調査・研究

ホーム > 調査・研究 > 日本銀行レポート・調査論文 > 地域経済報告(さくらレポート) > 全国11支店金融経済概況 > 全国10支店金融経済概況 (1998年 1月)

全国10支店金融経済概況 (1998年 1月)

1998年 1月26日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行札幌支店

◯ 北海道地区の景気は、昨年11月の金融機関の経営破綻や、企業収益の下振れ等を映じた所得・雇用環境の不芳から、このところ停滞色を強めており、企業経営者や消費者のマインドも一段と慎重化している。すなわち、公共投資は足許減少傾向が一服しているものの、住宅投資が大きく落ち込んでいるほか、設備投資も非製造業を中心に前年を下回っている。また、個人消費も消費者の購買スタンスの慎重化から総じて低調に推移している。この間、企業の生産は、機械関連の一部で海外向け出荷の好調等から高操業を維持している品目がみられるが、建設資材の生産が低水準に止まっているほか、自動車部品、電子部品、食料品でも低調な個人消費を映じて生産が鈍化している品目がみられるなど、全般に弱含みとなっている。

◯ 最終需要の動向をやや詳しくみると、個人消費については、食料品や日用品は比較的堅調な売行きを示しているが、中高年層を中心とした消費者の生活防衛意識の高まりもあって、家具、家電や乗用車等の高額耐久消費財を中心に低調な販売地合いが続いているほか、法人の贈答需要も経費の一段削減を背景に不冴えな状況にある。この間、観光面をみると、エージェント筋が低価格ツアーの投入により旅行需要の掘り起こしに注力していることから、来道客数は前年を上回っている。

 公共投資を公共工事請負額でみると、国、道からの発注を主体に足許のところ減少傾向が一服している。

 住宅投資は、持家、分譲ともに大きく落ち込んでおり、新設住宅着工戸数は大幅な前年割れの状態が続いている。

 9年度の設備投資計画をみると、製造業では、大手出先工場や一部地場企業で比較的大型の投資に取組んでいる先がみられるものの、非製造業では大方の先で、足許の収益下振れ等を眺めて抑制的な投資スタンスで臨んでおり、全体としては盛り上がりに欠ける状態が続いている。

 生産動向をみると、鋳鍛鋼製品等では海外向け出荷の好調から高操業を維持しているものの、建設関連資材(建築用材、電炉、セメント、生コン等)では、建設投資の減少に伴い減産を余儀なくされているほか、自動車部品、電子部品(パソコン関連)、食料品(ビール等)では低調な個人消費を背景に生産が鈍化してきている品目がみられており、全体としても弱含みの展開となっている。

 9年度の企業収益については、建設需要や個人消費の低迷等を背景に製造業、非製造業ともに下振れしており、8年度対比減益を見込んでいる。

 物価動向をみると、消費者物価は昨年4月の消費税率引上げや9月の医療保険制度の見直しなどの上昇要因があるが、こうした要因を除けばほぼ横這い圏内で推移している。この間、地価は、住宅地が横這いで推移しているものの、商業地は総じて低下傾向にある。

 雇用面をみると、倒産の増加もあって求職者が増加している一方、建設関連、卸・小売を中心に求人を抑制する動きが広がっていることから、有効求人倍率は低水準に止まっている。

◯ 金融面をみると、北海道拓殖銀行の業務継承発表後、個人を中心に同行からの預金流出の動きがみられたが、道内預金全体としては前年を上回って推移している。一方、貸出は、企業の資金需要が設備・運転資金ともに低迷していることを主因に、伸びが一段と鈍化している。

以上

東北地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行仙台支店

◯ 東北地区においては、景気の後退を窺わせる動きが広がりつつある。

 企業の9年度設備投資計画は前年を上回っているものの、公共・住宅投資減少の影響が一段と深まっているほか、個人消費も雇用環境の悪化に加え、一部の地域では一連の金融機関破綻の影響もあり、消費者の購買姿勢は一層慎重なものとなっている。

 企業の生産活動をみると、建設関連(鉄鋼、窯業・土石、住宅資材)で一段と操業度が低下していることに加え、ここへきて電気機械のうち情報関連でも内需の不振から生産調整を実施する先がみられるなど、一頃に比べ調整色が強まっている。

