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全国11支店金融経済概況 (2005年 1月)

2005年 1月13日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気は、横這い圏内の動きが続いている。すなわち、最終需要面の動きをみると、公共投資は振れを伴いながらも減少基調にあるほか、住宅投資は弱めの動きとなっており、個人消費も低調に推移している。一方、民間設備投資は持ち直しつつある。こうした中で、企業の生産は横這いとなっているが、雇用環境は厳しい状況ながらも改善の動きが続いている。

個人消費については、大型小売店の売上高は、気温が高めに推移したことから、衣料品や身の回り品を中心に前年を下回っている。また、耐久消費財については、乗用車販売は新型車の販売好調から前年を上回っているものの、家電販売はパソコン等が低調なことから前年を下回っている。この間、来道者数をみると、ツアー客を中心に前年を下回っている。

公共投資は、一部に庁舎建設などの大型工事がみられるものの、全体としては減少基調にある。

住宅投資は、持家が前年並みの一方で、貸家、分譲が減少していることから、全体としては前年を下回っている。

設備投資については、生産能力の増強や販売力強化に向けた動きなどを背景に持ち直しつつある。

企業の生産は、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品、木材・木製品)では、一部の製品を除き低調に推移している。一方、自動車部品、電子部品(情報通信機器向け等)では、高操業が続いており、全体としては横這いとなっている。

企業収益については、コスト削減などを背景に改善がみられている。

雇用情勢については、新規求人の増加などから有効求人倍率が上昇するなど、厳しい状況ながらも改善の動きが続いている。

企業金融は、優良企業向けを中心とする金融機関の積極的な貸出姿勢を背景として、総じて落ち着いた状況にある。この間、企業倒産については、負債総額は大型倒産の発生から前年を上回っているものの、件数は引き続き低水準で推移している。

金融面をみると、預金は、個人預金が引き続き堅調であることなどから前年を上回っている。一方、貸出は、企業における資金需要が低迷する中、住宅ローンの増勢にも一服感がみられることから、前年を下回っている。この間、貸出約定平均金利については、緩やかに低下している。

以上

東北地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行仙台支店

東北経済は、このところ足踏み状態にある。すなわち、生産面では、全体としてなお高水準を維持しているが、主力の電気機械が、IT関連分野の在庫調整から操業度を幾分引き下げている。この間、個人消費関連は、雇用者所得の捗々しい改善がみられない中、一進一退の動きを続けている。また、公共投資も引き続き低調に推移している。

最終需要の動向をみると、個人消費は、一部に堅調な動きがみられるが、所得の改善が捗々しくないため、全体では一進一退の域にある。すなわち、家電販売はデジタル家電を中心に再び緩やかに持ち直しているほか、乗用車販売も新車投入効果から前年を上回って推移している。一方、大型小売店の売上げは、暖冬による冬物衣料品の不振から総じて低調に推移している。この間、旅行取扱高は、中国・韓国を中心とするアジア方面の海外旅行が堅調に推移している一方、国内旅行は弱めの動きを続けている。

公共投資は、予算規模の縮小から減少を続けている。

住宅投資は、地域により振れを伴いつつも、全体としては横這い圏内の動きとなっている。

設備投資(2004年度東北地区短観、全産業)は、IT関連需要の先行き不透明感から一部に先送りする動きがみられているが、製造業を中心に、2年連続で前年度を大幅に上回る計画となっている。

生産は、高めの生産水準を維持しつつも、IT関連分野の在庫調整の影響を主因に幾分減少している。

  • 電気機械では、電子部品・デバイスがIT関連の在庫調整の影響から、操業度が幾分低下している。
  • 輸送用機械では、完成車、自動車部品ともに高操業を続けている。
  • 設備投資関連では、工作機械は自動車部品メーカー向けを中心に高操業を続けているものの、半導体製造装置は高水準を維持しつつも操業度を幾分引き下げている。
  • 建設関連では、棒鋼が内外需に支えられ好調な生産を続けているものの、セメント、コンクリート二次製品では公共工事削減の影響から、低操業を続けている。
  • 消費関連では、紙・パが高操業を継続しているほか、食料品も総じて堅調な生産を続けている。一方、繊維等では、引き続き低操業を継続している。

