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各地域からみた景気の現状(2023年4月支店長会議における報告)

2023年4月20日
日本銀行

今回の支店長会議における報告を総括すると、資源高の影響などを受けつつも、供給制約や感染症の影響が和らぐもとで、いずれの地域でも景気は持ち直している。前回の支店長会議開催時点(2023年1月)と比較すると、全9地域中1地域で総括判断を引き上げ、1地域で引き下げている(参考参照)。

需要項目等別にみると(注)公共投資については、国土強靱化関連の工事が継続的に発注されるもとで、横ばい圏内で推移しているとの報告があった。設備投資については、コスト高などを受けて計画を先送りする動きがみられるとの指摘もあったが、デジタル化・省力化投資や環境対応投資、物流施設などの建設投資を進める動きが多く報告された。個人消費(インバウンド需要を含む)については、物価上昇が続くもと、飲食料品等での買い上げ点数の減少や低価格商品への需要シフトなど、生活防衛意識の強まりを示す事例が報告されたが、感染症の影響が和らぐもとで、サービス分野を中心に売上が増加しているとの報告が多かった。具体的には、感染状況の落ち着きや感染症の「5類」移行の決定などを背景に、外食では、家族連れ客等の増加に加え、これまで落ち込んでいた宴会需要についても持ち直しの動きが報告された。また、宿泊・旅行では、全国旅行支援が引き続き後押しとなる中、国内旅行需要が回復基調にあるほか、インバウンド需要についても、客数・単価の両面から売上増加に貢献しているとの指摘があった。ただし、人手不足の影響から、需要を取りこぼしているとの指摘は少なくなかった。先行きについても、人手不足により施設稼働率を引き上げづらい状況が続くもとで、インバウンド需要などの更なる回復に十分に応えられないことを懸念する声が紹介された。住宅投資については、住宅価格の上昇に伴う顧客の購買意欲の低下を背景に、弱めの動きとなっているとの報告があった。輸出・生産については、海外経済の回復ペース鈍化の影響から、一部の半導体等電子部品や素材、資本財などにおける生産調整を指摘する声が紹介されたが、供給制約の影響が和らぐもとで総じてみると横ばい圏内で推移しているとの報告があった。ただし、自動車関連を中心に半導体の調達環境は引き続き不安定との報告もあった。

雇用面をみると、経済活動の改善が続くもとで人員の拡充に取り組んでいるものの、対面型サービス業を中心に、採用難や離職の増加から人員を充足できず、人手不足感は強まっているとの指摘が多かった。賃金については、コスト高などによる収益面の厳しさから賃上げに慎重な声も紹介されたが、人手不足感の高まりや物価上昇を受けて、中小企業においても、ベアを久方ぶりに実施するなど、賃上げの動きが広がっているとの報告が多かった。また、域内の大企業等が大幅な賃上げに動いていることや、パート等の賃金上昇に伴い正社員との給与差が縮小することも、こうした動きを後押ししているとの指摘があった。


(参考)

∇各地域の景気の総括判断と前回との比較
【23/1月判断】 前回との比較 【23/4月判断】
北海道 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
東北 緩やかに持ち直している 右下がり 一部に弱さがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している
北陸 持ち直している 不変 持ち直している
関東
甲信越
感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している 不変 資源高の影響などを受けつつも、感染症の影響が和らぐもとで、持ち直している
東海 横ばいで推移している 右上がり 緩やかに持ち直している
近畿 感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している 不変 一部に弱めの動きがみられるものの、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している
中国 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
四国 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
九州・沖縄 持ち直している 不変 持ち直している
  • (注)前回との比較の「右上がり」、「右下がり」は、前回判断に比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いが変化したことを示す(例えば、改善度合いの強まりまたは悪化度合いの弱まりは、「右上がり」)。なお、前回に比較し景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、「不変」となる。