 企業の雇用態度は、建設業、同関連業種(窯業・土石、木材・木製品、卸売)に加え、電気機械など製造業でも求人意欲の低下がみられる。

◯ 最終需要動向をやや詳しくみると、個人消費は、百貨店売上高のうち、若者向けのブランド品は好調なものの、家具、呉服類等高額品が前年を下回っているほか、秋・冬物衣料も暖冬の影響もあって低調に推移している。また、年末・年始商戦についても、消費者の選別買いの傾向が強く、低調な結果となった。家電販売、乗用車販売も低迷している。

 公共投資を公共工事請負金額でみると、引き続き減少傾向にある。

 住宅投資も、住宅着工戸数が持家を中心に一段と減少している。また、住宅金融公庫融資第3回受理件数も引き続き前年を大幅に下回っている。

 この間、9年度の設備投資については、公共・住宅関連を中心に投資スタンスが後退しているものの、情報関連分野において先行的色彩の強い投資意欲が根強いことや、小売でも競争激化に対応した新規出店・リニューアルの動きがみられることから、製造業、非製造業とも、大企業を中心に前年を上回る計画となっている。

◯ 主要製造業の受注・生産動向をみると、半導体は、ロジックICが堅調な生産を持続する一方、メモリーICは内需の低迷に加え、市況の悪化から一段と減産を強化している。また、ここへきてOA機器、電子部品が内需の不振から、通信機器が移動体通信事業者での投資一巡から、それぞれ操業度を切り下げているほか、AV関連も納入先の海外生産シフトの進展や内需の低迷から生産水準を引き下げている。

 自動車関連業種では、完成車が内需の不振から、部品が内需の低迷に加え、東南アジアや韓国向け輸出の不振から、それぞれ操業度を落としている。

 消費関連業種では、パソコンプリンター関連が高操業を持続しているほか、冷凍食品・レトルトなどの食品や、ブランド衣料を中心とした繊維は比較的高操業を維持している。一方、時計、ミシン等では需要低迷に伴う在庫積み上がりから、生産水準を若干引き下げている。

 建設関連業種では、公共・住宅投資の減少を背景に、鉄鋼、窯業・土石、住宅資材とも、減産ないし低水準の生産を続けている。

◯ こうした状況下、企業の9年度売上・収益動向をみると、公共・住宅投資の減少に加え、末端需要の不振を背景に、製造業では素材業種(木材・木製品、紙・パ、窯業・土石、鉄鋼)に加え、一般機械も減収減益見通しのほか、電気機械も増収増益計画ながら下方修正の動きがみられている。また、非製造業(建設・不動産、卸売、運輸・倉庫、卸・小売)でも上記要因から、減収減益となる見通し。

◯ 労働需給をみると、建設業、同関連業種(窯業・土石、木材・木製品、卸売)に加え、ここにきて電気機械など製造業でも求人意欲が低下しており、有効求人倍率は低下している。

◯ 金融面をみると、預金面では法人、公金預金が低調なほか、個人預金も回復傾向に一服感がある。貸出面では、地方公共団体向けは堅調なものの、個人・法人向けは低い伸びに止まっている。

以上

北陸地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行金沢支店

 北陸3県の景気は、国内需要の減速傾向が一段と強まる中で、鉱工業生産指数が弱含みで推移するなど、停滞色を強めている。すなわち、輸出が増加基調を続けており、設備投資も底固く推移している。この一方で、公共投資が減少傾向にあり、住宅投資も駆け込み需要で著増した昨年の反動減等が続いているほか、個人消費についても、消費者のマインドが慎重化しているため低調地合いが強まっている。こうした中で、企業収益や雇用・所得環境は、これまでのような改善のテンポが鈍化している。この間、「日銀短観」(9年12月調査)における企業の業況判断をみると、前回調査時に比べると、製造業、非製造業ともに個人消費関連企業を中心に景況感が後退した(全産業:前回△12%→現状△20%→先行き△34%)。

 需要項目別の動きをみると、個人消費では、百貨店やチェーンストアの売上げが、暖冬による冬物重衣料の売行き低調などから、全般に盛り上がりに欠けている。また、乗用車新車登録台数は前年割れの状況が続いているほか、家電販売も白物家電など耐久消費財を中心に低調裡に推移している。この間、観光面をみると、個人・グループ旅行客には幾分持ち直し傾向が窺われるが、加賀温泉郷等の温泉旅館では団体・法人客を中心に宿泊客数が減少傾向にある。

