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米国における金融制度改革法の概要

2000年 1月28日
野々口秀樹※1
武田洋子※2

日本銀行から

 本論文中で示された内容や意見は筆者個人に属するもので、日本銀行の公式見解を示すものではない。また、本稿は、概要を紹介するものであるため、条文を厳密に訳出したものではない。法令の原文については、http://thomas.loc.gov/(外部サイトへのリンク)からダウンロードできる。

  • ※1日本銀行ワシントン事務所(E-mail: bojnono@cs.net)
  • ※2日本銀行国際局国際調査課(E-mail: youko.takeda@boj.or.jp)

 以下には、冒頭部分を掲載しています。全文(本文、図表)は、こちら (ron0001a.pdf 87KB) から入手できます。なお、本稿は日本銀行調査月報1月号にも掲載しています。

はじめに

 米国では、Gramm−Leach−Bliley Act1(グラム・リーチ・ブライリー法)が、11月4日に上下両院を通過し、11月12日にクリントン大統領の署名により、成立した。これにより、Banking Act of 1933(1933年銀行法、通称グラス・スティーガル法)によって規定されていた銀行・証券の垣根2が66年ぶりに撤廃され、銀行、証券、保険の相互参入に関する法的枠組みが整った。本稿では、米国金融制度改革を巡るこれまでの経緯を簡単に整理した上で、同法の概要について紹介する。

 予め、同法のポイントを整理すると以下のとおりである。

  1. (1)金融持株会社は、証券・保険業務(引受および代理業務)、ミューチュアル・ファンド業務、マーチャント・バンキング業務、保険ポートフォリオ投資業務を含む金融業務、すなわち本源的金融業務あるいはこれらの金融業務に付随する業務(financial in nature or incidental to such financial activity)を営むことができるほか、金融業務の補完的業務(complementary to a financial activity)を営むことも認められる。金融業務とその補完的業務の範囲は連邦準備制度理事会<FRB>が決定する。ただし、金融業務の範囲については、財務省・通貨監督局<OCC>が拒否権・提案権等を持つ。
  2. (2)一定の条件を満たす国法銀行は、金融持株会社を設立することなく子会社を通じて、上記金融業務(ただし、保険引受業務、保険ポートフォリオ投資業務、不動産開発投資業務は除かれるほか、マーチャント・バンキング業務については、立法から5年後に認可される扱い)を新たに営むことができる。この場合の金融業務の範囲は財務省・OCCが決定し、FRBは拒否権・提案権等を持つ。
  3. (3)FRBを「umbrella supervisor」(金融持株会社全般の監督権限を持つ包括的監督当局)として位置付ける一方、州当局や他の連邦金融監督当局などを「functional regulator」(持株会社グループ内の証券業務や保険業務等を営む会社に係る機能別監督当局)と規定し、役割分担を明確化する。
  1. 法案審議を主導したグラム上院銀行委員長、リーチ下院銀行委員長、ブライリー下院商業委員長の名がとられた。なお、上下両院法案の審議段階では、Financial Services Modernization Act(1999年金融サービス近代化法)が正式名称であったため、これも引き続き俗称として使われている。
  2. グラス・スティーガル法の第20条、第32条。