企業の事業計画(2004年度東北地区短観、全産業)は、売上高は前年度を若干上回るものの、経常利益は小幅減益の見込みとなっている。

雇用情勢をみると、有効求人倍率が緩やかながらも上昇するなど労働需給は引き続き改善傾向にある。一方、所得面をみると、企業の人件費抑制スタンスに変化はなく、捗々しい改善をみていない。

企業倒産は、振れを伴いながらも件数、金額とも前年を下回って推移している。

金融面をみると、預金は、個人預金の堅調を背景に全体として底固い動きとなっている。一方、貸出は、企業の資金需要が乏しいことを主因に、引き続き低調に推移している。

以上

北陸地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行金沢支店

北陸の景気をみると、輸出の増勢が一段と鈍化し、生産も横這いに転じているものの、設備投資が大幅な増加計画となっているほか、個人消費も持ち直しの動きを続けており、全体として緩やかながら回復を続けている。

最終需要面

輸出は、引続き増加基調を維持しているものの、主力の電気機械がここへきて弱含みに転じていることもあって、増勢テンポは一段と鈍化している。

設備投資は、当地企業の2004年度計画(北陸短観2004年12月)をみると、電気機械、一般機械、繊維、輸送用機械など製造業を中心に大幅増加計画となっており、ここへきてさらに上方修正されている。

個人消費は、冬物衣料、暖房器具等季節商品の販売は、寒気到来の遅れに伴い低調だったものの、乗用車販売や海外旅行等が引続き好調を持続しているほか、デジタル家電(薄型テレビ、DVDレコーダー等)販売も好調なことから、全体として持ち直しの動きが続いている。

公共投資は、国、県の発注減少に伴い、前年を幾分下回って推移している。

住宅投資は、新設住宅着工戸数をみると、貸家は減少したものの、持家や分譲が住宅ローン減税適用期限前の駆け込み着工もあって増加したことから、全体では前年を幾分上回っている。

生産・雇用面

生産は、一般機械、鉄鋼・非鉄等では引続き増勢を持続しているものの、主力の電気機械が内外需の低迷(デジタル家電・携帯電話向け)等から弱含みに転じていることを主因に、全体でもこれまでの増勢基調から横這いに転じている。

雇用は、有効求人倍率が5か月連続で1倍を上回るなど、引続き改善傾向を辿っている。この間、所得面をみると、所定外労働時間の増加等から、名目賃金は前年を上回って推移している。

金融面

預金は、法人預金、公金預金の減少等から、前年を下回って推移している。

貸出は、個人向けが住宅ローンを中心に高い伸びを続けているものの、法人向けが引続き前年割れとなっていることから、前年を幾分下回っている。なお、法人向けの資金需要については、このところ幾分持ち直し傾向にある。

以上

神奈川県内金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行横浜支店

県内景気は、回復の動きを維持しているが、生産の伸びは足許やや鈍化している。

最終需要面をみると、公共投資が減少を続けているほか、個人消費についても、雇用・所得環境が一進一退の状況にあり、全体としては弱めの基調が続いている。

一方、輸出が輸送用機械を中心に高い伸びを継続しているほか、設備投資は増加を続けており、住宅投資も足許ではやや高めの伸びとなっている。

県内企業の生産をみると、デジタル関連の受注減少や鋼材不足を反映して、全体として増勢が鈍化している。

すなわち、工作機械は、デジタル関連の一部や自動車関連企業の設備投資増加から高めの生産水準を維持しているほか、鉄鋼も、国内外で需要が堅調なため高操業を継続している。一方、電気機械で、デジタル家電の在庫調整の影響を受け増勢が一服しているほか、輸送用機械では、輸出の堅調に加え内需も底堅く推移しているが、鋼材不足の影響から操業度が低下している。

雇用・所得環境については、勤労者一人当たりの給与が下げ止まってきたものの、常用雇用者の減少傾向が変わらないなど、回復は一進一退の状況にある。

この間、企業倒産は、件数、負債総額ともに減少傾向にある。

県内金融機関の貸出をみると、事業法人向けが減少傾向にある一方、個人向けは住宅ローンを主体に増加を継続している。預金は緩やかな伸びを続けている。

以上

東海地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気は、足許一服感がみられるが、回復を続けている。

最終需要の動向をみると、輸出は、足許横這い圏内の動きとなっているが、海外経済の成長を背景に基調としては増加を続けている。国内需要は、設備投資が着実な増加を続けているほか、個人消費、住宅投資も底固く推移している。一方、公共投資は減少している。