 設備投資については、非製造業で大型小売店等を中心に市場ニーズに対応した店舗改装を図る動きがみられるほか、製造業でも国内需要や輸出の増加等を背景に増産・情報化関連投資を図る動きもみられている。この間、短観における9年度設備投資計画をみると、非製造業が慎重なスタンスを崩していないが、製造業で研究開発やコスト削減のための合理化・省力化投資を増加させていることから、全産業では2年連続の増加となる見通し。

 輸出については、合繊織物は、米国向けが堅調に推移しているものの中国向け(持ち帰り輸出)が減少していることから、このところの船積み数量は前年を下回る水準で推移しているが、既往円安等を背景に、工作機械を中心とした設備機械関連で米国向け等が好調に推移しているほか、電子部品は欧州向けの携帯電話用部材を中心に高水準を維持している。

 公共投資は、財政支出抑制を映じて基調的には減少傾向にあるほか、住宅投資についても、新設住宅着工戸数が消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動等から、低調に推移している。

 生産動向をみると、工作機械、プレス機械では、米国向け等の輸出堅調や自動車関連業界の設備投資を中心とした国内需要の堅調を背景に高操業を続けている。電気機械では、電子部品が国内外の携帯電話用部材向けを中心に堅調な生産を続けているものの、OA機器が企業の情報化関連投資の増勢一服から生産水準を幾分引き下げている。一方、建設機械では東南アジア向け輸出や公共工事の減少に伴う需要低迷から低操業を余儀なくされており、軸受も自動車メーカーからの需要が減少しているため抑制的な生産水準にある。合繊織物でも、織布では既往受注に支えられ高めの操業を持続しているが、染色加工は末端衣料品の低調な売れ足等を映じて低操業を余儀なくされている。建設関連のアルミ建材では、住宅投資やオフィスビル建設の減少から操業度を引き下げている。また、素材関連では、医薬品や塩ビ樹脂が堅調な生産を持続しているが、紙・パルプ、特殊鋼、タングステンなど全般に受注の減少や在庫増を背景に生産水準を引き下げてきている。

 この間、雇用面をみると、雇用保険受給者実人員が引き続き高水準であり、有効求人倍率(含むパート)が1倍台を維持しつつも低下傾向にある。また、生産の弱含み傾向を反映して、所定外労働時間が前年割れとなっている。

 金融面をみると、預金は、個人預金が定期性、流動性ともに堅調な伸びを維持しているものの、法人預金は、企業の財務リストラ圧力を受けて依然低調に推移している。

 貸出は、個人向けが住宅ローンの増勢鈍化から小幅な伸びに止まっている。また、法人向けも、小口の設備資金需要が散見されるものの、運転資金需要が盛り上がりを欠くため、低調な地合いが続いている。

 この間、貸出約定平均金利(ストック)は、既往最低圏で推移している。

以上

神奈川県内金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行横浜支店

 神奈川県の経済をみると、景気の減速傾向が一段と強まり、次第に停滞色が深まっている。最終需要面では、設備投資が増加を続けているほか、輸出も堅調な海外需要を背景に増加している。一方、公共投資は減少傾向にあるほか、住宅投資も減少を続けている。また、個人消費についても耐久消費財を中心に低迷している。生産面では、設備投資や輸出需要の影響が大きい工作機械、自動車を中心に概ね底堅く推移しているが、低迷する個人消費の影響が次第に広がりつつある。この間、雇用面では回復の動きが鈍く、労働需給は緩和を続けている。

 最終需要の動向をやや詳しくみると、個人消費については、消費者心理の慎重化もあって低迷している。すなわち、乗用車販売が減少を続けているほか、家電販売も天候不順などから低調となっている。また、百貨店売上高も、冬物衣料の販売不振から前年割れを続けている。この間、レジャー関連では、ホテルの稼働率が個人客を中心にほぼ前年並みの水準を持続している一方、旅行取扱高は海外を中心に低調に推移している。

 県内企業の設備投資態度をみると、97年度中、製造業ではほとんどの業種で前年を上回り、製造業全体でも3年連続で前年を上回る計画となっている。また、非製造業でも、建設、運輸・倉庫で積極的な計画となっていることから、全体では3年振りの増加が見込まれている。

 住宅投資は、持家、貸家で引き続き大きな前年割れを続けているほか、分譲も減少傾向にある。公共投資についても、財政支出の抑制傾向を反映して、国、県、市町村ともに減少傾向にある。

