戸数をみると、持家や分譲が前年を下回っているなど、基調としては雇用・所得環境の厳しさを受けて、減少傾向にある。

公共投資は減少傾向にある。

 公共工事請負額をみると、市町村発注工事の減少を主因に、年度初来累計で前年を下回っている。この間、地方公共団体では引き続き投資的経費を圧縮するスタンスにあり、減少傾向にある。

輸出は増加基調にある。

 輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、自動車が北米向けや欧州向けを中心に、鉄鋼や化学がアジア向けを中心にそれぞれ増加しているなど、全体としては増加基調にある。

(2)生産の動向

生産は持ち直している。

 業種別にみると、自動車、造船が高目の操業を持続している中で、電気機械は高水準の生産を続けている。また、鉄鋼や化学もアジア向け輸出の増加等から操業度が持ち直している。一方、一般機械等その他の製造業ではなお低水準の操業が続いている。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境は、一部に改善の動きがみられているものの、なお厳しい状況が続いている。

 有効求人倍率は生産の持ち直しを受けて若干改善しているものの、常用雇用者数の前年割れが続いているほか、所得面についても名目賃金が減少しているなど、雇用・所得環境はなお厳しい状況が続いている。

(4)企業の動向

企業マインドは若干改善している。

 9月短観(中国地区)からみると、足許、先行きともに景況感は若干改善している(業況判断D.I.〈「良い」−「悪い」〉14年6月△36%→9月△34%→12月予測△33%)。

企業収益は前年を上回る計画にある。

 9月短観(中国地区)から14年度収益計画をみると、6月短観に比べ若干下方修正されているものの、前年度比+21.0%と、なお前年を上回る計画にある。

2.金融動向

(1)貸出の動向

貸出は低迷を続けている。

 内訳をみると、個人向けは、借り換え案件を中心とする住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は前年を上回って推移している。

 内訳をみると、法人預金は低調に推移している一方、個人預金は堅調に推移している。この間、定期性預金から流動性預金へのシフトは一服している。

以上

四国地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

 四国地区の景気は、地域によっては業種・企業間格差が目立ち始めているものの、堅調な海外需要を反映し、生産に持ち直しの動きがみられるなど、全体としてはほぼ下げ止まりつつある。

 すなわち、公共投資が減少しているほか、設備投資も大型投資の一巡等から前年を下回っている。また、個人消費も全体としては弱めの動きを続けている。一方、住宅投資は足許では前年を上回っている。また、輸出がアジア向けを中心に堅調に推移しており、生産は低水準ながら持ち直しの動きがみられている。この間、雇用や所得環境は引き続き厳しい状況にある。また、企業経営者のマインドは改善が続いているものの、先行き不透明感からそのテンポは鈍化している。

最終需要

 最終需要についてみると、公共投資は、高速道路網整備や空港拡張事業といった大型継続案件の工事消化が進む中、減少基調にある。設備投資は、一部に製造ラインの新・増設や店舗改装等がみられるものの、多くの企業では慎重な姿勢を崩しておらず、大型投資の一巡等もあって依然として前年を下回っている。個人消費は、百貨店売上げが一部店舗による増床効果等もあって前年を上回っているものの、量販店売上げ、乗用車販売、家電販売が前年を下回るなど、全体としては弱めの動きを続けている。住宅投資は、貸家・分譲の増加を反映して、振れを伴いながらも足許は前年を上回っている。輸出は、電気機械や化学等がアジア向けを中心に堅調に推移している。

生産

 企業の生産動向をみると、業種・企業間格差が目立ち始めており、全体としては依然低水準ながら海外需要の堅調や在庫調整の一巡等を背景に持ち直しの動きがみられている。

 すなわち、これを業種別にみると、一般機械(建設用機械、産業・運搬機械等)、鉄鋼、木材・木製品(製材品、型枠用合板等)、窯業・土石(石灰石、生コンクリート等)、繊維(縫製品、タオル等)などでは国内需要の低迷や海外製品との競合激化を反映し、総じてみれば抑制的な生産を続けている。

 一方、電気機械や化学では一部にパソコン向け部品(半導体、光学機能性フィルム等)の受注減少から生産水準を引き下げる動きがみられるものの、携帯電話、液晶テレビ向け部品の需要好調を反映し、全体としては情報関連財(集積回路、液晶部品、電子部品、半導体封止材料等)やナイロン繊維原料を中心に高操業を続けている。また、造船(外航船)、食料品(冷凍食品、調味料等)、紙・パルプも堅調に推移している。

雇用

 雇用情勢をみると、有効求人倍率は足許やや上向いているものの、雇用者所得が減少基調にあるなど、総じてみれば雇用や所得環境は依然として厳しい状況にある。

金融

 金融面をみると、預金については、個人預金が流動性を中心に堅調に推移していることから、安定した伸びを維持している。一方、貸出は、企業の資金需要が低調なことから、前年割れで推移している。