こうした中、生産は、一部に増産余地が乏しくなりつつあることや一部IT関連の在庫調整の動きを映じて、横這い圏内の動きとなっている。この間、企業収益は着実な改善を続けており、雇用・所得も持ち直しつつある。一方、物価は弱めの動きを続けている。

先行きについては、為替相場や海外景気の動向、一部IT関連の在庫調整の動きが輸出、生産等にもたらす影響や、原材料価格の上昇が企業収益や企業活動に及ぼす影響を注意深く見極めていく必要がある。また、雇用・所得面の動向とそれが個人消費に与える影響にも、引き続き注視が必要である。

金融面をみると、管内の金融機関(国内銀行+信金)の預金は前年を上回っている一方、貸出は前年を下回って推移している。

個人消費・・・各種売上指標をみると、家電量販店売上高は、パソコンが依然として低調な中、デジタル家電は引き続き堅調であり、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。また、乗用車販売台数は、新型車投入効果もあって持ち直している。一方、百貨店売上高、スーパー売上高は、他業態との競合が激化する中で、天候要因等もあってそれぞれ弱めの動きとなっている。この間、旅行取扱高は横這い圏内で推移している。

設備投資・・・製造業では、自動車を中心に一般機械や窯業・土石等で投資を積み増す動きがみられている。電気機械も増加を続けている。製造業中堅・中小企業における能増投資や更新投資も増加している。また、非製造業では、運輸・倉庫、小売、対事業所サービス等で前向きな取り組みがみられている。非製造業中堅・中小企業でも、一部に前向きな動きが窺われる。

住宅投資・・・新設住宅着工戸数をみると、持家、貸家が底固く推移している。また、分譲は、戸建が堅調な動きを続けているほか、マンションも横這い圏内の動きを続けている。

公共投資・・・発注の動きを示す公共工事請負金額は、地方公共団体の予算規模縮小が続き、プロジェクト関連の新規発注もほぼ終息する中で、均してみれば減少している。工事量も、大型プロジェクト関連工事が終盤にさしかかる中で、基調的には減少している。

輸出・・・品目別にみると、自動車・同部品は、足許横這い圏内の動きとなっているが、海外需要の好調を背景に基調としては増加を続けている。また、工作機械は海外における設備投資需要の増加等から緩やかに伸びているほか、デジタルカメラ、ビデオカメラも在庫調整の進捗等から持ち直している。この間、ICパッケージ、鉄鋼は横這いとなっている。

仕向地別にみると、米国向けは、自動車・同部品を中心に振れを伴いつつ横這い圏内で推移している。アジア向けは、工作機械等資本財や電子部品等が増加する中、全体でも緩やかに増加している。また、欧州向けも、自動車・同部品が緩やかに増加する中、全体でも緩やかに増加している。

生産・・・加工業種では、自動車関連が輸出の好調を主因に高水準の生産を続けているほか、工作機械も堅調な需要を背景に生産水準を引き上げている。また、電子部品・デバイスは、一部に弱い動きがみられるものの、全体としては高操業を続けているほか、ビデオカメラも幾分持ち直している。この間、デジタルカメラ、二輪車は横這い圏内の動きとなっている。

素材業種では、化学製品が海外需要の好調から、鋼板、特殊鋼は自動車・造船向けの堅調から、それぞれ高水準の生産を続けている。しかし、繊維製品が輸入品との競合激化等を背景に低水準の生産を続けているほか、窯業・土石製品も全体としては弱含んでいる。この間、棒鋼は横這い圏内で推移している。

雇用・所得・・・高水準の生産や人材派遣等サービスでの労働需要の高まりを背景に、所定外労働時間、新規求人数は高水準横這い圏内の動きとなっている。こうした中、有効求人倍率は一段と高まっており、常用労働者数も持ち直している。この間、一人当たり名目賃金は、生産の増加基調や企業収益の改善を背景に、持ち直している。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行京都支店

管内の景気は、改善テンポが鈍化しているものの、回復基調を続けている。

個人消費は、全体としてみると盛り上がりを欠いているほか、輸出の増勢も鈍化している。一方、設備投資は、製造業の大企業中心に投資スタンスをさらに積極化させる先がみられている。また、企業の生産については、受注の伸びは全体的に鈍化しているが、一般・精密機械を中心に高水準の受注残を抱え高めの生産を続けており、雇用面の改善傾向も持続している。