 輸出面では、堅調な需要を背景とした事務用機器、自動車等の増加から、横浜港通関輸出額は前年を上回って推移している。輸入については、自動車等の減少から前年割れに転じている。

 県内企業の生産動向をみると、概ね底固く推移しているが、個人消費の低迷等の影響が徐々に広がりつつある。すなわち、工作機械が国内・海外での堅調な設備投資をうけて高い生産水準を維持しており、乗用車も県内の生産車種の販売好調から回復基調にある。しかしながら、自動車部品では、完成車メーカーの生産計画の下方修正を受けて、生産を抑制する先が一部にみられはじめている。また、パソコンについては、個人向け販売の不振から生産水準を引き下げつつあり、半導体関連などの一部でも生産を抑制する先がみられる。この間、鉄鋼、化学の生産は、最終需要の低迷から弱含みで推移している。

 雇用面をみると、製造業、非製造業ともに雇用の過剰感は根強く、県内常用雇用者数は前年割れを続けるなど、労働需給は引き続き緩和した状態にある。

 金融面をみると、企業向け貸出の低迷を主因に、全体の貸出は低調に推移している。預金面では、法人預金は低調に推移しているが、個人預金が流動性預金を中心に高い伸びを示していることから、全体でも堅調に推移している。なお、97年末にかけては、経営破綻が表面化した金融機関の管内支店で預金取崩しの動きがみられたが、全体としての基調には変化はみられなかった。

以上

東海地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行名古屋支店

 東海地区4県の最近の経済動向をみると、個人消費は、総じて低調な動きが続いているほか、輸出も、アジア向けの減少等から増勢が鈍化している。また、住宅投資、公共投資も、引き続き減少している。一方、設備投資は、製造業を中心に増加を続けている。以上のような需要動向の下で、生産は、在庫調整の動きもあって、引き続き弱含んでおり、こうした動きが雇用面にも影響を及ぼしつつある。このように、東海地区の景気は、停滞色の強い状況にある。

 個人消費は、総じて低調な動きが続いている。すなわち、年明け後の衣料品販売には動意が窺われるものの、耐久消費財については、自動車、家電ともに販売が低調に推移しており、サービス関連でも、旅行需要にやや陰りがみられる。

 設備投資は、製造業を中心に、増加を続けている。すなわち、製造業では、自動車関連メーカー等を中心に、新製品開発投資や更新投資が活発なほか、生産合理化投資も増加している。また、非製造業では、通信のインフラ整備や小売の新規出店・リニューアル投資が高水準で推移しているほか、物流拠点整備の動きも増えつつある。

 住宅投資の動向をみると、持家の新規着工の低調が続いているほか、分譲についても、マンション販売の低調に伴う在庫増加を受けて着工が減少していることから、工事量は全体として減少している。

 公共投資については、公共工事請負額は前年水準を下回っており、建設業者の官庁関連の工事量やコンクリート製品等関連資材の出荷も、減少を続けている。

 輸出は、欧米需要は堅調ながら、自動車部品をはじめとするアジア向けの減少等から増勢が鈍化している。

 こうした需要動向の下で、生産は、在庫調整の動きもあって、引き続き弱含んでいる。すなわち、自動車を中心とする耐久消費財関連が、国内販売の低調等から、弱含みで推移しているほか、鉄鋼等の素材業種でも、最終需要が低調に推移する中で、在庫が積み上がってきていることから、減産を進めている。この間、工作機械が、国内向け、欧米向けともに需要が好調なため、引き続き増産を進めており、情報通信関連でも、総じて高操業を持続している。

 雇用面では、新規求人数は減少しており、有効求人倍率も、僅かながら低下している。また、常用雇用者数は、引き続き前年水準を上回っているが、このところ伸びが鈍化している。もっとも、東海地区の主要企業の今春の新卒採用計画は、昨春に続いて前年を上回る見通しとなっている。

 物価面では、主要商品市況は、末端需要の不振等から、繊維、鉄鋼等を中心に弱含んでいる。この間、消費者物価は、総じて落ち着いた動きとなっている。

 金融面では、貸出については、中堅・中小企業向けが引き続き低い伸びとなっているなど、総じて低調に推移している。また、貸出金利は、既往最低圏内での動きが続いている。この間、地元金融機関では、信用リスクに留意しながらも、営業基盤を拡充しようとする前向きの貸出姿勢を堅持しているが、今後の企業金融を巡る環境については、引き続き注意深くみていく必要がある。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行大阪支店

