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各地域からみた景気の現状(2022年10月支店長会議における報告)

2022年10月6日
日本銀行

今回の支店長会議における報告を総括すると、供給制約の影響が和らぎ、感染抑制と経済活動の両立も進むもとで、多くの地域で景気は緩やかに持ち直している。前回の支店長会議開催時点(2022年7月)と比較すると、全9地域中8地域で総括判断を維持し、1地域で引き上げている(参考参照)。

需要項目等別にみると(注)公共投資については、災害復旧・復興関連などの工事が減少しているとの指摘もあったものの、国土強靱化関連の受注は堅調との報告があった。設備投資については、デジタル化・省力化や環境対応などの投資が進められており、先行きも、これらを中心に設備投資は増加する見込みとの報告が多かった。他方で、原材料価格上昇による収益の下押しや、資材価格上昇に伴う投資採算の下振れなどから、投資計画の先送り・見直しの動きが一部でみられるとの指摘もあった。個人消費については、夏場の感染拡大により、サービス分野を中心に消費が下押しされたものの、行動制限が課されなかったこともあり、過去の感染拡大局面に比べると影響は小さかったとの報告が多かった。また、8月半ば以降については、新規感染者数の減少に伴い、客足が回復しているとの企業の声が多く紹介された。この間、物価上昇が進むもとで、プライベートブランド商品への需要シフトなど、消費者の節約志向を示す報告があった一方、値上げ後も売上げが底堅く推移している企業の例も紹介された。先行きについては、10月中旬以降、全国旅行支援などが始まり、水際対策も緩和されることになったため、企業の間で、インバウンド消費を含め、サービス消費の回復に弾みがつくとの期待感が高まっているとの報告があった。住宅投資については、取得価格の上昇などから注文住宅の購入を見合わせる動きがみられるとの報告があった。輸出・生産については、上海などでのロックダウンの解除に伴い、供給制約の影響が和らぐもとで、持ち直しているとの報告が多かった。ただし、スマートフォン・PC向けの半導体などについては、海外需要の下振れを背景に、受注が減少しているとの指摘があった。

雇用面をみると、経済活動の改善が進むもとでサービス業でも求人を増やしているとの報告が多かった。賃金については、業績が好調な企業や人手不足感の強い企業などで、夏季賞与を増額したり、来春の賃上げを検討したりする先がみられるとの報告があった。一方で、原材料価格上昇などによる収益面の厳しさを理由に、賃上げには慎重にならざるを得ない先もあるとの指摘もあった。


(参考)

各地域の景気の総括判断と前回との比較
【22/7月判断】 前回との比較 【22/10月判断】
北海道 新型コロナウイルス感染症の影響がみられているものの、緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
東北 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
北陸 基調としては持ち直している 不変 基調としては持ち直している
関東
甲信越
供給制約の影響が強まっているものの、個人消費への感染症の影響が和らぐもとで、基調としては持ち直している 不変 感染抑制と経済活動の両立が進み、供給制約の影響が和らぐもとで、基調として持ち直している
東海 持ち直しの動きが一服している 不変 持ち直しの動きが一服している
近畿 中国におけるロックダウン等の影響が残るものの、消費への感染症の影響が和らぐもとで、全体として持ち直している 不変 感染症の影響が和らぐもとで、全体として持ち直している
中国 下押し圧力は残るものの、緩やかに持ち直している 右上がり 緩やかに持ち直している
四国 一部に供給制約の影響がみられるものの、全体としては緩やかに持ち直している 不変 一部に供給制約の影響がなお残る中、全体としては緩やかに持ち直している
九州・沖縄 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
  • (注)前回との比較の「右上がり」、「右下がり」は、前回判断に比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いが変化したことを示す(例えば、改善度合いの強まりまたは悪化度合いの弱まりは、「右上がり」)。なお、前回に比較し景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、「不変」となる。