こうした状況下、管内企業の業況判断についてみると、原油、鉄鋼等の素原材料価格の高止まりやIT関連需要の鈍化から改善マインドに一服感が窺われる。

最近の最終需要面の動きを、まず個人消費関連についてみると、百貨店では気温が高めに推移したこともあって、冬物衣料品の販売が伸び悩んでいる。また、家電販売も、薄型テレビやDVD等が好調を持続しているものの、暖房器具が不振なほかパソコンも伸び悩んでいる。一方、新車販売については、新型車投入効果もあって、底堅く推移している。

この間、設備投資(12月短観ベース)は、製造業では、電子部品等IT関連業種の大企業を中心に足許の受注は伸び悩んでいるものの、先行きの需要回復を見込み、生産能力増強投資をさらに上積みする動きがみられるほか、中堅・中小企業でも維持・更新投資や工場増設等を行う先が増えている。

また、非製造業でも小売業、サービス業等で新規出店等を行う先がみられている。

住宅投資は、持家は減少が続いているものの、分譲マンションが高い伸びを持続しているほか、貸家も伸びを高めていることから、全体として増加傾向にある。

公共投資は、予算規模の縮小を背景に、減少基調にあるが、京都府では災害復旧関連の工事が出始めている。

輸出は、一般・精密機械関連では、東アジアを中心としたデジタル家電の需給調整の影響から、液晶・半導体製造装置の受注の伸びが足許鈍化している。また、電子部品等のIT関連業種でも、中国における国内在庫の増加等を映じて幾分弱含んでいる。

企業収益(12月短観ベース)をみると、原油、鉄鋼等の素原材料価格の高止まりやIT関連需要の鈍化が企業収益の下振れ要因になると懸念する先がみられるものの、製造・非製造業ともに増収効果や既往のリストラ効果の顕現化もあって、16年度の経常利益は大幅増益を維持している。

京都観光をみると、外国人観光客の増加傾向持続もあって、京都市内ホテルの稼働率は高めに推移している。この間、大型台風で被災した京都府北部では、これまで伸び悩んでいた観光客の出足がカニシーズン入り後、徐々に持ち直してきている。

雇用・所得面をみると、電気機械からの新規求人の伸びが鈍化傾向にあるものの、一般機械や卸売、小売業からの新規求人が高い伸びを続けていることもあって、有効求人倍率は高水準を持続している。この間、所定外労働時間も高水準で推移している。

企業倒産をみると、小規模事業先の倒産が足許減少していることもあって、件数、負債金額ともに、前年を下回っている。

金融面をみると、貸出については、企業の借入金圧縮の動きは依然として根強いものの、設備の維持・更新等に伴う資金需要が一部にみられているほか、住宅ローンも引き続き堅調に推移しており、前年比マイナス幅は縮小傾向を持続している。

預金は、投信等他の金融商品へのシフトが引き続きみられるものの、個人預金を中心に緩やかな伸びを持続している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良・和歌山県)金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、輸出や生産が横這いの動きとなっているものの、設備投資の増勢が続いているほか、個人消費も緩やかに持ち直しており、全体として回復を続けている。

最終需要面の動きをみると、輸出は、米国向けの消費財や、アジア向けの電気機器関連部材などを中心に伸びが鈍化しており、横這いの動きとなっている。

設備投資は、全体として増加している。製造業は、戦略分野での投資積み増しや、維持・更新投資の広がりから増加しており、非製造業は、都心部再開発案件、物流拠点の整備などから、持ち直している。

個人消費は、百貨店やスーパーはやや弱めの動きが続いているものの、家電がデジタルAV製品を中心に堅調に推移しているほか、自動車も新車投入効果により好調となっており、全体では緩やかに持ち直している。

住宅投資は、分譲、貸家が引き続き横這い圏内で推移する中、持家が下げ止まりつつあることから、全体でも下げ止まっている。

公共投資は、減少している。

生産は、IT関連財の需給緩和などを背景とした輸出の伸びの鈍化もあって、横這いの動きとなっている。

企業収益(経常利益)は、これまでの輸出増加に加え、内需回復により売上が持ち直す中、リストラ効果も相俟って、改善している。

雇用・所得環境をみると、賃金面では依然として弱めの動きが続いているものの、雇用面では、企業の求人ニーズを背景に常用労働者数が底固く推移しているなど、悪化傾向に歯止めがかかっている。