◯ 最近の管内経済動向をみると、輸出は緩やかな増加を続けているが、国内需要は、家計の支出スタンスが一段と慎重化しているほか、設備投資も足踏み感が台頭している。このため、生産は弱含みの動きとなっており、全体としても後退色が強まっている。

◯ 管内経済における最終需要面の動きをみると、輸出は、アジア向け輸出の減少傾向が明確化しているが、電子部品、電気機器、工作機械等の欧米向け輸出が増加しており、全体としても緩やかではあるが増加が続いている。

 設備投資は、製造業では、電子部品等戦略分野の強化、情報化関連投資などを中心に増加しているが、非製造業では、業績の悪化等を背景に前年を割り込んでおり、全体では足踏み感が窺われる。

 個人消費は、百貨店では初売りは比較的堅調に推移したものの、中旬以降は再び低調に推移している。また、自動車、白物家電等の耐久消費財の販売も低迷が続いているほか、サービス関連でも、海外旅行予約が円安の影響もあって減少している。住宅投資も依然低調に推移している。

 こうした中、公共投資は減少傾向を強めつつある。

◯ 生産面をみると、輸出の増加を背景に、電子部品等では高操業を継続しているものの、内需低迷から、エアコン、自動車向け部品(ベアリング等)、繊維、鋼材などで減産の動きが強まっており、全体では弱含みの展開となっている。

◯ 雇用・所得面をみると、生産および最終需要の動向を映じて、改善テンポが一段と鈍化している。

◯ 物価面については、消費者物価は概ね横ばいの範囲内で推移している一方、国内市況関連品目はH形鋼等の建材を中心に弱地合いで推移している。

◯ なお、企業倒産は、中小、零細企業を中心に高水準で推移している。

◯ 金融面をみると、貸出については、製造業向け等が低調に推移しているほか、住宅ローンの増勢も鈍化傾向にあることなどから、総じてみれば低調な地合いが続いている。

 預金については、法人預金は、定期性預金を中心に減少傾向を辿っている。個人預金は、流動性預金が総じて増加基調を継続している一方、定期性預金は頭打ちとなっている。

 なお、昨年11月末にかけて、金融機関の経営破綻が相次いだことなどに端を発した、短期金融市場の流動性低下、預金者の動揺等から、管内金融機関の一部でも一時、預金が流出するなど資金調達環境が不安定化したが、最近では落ち着きを取り戻してきている。この間、管内金融機関の中には、以上のような状況や、株価下落、為替円安化を踏まえた自己資本比率対策の必要性等を背景に、融資スタンスを慎重化させる先がみられた。

 こうした中、本日、阪和銀行が紀伊預金管理銀行に営業を譲渡し、解散している。

以上

兵庫県内金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行神戸支店

 県内景気をみると、住宅・公共投資が大幅減少を続けているほか、個人消費も引続き低迷しており、企業の売上・収益見通しは幅広い業種で下振れてきている。また、昨年秋以降の株価下落や金融機関破綻の影響等から消費者心理も一段と慎重化しており、景気は停滞感をさらに強めている。

 個人消費をみると、家計の消費態度が一段と冷え込むなかで、百貨店、スーパー、乗用車販売等幅広い業種で依然売上の回復が遅れており、全体として引続き低調な状況が続いている。

 住宅投資は、被災住宅の建替え需要がほぼ出尽くす一方で、貸家を中心に供給過剰感が強まっているため、前年比3割を超える大幅な減少が続いている。また、公共投資も、震災復旧関連工事の減少等から前年水準を大きく下回っている。

 この間、9年度の設備投資は、内需の停滞による収益見通しの下振れや企業マインドの慎重化を受けて、製造業、非製造業とも減額修正の動きが広がっており、震災復旧投資の一巡から大幅に減少した8年度をさらに1割前後下回る計画にある。

 こうした下で、管内企業の生産は、このところ総じて弱含みで推移している。造船が、豊富な受注残を背景に高操業を続けているものの、鉄鋼、建設機械では、自動車、公共工事向けの減少や、東アジア経済の減速による輸出の減少等から生産水準を引下げている。また、電子(コンデンサー等)・自動車部品、住宅関連機器(給湯器)でも、個人消費や住宅投資の落ち込みから生産調整を余儀なくされているほか、設備投資関連(射出成形機、コンベア等)でも、受注残の減少につれ操業度が低下してきている。

