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2005年度の金融市場調節

2006年5月26日
日本銀行金融市場局

概観

 日本銀行は、2005年度の殆どの期間において、日銀当座預金残高を主たる操作目標とする金融市場調節を行い、同目標を、2004年1月19、20日の金融政策決定会合において決定された「30〜35兆円程度」に据え置いた。この目標水準は、金融機関が準備預金制度等により預け入れが義務付けられている所要準備額1(6兆円程度)を大幅に上回るものであった。この間、2005年5月19、20日の会合では、資金余剰感の強まりに伴う資金供給オペレーションへの応札意欲の減退といった状況を踏まえ、従来の金融市場調節方針の「なお書き」の後に、「資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、目標の下限を下回ることがありうるものとする」との文言を付け加えることを決定した。

 日本銀行は、こうした調節方針のもとで、引続き潤沢な資金供給を行った。金融市場調節を取り巻く環境は、夏頃を境に、次第に変化した。7月までは、4月にペイオフが全面解禁されて以降、金融システム不安の後退がさらに明確になるもとで、金融機関の流動性需要は一段と低下し、資金供給オペレーションの札割れが頻発した。このため、6月初や7月末〜8月初には、5月に修正した「なお書き」を適用する形で、日銀当座預金残高は目標下限の30兆円を一時的に下回った(合計6営業日)。一方、8月以降は、金融政策の枠組み変更に対する思惑の高まりから金利先高観が生じた結果、資金供給オペレーションへの応札が次第に回復し、残高目標は安定的に達成されることとなった。

 日本銀行は、2006年3月8、9日の会合において、金融市場調節の操作目標を、それまでの日銀当座預金残高から無担保コールレート(オーバーナイト物)に変更したうえで、これを「概ねゼロ%で推移するよう促す」ことを決定した。同時に、当座預金残高については、数か月程度の期間を目途に、所要準備額に向けて削減していく方針を示した。

 金融政策の枠組み変更後の無担保コールレートをみると、3月期末にかけては、当座預金残高を30兆円前後に維持するもとで、枠組み変更前と同様に極めて低い水準で推移し、期末日も0.004%と年度末としては極めて落ち着いた状況となった。4月入り後も、当座預金残高を徐々に削減しているが、無担保コールレートは、4月末までのところ、ゼロ%近傍での推移となっている。

  1. 日本郵政公社は、準備預金制度の対象とはなっていないが、日本銀行との契約により所定の金額を日本銀行に対する預り金として保有することとなっている。本稿では、こうした日本郵政公社の所要預け金額を含めて計算している。