物価をみると、企業の製品価格は、素材品目で原材料価格等のコスト上昇分を転嫁する動きが続いているほか、加工品目の一部でも価格転嫁の動きがみられており、全体として強含んでいる。この間、大阪市消費者物価指数(総合除く生鮮食品)は、依然として前年割れが続いている。

企業倒産件数は、減少している。

企業金融は、業績低調な先では、なお厳しい状況が続いているが、全体としては、企業収益の改善等もあって、一段と落ち着いた地合いとなっている。

金融面をみると、貸出は、事業性資金を中心に減少している一方、預金については、個人預金を中心に堅調に推移している。

こうした中、金融機関では、引き続き住宅ローンの推進や貸出先企業の新規開拓に積極的に取組むなど、資金需要の掘り起こしに注力している。

また、不良債権削減の一環として、取引先企業の再生支援への取組みを強化している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行神戸支店

管内の景気は回復を続けている。需要面をみると、輸出と設備投資は増加傾向を維持しているほか、個人消費は強弱交錯しつつ底固く推移している。住宅投資は振れを伴いつつもこのところ増加している。一方、公共投資は低調に推移している。こうした状況下、雇用は緩やかに改善しているものの、12月短観における企業の景況感は改善テンポが緩やかになっている。

個人消費は、強弱交錯しつつ底固い動きとなっている。百貨店売上高は、年末・初売商戦は好調であったものの、暖冬の影響によりコート、ブーツ等冬物商品が振るわないなど、全体では低調にとどまっている。スーパー売上高は、主力の食料品や衣料品の落ち込みが大きく、依然として低調に推移している。家電販売は、デジタル家電(薄型テレビ、DVDレコーダー)や多機能・高性能の白物家電は好調ながら、パソコンやデジタルカメラなどが落ち込んでいるため、全体では前年を下回っている。乗用車新車登録台数(含む軽)は、ミニバンやコンパクトカーを中心とする新型車投入効果に加え、台風被害による買替需要が一部でみられたことから、全体では大幅な増加となっている。この間、神戸市内のホテル客室稼働率は、低単価プランの投入や修学旅行の積極的な受入などが寄与して、前年並みに推移している。

設備投資は、製造業の幅広い業種で能力増強や効率化投資、老朽化設備の更新投資などが増加しているほか、非製造業でも、物流・営業拠点の新増設や大型商業施設の着工の動きがみられるなど、全体として増勢を続けている(12月短観16年度設備投資計画:全産業前年度比+10.2%、製造業同+11.5%、非製造業同+6.6%)。

住宅投資は、振れを伴いつつも、分譲や貸家を中心に増加している。

公共投資は、神戸市を中心にこのところ大型案件の発注がみられているが、基調としては低調に推移している。

輸出は、中国、欧米向けに一般機械や電気機器などが好調に推移しており、全体では引き続き増加している。

生産・出荷は、増加している。

造船 … LNG船やばら積み船の新規受注がみられるなど、各社とも概ね3〜4年分の受注残を抱え、高水準の操業度を維持している。

鉄鋼鋼板類は、薄板が自動車や家電向けに、厚板が造船、建設機械向けに好調を維持している。こうした中、高炉メーカーでは、生産ラインの効率化投資により、生産水準を一段と引き上げている。条鋼類(棒鋼、形鋼等)は、建設鋼材の在庫が積上り気味となっていることから、市況対策を企図した15〜20%の減産を実施している。特殊鋼は、自動車や建設機械向けの好調を背景にフル生産を続けている。

一般機械射出成形機は、ディスク成形機の中国向け輸出の減少から生産水準を引き下げている。建設機械は、中国向けの減少を米国向け輸出や国内需要の好調がカバーしているほか、物流機械も、物流・搬送センター用の汎用機やプラントなどが好調を持続しており、高水準の生産を続けている。化工機も、家電・化学業界などからの引合いが根強く、全体では堅調に推移している。