 また、雇用面をみると、雇用保険受給者数が、建設、卸・小売業を中心に引続き高い伸びを続けているほか、製造業の人員余剰感も稼働率の低下につれ高まっている。

 金融面をみると、貸出は依然として企業の設備資金需要が低調であるほか、住宅ローンの伸びが一頃に比べ鈍化してきていることもあって、引続き低調に推移している。また、預金も、個人預金は比較的底固く推移しているものの、預貸相殺等による法人預金の取崩しが続いているため、全体としては伸び悩んでいる。この間、企業倒産は、建設業を中心に引続き、件数、金額とも高水準で推移している。

以上

中国地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行広島支店

 中国地区の景気をみると、輸出は引き続き増加基調にあるものの、家計支出の低迷が続いており、この影響が生産や雇用・所得環境にも徐々に及びつつある。企業マインドも非製造業を中心に悪化傾向にあり、全体として景気は停滞している。

 すなわち、最終需要面をみると、住宅投資は大幅な減少を続けているほか、公共投資も基調としてはマイナス傾向にある。個人消費については、消費者マインドの慎重化に加え天候要因等もあって、耐久消費財や季節商品を中心に低調な動きとなっている。また、設備投資についても頭打ちとなっている。この間、純輸出については、輸出が増加していることを主因に前年を上回って推移している。

 こうした最終需要のもと、生産については、国内需要低迷の影響を受け、このところ横這いで推移している。

 また、企業収益については、製造業、非製造業とも9年度事業計画を下方修正する動きが拡がり、前年を下回る見込みとなっている。

 雇用・所得環境については、総じてみれば弱含みとなっている。

 この間、企業マインドについては、個人消費の低迷や公共投資の減少基調等を背景に、非製造業を中心に多くの業種で業況感を悪化させている。

 最終需要の動向をやや詳しくみると、個人消費は、消費者マインドの慎重化に加え天候要因等もあって、耐久消費財や季節商品を中心に低調な動きとなっている。すなわち、百貨店売上高が3か月連続で前年割れとなっているほか、スーパー売上高、乗用車販売、家電販売も、4月以降、低調に推移している。また、レジャー関連については、大型イベントの終了等に伴い、総じてみれば弱含みで推移している。

 設備投資を中国地区企業短期経済観測調査(9年12月)結果でみると、製造業では自動車、化学等が増加しているものの、紙・パルプ等の大型投資が一巡するほか、非製造業でも大型案件の反動減がみられることから、前年を下回る計画となっている。また、9月調査時点との比較では、製造業は増額修正された一方、非製造業は減額修正されており、全体としては頭打ちとなっている。

 公共投資については、公共工事請負額は一部大型工事の発注による振れを伴いつつも、総じてみれば減少基調を辿っている。

 住宅投資については、新設住宅着工戸数が、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動などから、大幅な減少を続けている。

 輸出入については、輸入が燃料等を中心に伸びている一方、輸出が自動車、船舶、鉄鋼を中心に好伸しているため、純輸出は輸出の増加基調に支えられるかたちで前年を上回って推移している。

 こうした最終需要のもと、生産は、国内需要低迷の影響を受け、このところ横這いで推移している。主要企業の生産動向をみると、造船、電子部品(半導体等)や弱電(液晶表示装置等)がフル操業を続けているほか、情報通信・オーディオ機器(MD、携帯電話等)、工作機械等も高操業を持続している。鉄鋼、産業機械は高めの水準ながらこのところ弱含みに転じている。自動車・同関連については、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。また、石油化学、縫製等は弱含みに推移しているほか、木材・木製品は在庫の積み上りから生産調整を行っている。

 雇用面をみると、製造業の時間外労働時間は前年を上回って推移しているものの、伸び率が鈍化している。また、有効求人倍率が16か月振りに1.0倍を下回ったほか、常用雇用者数も前年を下回っており、雇用・所得環境は、総じてみれば弱含みとなっている。

 金融面をみると、貸出については、企業向けが非製造業の一部(運輸・通信、医療関連)で設備需資がみられるものの、総じて盛り上がりに欠けるほか、個人向けも伸び悩んでいることから、全体としては低い伸びが続いている。