以上

九州地区金融経済概況

2002年10月21日
日本銀行福岡支店

◯ 九州経済をみると、設備投資が減少傾向にあるほか、公共投資、住宅投資も低調に推移している。個人消費は全体として少し弱くなっている。これに対し、輸出や生産は増加傾向にある。

 この間、企業の業況感は、製造業で引続き改善しているものの、非製造業では厳しいままで、全体としてほぼ横這いで推移している。

 また、雇用面でも、厳しい状況が続いている。

 以上のように、九州経済は、一部に改善の動きがみられるものの、全体として厳しい状況にある。

◯ 最終需要をみると、設備投資は、製造業では食料品や輸送用機械などで増加しているほか、紙・パルプ、化学など一部の業種で新たな投資がみられるものの、通信、サービス・リース、卸・小売など非製造業を中心に多くの業種で減少しており、全体として減少傾向にある(9月九州短観・設備投資額<1,037社>前年比:13年度実績▲11.6%→14年度計画▲3.8%)。

 公共投資は、国や地方自治体の関係予算が削減される中、低調に推移している。

 住宅投資は、貸家着工がやや増加している一方、持家や分譲マンションは減少しており、全体として弱めの動きが続いている。

 個人消費をみると、家電販売は、パソコンの売上げが引続き低水準にあるなど、全体として低調に推移している(家電販売額・前年比:14/4-6月▲2.6%→7-8月▲9.8%)。スーパーの売上げは全体として弱い動きが続いている。乗用車販売は、新車投入により小型車(排気量660CC超2千CC以下)の販売は伸びているが、普通車(排気量2千CC超)の販売が減少しており、全体としてやや弱めの動きとなっている(乗用車新車登録台数<除く軽自動車、九州7県>前年比:14/4-6月▲0.6%→7-9月▲0.5%)。百貨店売上高は、秋物衣料の売上げが増えているものの、高級ブランド品等身回り品の伸びが鈍化しており、全体として、幾分弱含んでいる(百貨店売上高・前年比:14/4-6月+2.4%→7-8月▲1.3%)。この間、観光は、沖縄では観光客が高水準で推移しているほか、各地の温泉地への来訪客も増えている。

 輸出は、アジア、米国向けを中心に電気機械が増加を続けているほか、輸送用機械も欧州向け等で前年を上回っている。また、鉄鋼、非鉄、化学もアジア向けを中心に前年を上回っており、全体として増加を続けている(通関統計<除く船舶、九州7県>前年比:14/4-6月+20.5%→7-8月+15.8%<速報値>)。もっとも、半導体や電子部品では米国向け輸出の成約にかげりが出てきている。

◯ 生産面をみると、アジア向け輸出の増加に伴い、鉄鋼、化学で生産水準を引き上げているほか、自動車も高操業を継続している。こうした中、電気機械では、新製品の生産水準をさらに引き上げる動きがある一方、輸出成約のかげりを受けて半導体や電子部品などの増産ペースが緩やかになってきている。このため、生産全体としては引続き増加傾向にあるものの、増加テンポはやや緩やかになってきている(鉱工業生産指数<季調済、九州7県>:13/12月88.2<直近のボトム>→14/1-3月89.5→4-6月94.0→7-8月95.7<速報値>)。

◯ こうした状況の下で、企業の業況感は、製造業で引続き改善しているものの、非製造業では厳しい状況が続いており、全体では、ほぼ横這いで推移している(9月九州短観・全産業<1,037社>・業況判断DI:14/6月<現状>▲28%ポイント→9月<現状>▲27%ポイント→12月<予測> ▲27%ポイント>)。

◯ 雇用面をみると、新規求職者数は企業の希望退職の実施などを背景に増加傾向にあるほか、新規求人数の増加も一服している。このため、緩やかな改善が続いていた有効求人倍率が横這いとなる(有効求人倍率<季調済、九州7県>:14/3月0.39倍→7、8月0.44倍)など、厳しい状況にある。

◯ 物価面をみると、消費者物価は弱含みで推移している。

◯ 企業倒産をみると、倒産件数は4か月連続で前年を下回っているほか、負債金額も3か月連続で前年を下回っており、小康状態にある。

◯ 金融面をみると、銀行預金(譲渡性預金を含む)は、流動性預金を中心に前年水準を上回って推移している(預金月末残高<九州7県>前年比:14/6月末+1.7%→8月末+1.6%)。

 銀行貸出は、企業の有利子負債圧縮の動きが続く中で資金需要が低迷しており、前年水準を下回っている(貸出月末残高<九州7県>前年比:14/6月末▲4.2%→8月末▲3.8%)。

以上