電子部品半導体半導体検査用部品は、携帯電話やデジタル家電(デジカメ、DVD等)向けを中心にフル生産を続けている。液晶表示装置は、携帯電話向けが一部で減少しているものの、デジタルビデオカメラやカーナビ向けが好調であることから、全体では高操業を維持している。コンデンサーは、自動車、家電、鉄道車両向けを中心に高水準の生産を維持している。

食品惣菜は、健康志向から豆・酢等の関連商品が伸びているほか、惣菜サラダも堅調に推移している。食肉加工は、ハム・ソーセージは低調ながら、豚肉や豪州産牛肉を中心とした生肉は増加していることから、全体では堅調に推移している。

地場産業ケミカルシューズは、ブーツの売れ行きが不振であるほか、日本酒も年末年始の贈答向けの引合いが芳しくなく、厳しい状況が続いている。豊岡鞄播州織は、台風被害の復旧が順調に進捗し、被災前の操業度に戻りつつある。

雇用情勢は、有効求人倍率や新規求人数が改善しているなど、全体とすれば緩やかに改善している。

企業倒産は、このところ落ち着いた動きとなっている。

金融面をみると、貸出は、住宅ローンが好調を持続しているものの、企業の資金需要が依然として乏しいことから、全体では低調に推移している。

貸出約定平均金利は、短期、長期、当貸のいずれも低下している。

預金は、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

中国地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行広島支店

概況

中国地区の景気は、輸出の増勢が幾分鈍化し、生産の一部に弱めの動きがみられるものの、設備投資に広がりが窺われており、テンポを緩めつつも回復を続けている。

(前回<3か月前>との比較)

  • 改善がみられる項目…
    1. 住宅投資は、やや強めの動きとなっている。
  • 概ね変化がみられない項目…
    1. 個人消費は、一部に持ち直しの動きがみられる。
    2. 設備投資は、増加している。
    3. 公共投資は、減少傾向にある。
    4. 雇用・所得環境は、改善の動きがみられる。
    5. 企業マインドは、改善している。
    6. 企業収益は、増益計画となっている。
  • 悪化がみられる項目…
    1. 輸出は、増勢が幾分鈍化している。
    2. 生産は、一部に弱めの動きもみられるものの、引き続き高水準となっている。

1.実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は、一部に持ち直しの動きがみられる。

百貨店およびスーパーの売上高は、引き続き前年を下回っているものの、家電販売は、薄型テレビやDVDレコーダー等が堅調であるほか、乗用車販売台数も持ち直しつつある。

設備投資は、増加している。

12月短観(中国地区)における16年度設備投資計画(全産業)をみると、前回(9月)調査に比べ上方修正され、前年比+19.2%の増加計画となっている。この間、能力増強投資等を実施する先は、業種別、規模別にみても広がりが窺われる。

住宅投資は、やや強めの動きとなっている。

新設住宅着工戸数をみると、分譲がマンションの在庫調整の進展から、貸家が遊休不動産の活用等から、それぞれ増加している。

公共投資は、減少傾向にある。

公共工事請負額をみると、地方公共団体での投資的経費の圧縮スタンスが続いていることなどから、減少傾向にある。

輸出は、増勢が幾分鈍化している。

輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、自動車が北米・欧州向けを中心に、工作機械や化学もアジア向けを中心に、それぞれ堅調に推移している。一方、鉄鋼は高水準ながら横這い圏内となっているほか、半導体や建設機械の伸びが緩やかとなっている。

(2)生産の動向

生産は、一部に弱めの動きもみられるものの、引き続き高水準となっている。

業種別にみると、輸送用機械では輸出の堅調から、鉄鋼や化学、一般機械では国内外における需要好調から、それぞれ高水準の生産を持続している。一方、電気機械では、IT関連分野で在庫調整を目的に生産水準を引き下げる動きがみられるほか、繊維等その他製造業でも低水準の操業が続いている。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境は、改善の動きがみられる。

有効求人倍率は、派遣・請負などのサービス業や一部製造業等からの堅調な求人に加え、求職者数の減少もあって、足許、上昇している。この間、常用労働者数は前年を下回っている。

(4)企業の動向

企業マインドは、改善している。

12月短観(中国地区)における企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)をみると、足許は改善している。先行きについては、悪化の見通しとなっている(全産業:16年9月△7%ポイント→16年12月△4%ポイント→17年3月予測△7%ポイント)。