 一方、預金については、個人は流動性を中心に堅調に推移しているほか、法人は前年並みに推移していることから、全体としては堅調に推移している。

以上

四国地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

 四国地区の景気は、設備投資が底固さを堅持しているものの、個人消費・住宅投資が 消費税率引き上げや医療費負担増加のほか、先行きの不透明感の強まり等から低調に推移しており、こうした状況を受けて、企業の生産動向や雇用情勢でも弱含む動きが広がりをみせているなど、このところ一段と足踏み感を強めている。

需要動向

 最終需要の動向をみると、設備投資は、一部で需要減少に伴って投資計画を先送りする動きがみられるが、新製品や戦略製品の能力増強投資のほか、新店舗や物流拠点整備に踏み切る動き、さらには合理化、情報化投資も根強くみられるなど、企業の投資スタンスは底固く推移している。

 輸出は、東南アジア向けは弱含んでいるものの、為替円安に伴うその他地域向けの競争力の回復もあって総じてみれば堅調を持続している。

 公共投資は、既往発注分を含めた工事量では、引き続きまずまずの水準を維持しているが、公共工事請負額自体は単月でのフレを伴いつつ減少してきている。住宅投資については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響等から、新設住宅着工戸数は前年水準を大きく下回って推移している。

 個人消費については、食料品等生活必需品や情報関連機器等一部には堅調な動きもみられるものの、消費税率引き上げや医療費負担の増加等を背景に、消費者マインドが慎重化しているほか、暖冬の影響もあって百貨店、乗用車および家電販売が前年割れを余儀なくされている。

生産

 企業の生産活動をみると、造船(外航船)、紙・パ(印刷用紙、特殊工業紙等)、電気機械(半導体、電子部品等)、化学(合成樹脂等)および非鉄が輸内需好調を背景に引き続き高操業を持続している。もっとも、繊維(タオル、衣料品)が法人需要の低迷や暖冬の影響も加わり多くの先で抑制気味となっているほか、一般機械(建設用機械、金属用プレス機械)や建設用資材(木材・木製品等)も国内需要や東南アジア向けの減少等から操業度を引き下げるなど、業種・企業間のばらつきを伴いながらも、総じてみれば生産水準を引き下げる動きが広がりつつある。

雇用

 雇用情勢をみると、需要好調な電気機械や新規出店がみられる小売業等では引き続き求人スタンスが積極的ながら、建設・住宅関連を中心に抑制的な雇用姿勢に転ずる先が増加しており、雇用環境は全体として次第に弱含みつつある。

金融

 金融面をみると、預金は法人預金が定期性中心に低調に推移しているものの、個人預金は堅調を持続しており、このところやや伸びを高めつつある。一方、貸出は住宅ローンが増勢鈍化傾向にあるほか、企業需資も設備、運転とも盛り上がりに欠け、低い伸びが続いている。

以上

九州地区金融経済概況

1998年 1月26日
日本銀行福岡支店

◯ 九州経済をみると、公共、住宅投資の減少や個人消費の低調を背景に、一段と減速傾向を強めており、企業の景況感も悪化している。

◯ 最終需要の動向をみると、公共投資が減少傾向を辿っているほか、住宅投資も、消費税率引き上げ以降、落ち込んだ状態が続いている。

 個人消費は、公的負担の増加や金融機関の相次ぐ破綻などから消費者マインドが慎重化しているため、低調に推移している。

 企業の設備投資は、製造業を中心に増加傾向を維持しているものの、企業業績の悪化を背景に、一部先で下方修正の動きがみられる。

 輸出は、東南アジア向けが増勢鈍化しているものの、為替円安などを背景として、欧米向けを中心にIC・電子部品、情報関連機器、自動車、造船等が堅調な伸びを示していることから、全体では、引き続き増加傾向を辿っている。一方、輸入については、食料品、原材料を中心に増勢鈍化している。

◯ 企業の生産動向をみると、IC・電子部品、情報関連機器、一般機械、造船が内外需要の堅調を背景に高操業を継続している一方、鉄鋼、セメント、合板が公共工事の減少等から、自動車も国内販売の不振を受け、それぞれ生産水準を引き下げている。

◯ 企業業績をみると、売上、収益とも、下方修正する動きが広がっている。

◯ 雇用面では、有効求人倍率等関連指標は、幾分弱含みの動きとなっている。

◯ 金融面の動きをみると、銀行預金は個人、法人とも流動性預金を中心に堅調に推移ている。一方、銀行貸出は、住宅ローンが増勢鈍化傾向にあるものの、移動体通信関連向け等を中心に、比較的堅調な伸びを続けている。

以上