企業収益は、増益計画となっている。

12月短観(中国地区)における16年度収益計画(全産業)をみると、前年比+9.9%の増益計画にある。

2.金融動向

(1)貸出の動向

貸出は、総じてみれば弱めの動きが続いている。

内訳をみると、個人向けは、住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は、前年を上回って推移している。

内訳をみると、法人が足許前年を下回った一方、個人が前年を上回って推移している。

以上

四国地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概観

四国地区の景気は、地域間や業種間で格差がみられるものの、総じてみれば、緩やかな持ち直しの動きを続けている。

企業部門では、IT関連での在庫調整の影響等から輸出の増勢に一服感が窺われるものの、生産は、単月の振れを伴いながらも、国内設備投資の増加などを受けて、全体としてみれば、緩やかな増加傾向にある。今年度の収益は、製造業中心に増加を見込んでいる。こうした動きを受けて、業況感は改善を続けており、域内の設備投資は、製造業を中心に引続き回復している。

家計部門をみると、生産や企業収益の増加基調を映じて、雇用・所得環境に持ち直しの動きがみられる。こうした中、台風被害による買い替え需要もあって、個人消費は一部で強めの動きがみられているほか、住宅投資は前年水準を上回って推移している。

この間、公共投資は、地域間の格差があるものの、引続き減少している。

1. 需要

輸出は、東アジア向け、米国向けを中心に増加基調にある中で、IT関連での在庫調整の影響等から、増勢に一服感が窺われる。

設備投資については、業績好調の輸送用機械、化学関連などでの能力増強投資や研究開発投資のほか、小売業を中心とした新規出店やリニューアルなどの動きが続いており、全体としては、製造業を中心に引続き回復している。

個人消費をみると、雇用・所得環境に持ち直しの動きがみられる中、台風の被害による耐久消費財の買い替えなどから、一部で強めの動きがみられている。すなわち、乗用車販売は、新型車投入効果に加え、台風の被害による買い替え需要から前年を上回っているほか、家電販売も、デジタル家電(薄型テレビ、DVDレコーダー)が堅調に推移する中、白物家電を中心に台風の被害による買い替え需要から増加傾向にあるなど、強めの動きがみられている。一方、百貨店・量販店は、暖冬による衣料品販売の不振等から低調な販売となっている。

住宅投資は、単月の振れを伴いながらも、前年水準を上回っている。

公共投資は、地域間の格差があるものの、厳しい財政事情を反映して、引続き減少している。

2. 生産

生産は、単月の振れを伴いながらも、国内設備投資の増加などを受けて、全体としてみれば、緩やかな増加傾向にある。もっとも、IT関連での在庫調整の影響等から、一部に生産水準引下げの動きがみられる。

すなわち、外需関連では、化学(電子部品、各種光学フィルム)、輸送用機械(外航船)が好調に推移している。また、一般機械(建設用機械)、鉄鋼(特殊アロイ)、化学(家禽飼料原料、化学繊維原料)も高操業を継続している。一方、電気機械の一部(液晶表示装置・同部品、半導体)、紙・パルプ(コンデンサ用絶縁紙)では、IT関連での在庫調整の影響等により、一般機械(建設用機械部品)も、中国向け輸出の伸び鈍化から、それぞれ生産水準を引き下げている。

内需関連では、食料品(冷凍食品)、金属製品(アルミサッシ)が高操業を継続しているほか、一般機械(自動車用ベアリング、プレス機械、建設用機械、フライス盤等)、紙・パルプ(印刷用紙)が好調に推移している。一方、窯業・土石(生コンクリート、土木資材関連製品)、鉄鋼(棒鋼、建築用鋼管)、木材・木製品(製材品、型枠用合板)等は低操業となっている。

この間、鉄鋼(特殊アロイ、鋳鋼)、化学(化学繊維原料)、紙・パルプ(印刷用紙)などでは、原材料価格の上昇を受け製品価格への転嫁を進めている。

また、鋼材が品薄状態となっているため、輸送用機械(外航船)をはじめ鉄鋼の大口ユーザーでは、調達が困難化しつつあり、生産工程の見直しなどを余儀なくされる先もみられている。

3. 雇用・所得

雇用・所得環境は、持ち直しの動きがみられている。有効求人倍率が持ち直し傾向にある。また、2004年の冬季賞与については、製造業を中心に前年を上回る先が多くなっている。

4. 金融

預金は、前年並みの水準で推移している。一方、貸出金は、海運等一部を除き、企業の資金需要が低調なことから、前年を下回っている。この間、貸出約定平均金利は、幾分上昇している。

以上

九州地区金融経済概況

2005年 1月13日
日本銀行福岡支店

九州の景気は、テンポを緩めながらも製造業を中心に回復を続けている。

輸出、設備投資は製造業を中心に引き続き増加しており、住宅投資はやや強めの動きとなっている。一方、個人消費は回復感に乏しい動きとなっている。この間、生産は、一部で受注伸び悩みの動きがみられるほか、生産能力の上限に近づきつつある先もあって、増勢が鈍化している。こうした中、企業の景況感は、全体として横ばいとなっている。

先行きについては、輸出や設備投資の増加が続き、生産も緩やかではあるが増加基調を維持していくとみられる。もっとも、こうした動きが所得面の改善に繋がりにくくなっており、個人消費の回復にはやや時間を要するものと思われる。

1.需要項目別動向

個人消費は、底堅く推移しているものの、回復感に乏しい動きとなっている。郊外型商業施設は高い集客力を示しているほか、コンビニエンス・ストアの売上高や旅行取扱高、家電や乗用車等の耐久消費財が前年を上回っているものの、百貨店やスーパーなどの大型小売店の売上高は前年を下回って推移している。

住宅投資は、やや強めの動きとなっている。持家が幾分弱含んでいるものの、貸家や分譲マンションについては、都心部を中心に着工が増加している。

公共投資は、減少傾向にある。発注の動きを示す公共工事請負高をみると、国や地方自治体の関係予算が削減されている中、大型工事案件が乏しいことから前年割れとなっている。

輸出は、一般機械や電気機械を中心に引き続き増加している。地域別にみると、アジア向けが一般機械や電気機械、化学製品などを中心に大幅に増加しているほか、北米向けでは輸送用機械や電気機械を中心に、EU向けも自動車を中心に、それぞれ増加傾向にある。

設備投資は、製造業を中心に増加している。非製造業は前年をやや下回る計画となっているが、製造業では電気機械に加え、輸送用機械が増産を睨んだ追加投資を計画しているほか、鉄鋼や食料品などでも前年を大幅に上回る投資を計画している。

2.生産面の動向

生産は、一部で受注伸び悩みの動きがみられるほか、生産能力の上限に近づきつつある先もあって、増勢が鈍化している。

輸送用機械をみると、自動車は、輸出向けを中心に高操業で推移しているが、一部に鋼材調達難の影響もあって増勢は鈍化している。船舶は、国内外からの好調な受注を映じ、引き続き高操業を続けている。一般機械では、半導体製造装置や数値制御ロボットの生産が高水準で推移しているが、一部に受注伸び悩みの動きや増産余地が乏しくなりつつある先もみられることもあり、増勢が鈍化している。また、電子部品・デバイスでは、半導体集積回路のほかPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)やCCD(電荷結合素子)において一部に操業度を引き下げる動きがみられる。鉄鋼は、海外需要の好調を映じ輸出向けが増加していることもあって、高操業が続いている。

3.雇用・所得動向

雇用面は、緩やかながら改善傾向が続いている。

幅広い業種で新規求人数の増加がみられ、リストラによる求職者数は引き続き減少している。また、常用雇用者数も、製造業における減少幅の縮小などを受け、減少傾向に歯止めがかかりつつある。

もっとも、雇用者所得面をみると、企業の人件費抑制姿勢が続いており、現金給与総額はなお前年割れとなっている。

4.物価動向

物価面をみると、消費者物価(九州地区、除く生鮮食料品)は、前年をやや下回る水準で推移している。

5.企業倒産

企業倒産をみると、件数、金額ともに落ち着いた基調となっている。

6.金融面の動向

銀行預金(譲渡性預金を含む)は、流動性預金を中心に前年水準を上回って推移している。

銀行貸出は、前年水準を下回っている。住宅ローンが前年を上回っているほか、一部にアパート建設や医療・福祉施設建設・改築などの設備資金がみられているものの、運転資金については、企業の借入抑制姿勢もあって減少傾向にある。

以上